Code:14 Raven ―魔王の遺産を引き継ぎし死告鳥の終焉執行―   作:黒曜石の大鴉

1 / 4
プロローグ

 

 神鴉代 焔(かみあしろ ほむら)という人間の人生を一言で表すなら、「傍観者」だった。

 

 都内の中流家庭に生まれ、愛情深い両親と暮らす16歳の高校生。学校ではいじめられることもなければ、特別に慕われることもない。自己主張が薄く、他人との干渉を避けてきた彼にとって、現実(リアル)とは色彩を欠いた退屈な余白に過ぎなかった。

 

 だが、その内側には狂気的な執着が潜んでいた。ゲーム、ラノベ、戦術教本、兵器の構造図。あらゆる物語を貪り、高難易度ゲームで何百回(フロム)何千回と同じ作業を繰り返して最適解(ゲー根性)という「詰み」を導き出す。「不屈の再試行(リトライ)」。この異常な作業耐性こそが、彼の魂の形だった。

 

 その終焉は、あまりにあっけなかった。

 

 視界が不自然に歪み、鼓膜を濡らしたような不快な破砕音(クラッシュ・ノイズ)が叩いた。爆ぜたアスファルトの熱を背に感じながら、俺は、「ああ、これで作中の伏線も、物語の結末も、一生知ることはないんだな」と、そんな逃避染みた絶望に沈んでいた。特別な才能も、天から与えられた宿命もない。ただあらゆる物語の海を漂い、知識を貪り尽くすことだけがアイデンティティだった「凡人」の、それが呆気ない終焉だった。

 

 だが、死の瞬間ですら、俺の脳内では「客観視のバグ」が作動していた。

 

(……なるほど、これが三編構成のプロローグ、その『引き』か)

 

 激痛すら物語のパーツとして分析する歪な意識。閉じたはずの意識が、泥濘の底から跳ねるように再覚醒した。

 

「……目覚めなさい。14番目の、そして最後の迷い子よ」

 

 真っ白な虚無。そこに座す日本主神アマテラスは、神々しさよりも、剥き出しの「怒り」と、磨り減った「悲しみ」を瞳に宿していた。彼女が映し出したのは、最悪の変質を遂げたトータスの光景だった。

 

 本来、南雲ハジメたちクラスメイトと共に召喚されたはずの勇者・天之河光輝。だが、その中身は前世の記憶を保持したまま全能感に酔いしれた「最初の転生者」であった。彼は物語の最終局面、エヒトを討つ直前で豹変した。ハジメを背後から貫き、彼を止めるべくクラスメイトとして転生していた12人の先達転生者諸共、生徒25名と、担任の畑山愛子先生1名の、計26名全員を「神への供物」として惨殺。さらに光輝の狂気は、ハジメが守り抜こうとした最愛の者達にも牙を剥いた。

 

 神域の白亜の空間にある玉座で待ち受けていた吸血姫ユエ。慈愛をもって戦場を駆けたシア・ハウリア。想いを貫き通した白崎香織に、竜人族の末裔ティオ・クラルス。彼女たちですら、神と融合し、他の転生者複数の内から奪った転生特典の一つ禁忌の魔導『永劫破壊(エイヴィヒカイト)』をその身に宿した光輝の蹂躙の前には無力だった。ハジメの絶望を嘲笑うかのように、彼女達の魂もまた、神の権能を強化する「燃料」として消費され、トータスは死の静寂が支配する地獄と化したのだ。

 

 だが、光輝はそれでも飽き足らず自ら強奪した残りの転生特典の一つ、超音速の殺戮兵装『N-WGIX/V(ブラックグリント)』を、禁忌の魔導『永劫破壊(エイヴィヒカイト)』と強大な神力によって魂を「燃料」として消費した事で概念融合させ、無慈悲に量産。かつての世界の残滓である兵装が、神の魔導を帯びて空を埋め尽くす。彼はその神軍を引き連れ、境界を越えて地球へと侵攻。平和を享受していた現代社会を、自身の独善を称え、弱者を蹂躙するための凄惨な狩場へと変貌させた。

 

 しかし、絶望の澱の中に沈むアマテラスの視界には、まだ微かな、鋭利な転生者の生き残りの火種が残っている。

 

ノイント・ユークス:唯一クラスメイトとは別で転生した例外は神の使徒としての理を捨て、異世界の「英雄王」という規格外の魂を覚醒させた反逆の神姫。

 

