『プロセカ世界に転生したのに音痴だった俺が、壊れかけの少女たちを救うまで』   作:krowknown

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15 それぞれの来訪者

 午後の病室は、やけににぎやかだった。

 

「おーい、生きてるかい?」

 

 軽い声と一緒に、扉が開く。

 入ってきたのは、神代類と、その後ろからひょこっと顔を出す暁山瑞希。

 

「……その確認、毎回やるのか?」

 

 ここの病院に移って一か月、毎週のように顔を出す二人。そんな二人の優しさが胸にしみる。それと同時に、いつものやり取りにベッドの上で苦笑する。

 

「大事なことだからね」

 

 類はいつも通りの調子で言う。でも、視線はしっかりこっちを見ている。

 

「顔色は、まあまあかな」

「医者かよ」

「似たようなものさ」

 

 軽く肩をすくめる。瑞希はというと、何も言わずに近づいてきて——そのまま、じっと顔を覗き込んできた。

 

「……どうした」

「ちゃんといるか確認」

 

 真顔。少しだけ間を置いて。

 

「消えてない?」

「消えてないだろ!」

 

 そう返すと、瑞希は小さく息を吐いた。

 

「……ならいいけど」

 

 そのまま、ベッドの横に座る。距離が近い。瑞希の態度は少し軟化したが、まだツンが抜けていない。でも、前みたいな不安定さは少しだけ薄れていた。

 代わりにあるのは、静かな安心。

 

「無茶したんだからさ」

 

 瑞希がぽつりと言う。

 

「ちゃんと回復してよね」

「言われなくてもそのつもりだ」

「ほんとに?」

 

 じっと見る。

 

「……ほんとに」

 

 少しだけ笑って答えると、瑞希は「ならいい」と小さく呟いた。類は、そのやり取りを面白そうに眺めていた。

 

「いい関係だね」

「茶化すな」

「事実を言っただけさ」

 

 軽く流される。

 そんな時間が、少しだけ続く。笑って、話して。何気ないやり取り。でも、それがちゃんと"日常"に戻ってきている証拠だった。

 

 ——そこに。

 もう一度、ノックの音がする。

 

「入っていい?」

 

 聞き慣れた声。類が俺よりも先に「どうぞ」と返す。この光景も、一か月でよくあった。

 扉が開いて、入ってきたのは凪さんだった。凪さんもこの一か月、毎週、平日も予定が合えばお見舞いに来てくれていた。

 凪さんは今、忙しい身だ。あの症状での急な回復の副作用として、細胞が若返り、年齢にしては若く美人な凪さんは、今では二十代前半のような若々しさでいるのだ。その驚愕の事実に、病院の方から定期的な通院とともに、原因解明のために協力をしているらしい。

 凪さんの登場とともに、一瞬空気がこわばるが、主に瑞希の。でも、すぐに柔らぐ。

 

「おっ、いつも通り瑞希ちゃんと類君もいたのね。邪魔してない?」

「むしろ歓迎ですよ」

 

 類が笑顔で答える。瑞希は一瞬だけ目を細めて、会釈する。まるで、道端で出会う野良猫のようだ。

 凪はベッドの方に歩いてきて、軽く手を振った。

 

「調子はどう?」

「ぼちぼちです」

「そっか」

 

 それだけの会話。でも、その中にある距離は、前よりもずっと近い。凪はそれ以上は何も言わず、少しだけ部屋の空気に馴染んでいた。

 二人の時は、ここから杏の話やお兄さんたちのことに話が移るが、今日は類が気を利かせて話の中心になってくれた。最初にこの病室で鉢合わせした時よりも、空気は良くなった。

 初めて会ったとき、この俺の現状の原因は自分のせいだと凪さんが二人に頭を下げた時には、瑞希のテンションは氷点下にまで下がっていた。

 それが今では、この四人がいる部屋に安心を覚えている自分がいた。

 それぞれが、それぞれの距離で。同じ場所にいる。不思議な空間だった。

 

 少し離れた別の病室。そこには、さっきの部屋とは違う明るさがあった。

 

「咲希ー!」

 

 廊下から聞こえてきた元気な声と一緒に、病室の扉が開く。

 その瞬間。

 ベッドの上にいた天馬咲希の顔が、ぱっと花が咲くみたいに明るくなった。

 

「いっちゃん!」

 

 勢いよく身を乗り出す。点滴の管が少し揺れるくらいの勢いだった。

 

