FAIRY TAIL 常識人な木竜   作:木龍

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第1話

 

 

降り注ぐ雨……

 

鳴り響く雷鳴……

 

倒れた友……

 

すがり付き叫ぶ友……

 

そして、体を輝かせ徐々に天へと登り行く……友の姿。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

ジリリリ!

 

とある寮の一室、ベッド近くに置かれた青い猫を模した目覚まし時計が指定の時刻になったことを伝えるために喧しい音を発する。

すると、モサッと膨らんだベッドから手が一本伸びてやや乱暴に目覚まし時計のスイッチを切る。そして、そのまま一人の青年がベッドから這い出した。

 

 

「夢か……ふぁ~。」

 

 

ボサボサの髪を鬱陶しそうに払い、大きく欠伸を一つするとベッドから立ち上がる。

そして、そこに小さな影が……

 

 

「よォ、お目覚めはいかがだいブラザー。」

 

 

喋りかけてきたのは一匹の虎猫。

大きめなサングラスをかけ、さらにモサモサファー付きの高そうな皮ジャンを羽織っている猫である。

 

 

「やぁ、お早うミーシャ、相変わらず派手な格好だね。」

 

「今日の気分はロックンロールだからな!最高にカッコいいだろォ?」

 

「そうだね。」

 

 

ビシッと決めポーズを決めるミーシャを軽く流しながら男は手早く服を着替えていく。

使い込まれたフード付きマントを羽織って、これまた使い込まれたブーツを履き紐を結ぶ、最後にボサボサの髪を後ろで結ぶと首筋に妖精のようなマークがみえる。

 

 

「さァ、きばってこうぜブラザー!なんたって久々のギルドだからな!」

 

「はいはい、でも、依頼取ったら準備して直ぐに起つよ。」

 

「おィ、少しぐらいゆっくりしてもいいじャんよォ。」

 

「依頼が無かったらね。」

 

 

あからさまに落ち込んだように俯くミーシャを軽く撫でると男は所属先のギルドへと歩き出した。

ミーシャはそれに遅れまいと魔法で羽を作り後を追うのだった。

 

 

 

フィオーレ王国マグノリアに本拠地を構える魔導士ギルド《フェアリーテイル》

フィオーレ最強と言われるギルドだ。

 

 

「おかしいな、この時間はもっと活気づいてるはずなんだけど……」

 

「これは活気づいてると言うよりパニックじャね?」

 

 

フェアリーテイルの入り口につき違和感を覚えた。

いつも騒ぎの耐えないギルドではあるが、それは大抵喧嘩だったり宴だったり、やっぱり喧嘩だったりするのだが、今日のは少し変わっており何やら慌てている様子だ。

 

 

「ここに居ても仕方ないし、中にはいって話を聞こうか。」

 

「了解だ、ブラザー。」

 

 

ゆったりとギルドに入るとやはり中は慌ただしく、男とミーシャが入ってきたことにも気がつかぬようだ。

男はそのまま奥に座る小さな老人の元まで近寄る。

 

「お元気そうで何よりですマスター。」

 

「おぉ!フォレスではないか、久し振りじゃのう一年くらいかの?」

 

「半年だぜじいさん、まさかもうボケがはじまった痛っ!?」

 

 

へらへらと笑うミーシャをフォレスと呼ばれた男が書類の束で軽く叩いき、その叩いた書類をマスターへと手渡した。

その書類はフォレスがこの一年で解決した依頼とそれの報告書であり。全てに丸印と依頼人のコメントが書かれていた。

 

 

「うむ、相変わらず問題を起こさずに依頼を達成しておるようじゃの。

ナツ達にも見習ってほしいもんじゃ。」

 

「じいさんや、そいつは無理ってもんだゼ。」

 

「……そう言えばそのナツが居ないような?」

 

 

