新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター 作:転々々
恒星日誌、宇宙歴XXXX.X
我々はレーコ嬢とローシ氏の厚意を得て、情報交換を行うこととなった。
この宇宙は我々が居た宇宙とは異なる物理法則が成り立つため、その情報を得なくてはならない。少なくとも、我々の知っている物理法則がどこまで通用するかを知る必要がある。
半ば、緊急避難的に交流を決めたが、これは艦隊の理念に反していないだろうか?
確かに彼らはこの宇宙の物理法則に通じ、我々と異なる技術体系による重力制御や空間制御すら可能としている。その意味では我々以上の技術水準にあると言えるが、同時に惑星全体からは隔絶した水準でもある。
彼らは故ジン・ニドー氏の意を受け、非常に自制的である。その哲学は艦隊の理念とも共通しており、その点では信用できる。
それは、ジン・ニドー氏が21世紀初頭の日本人だったことと無関係ではないだろう。
「今日はここまでにしとこう。今日一日で、アカデミーの集中講義を10年受けた気分だ」
「とても興味深い。
我々にとっての中性子が
「おいおいデータ、じゃぁ、俺たちはどうしてここで存在できてるんだ?」
「不明です。
しかし、魔法という作用が無ければ、魔力子が中性子と同様に振る舞うことから、我々が問題なく存在できる理由にいくつかの仮説を立てられます。
例えば、この宇宙では中性子の役割を別の粒子が担っている可能性が考えられます。
一つ実験を思いつきました。礼子さんも協力してください」
「何をすれば良いですか?」
「あなたは魔力や、物質に魔原子が含まれているかを感知できますね。今から魔力があるものを転送してみます。その魔力を調べて下さい」
「では、これを。
いつも持ち歩いている、記録用のマギ・クリスタルです。ここでは
「ありがとうございます」
データがコンソールを操作すると、台に置かれたマギ・クリスタルが光とともに消え、現れた。
「魔力を診て下さい」
「魔力が感じられません。これは、ただのクリスタルです」
「なるほど。
つまり、俺たちの技術は魔力子を知らないから、それが中性子に置き換わるわけだ。ってことは、レプリケータでは魔道具を作れないな」
「おそらくそうでしょう。
しかし、艦長があなたを直接招き入れる判断をしてくれて良かった。転送していたら、機能停止していたかも知れません」
「知らなかったとは言え、ラッキーだったよ」
ラ=フォージは一呼吸――と言うよりアクビを――する。
「データ、今度こそここまでにしとこう。魔法の再現は明日だ。
こいつは、報告書が大変だよ。どう書いても『夢でも見てたんじゃないか?』って言われそうだ」
「ジョーディ、草稿はこちらでもまとめておくよ。
私はもう少し礼子さんと実験を続けるから、先に休むといい」
「頼りにしてるよ、データ。レーコちゃんも今日はありがとう。それじゃ、先に失礼するよ。おやすみ」
礼子は今の顛末を老君に連絡した。
「転送によって、我々を含めた魔道具はすべて機能を失うのですね。彼等がそれをすることは無いと思いますが、転送ビームを攪乱し、あるいは防ぐ手立てを考えます。
転送は彼らのシールドで容易に防げるようですから、重力制御の応用で何とかなりそうです。
礼子さん、貴重な情報をありがとうございます」