「来てくれたの!?」

「うん」

 

 制服姿の星乃一歌は、少しだけ肩で息をしながら笑った。ここまで来るのに、それなりに時間がかかる。電車を乗り継いで、さらに歩いて……

 それでも、いっちゃんはこうして一か月に一度は定期的に病院へ来ていた。

 

「ごめんね、ちょっと遅くなっちゃった」

「全然!」

 

 咲希は首が取れそうなぐらい、ぶんぶんと首を横に振る。その笑顔は、本当に嬉しそうだった。病室の空気が、一気に柔らかくなる。

 いっちゃんが椅子へ座ると、すぐに二人の会話が始まった。

 学校のこと。クラスのこと。最近あった小さな出来事。誰先生が変なことを言ったとか。休み時間に志歩が呆れていたとか。穂波がまたみんなの世話を焼いていたとか。

 そんな、何気ない日常。

 でも咲希は、ひとつひとつを宝物みたいに聞いていた。まるで、自分もその場所にいるみたいに、楽しそうに笑って、時々、悔しそうな顔もして、ずっといっちゃんの言葉を大事そうに受け取っていた。

 

「あとね」

 

 いっちゃんが、ふと思い出したみたいに口を開く。

 

「昨日、ホームルームで修学旅行の話してて——」

 

 そこまで言って、ぴたりといっちゃんのセリフは止まる。咲希の表情が、ほんの少しだけ揺れたから。笑顔は消えていない。でも、一瞬だけ、違和感を感じた。その小さな変化に、いっちゃんはすぐ気づいた。

 

「あ……」

 

 空気が少しだけ静かになる。いっちゃんは、しまったという顔をした。悪気なんて、一つもない。ただ、学校であったことを、いつもみたいに話そうとしただけだったのだが、今の咲希にとって「修学旅行」という言葉がどんな重さを持つのか、いっちゃんはちゃんと分かっていた。それなのにその単語を安易に言ってしまったことへの、自分への怒りと咲希への謝罪の念が一気に押し寄せてくる。

 

「ご、ごめん咲希」

 

 慌てたようにいっちゃんは言う。

 

「私……」

「ううん!」

 

 咲希はすぐに笑った。ほかの人が見れば、いつもの太陽のような笑顔。

 

「大丈夫!」

 

 明るい声。いつもの咲希の声。

 でも、いっちゃんは分かってしまう。

 無理をしてる。させてしまっている。

 咲希は昔からそうだ。自分が苦しくても、先に周りを安心させようとする。だからこそ、いっちゃんは余計に胸が痛くなった。

 

「……咲希」

「ほんとほんと!」

 

 咲希は笑いながら続ける。

 

「みんなが楽しみにしてるの知ってるし!」

「いっちゃん!!いっぱい思い出作ってきてね!」

 

 その笑顔は、ちゃんと"天馬咲希"だった。

 誰かを元気にする笑顔。

 でも、長く一緒にいたいっちゃんには分かる。その笑顔の奥に、寂しさが混ざっていることくらい。

 いっちゃんは、小さく唇を噛む。何か言わなきゃと思うのに、上手く言葉が出てこない。

 

「……また、写真いっぱい撮ってくるね」

 

 やっと出てきた言葉は、それだった。

 咲希は少しだけ目を丸くして。それから、柔らかく笑った。

 

「うん」

 

 その返事は、優しかった。

 だから余計に、いっちゃんの胸が苦しくなる。

 面会時間は、あっという間だった。帰る時間になり、いっちゃんが立ち上がる。

 

「また来るね」

「うん!」

 

 咲希は笑顔で手を振る。

 

「待ってる!」

 

 その姿に、いっちゃんも笑い返す。病室を出る瞬間、一度だけ振り返った。咲希は、まだ大きく手を振り、ちゃんと笑っていた。

 扉が静かに閉まる。

 病室に静寂が戻った。ついさっきまで温かかった空気が、ゆっくり薄れていく。

 咲希はしばらく、手を振っていた右手を左手でそっと握る。閉じた扉を見つめていた。

 それから。ふぅ、と小さく息を吐く。

 

「……修学旅行かぁ」

 

 ぽつりと漏れる。

 天井を見る。白い。変わらない景色。病院の時間だけが、静かに流れている。

 

「……いいなぁ」

 

