先日完結したSelectorシリーズと仮面ライダー龍騎とのクロスオーバです。

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終わった後

 セレクターバトルが、すべてが終わった日、大切な友達と別れた日、るう子は高熱を出して寝込んでいた。

 長時間魂が体から離れていたためか、白窓の世界での出来事の疲れのためか、単に雪が降る日で冷えたためか原因は分からないがるう子は熱を出して倒れていた。

 その時に奇妙な夢を見た。

 るう子は壁一面にクレヨンで描かれた画用紙が貼り付けられていてその部屋の中に立っていた。

 その部屋の中心に男の子とその男の子よりいくらか小さい女の子がお絵かきをしていた。

 よくわからない状況なのだがこの二人を見ていると――とても暖かい、そんな印象だった。 

 

「ごめんなさい」

 

 少年がるう子へ頭を下げる。

 

「えっ?」

「俺たちが残してしまったものが、似たような子に力を……」

「それって…………繭のこと?」

 

 見知らぬ男の子に謝られるとは変わった夢だと思うが男の子の顔はとても真剣そのものということを感じていた。るう子はしゃがんでその男の子に目線を合わせて「いいよ」と顔を見て少し微笑んだ。

 ふっと、横を見るとちいさい女の子が男の子の袖を引っ張っていた。

 どうやら、心配していたようで微笑を女の子にも向ける。

 

「おねえちゃんも遊ぶ?」

「るうも混ざってもいいの?」

「いいよ」

「はい

 

 少年は画用紙を少女はクレヨンを渡す。

 るう子はそれを手にとって絵を描き始めた。

 

「おねえちゃんは何かを描くの」

「う~ん。友達の絵かな」

「へ~あたしにも友達いたよ」

 

 女の子がとても遠いところを見るように何もない天井を見上げる。

 るうこも友人の一衣も引っ越しで友達と別れ離れになっていたらしいが最近連絡をもらったという話を思い出した。

 

「会えないの? 電話も、メールも」

「……私達が遠くに行っちゃったから。あの二人喧嘩してないかな? 本当は優しいのに、分かり合っていたのに」

「るうの友達も…………でも、仲直り? でいいのかはわからないけど仲良しになれたと思う」

「でも、願いを込めて描けばきっとまた会えるかも」

「そうだね。きっといつか――」

 

 女の子が書きかけの絵をるう子に見せる。

 どこかの建物の前に自転車かバイクらしきものと女の子らしき人物とその友達らしき二人組が書かれていた。

 

「これが私が友だちとよくいた場所の絵」

「喫茶店? じゃあこれは私が描いた絵……」

 

 

「るうこ?」

 

 

 るう子が目を開けてまず目に飛び込んだのは親友の遊月の顔だった。そのとなりには心配そうにるう子を見ているもう一人の親友の一衣、遊月の弟の香月だった。

 

「ん……遊月!?」

「そう、花代さんじゃないよ。終わったんだよ全部」

 

 るう子は安堵から笑顔になり遊月に抱きつき、一衣もまた同様に抱き合う。

 それから遅れて祖母と兄が駆けつけて泣かれながら叱られた。

 

 ――これで全てが終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 ――彼らはそれぞれの願いをかけた。

 

 無の世界。

 壊れた世界。

 すでに終わってしまったような世界。

 もしかしたら始まってすらいないかもしれない世界。

 風も死に絶えたような空には二体の怪物が戦っていた。

 命すら存在しない様な地では二人の戦士が戦っていた。

 蝙蝠と龍の怪物がぶつかり合いながらも建物を巻き添えにしながら飛び続け。

 黒い騎士と龍の戦士はそれぞれ剣を構え鏡に映る虚像の様に向かい合い対峙する。

 

 ――たとえ、誰かを敵に回しても。

 

 二人の戦士が剣を交わし合う。

 剣から火花となって赤く輝く火の粉と細かい鉄粉が二人の仮面に振りかぶる。

 それでもなお二人は斬り結び合う、黒い騎士が渾身の力で叩きつけた剣を龍の戦士は受け止めながらも弾き飛ばされる。

 龍の戦士が投げ捨てた根本から折れた曲刀が天高く舞う。

 

 ――たとえ、何かを失っても。

 

