新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター   作:転々々

6 / 22
06

 礼子は嬉しそうな表情をデータに向けた。

 

「その通りです。

 お父様と老君以外ではデータさんだけです。『レーコ』ではなく『礼子』と呼んでくれたのは」

 

「どういうことだ? データ」

 

「ロウシ・ロウクン・ホウライトウ、これらはかつて地球にあった言葉です。本来は中国語ですが、老子さんの発音は同じ文字を使う日本のものでした。そこから、ジン・ニドー氏は、あるいは日本人だったのでは? という推測が成り立ちます。

 もしかして、お父様とあなたの名前は、仁義礼智信の仁と礼からではありませんか?」

 

 ピカードの問いにデータが応え、礼子に名前の由来を訊くと、礼子はこぼれ落ちんばかりの笑顔を浮かべる。それを一瞥した老子も微笑を浮かべた。

 

「あなた方は、御主人様(マイロード)と同郷なのですね?

 御主人様(マイロード)がおいででしたら、どれほど喜んだことでしょう」

 

 

 

 会議は情報のすり合わせから始まった。

 この惑星で魔法技術が突出しているのは蓬莱島であるが、実質的に人類社会から隔離されており、崑崙島が唯一の接点となっていること。あまりにも万能過ぎる魔法が、医学や工学を初めとする科学全般の進歩を遅らせていること。過去の災害で魔法を使える者が激減したため、その技術が千年以上後退してしまったこと。

 

「致命的なのは、魔法を使えるかどうかは本人の資質による部分が大きく、また個々の魔法使いがノウハウの共有を嫌うため、技術の伝承が難しいことです。

 現在は『化学』あるいは『科学』の萌芽として『錬金術』が広まりつつあり、それを御主人様(マイロード)の意思を継いだ私たちが、陰から後押ししています。

 私たちは、これらの記録を集め、人類が共有できるよう務めています。しかし御主人様(マイロード)は、性急すぎる進歩は必ずしも人類のためにはならないとお考えになり、私たちはそれに従って行動しています」

 

「いくつかの面で、我々と同じ考え方だ。

 我々には技術の進歩に倫理や哲学が追いつかず、自らを滅ぼしそうになった歴史がある。今、惑星連邦があるのは、いくつかの幸運が重なった結果に過ぎない。

 そのことが、我々が他の文明に接する際の自制を定めている」

 

 会議室が同じ表情になる。艦隊士官は、全員がこの誓約と理念を学び、自身を律している。

 

「とは言っても、艦の補給はどうします?

 俺が見たところ、この世界は元の世界と物理法則が異なっているようだし、それこそ質量保存の法則やエネルギー保存の法則、相対性理論だって成り立つかどうかも判らないんだ。

 今の話なら、レーコちゃんとローシさんに限っては、ある程度の交流は許容できるんじゃないかな?」

 

「そうですね。お父様がこちらに来られたのも魔法が関わっていますし、あなた方がこの惑星を離れるにせよ、元の宇宙に戻るにせよ、ある程度の情報交換は必要かと。

 せめて、魔法という現象のメカニズムの一端なりとも理解しないと、早晩、立ちゆかなくなるのでは?」

 

御主人様(マイロード)ならお節介と言われても、情報や物資の提供を行ったに違いありません。であれば、私たちもそれに従うのみです」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。