もし一乗寺治にパートナーがいたら(初代デジモンアドベンチャー) 作:アズマケイ
デジヴァイスの反応から位置情報を確認していたところ、東西南北の隅の方から眩しい閃光が走った。白い光が溢れ出し、柱となって世界を照らし始めたのがわかる。その円柱の近くにはそれぞれ2つずつの紋章がうかびあがった。4つの円柱からは大きなデジモンのシルエットが浮かび上がっている?
「ゲンナイさん、これは?」
「これは......!!」
「?」
「四聖獣様の封印が解かれようとしておる!これは朗報じゃわい、このままダークマスターズとの戦いに力を貸してくれるようじゃ」
「それ、ほんとうですか!?泉達にしらせないと」
「そうじゃな」
僕は大急ぎで泉にメールを送る準備を始めた。
「四聖獣って先代の選ばれし子供達のパートナーだったそうですけど、具体的にはどんなデジモンなんですか?」
ゲンナイさん曰く、四聖獣四体ともに共通している特徴として、デジタルワールドで起きている出来事を全てを見透せるとされる四つの眼と、身体の周りに12個のデジコアを表出させている。神格化されているだけあって、その能力は神にも匹敵する。つまり、今の状況も目撃しているということだ。選ばれし子供達に力を貸してくれるということは、八神達のこれまでの冒険を認めてくれたことに他ならないだろう。
彼らの役割はデジタルワールドの東西南北を守護する事で、暗黒勢力の侵略を防ぎ、デジタルワールド全体のパワーバランスを保つ事。
よって有事の際に出向くのは部下であるセキュリティシステムの末端であるゲンナイさん達エージェント。今回のように彼らでも解決し切れない事態が起こると彼らが直々に赴くこともあるという。それがまさに今ということだ。
強さが究極体の中でも最上位クラスである四聖獣がダークマスターズに一方的に負けたとは考えづらい。おそらく進化を否定する概念の実体化先である負の感情から生まれたデジモンの出現で力を得ていたダークマスターズでさえも殺害までには至らず、封印が精一杯だったのではないだろうか。
それなら泉がスパイラルマウンテンをセントラルマウンテンにして封印の要石になっていたスパイラルマウンテンを無くしたことで封印がとけるのが早まったのだとしたら、それはまたとないチャンスだ。
ゲンナイさんが四聖獣たちのことを詳しく教えてくれた。
シェンウーモンは変幻自在な水技を駆使する、北方の守護者。四聖獣の中では最長老であり、温厚な性格。敵の周辺に濃い霧を発生させ、幻覚を見せて精神を破壊するといわれている。
バイフーモンは西方を守護する、鋼の属性を持つデジモン。四聖獣の中でも一番若く、パワーも最高峰。口から敵を金属化させる波動を放つ。
スーツェーモンは灼熱の火焔を操る、南方の守護者。気性が荒く、意味無く近づくものをすべて焼き尽くしてしまうといわれている。
チンロンモンは四大龍デジモンの1体にも数えられる、東方を守護するデジモン。強烈な電撃を操り、天空より激しい雷を落とす。
それぞれが対応する2つの紋章を司っており、その紋章の持ち主に直接力を授けてくれることになった。
泉に今聞いたことをわかりやすく説明してメールを送ると、すぐに返信が返ってきた。空から光が降ってきてデジヴァイスと紋章がこれまでにないほどかがやき、今まで完全体までしか進化できなかったアトラーカブテリモンがヘラクルカブテリモンに進化したのだという。泉のパートナーだけではない。八神妹のエンジェウーモンもオファニモンという究極体に進化することができるようになった。しかも連戦続きでボロボロだった仲間たちはチカラがみなぎってくると完全に回復してくれたらしい。これは心強い継続的な支援だ。
僕からのメールで戦っているのは8人だけではないことがわかったのか、泉の文面はとてもうれしそうだった。
あとは仲間たちと合流して残りのピエモンを倒すだけだと意気込んでいる泉に伝えるか一瞬でも迷ったが、僕は暗黒勢力の親玉について色々と説明を送ることにした。8人でいなければならない意味、どうしてダークマスターズが生まれたのか、デジモンにとって進化とは生きることであること。それをよく思わない概念という途方もないほどの悪意に満ちた最後の敵の存在。長文を何回かに分けて送ってみる。泉にどこまで理解してもらえるかはわからないが、選ばれし子供達がしなくてはならないことがわかるはずだ。
「四聖獣様が復活してくださったおかげで、親玉からダークマスターズへの力の供給は半減しておるはずじゃ。それに今はファイル島は復活しておるから、転生システムも蘇った。これならデジタマになれる個体も増える。次に未来を託す個体も増える。死んだら終わりの状況を意図してつくりだし、死んだデジモンたちの無念を吸収してどんどん強くなっていく親玉の大幅な弱体化につながっておるはずじゃ。これならばもしかしたら、概念と親玉を引き剥がすことができるかもしれん。よし、わしに代わってくれるか、治。光子郎に提案したいことがあるんじゃ」
「わかりました」
僕は鮮やかに輝く四本の円柱がとても心強く思えたのだった。