 両者は同時にベルトから切り札を抜く。

 一方は剣に、一方は篭手に挿入する。

 龍の戦士の投げ捨てた曲刀が二人の間に落ちそれを合図に同時に飛び上がる。

 それを援護するかのように二体の怪物がそれぞれの主の元へ向かう。

 それぞれの怪物によって戦士と騎士はすべての力を振り絞る。

 龍の戦士は全てを焼き払う炎となり黒い騎士へ――

 黒い騎士は全てを薙ぎ払う風となり龍の戦士へ――

 

 ――たとえ、自分を傷つけても。

 

 莫大な力の塊となった二人が激突し、その衝撃で大気が震えて弾け、眩いばかりの閃光が辺りを照らす。

 二人はまた弾き飛ばされそれぞれ建物の壁を破壊しながらめり込み転げ落ちる。

 だが戦いはまだ終わらない。

 

 ――行き着き先にあるのは

 

 黒い騎士は体から吹き上がる煙と苦痛を堪えながらも剣を支えに立ち上がる

 黒い騎士はベルトから風の翼が描かれた切り札を剣に挿入する。

 騎士を中心も周りに疾風が吹き荒れ辺り一面が吹き飛びそこに立っていた。

 騎士の鎧に金のラインが走る新たな夜空色の装甲が装着される。

 

 ――ただ純粋な祈りだけ。

 

 龍の戦士は体から吹き上がる煙と苦痛を堪えながらも立ち上がる

 竜の戦士はベルトから炎の翼が描かれた切り札を篭手に挿入する。

 戦士を中心に周りに烈火が燃え立ち辺り一面を灰に還しそこに立っていた。

 戦士の鎧に金のラインが走る新たな強靭な装甲が装着される。

 

 ――そのためだけに戦い続け。

 

 二つの怪物はそれぞれの主のもとに向かい形を変え鉄馬へと姿を変える。

 それぞれ蝙蝠と龍の怪物だった鉄馬に跨がり二人は向かい合う。

 

 ――そして――

 

 

 

 

 

 

「こら! なに寝てるの!」

 

 

 TEA 花鶏に怒声が響く。

 どこにでもある普通の紅茶の喫茶店。

 一人の茶髪の青年が椅子に座って寝ていたのを叩き起こされる。

 椅子で寝たために妙な夢を見た青年が立ち上がって固まった体をほぐす。

 青年は数ヶ月前、家賃滞納で住んでいた場所を追い出されてしまい、宿をなくしてしまって会社にしばらく住まわせてもらっていた。そんな日々の中でふっと寄ったとこの喫茶店でおばちゃんと世間話をした時に店の手伝いをすることを条件に住まわせてもらっている。

 そのおばちゃんと初対面の気がしなく、おばちゃんの方も同様であったがかなりいい加減な性格なので本当に気のせいかもしれない。なにせ「前働いてくれた時と比べると手伝ってくれるね」「昔から抜けているのだから」「喧嘩をしなくなったね」「蓮くんの手際を見習いなさいよ」他にも多くのことを言ってくるのだ。不思議と青年もそうだった感じになるがよく考えるとそんなことがあるわけがなく、おばちゃんの雰因気に飲まれてしまったと青年はそう考えている。

 

「あれ?」

 

 青年が耳を澄ますと入口の方からかすかに声が聞こえていた。

 起こされるタイミングが悪ければ間抜け面を見せることになっていたであろう。

 

「このお店……」

「喫茶店? どうしたの?」

「いや、なんとなく気になって」

「せっかくだから寄ってく?」

 

 かすかに扉が動くと同時に青年は姿勢を整えた。

 

「いらっしゃ――」

 

 

 

 

 

 日が昇り街が電気の光が消えてからしばらく経った休日、繁華街が多くの人に満たされていた。

 その雑踏の中一人のどこか地味な感じの少女が歩いていた。

 そして、その少女が立ち止まったのは占い師の前だった。

 その顔はどこか深刻そうな顔をしていて、占い師は顔を一瞬見た後で目線を下にずらし「またか」と誰にも聞こえないほど小さい声で呟いた後で少女に顔を向ける。

 

「友人を裏切ってしまって酷いことをしてしまった」

「えっ? なんで僕の――」

 

 占い師は慣れた様子で驚く少女へと話を続けた。

 

「ここ最近、そんな顔の中高生の客が多いからな」

「ああ……そう」

 

 占い師はコインを弾くと石畳の上に敷かれている大きめのハンカチの上に三枚のコインが散らばる。

 それを睨むように占い師は見てから少女の顔を見直す。

 

