もし一乗寺治にパートナーがいたら(初代デジモンアドベンチャー) 作:アズマケイ
たくさんのコードが繋がったパソコンに通知が来た。泉からだ。メタルシードラモンを倒したことでスパイラルマウンテンがひとつ倒壊し、世界に海が戻ってきたとのこと。ただ、ピッコロモンやチューモン、ホエーモンといった仲間たちが選ばれし子供達を守るために散っていき、その現実に心が折れた太刀川が戦線離脱、武ノ内が付き添いでおいかけていった。兄弟喧嘩を始めた高石と石田、仲介したら八つ当たりされる八神。石田はそのままどこかにいってしまって行方不明。そんな中、ピノッキモンに襲撃されて窮地に陥るがなんとか起点を利かせて逃げたところなのだという。8人揃っていないとダメなのに最終決戦にもかかわずなにやってんだと言いたくなるが、いきなり4体もの究極体に命を狙われるはめになり、選ばれし子供達もデジタルワールドを救う使命のあまりの過酷さに打ちひしがれているのかもしれない。メールの文面から泉の苦悩が伺える。
僕は励ましのメッセージを送りつつ、暗黒の毒を少しでも中和するために瞑想に入ってしまったゲンナイさんの代わりに予言の書の翻訳文を送った。なにか状況を打開するヒントになればいいのだが。ありがとうござとお礼のメールが途中から途切れて返信があった。なにかあったのかもしれない。僕は別のウインドウを開いて、選ばれし子供達の現在地を確認した。たしかに泉のいうとおりバラバラになってしまっているようだった。
すると別のサーバからメールが送られてきた。これも泉からだった。なんでもファイル島の仲間であるアンドロモンやケンタルモンたちとさいわい合流することができたらしい。このサーバはアンドロモンたち生き残りの守護デジモンが集まってできたレジスタンスの本拠地からメールを送っているらしい。デジタルバリアのデータを転送して本拠地の強化をしたそうで、こちらの方がネット環境が安定しているからこちらでこれからはメールをしてほしいとある。一応偽物からのメールじゃないかデジヴァイスのウイルスバスター機能でスキャンをかけてみるが大丈夫だった。
問題は山積だが、少しずつ事態は好転しつつあるようだ。
泉からまたメールが来た。レジスタンスの本拠地からスパイラルマウンテンにハッキングをしかけてなにかないか情報を集めているそうなのだが、膨大な数のデジ文字が見つかったらしい。今のデジ文字ならテントモンたちが読めるが、古代デジ文字だから読めないとのこと。英語だと教えてやったが、さすがに読めないらしい。僕はまた翻訳をすることになったのだった。
どこかで見たことがあるプログラムの構成だった。先代の選ばれし子供達の戦いの舞台となったセントラルマウンテンだ。どうやらセントラルマウンテンのプログラムを参考にダークマスターズはスパイラルマウンテンを作成したらしい。
「待てよ、ここのコードをセントラルマウンテンのプログラムで上書きしてしまえば、ファイル島は復活して、最後の戦いの舞台もセントラルマウンテンにできるんじゃないか?!」
僕は泉に提案してみた。これならばらばらになった選ばれし子供達をセントラルマウンテンに集めることができるはずだ。敵の拠点も1つに集約できる。また、ファイル島という避難場所も確保できる。問題はうまくいくかどうかだが、試してみる価値はあるはずだ。
するとメールがあった。試してみるとのこと。レジスタンスの本拠地をファイル島に移転させるプログラムの書き換えも同時に行うらしい。これなら避難所も確保できて選ばれし子供達は戦いに集中できるし、レジスタンスは後方支援に注力できるとのこと。
僕は予言の書にある古代デジ文字を今のデジ文字に直してプログラムを組み、泉にメールを送った。後は野となれ山となれだ。
僕は早速今のデジタルワールドのマップとデジヴァイスの位置情報を表示させる。レジスタンスは無事ファイル島に移転したようだ。デジヴァイスは8つともセントラルマウンテンの頂上に存在しているのがわかる。3つのスパイラルマウンテンをひとつに統合したから相当広大なエリアとなってしまったため、8つのデジヴァイスは離れたところにいる。だが3つの離れたスパイラルマウンテンの頂上にいちいち転移しなくてよくなったから、少しは戦いやすくなるはずだ。
泉からメールが来た。泉は八神兄妹と行動を共にしており、今から仲間たちを回収しながらダークマスターズとの戦いに挑むのだという。また相談に乗ってほしいと頼まれた僕は了解とだけ返したのだった。
一息ついていると飛行機の音がした。日本家屋から庭に続く縁側に出てみるとジャザリッヒモンがあわてた様子です戻ってきた。
「オサム、オサム、大変だ!」
「どうした、ジャザリッヒモン、ミスティモン。なにかあったのか?」
「結界に亀裂が見つかった!」
「亀裂!?暗黒勢力の仕業か!?」
「わからない、わからないが、このままだとゲンナイの隠れ家全体が崩壊してしまうぞ!」
僕たちはあわててゲンナイさんを呼びに行ったのだった。