グッバイヒーロー   作:落ちた星

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#2

司令部の扉をノックすると扉の向こうから声がかかったため扉をあける。

 

「なんのようでしょうか指揮官様。訓練は特に問題なかったはずですが」

 

扉の先には1人の男性が座っており、私に椅子に座るように指差した。

 

「いや、長話になるだろうから座りなさい」

「はぁ、もしかして次回の任務についてですか? それなら2人も呼んだほうがいいでしょうに」

 

私は少し愚痴をこぼしながらも椅子に座る。指揮官様は少し呆れた顔を見せながらも特に何も言わなかった。

 

「それで、話だが明け星の方から君たち“花園”部隊をアイドルデビューさせたいと言われてね」

「その話ですか、こっちにも届いてたんですね」

 

私はまたアイドルについてかと思っていた。

 

「それで、なんで私だけ呼んだんですか? あの子達も呼べばよかったのに」

「いや、君はどうせ断ると思っていたから呼んだだけだ」

「まあ、そうですけど。こんな愛想のない身体中傷だらけのやつがアイドルになっても売れないでしょ?」

「そうか? 刺さるやつには刺さると思うが」

 

私は指揮官の言葉にため息をつきながら自分の体を見直す。

身体中の至る所に傷跡が残り、アイドルとしても売れなさそうな貧相な体。イミテーションなのだから作り替えればいいのだろうが私の体の世代である第二世代はもう製造終了しているから治すことすらできない。

 

(そういえばもうこの体とも60年くらいか。もう第8くらいまで世代進んでるんだっけ?)

 

そう思っていると話を聞いていないのがバレたのか指揮官から苦言が飛んでくる。

私はそれを苦笑いで誤魔化すとため息がとんできた。

 

「一応上官なんだけどな」

「まあ、軍なんて形だけじゃないですか。そもそもとしてあの地球外生命体と命かけて戦おうとする奴らの集まりですからね」

「それここにいる奴ら全員敵に回す言葉だぞ」

「そうですよー。こんな上官に雑な対応しても裁かれないんですから。ほんと、甘いですよね」

「それは、そうだな。まあ、話を戻すがアイドルやらないか?」

 

指揮官からそんなことばがとんできたことで少し目を丸くしてしまった。

てっきりこの人のことだから私にそんなこと言わないと思ってたのに

 

「なんでですか? アイドルなんてさっき言ったように私には無理ですよ。無理なんですよ」

「まあ、断られてももう無理だけどな」

「えっ? なんでですか」

「花園部隊のうち2人から許可をもらえたら全員デビューさせろと上層部から届いてな。ほんとふざけてるよな?」

「えぇ、本当にふざけてます。えーっと、この場合花園部隊は除名になるんですかね?」

 

まさか、上層部がそんな馬鹿だったとは思わなかったが.いや、意外と馬鹿だったわ。

あの能天気な司令官のことだからでしょうね。

それともあの子の代わりを私にさせようとしてるのかね、

 

「おそらくそうだろうな。アイドルをやりながら軍に所属し続けるのは無理だろう」

「まあ、そうですよね。まあ、やれるだけやってさっさと帰ってきましょうかね」

「それはどうだろうな」

「なんですかその意味深な言葉。どうせ花園部隊がグループでデビューしても2人が売れてそのうち私の変わりが生まれますよ」

「その考え方も変わればいいがな」

「変わらないですよ。私の居場所は戦場だけですから」

「少しは自分の良さに気づけばいいがな。話は終わりだ、戻って命令が来るまでは休め」

「.はい」

 

そう言い残して立ち上がり部屋から出た。

 

──廊下──

 

部屋に戻る途中、今回の元凶と遭遇した。

 

「はぁ、私たちを求めてそこまで動ける人なんて初めて見ましたよ」

「そうですかね。欲しいものを得るには外堀から埋めるのは当然ですから」

 

私の目の前にはロイドさんがおり手にはあの紙があった。

 

「なんで私なんですか.あの2人を求めるのはわかりますが私は要らなかったでしょう?」

「いいえ、貴方は必要ですよ。2人だけでも美しいでしょう。ですが貴方という光があの2人を照らすことで完成する」

「そう、私は2人を照らす為に下手な演技をする役ってことね」

 

2人を明るい場所に照らすために下手な存在を紛れ込ませるためか。

それなら私を求めたのもわかる。ある意味私は2人に比べて目立つだろうから。

ヘイトタンク役と考えればいいだろう。アイドルってそういう役割の存在いると周りが楽そうだし。

 

「そうではないのですがね。逆にあなたが2人を照らしすぎて壊さないかの方が心配ですが」

「そんなこと無理よ。あの2人は可愛くて優しくて最高の子達だもの」

 

私は2人の元にさっさと帰るかと思いロイドさんの隣を通り過ぎる直前紙を渡されたのでそれをうけとり

 

「まあ、期待に添えないでしょうけどやれるだけはやるわ。あの2人が明るい場所にずっと要られるように」

「えぇ、貴方達全員が明るい場所にいられるようサポートしますから、共に頑張りましょうねサクラさん」

「名前も知られてるのね」

 

そう言い残して私は2人の元にかえった。

そして、この日が花園部隊隊長サクラとしての最後の日だった。

 




——サクラ——
花園部隊隊長。体には60年分の傷が残っている。
イミテーションとしては80年前になっており地球外生命体が活動を開始したあたりからである。
体は60年前までは変えていたが製造が終わった以降新しい世代の体に変えるのを嫌がっているため傷が残っている。
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