「占いの結果はどうあれやるべきことはわかってるのじゃないのか?」

「…………」

「帰りはいつもと違う道にしてみるといい。俺の占いは当たる」

 

 結果を告げても少女の顔が少し浮かないことを占い師は感付き言葉を紡ぐ。

 

「だが、今の問題に決着をつけるのはアンタだ……まあ運命など自分でどうにかするものだ」

「ありがとうございます」

 

 ほんの少しだけ少女に勇気づいて人混みの中に消えていくのを占い師は見送った。

 そして、振り向くと別の少女が先ほどの少女と同じ顔をして立っていた。

 

「あの……いいですか」

「あんたの悩みは――――」

 

 

 

 

 

 

 るう子が写真を眺めていると店主らしき中年おばさんが首を傾げて厨房の奥から覗いていた。

 

「この写真がどうしたの」

「この写真はおばさんのものですか?」

 

 そうるう子が写真を指差すと、ますますおばさんの顔に疑問の色が浮いてくる。

 

「ん? 随分前に撮影した親戚の子の写真だよ」

「あったことがあるような」

 

 おばさんの少し顔をしかめてからるう子の顔を再び見つめる。

 

「それはないよ。もう十年以上前に……」

「え? ……すみませんでした。」

「不思議な力があったとか、まあ私も勘がいいから似たようなものかな。今話したもの私の勘が告げてからかな」

「は、はあ……」

 

 そういえば、セレクターバトルを引き起こした繭は不思議な力を持っていた。

 それと似たようなものによって夢で会ったのだろうか? じゃあ、少年が謝っていたことは繭にどっかにつながっていたのだろうか?

 と出された紅茶を飲みながら考えるが少年の謝った顔は真剣そのものだったし、もう終わってしまって確かめようもないことでしかなかったのできっと、セレクターバトルの件は関わっていても悪意はなかったのだろうと結論づけた。

 

 

 

 

 逆立ち気味の短い黒髪の青年がバイクを降りる。

 青年はなんとなく居心地がいいとか、無性に懐かしい気がする店になんども訪れている常連客であった。

 いつもと違うのは店の前でツインテールの少女が店の前に佇んでいたことである。

 どこか儚げの少女を見ると何か昔に見た誰かと似ている気がしたのでほっとけずに声をかける。

 

「どうした? この店にようがあるのか」

 

 青年は不器用ながらも声をかけると少女は店の窓へと指を指す。

 青年は少女が見つめている方向を見ると店の中には三人の少女が目に入った。

 この三人の友人なのだろうかと目をツンテールの少女へと向き直す。

 

「おい――ん?」

 

 青年が目を一瞬離した隙に少女の影も形もまるで幻のようになくなっていた。

 少女がいた位置にかわりに画用紙が落ちていた。

 

「落書き?」

 

 黒髪の青年はその画用紙を拾って軽く砂と土を払いのけてから店の扉を開ける。

 

「いらっしゃい――なんだ、蓮か」

「それはこっちの台詞だ。城戸、寝ぐせが付いているぞ。手伝いぐらいちゃんとしろ」

 

 黒髪の青年は画用紙を持ちながら三人組の少女へと向いて足を進める。

 そこに茶髪の青年が心配そうな顔で割って入る。

 

「なんだよ。この娘達がどうしたんだよ」

「城戸、お前には関係ない。おい、これ何かしらないか? お前らの知り合いのものじゃないか?」

 

 黒髪の青年がぐいとるう子の前にへと画用紙を突きつける。

 茶髪の青年が「おいおい」といいながら黒髪の青年を見ていた。

 るう子は目を疑った、その画用紙の絵に見覚えがあった。

 

「るう子?」

「大丈夫?」

「きっといつかか――」

 

 窓の外には白と黒の二匹蝶が寄り添うように羽ばたいていた。

 




似ているなあと思った二作のクロスを書こうと思っていたのですが。
私自身がカードバトルが苦手や二作の戦闘スタイルが違いすぎるし、どちらかに合わせると雰囲気的におかしくなりそうや全くやらなければ空気にどちらかがなる。
とか言う問題を抱えたために大混乱。
長編版もいつかはやるかもしれませんが、今は単純なそれぞれの作品の後日談のクロスだけというSSでやらせていただきます。

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