中村恵里:死してなお舞い戻りエミリア・ルイジアナの異能を喰らい、死を統べることで光輝の軍勢に数で対抗しうる墓標の主。

 

八重樫葵:妹に逃がされ片割れと成りながらも双子の絆すら武器に変え、届く範囲の全てを死へと変える「絶界」を極めた剣聖。

 

 アマテラスは、自ら送り出した転生者たちが次々と光輝の糧となり、最愛の子供たちである人類が蹂躙される様に、神としての誇りすら磨り潰されていた。

 

「もう、貴方に与えられる強力な『特典』は残っていないの……。13人の先達に神力を使いすぎた。転生者は神にとっても『消耗品』としてしか送り出せない。そんな残酷な運命を強いる私を、許して……」

 

 苦渋に満ち、慈愛を湛えた女神の瞳。だが、俺は死ぬはずだった自分にチャンスをくれた女神に対し、激しい「負債への拒絶反応」を感じつつ、その葛藤を鼻で笑い、何処までも現実的で現状の最適解、そして凡人ゆえの外道な交渉を持ちかけた。

 

「特典がねぇなら、俺に才能は要らない。代わりに……俺の転生特典はあいつに殺された『南雲ハジメ』の魂を寄越せ。それを融合して、二千年前のオスカー・オルクスへ転生させろ。選ばれた奴らが捨てきれない正義だの正攻法だの、そんな高尚なものを捨てきれないからアホ一人に勝てないんだよ。俺はそんなもん全部捨ててやる。あいつの無念も、俺が生き残るための計算も、全部ひっくるめて『詰み』への盤面を組んでやるよ」 

 

 アマテラスはその言葉に、神としての倫理と、人類救済という天秤の間で激しく揺れ動いた。しかし、焔の瞳に宿る、神すら利用し尽くそうとする意志に、彼女は賭けることを決意した。

 

「……分かりました。その呪いにも等しい宿命を、貴方に託します。どうか、歪んだ因果を終わらせて」

 

 女神の承諾と共に、俺の魂はハジメの凄まじい「憎悪」を呑み込みながら、暗い激流へと身を投じた。

 

「……ハジメ、ユエやシアたちの無念もまとめて俺が引き受けてやる。お前の『絶望』と『錬成』を、俺の『知識』が神殺しの刃に変えてやるよ」

 

 光輝殺害計画を入念に思考しながら、転生する作用か意識が段々と薄れていった。

 

 前世の退屈な余白は、ここで終わる。 神殺しの凶鳥(黒い鳥)が、今、二千年前の原点で産声を上げた。





【挿絵表示】

偽翼の熾天使(セフィロト)
主人公の率いるイレギュラー陣営のシンボルマークにしてエンブレム

白き鴉の福音、断絶の設計図燃ゆる落日の背に、その紋章(エンブレム)は刻まれる。かつて「真レイブン」と呼ばれたその鳥は、自由の象徴であった。だが、神代の深淵においてその羽は、熾天使の如き三対六翼へと変貌を遂げる。それは天界の救済ではない。幾千の絶望を喰らい、幾万の死を糧に、(ことわり)を塗り潰すために生じた「異形の白」だ。鴉の細き首に絡みつくのは、引きちぎられた戒めの鎖。神が強いた運命、世界が定めた役割、そして「凡人」という呪い。その全てを翼で振り払い切り、地獄の底から舞い上がった証。背景に沈むは、鉄と火が支配する戦場の情景。砕かれた戦機の残骸(ブラックグリント)と、独善が蹂躙した文明の残滓。その廃墟を背負い、一人の「錬成師」は冷徹に盤面を俯瞰する。「負債(かり)を返そう、女神アマテラス。俺を縛る全てを、この手で精算する」白き鴉が羽ばたく時、空を覆うのは光ではない。それは、神さえも「詰み」へと追い込む、無慈悲な逆転の組み込まれた設計図。今、止まっていた時計の針が、憎悪という歯車と共に逆行を始める。

 次は、この白き鴉を旗印に、二千年前の「オスカー・オルクス」としての第一歩を歩み出そうか?

主人公のプロローグをACシリーズの序章風にしてみました

※私は文才は皆無なのでAI小説にする事にしました
※もし不愉快、自分には合わないと思われたらブラウザバックをオススメします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。