新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター 作:転々々
「無断で踏み込んだことを謝罪する」
ピカードの命にデータが応じ、艦は動き始める。
ラグランジュ点を更に離れ、公転軌道を惑星に付き従う位置で航行を始めた。
「聞きいれて下さり、ありがとうございます。ところで、この宇宙船は、あなた方はどこから来たのですか?」
「この船はUSSエンタープライズ。惑星連邦所属の……」
ピカードは通り一遍の説明をしながら、この少女の正体に想いを巡らせる。生身――に見える姿――で真空中を飛行できる一方、『宇宙船』という概念を理解している。
「……というわけで、新たな生命や文明と出会うために、私たちは宇宙を旅している」
「この星の外には、多くの世界があるのですね」
礼子の問いにピカードは舌を巻く。この星の文明水準に似つかわしくない知性と理解力だ。あるいはQのような超越者だろうか?
「これまでいろいろな種族と出会ったが、あなたのような存在は見たことが無い。あの惑星に住む人たちは皆、あなたのように宇宙に出られるのですか?」
「私はオートマタ。母アドリアナ・バルボラ・ツェツィ、父ジン・ニドーによって造られました。この身体と礼子という名前は、お父様からいただきました」
「オートマタ?」
聞き慣れない言葉に数瞬戸惑い、ピカードはデータに一瞥を送る。
「オートマタ、……オートマトン、自動人形。
レーコさん。あなたは造られた存在なのですか?」
「その通りです」
「……素晴らしい」
「私のお母様とお父様は、世界一の
データの感嘆に礼子は誇らしげな微笑を浮かべる。
「是非とも、ご両親にお目にかかりたいものです」
「それは出来ません。母は千年以上前に、父も百三十年前に亡くなりました」
「それは……、残念です」
「どうだろうか? レーコさんには艦内を見学してもらっては?
データ、エスコートしてもらえるかな?」
二人の会話を遮るようにピカードが提案した。
「はい、艦長。
ではまず、機関室から。あちらには私の友人であるジョーディもいます。彼もあなたに会えれば、きっと、喜ぶでしょう」
「レーコさんもよろしいかな?」
「はい」
この間も、礼子と老君は密にやり取りをしている。老君からは、情報を集める指示を受けていた。
礼子を伴ってブリッジを出るデータを見送ると、ピカードはもの言いたげなカウンセラーに目をやる。
「どう思う?」
「彼女からは……、感情が感じられました。
誇らしさ、どうしようも無い寂しさ、そして何より、父への思慕。
造られた存在でありながら、彼女には『心』があります」
ピカードは、機関室にゲストが向かうことを連絡した。
恒星日誌、宇宙歴XXXX.X
我々はとある星系でレーコと名乗る驚くべき存在と出会った。
見かけは少女のようだが、宇宙空間を自在に飛ぶ能力と知性、そして、造られた存在でありながら『心』を持っている。
加えて『
ワープ以前でありながら、これほどの技術を持つ種族は初めてだ。
宇宙は驚きに満ちている。