新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター 作:転々々
休暇、という名目の自由時間、今日も三人は礼子から魔法のレクチャーを受けている。とは言え、内包する魔力量が少なすぎて、大規模な魔法は使えない。それでも、ラ=フォージは簡単な攻撃魔法を使えるようになった。
「ハッハー、こいつはいい! Qになった気分だ」
ロウソクほどの火に、ラ=フォージは大はしゃぎだ。
「バークレーさんは、工学魔法はともかく、攻撃魔法の適性が乏しいですね」
礼子の無情な言葉に、バークレーは落胆を隠せない。
「そんなに落胆しないでください。私には魔法自体使えませんから」
「多分、ものを壊すよりも、創る方に適性があるのですよ。お父様もそうでした」
データと礼子が慰めるが、バークレーはどうにも納得が行かない。魔法を題材にしたホロ・プログラムでも作りそうだ。
とは言え、その工学魔法の精度はこの世界の人類とは隔絶している。物体の形状を作る速さは、仁に匹敵する。
「すごいな、原子間の結合力を一時的に弱くしているんだな?
自分でやっているのに、どうやっているのか解らないってのは、変な気分だ。」
ラ=フォージは、バイザーのスペクトルを調整しながら、金属塊に手を触れることなく、粘土のように成形している。
「魔法には、精神が必要なのでしょうか? 礼子さんはどのように魔法を使っているのですか?」
「厳密に言うと、私は魔法を使っていると言うより、魔道具を真似ているのです」
「なるほど。魔道具のエミュレーションですか。礼子さんの
では、私の
「おいおい、データ。そいつは危険すぎる。データがデータじゃなくなってしまうかも知れないだろ?」
「ジョーディ、これはあくまで思考実験だ。可能性を考えているだけで、実際に試みるには検証すべきことが極めて多い」
「頼むぞデータ。俺たちがこの宇宙に残ることになっても、無茶だけはしないでくれよ」
「無論だ。リスクが非常に大きい。
魔法は、
とても残念ですが……」
「本当に、頼むぞ」
「データさんは、面白い方ですね」
「私はユーモア・サブルーチンを作動させていませんが」
データが首をかしげて応えると、礼子は「計算外の答えを出す、という意味です」と応じた。
「すばらしい。
礼子さんは、『面白い』という概念を感じ、『笑う』ことも出来ます。うらやましい限りです」
「今まで、貴方のような方と会ったことがありませんから。お父様が生きていたら、貴方とも友達になれたと思います」
「私の『父』であるスン博士も、礼子さんに会えたなら喜ぶでしょう」
「少し、気難しいがな」
ラ=フォージはオブラートに包んだ表現で頷いた。実際は、偏屈で人間嫌いな技術者という印象を持っていたが。
恒星日誌、宇宙歴XXXX.X
ついに送還座標を特定できた。
現在、ロークンがマーカー設置用の先導機を調整している。非常に繊細な作業らしい。
平行して、ラ=フォージとバークレーが送還後にエンタープライズから魔素を取り除く魔道具を製作している。シールドされているとは言え、微量の魔素が船体に浸透しているためだ。
転送で対応できない部分を、魔力を強制的に消費させることで、中性子に変えるの。そして役目を終えたら、これも転送で無意味な玩具に変えることになる。
この星の居心地が良かったのだろうか。少し残念な、あるいは郷愁に似た感情を覚えている。