新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター 作:転々々
恒星日誌、宇宙歴XXXX.X
ラ=フォージからの報告によると、この惑星では『魔法』が使われているらしい。
産業革命以前に見えた文明も、科学ではなく『魔法』という力を用いた技術体系がそう見せていたようだ。事実、レーコ嬢は地上から衛星軌道上まで飛行し、言葉を交わし、我々が科学技術によって宇宙を旅していることを理解した。
一方で我々は『魔法』について、理解の糸口すら掴めていない。
会議室にはブリッジ士官に加え、機関部長のラ=フォージ、主賓である礼子が揃った。
「今日はもう驚き疲れましたよ」
口火を切ったのはラ=フォージだ。陽気さを通り越して、半ば開き直ったように笑う。
「俺たちが知っている範囲でレーコちゃんに勝てるとしたら、Qぐらいのもんですよ。その気になれば、エンタープライズだってスクラップだ」
「そんなことはしません。
こんな貴重な船を」
「とにかく判ったことは、彼女のお父さんがスゴいってこと。スゴ過ぎて、どれぐらいスゴいか見当も付かない」
ラ=フォージの賛辞に礼子も笑顔を浮かべる。それに誘われたか、会議室には笑顔が満ちる。ピカードも、ラ=フォージを充てた結果に満足気だ。
ピカードは居住まいを正した。同時に会議室から笑い声も消える。
「さて、偶然に出会った私たちだが、私たちには、他の文明に干渉し、あるいは自然な発展を妨げてはならないという規約がある。通常はワープ技術を得るに至った段階が、一つの基準になっている。
見たところ、惑星全体の発展度はその基準には達していないようだ」
「それについてお話しする前に、私たちの事情をお話しした方が良いでしょう。もう一人、いえ、一体を参加させたいと思いますが、よろしいでしょうか?」
「それは構わないが、もう一人もここまで飛んでくるのかな?」
「いえ、ここまで転移します」
「それは、俺たちが使っている転送みたいなものかい?」
「似ていますが原理は違います。
あなた方の技術は転送対象に働きかけるようですが、私たちの技術は空間に働きかけます」
「そんなことまで出来るのか? 今日一日で、アカデミー何年分も驚かされたよ」
「艦長、これだけの理解力があり、技術を使いこなしているなら、我々と接点を持ったとしても、問題は無いように思いますが」
「そうだな。
よろしい、もう一人も呼んでもらおうか」
ライカーの言を請けてピカードが応えると、礼子は老君に連絡を送った。
「済みません。この部屋ではなく船外に転送しますので、私のときと同じく、出入り口を開けていただけますか? 距離があって、転送位置に誤差が出るかも知れないのです」
「分かった」
そう言うと、ピカードに代わりライカーがブリッジに指示した。
程なく執事然とした男性――型オートマタ――が、下士官に案内されて会議室に現れる。
恭しく礼をすると「私は老子と申します。蓬莱島の魔導頭脳、あなた方の言葉ではコンピュータですね、その老君の分体です」と自己紹介をした。
「ローシ、ロークン、ホーライトー。
礼子さん、貴女のお父様の出身は、日本ではありませんか?」
データは礼子をじっと見つめた。