鉄屑ヴィラン   作:鉄子の部屋

2 / 7
ヒーロー殺し

 

 

「チッ!あともうちょっとでオールマイトを殺せたのに!!」

 

 先ほどの落ち着きっぷりが嘘のように暴れる死柄木。それもそうだ脳無のおかげとはいえあそこまでオールマイトを消耗させたのだ。絶好のチャンスだったのは間違いない。

 

 荒れている死柄木を落ち着ける黒切りに案山子のように動かない鉄屑。

 

 そこに一人の男の声が流れる。

 

『弔、今日の失敗は必ず次の役に立つ。覚えておくといい』

「...分かったよ先生。次は絶対に殺す」

『いい心構えだ。次も頑張るといい』

 

 諌められた死柄木は、鉄屑の方へと視線を向ける。

 

「それで、お前は俺の仲間(コマ)になるってことでいいんだな?」

「...」

「...チッ、なにか喋れよ。...黒霧」

「はい」

 

 鉄屑は頷くが声は出さない。喋らない鉄屑にイラつきはするが強力な仲間(コマ)を手に入れた死柄木の機嫌は意外と良い。

 

 それこそ黒霧が入れてくれた酒の手がよく進むのが証拠だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『続いてのニュースです。本日、雄英高校は記者会見を開き雄英襲撃事件について正式に謝罪しました。会見には校長をはじめ教職員代表として相澤消太、ならびに複数のプロヒーローが出席してお───』

「...」

「鉄屑、テレビを消せ気が散る」

 

 ゲームをしている死柄木の声に反応した鉄屑はリモコンの電源ボタンを押し込みテレビを消す。

 

「何か飲みますか?」

「...」

「分かりました、少々お待ちを」

 

 黒霧が鉄屑に何か飲むかを聞けば鉄屑はジェスチャーで“飲む物は要らない食べ物をくれ”と黒霧に伝える。

 

 そして持って来てくれた酒のつまみを手で持ち上げパカリと開いた、人間でいう鎖骨と鎖骨の間── 胸骨上切痕へとつまみを落とした。

 

「やはり何度見ても不思議です。どうなっているのですか?」

「...」

 

 聞かれても依然として答えない鉄屑。しかし、喋らないだけで動きは人間臭い鉄屑。何度かトイレにも行っているため興味は尽きない。

 

「中に誰か人でも入ってんだろ」

「...」

 

 どうでもよさそうに死柄木が答える。それもそのはず死柄木が求めているのは強い仲間。そいつのバックボーンが何かなど今の死柄木にはどうでもよいのだ。

 

「それよりも黒霧、ステインはどうなった」

「申し訳ありません...探してはいるのですがいまだに見つけられておらず」

 

 今のヴィラン連合が求めているのは強い仲間(コマ)だ。それこそ鉄屑のように簡単にやられないような仲間を探している。

 

 その候補として上がったのが『ヒーロー殺し』の異名を持つステインだった。

 

 ステインはヒーローを殺す。金品を奪うことやただ馬鹿みたいに暴れたいのではない。ただヒーローだけを狙って殺しているのだ。

 

 ステインが何を思ってヒーローを殺しているのは分からないが死柄木にとって重要なのは仲間になるか敵になるかの二択のみ。

 

 気に入らなければその場で殺せばいい。その時は、ヴィラン連合が名を挙げれるようにするが。

 

「ステインがいるのは保須市だ。そこを重点的に探せ」

「分かりました」

 

 そういうと黒霧は個性を発動させどこかへワープした。

 

「...」

「...」

 

 そして気まずい空気がBARの中で流れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人の青年がとある方向へと歩いている。

 

 手にはスーパーの袋と同居人に与えられたお金が入った財布だ。

 

 虫の居心地が悪かったのかボスにケーキでも買ってこいと命令されたため青年はスーパーにてショートケーキやらチョコケーキやらを購入した。

 

 スーパーの店員やら市民に変な目で見られたが何も言ってこないということは特に問題はないだろう。少し体がアレなだけで。

 

 それにしても、行く準備を始めた時のボスの顔は面白いものだった。

 

 マジかという顔をしており本当に行くとは思っていなかったのだろう。お金をくれた同居人も顔は見えないが心配しているように見えた。

 

 青年は無意識に口端がわずかに上がる。

 

 少し前まで社会の掃き溜めにいたにも関わらず今では、仲間がいる。その事実だけでいくらでも頑張れそうだ。

 

 そこから少しして路地裏に入り端に隠していた鉄屑の山を個性で操作し身に纏っていく。

 

「...」

 

 そうすればそこに残るのは雄英を襲撃した一味の鉄屑がいた。

 

 鉄屑はスーパーの袋を器用に持ち隠れ家に入っていく。

 

 そこにいたのはいつも通りの二人...ではなく何故か疲労困憊で怪我をしている二人であった。

 

 そして機嫌の悪そうなボスがこちらを睨むように見て来る。

 

 普通に鉄屑は意味が分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこもかしこもヒーロー殺し一色、脳無は二の次かよ...!」

 

 死柄木が忌々しげに新聞を放り投げ机を殴りつける。

 

「俺たちはオマケ扱いかよ...!」

 

 世間はヒーロー殺しで良くも悪くも賑わっている。出した被害はヴィラン連合が圧倒的に上だというのに、誰も彼もがヒーロー殺しにうつつを抜かしている。

 

「...」

「あぁ...?俺はいまイラついてんだ。殺...ケーキ?」

 

 動くたびに僅かになる金属音にイラつき鉄屑を殺すと考えた死柄木だったが鉄屑の手のひらには苺のショートケーキが乗せられていた。

 

「...あぁ、俺が買ってこいって命令した...食べろって言いたいのか?」

「...」

「...おい、黒霧フォーク寄越せ」

「分かりました」

 

 鉄屑が買ってきた苺のショートケーキ。特にこれといった特別なものではなくスーパーで売られている市販の物だ。

 

「...甘えな」

「...」

「...」

 

 やはり甘い物は良いな。そう思った鉄屑であった。

 

 





 なんか無理矢理感あるけど許して。

死柄木「お前どうやって食べ...」
黒霧「...見た目が酷いですね」

鉄屑(頭を取り外しケーキを穴に落とす)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。