新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター   作:転々々

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「提案?」

 

 仁は小首を傾げた。その動きは、記録から再構築されたとは思えないほど自然だった。

 

「提案と言うより、確認なのですが。

 魔導頭脳を造れないのは、あなたが造ったものを超えるようなものの製作を制限しているのですか?」

 

「制限というほどでははないが……、人類の手に余る技術は、必ずしも人類を幸せにはしない。その最たるものが戦争だと思う。

 俺の子ども達には、それに関わって欲しくないんだ」

 

「そのとおりです。

 あなたは、この星の人類に進歩を望んでいる。

 では、こちらの礼子さんや老君にはどう在ってほしいですか?」

 

「どう?」

 

「このままで居て欲しいのか、それとも、お二人の成長を望んでいますか?」

 

「もちろん、俺の子ども達には、成長して欲しいと考えている」

 

「私を製作したスン博士も、私にそう望み、私は多くのサブルーチンを自分自身で追加しています。私は自身のプログラムを組み換えて進歩しています。

 あなたの子ども達も、立派にあなたの意思を継いでいますが、立ち止まったままではありませんか?」

 

 仁は傍らにいる礼子を一瞥し、改めてデータに視線を戻した。

 

「仁さん。あなたは礼子さんに『制限』を課しました。それは彼女が、あなたを超えて進歩することを望まなかったからですか?」

 

「いや。親が子に望むのは、いつだって『幸せになること』だ。制限は、彼女を守るための盾に過ぎない。

 もし彼女が、自分の意志でその盾を置いて、新しい世界へ踏み出したいと願うなら……、俺はそれを誇りに思う」

 

御主人様(マイロード)なら、そうおっしゃると思っていました」

 

 老子が微笑を浮かべた。

 

 老君自身も、仁であればこう考えるであろうと予測はしていたが、そこに自身の思考による偏りを危惧していた。

 しかし、エンタープライズのコンピュータが、事実のみを積み上げた情報に基づいて織り上げた人格が、自身と同様の判断をしたことに安堵し、喜びを覚えた。

 そして、老子が浮かべた微笑が、自身の制御によるものなのか判然としないことにもまた、喜びに似たものを憶えていた。

 

 

 

「さて、俺の存在はコンピュータのリソースをかなり食っているようだから、そろそろ引っ込むことにするよ。

 データ、会えて良かったよ。それに人類の未来を知ることが出来て。そして礼子、老君、俺は子ども達により良く在ることを願っている。

 名残惜しいが、さよならだ」

 

 

 

 その後、保存された『仁プログラム』は、マギ・クリスタルとしてレプリケートされた。

 連邦のプロトコルと魔導式(マギフォーミュラ)が異なるため、今すぐ知識転写(トランスインフォ)で再現とは行かないが、いずれ変換され、彼らの思い出、あるいは記念碑となるだろう。

 

 

 

「おいおい、データ。どうして俺たちも紹介してくれなかったんだよ」

 

「済まないジョーディ。初めは礼子さんに感謝としてだったが、予想外にリソースを消費したことと、本人自身がプログラムを終了させてしまったんだ」

 

「再開することは?」

 

「プログラムが巨大だったので、マギ・クリスタルとしてレプリケートはしたが、メモリはキャッシュも含めて消去してしまった」

 

「復旧は?」

 

「無理でしょう。

 もともとフラクタル暗号で保護していた上、それを乱数で2度上書きしている。ボーグ・テクノロジーでも復旧は不可能だ」

 

「マギ・レプリケータと同じで、エンタープライズには在っちゃいけないことは判っているけど……、残念だ」

 

「済まない、ジョーディ」

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