新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター 作:転々々
恒星日誌、宇宙歴XXXX.X
我々は時空の歪みに飲み込まれ、未知の領域にとばされた。幸い艦には異常は無く、航行に支障は無い。
未知の領域には危険もあるだろう。しかしそれ以上に新たな発見があるに違いない。
我々はこの宙域の探査を開始した。
「4光年先に恒星系を発見。惑星の存在を確認」
「データ、進路をそちらに向けろ」
データはその指示を予測していたのか、すでに航路設定は終えていた。
程なく恒星系に到着する。Mクラスの惑星も確認された。夜の面に人工的な光がまばらに見えるということは、何らかの文明を持った生命が存在するに違いない。
「奇妙ですね」
「どうした? データ」
「長距離センサーによると、文明の発展度は近世程度です。地球で言うところの、産業革命には達していないようです」
「それで?」
「しかし、軌道上には人工物が周回しています。
そして、月――衛星の軌道も不自然です」
「かつて宇宙に進出した文明が衰退してしまったか、あるいは彼等以外の知的生命が、観察をしているのだろうか?
我々と同じように」
「現時点では不明です。情報が不足しています」
「衛星軌道に向かえ」
「了解。進路を衛星軌道に設定」
「推力1/4、発進」
「衛星軌道です。惑星は直径の割に質量が大きいですね。地上は1Gに近いでしょう」
「コアが重金属なのだろうか」
「可能性があります」
「惑星の前に、まずは人工物を調べることにしよう。フルスキャン」
「待って下さい。地上から何か来ます」
「なんだ?」
「不明です。動力も不明。既知のものに該当しません。
ただし、何らかの方法で重力に干渉しているものと思われます」
「呼びかけてみてくれ。我々が無断で踏み込んだのかも知れない」
ライカーが指示を出した。
「応答ありません。依然、接近中」
「シールド待機。呼びかけ続けてくれ」
今度はピカードが指示を出すが、言い終わる前に、それはブリッジのすぐ外に辿り着く。ブリッジクルーの視線が集まり……、全員が目を見開いた。
数瞬の沈黙。ウォーフは無意識に戦術コンソールを確認している。
外にいたのは、古風なエプロンドレスを着た黒髪の少女だった。
まさかQのような存在だろうか? ピカードが立ち上がると、ライカー、カウンセラーのトロイも続いた。
少女はブリッジの窓を軽く叩くが、その程度では音は伝わらない。さらに耳を押し当てる。
「彼女を転送、……いや、後部ハッチを開けよう。予告無しの転送は失礼にあたるかも知れない」
デッキ後部の非常ハッチが開かれ、空気が漏れる。急激な減圧で結晶となった水が、太陽の光を反射する。
窓の向こうの少女は、鋭い感覚によってそれを察知すると、やはり未知の方法でデッキ後方に回り込み、非常ハッチからエアロックに滑り込んだ。そして、自分で非常ハッチを閉じると、与圧されるのを待っている。
「興味深い」
データが声を発する。ピカードが視線を向けると続ける。
「彼女は真空中で行動が可能です。しかし、ハッチの開閉とともに空気の流れを感じ取りました。そして、艦内が与圧されていることと、エアロックの目的を理解し、適切な行動を採っています」
「つまり『話せばわかる』相手だ」
そう言うと、ライカーは「レディをお迎えにいくぞ」とウォーフを伴ってエアロックへ向かった。
程なくブリッジにゲストがやってきた。
「初めまして。私はジャン・リュック・ピカード。この艦の艦長だ。
エンタープライズへようこそ!」
「私は礼子・二堂。ここはお父様の聖なる墓所です。軌道から離れていただけませんか?」
少女の口調は静かだが、同時に何か威厳のようなものを感じさせられた。