もし一乗寺治にパートナーがいたら(初代デジモンアドベンチャー) 作:アズマケイ
1999年12月31日その1
1999年8月2日に発生したヴァンデモンの襲撃はお台場霧事件と呼ばれるようになり、光が丘爆弾テロ事件や女性の連続急性貧血事件(死者が出たため事件化した)と関連性が疑われたものの、迷宮入りとなった。化け物を見たという証言はたくさん出てくるのだが証拠となるはずの写真や映像が電波障害で残せなかったり、不鮮明ながら残っていたはずのデータが突然無くなったりしたため、情報共有ができなかったのが原因だった。
お台場は壊滅状態となり復旧作業が進められる最中、電波障害に強い街づくりに都知事が国と一丸となって進めることになったため、お台場は一気にインターネット通信がどこでもつながる街づくりがはじまった。お台場の小学校では児童にパソコン教育の一環として電子端末が配布され、携帯電話のようにメールができるようになった。僕の父さんが勤めている会社もかかわっている大型事業だから、その試作品という名前の正規品を僕と賢はもらうことができた。これで泉達と連絡を取り合っている。
Dターミナルという電子端末のおかげでメールの容量を気にしないで送ることができる。インターネットは携帯電話を見ないといけないのが手間だが、ケーブルを繋ぐことでちょっとしたプログラムなら送ることが可能だ。
僕はあいかわらず学校とサッカークラブ、塾、時々語学の習い事の全く休みのない日常を過ごしているのだが、ちょっと変わったこともあった。僕が予定を予約するとあっさり許可がでるようになったのだ。今までは母さんの過干渉気味な心配性のせいで色々と説明しないといけなかったが、なにもいわなくなってきた。ふたりにはデジモンのことは話してないが、気づいているはずだ。特に父さんは僕が急に色々なプログラムの勉強を並行して始めたから怪しんでいるのは確かだと思う。それでも天才少年のルーティンは完璧にこなしているのだから、文句を言われる筋合いはないはずだから無視している。
とりあえず、光が丘爆弾テロ事件のことはもう気にしなくてよくなったから、僕はいらいらすることは減った。
賢と全部終わったら教える、という約束は父さんと母さんに無断外泊をしこたま怒られたあとにこっそり守ることができた。デジモンのこと、デジタルワールドのこと、選ばれし子供達のこと、そしていつか賢も選ばれし子供になるときがくることも。デジヴァイス肌身離さず持ち歩いている。
塾から帰ってくると22時を回っていたが、まだ賢は起きていた。なにか話したそうだったから話をふると食いついてきた。
「賢、おまえ、1月1日に予定あるか?」
「ないけど、いつもの初詣みんなでいかないの?」
「ゲンナイさんから招待状が届いたんだ。僕はお台場の友達のところにいくことにして、デジタルワールドに行く予定なんだ。よかったら賢もこないか」
「兄さんが前から母さん心配させてるのそれのことなの?」
「ああ、そうだ。新年の初詣くらい一緒にいきましょうよって母さんはいってるが、別に次の日でもいいんだよ。父さんはどっちも休みなんだから」
「それって僕も行っていいの?」
「友達は是非っていってくれてるから心配するな。賢と同じ小学2年生の子供もいるから心配いらないさ」
「そうなんだ?お台場霧事件を解決した人たちに会えるなんて、僕楽しみだな。デジモンってどんな子たちなんだろう」
賢のことは、まだ時期がきてないだけで光が丘テロ事件の時に選ばれている子供なのだとゲンナイさんから聞いていた僕は先に顔合わせをするのも悪くはないだろうと考えていたのだ。ゲンナイさんも泉たちにもすでに了承はもらっているからな。なにせ選ばれし子供というのはデジタルワールドや僕たちの世界の危機を救うために戦うことを選ばれた子供達ということでもあるのだ。賢にまだデジヴァイスは現れないが、そのうち現れるだろう。
僕は八神たちの冒険を又聞きして、それをサポートしたことを話したのだが、そのどちらも魅力的な話に聞こえたようで賢にとっては僕のデジヴァイスは憧れの象徴らしい。
「なら、僕も行くよ、兄さん。僕もデジタルワールドにいって、デジモンにあってみたい」
僕を真似てサッカーや柔道といった習い事を始めている賢も僕に似て才能の塊みたいなところがあるから、きっと優秀なパートナーデジモンが現れるだろうなと僕は考えていた。
「どうやっていくの?」
「パソコンに招待状が来て、それをクリックするとデジタルゲートが勝手に開いてゲンナイの隠れ家という日本家屋がある日本庭園に飛ばされるんだ。そこに僕のパートナーのジャザリッヒモンがいる」
「パソコンの中に入っちゃうの!?すごいね!さすがはデジタルワールド」
「デジヴァイスが個人認証兼ねてるから無くさないようにしないといけないな」
「そうだね!いいなあ、兄さんにはデジヴァイスもパートナーもいて。僕も早く会ってみたいや」
「その時には僕たちがサポートするから内緒にするなよ、賢」
「うん、わかってるよ」