いつもなら自分と同等の嗅覚で察知し、勝負しろと殴りかかってくる桜髪の少年の姿が見えず、さらに言えばその少年のライバル的な服を脱ぐ癖のある少年の姿も見えない。

ただ依頼に行っているならばそれでいいのだが、このギルドの慌てようから嫌な気がしてならない。

 

 

「ナツなら依頼に行ったぜ。」

 

 

ふと上から言葉が降って来たので見上げると金髪で目付きの悪い男が見下すように此方を見ていた。

 

 

「ラクサスか……」

 

「お前も面白いときに帰ってきたもんだな。」

 

「面白いとき?」

 

 

二階に居るラクサスと喋っているため徐々にギルドメンバーがフォレスに気づき始める。その中でも看板娘ポジションのミラジェーンが近づいてくるが、今はラクサスの面白いときと言うのが気がかりだ。

ラクサスは基本的に強者との戦闘以外で面白いなどと言うことはないのだから。

 

 

「ナツとハッピーそれと新入りの女が、無断でS級の依頼に行ったらしいぞ。」

 

「……なんだって!?」

 

 

S級の冒険はマスターに認められた者だけが受けることのできる危険な依頼だ。ナツは確かにS級に通じるだけの力を持っているが……S級には力だけではどうにもならないものが多い上、新入りまで連れているのでは……

 

 

「今朝グレイが連れ戻しに行ったのだけど……」

 

「今朝って……ミラ、もう正午過ぎたんだけど?」

 

 

恐らくだが……ミイラ盗りがミイラになったってところだろう。

 

 

「大変ですね。じゃ俺は仕事があるんで。」

 

「まぁ、待て。」

 

「嫌ですよマスター。」

 

「まだ何も言っとらんぞ!?」

 

「どうせ、その三人連れ戻せとか言うんでしょ?

ただでさえ言うことを聞かないナツとグレイですよ?連れ帰るのにどれだけ苦労すると思ってんですか?てかラクサスかエルザに行かせればいいじゃないですか、あの二人なら直ぐに連れ戻せるで「フォレス!」何だい?」

 

 

ぐちぐちと文句を言いながら適当に期間の長い依頼を漁っていると、肩を掴まれそのまま強制的に振り向かされる。

するとそこには目に少しばかり涙を溜めたミラの姿が……

 

 

「お願いフォレス……エルザはまだ依頼から帰ってきてないし、ラクサスは行くきは無いって……もしフォレスが行ってくれないなら私が!」

 

「馬鹿言ってんじゃないよ。今の君が行ってどうするんだい?それこそ足手まといが増えるだけさ。

 

……一応聞くけど、どの依頼に行ったんだい?」

 

「悪魔の島、ガルナ島じゃよ。元々お主用に取っておいた依頼なんじゃ。」

 

 

よりにもよって呪われた島……船使わないと行けない島か。

それを乗り物に弱い俺用に取っとくのも変な話だが、同じく乗り物に弱いナツは何故それを選んだ……

 

 

「はぁ、なら依頼として受けよう。報酬は本来の報酬に加え……ギルドで何か用意して下さい。」

 

「うむ、それで頼む。エルザも帰りしだいそちらに送ろう。」

 

 

それは助かる。主に俺の疲労軽減的な意味で。

 

 

「行くよミーシャ、早く船を見つけないといけないからね。」

 

「オーケーブラザー!」

 

 

ミーシャを連れてギルドを出ようとするが、視界の端に俯くミラの姿が見えてしまった。たぶんナツ達が心配なのだろう。

 

 

「ミーシャ、先に行って船を見つけといてくれないか?」

 

「あいよ!」

 

 

ミーシャは翼を生やし早々とギルドを出ていった。

それを見送りミラへと近づき頭をポンと叩く。

 

 

「俺のモットーは確実達成、依頼として受けたからには必ず達成するさ。

 

行ってくる。」

 

「……行ってらっしゃい!」

 

 

笑顔になったミラに見送られ俺はガルナ島へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うえっぷ……」

 

「台無しだぜブラザー……」

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