新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター 作:転々々
恒星日誌、宇宙歴XXXX.X
再度、小天体の送還実験を行った。結果は良好で、エネルギーの効率も予測の範囲内に収まった。これで、送還に向けた技術的課題の1つはクリアされたと言える。
機関部、特に働きが大きかった、ラ=フォージ、データ、バークレーの三人には十日間の休息を命じた。とはいえ、好奇心旺盛な彼らだ。技術交流を進めるに違いない。休息中のラボやホロデッキの使用を制限するべきだろうか?
「……見つけた」
瞑目したガイナンが呟く。
Qの存在、ボーグの冷たくざらついた感触、あの騒がしい宇宙だ。
そして自身の流浪した時代。19世紀、あるいは21世紀の地球。ピカードとの友誼。エンタープライズでの旅……。
人類の生涯より遙かに長いが、宇宙規模では一瞬の結節点。
しかし、自身やエンタープライズが同時に存在するわけにはいかない。この宇宙に引き込まれた瞬間、すなわち自身の存在が本来の宇宙から消えた瞬間の時空を特定し、そこを目指さなくてはならない。より厳密な送還ポイントは、人の能力では特定できないため、老君と存在を共有する必要がある。
ラ=フォージ・バークレー・データの三人は、礼子から工学魔法についてレクチャーを受けていた。帰還が叶えば不要どころか使える見込みすら無い技術であるが、新たな技術体系を知ることに対しては貪欲だった。もっとも、陽電子頭脳は魔素や魔力に干渉できないため、データは知識欲を満たすだけであった。
しかし、早期に帰還が叶う場合、この知識を拡散させることはリスクをはらむため、現時点では他のクルーに伝えることはできない。行きがかり上、
いずれ、これをクルーに広めることになるかもしれない、防御や医療、あるいは攻撃に関することに、この技術を採り入れる可能性もある。
艦長から休養指示とともに交わした会話を思い出していた。
「初めは、インゴットから同じ質量・大きさを切り出すことから始めましょう」
二人は難なくこなす。しかし、大本の魔力が少ないためすぐに疲労してしまう。ペルシカジュースを飲みながら、座学を続け記録を残してゆく。ただし、この記録をエンタープライズに持ち帰ることはしない。
講義は進み、実技でも真球を作る。レプリケータで作るものには及ばないが、一般的な『加工』『工作』では作り出せない精度だ。そして、より複雑な形状を作ってゆく。
……お父様に勝るとも劣らない。
あるいは、地球の人はより正確なイメージを簡単に持つことができるのでしょうか?
礼子はその理解力や再現に驚く。彼女が知る
もっとも、それは買いかぶりだった。
仁は大学こそ出ていないが、日本で中等教育を受けており、知識や思考を言語化することも徹底して訓練している。その水準がこの星の人々とは隔絶しているのだ。また、図面も見慣れており、物体の形状を正確に把握し、あるいは三角法の図面として表現することもできる。それらもまた、仁の工学魔法を支えていた。
同様に、ラ=フォージ・バークレーも艦隊のアカデミーで数学や物理学、工学など広範な知識を学んでいる。
礼子はそういった知識も仁から与えられていた。しかし、学びの経験を持たないが故に、思いが至らない部分でもあった。