もし一乗寺治にパートナーがいたら(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

11 / 19
1999年8月2日その9

バケモン達が跋扈するフジテレビ内は、ビッグサイトに人間を全て拉致したためか、誰もいない。がらんどうな空間だけが広がっている。デジタルバリアでバケモン達の監視を掻い潜りながら奥へ奥へと進んでいく。途中で見つけた観光客向けの展望台までの地図を携帯で撮影し、それを頼りに歩き出す。僕が画面を見ながら歩き、後ろを高石、そして城戸の順番で進んで行った。展望台の中に入り、近くにあったテーブルに隠れて様子を伺うと、ヴァンデモンはいなかったが、ヴァンデモンの手下が数名ひとりの女の子を連れて中に入ってきたではないか。

 

あの子か?と無言で指さすとウィザーモンがうなずいた。彼女が八神の妹で8人目の選ばれし子供である八神ひかりなのだとしたら、高石と同じくらいだろうか。小さな女の子である。紋章とタグが発光して反応しているから、間違いないだろう。手下たちから見えないようにテーブル下に隠れながら、僕らはタイミングを見計らって様子を見ることにした。

 

窓ガラスが不意に音もなく全開になった。ヴァンデモンだ。乱暴に転がされた白い猫みたいなデジモンがごろごろと転がり、八神のところに転がる。

 

「やめて!テイルモンをいじめないで!」

 

テイルモンというらしいパートナーを庇うように前に立つ八神光。ヴァンデモンは勝気な女だとニヤニヤ笑っている。

 

「これ以上、みんなを傷つけないで!」

 

どうして名乗り出たのか尋ねるヴァンデモンに、あなたがみんなに酷いことをするからよとばかりに声を張り上げる。テイルモンは立ち上がると八神光の前に立つ。

 

「ひかりー!!」

 

「ヴァンデモン、観念しなさい!」

 

「大丈夫か!?」

 

展望台に八神達が一斉に入ってきた。グレイモン達が攻撃を仕掛けるが、マントをはためかせる程度の力で全て無効にしてしまったヴァンデモンが両手を広げて無数のコウモリを召喚した。

 

「うるさくなってきたな。もう少し静かなところに行くとしよう」

 

八神光とテイルモンをコウモリたちが拉致してしまう。展望台すべてのガラスが破られ、そこからヴァンデモンは上に向かって飛び立つ。屋上向かったようだ。太一たちがあわてて走り出す。

 

「僕らも行こう!」

 

「うん!」

 

「僕はジャザードモンと直接屋上にいくから、先にいっててくれ」

 

「わかった、気をつけるんだよ!」

 

「ああ」

 

城戸達と別れた僕はジャザモンがジャザードモンに進化するのを待ってから背中に乗り込む。

 

「待ってくれ、私も連れて行ってほしい」

 

ウィザーモンに呼びかけられた僕は手を引いた。わざと看板やビルの合間を抜けて遠回りに屋上を探す。メタルグレイモン達が一斉に攻撃をしかけるがヴァンデモンは意にも解さない。八神が持っていたデジヴァイスを妹に投げるがそれをピコデビモンが取り上げてしまう。ジャザードモンが一気に降下する。ウィザーモンから紋章とタグをあずかる。するとウィザーモンがさっそうとヴァンデモンの背後目掛けて強烈な雷撃を叩き込み、ジャザードモンがピコデビモンに攻撃をしかけてその隙に僕がデジヴァイスをとりあげる。テイルモンめがけてデジヴァイスと紋章の入ったタグを僕は投げつけた。今度こそキャッチする。ウィザーモンの不意をついた攻撃にヴァンデモンのうめきが聞こえるが、報復とばかりにヴァンデモンが無数のコウモリを召喚する。標的は八神光とテイルモンだ。

 

「テイルモン!」

 

ウィザーモンが叫ぶ。助けに入ろうとする。その瞬間、ジャザードモンのレーザー光線がヴァンデモンとウィザーモンのあいだにわってはいった。

 

「生きていたのか、守護デジモンめ。今度こそしとめてやる!」

 

激昂したヴァンデモンがコウモリの標的をこちらに変えようとした。僕はとっさにデジヴァイスのコマンドを入力する。デジヴァイスを中心に結界が展開され、急に姿を消してしまった僕にヴァンデモンは一瞬ひるむ。あたりを見渡しているあたり、ほんとうに僕がどこにいるのかわからないのだろう。ジャザードモンがコウモリ目掛けてレーザーを連写する。ウィザーモンはその隙を狙って雷をヴァンデモンに叩き込んだ。

 

「お前も生きていたのか、死に損ないが!まとめて倒してやる!!」

 

ヴァンデモンが真っ赤に血走った閃光をまとった鞭を召喚し、ジャザードモンとウィザーモンをとらえる。2体もなんとか脱出しようと超至近距離から必殺技を放つが、ヴァンデモンのコウモリたちに阻まれてしまう。反撃とばかりにコウモリたちが2体に襲い掛かろうとした。

 

「しねえ!!」

 

「ウィザーモン!!」

 

「ジャザードモン!」

 

「やめてえええ!!」

 

八神光が叫ぶ。その瞬間、彼女のデジヴァイスと紋章が反応した。

 

テイルモンが光に包まれたかと思うと女性型のデジモンに進化した。

 

「ヴァンデモン、我が友ウィザーモンを亡き者としようとした狼藉、タダでは済まさない。今すぐ今までの悪行を悔いて投降せよ」

 

「私はこの世界を、デジタルワールドを征服するために活動しているだけのこと!邪魔をするなら全員始末してくれる!」

 

エンジェウーモンを名乗った大天使は光のオーラを放つ。ウィザーモンたちの傷がみるみる癒えていき、力がみなぎってきたとメタルグレイモンたちが歓喜する。

 

「私に力を!」

 

エンジェウーモンの号令にメタルグレイモンたちが進化の光を全てエンジェウーモンに集めていく。その場にいた全員が幼年期に戻ってしまう。その光を一本に集約したエンジェウーモンは強烈な閃光をもってヴァンデモンの頭を射抜いたのだった。ヴァンデモンの断末魔が響き渡る。大爆発を起こし、ヴァンデモンは消えてしまったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。