 小さく笑おうとする。自分はちゃんと笑顔でいれたのか少し心配になる。少しだけ声が震えた。

 修学旅行。

 みんなで同じ景色を見て、同じご飯を食べて、夜遅くまで笑って、くだらないことで盛り上がって、そんな"普通"の思い出。その普通が天馬咲希にとって遠かった。

 本当なら、自分もそこにいたはずだった。

 その言葉は、誰にも届かないくらい小さかった。口にした瞬間、胸の奥が少しだけ痛くなる。体調は、まだ安定しない。外泊許可も出ない。先生も、お医者さんも優しい。病院の子どもたちもみんな優しくていい子だ。それに同い年ぐらいのお兄ちゃんのような優しい男の子も来てくれた。

 でも、優しくされるたびに少し寂しくなってしまう。"自分だけ違う場所にいる"って現実を強くしてしまう。

 それは、わがままなのかもしれない。

 でも、みんなと同じ時間を過ごしたかった。同じ思い出を作りたかった。

 ただ、それだけだった。

 

 瑞希たちが来た次の日の午後、レクリエーションの時間。プレイルームには、いつものように子どもたちの声が響いていた。

 

「はいはい、順番ねー!」

 

 元気な声で場を回しているのは咲希だ。その隣で、俺はカードを配りながら全体を見ていた。この時間は、自然と俺と咲希が中心になる。年長組、ってやつだ。子どもたちにとっては"頼れるお兄ちゃんお姉ちゃん"らしい。

 

 ——ただ。今日は、少しだけ違った。

 

「はい、次はそっち!」

 

 咲希の声は、いつも通り明るい。笑っているし、動きも軽い。

 だが、ほんのわずかに、ズレている。タイミングが、半拍だけ遅い。視線が、ほんの少しだけ泳ぐ。

 気づかない人は気づかないかもしれない。でも、見ていれば分かる。

 

 ——無理してるような感じ。

 

 その瞬間。ふっと、視界の奥で何かが重なる。咲希の頭の上に——大きな"ヒビ"が見えた。

 ガラスみたいに、細かく広がる亀裂。前にも見た。人が弱っているとき、壊れかけているときにだけ、見えるやつ。

 

「……」

 

 一瞬だけ、息が詰まる。顔には出さない。今は、まだ。レクは、そのまま続いた。笑い声もあったし、トラブルもなかった。

 

 "ちゃんと成功した"

 

 だけど、終わったあとに残る空気はどこか薄かった。

 

 後片付け。子どもたちが部屋を出ていって、静かになる。カードをまとめながら、タイミングを待った。咲希は、いつもより少しだけ動きが遅い。

 

「……なあ」

 

 声をかける。

 

「ん?」

 

 振り向く。いつもの笑顔。でも、やっぱり薄い。

 

「なんかあった?」

 

 できるだけ、自然に聞く。一瞬だけ、間。それから、すぐに。

 

「え?なにもないよ?」

 

 軽い声。即答だった。

 

「ほんとに?」

「ほんとほんと、ていうかさアナタのお友達昨日も来てたね!!本当に仲良しなんだね。今度紹介してよ!」

 

 少しだけ話題を変えるような咲希のセリフ。でも、本人は意識していない。本当に自分の今の状態を大丈夫だと思っているのだろう。

 

「もちろん」

 

 頷く。

 

「瑞希と類っていうんだよ。二人とも絶対咲希と仲良くなるよ」

「ほんと!それならうれしいなぁ」

 

 咲希は、少しだけ目を細める。

 

「いいよね、ああいうの」

 

 その言い方に、引っかかるものがある。

 

「そういう咲希も、来てたじゃん」

 

 あえて返す。

 

「友達」

 

 一瞬、ぽかんとして。それから、ぱっと表情が明るくなる。

 

「うん!」

 

 嬉しそうに頷く。

 

「いっちゃん」

 

 その名前を口にする時だけ、咲希の声は少し柔らかくなる。

 自然と。本当に大切なものを触るみたいに。

 

「親友なの」

 

 少し照れたように笑う。でも、その笑顔には迷いがなかった。

 

「いつもね、学校の話いっぱいしてくれるの」

 

 机の上に散らばったカードを片付けながら、ぽつりぽつりと続ける。

 

「今日こんなことあったよーとか、先生がまた変なこと言ってたとか」

「志歩ちゃんが呆れてたとか」

「穂波ちゃんがまた心配しすぎてたとか」

 

 話しているうちに、少しずつ表情が明るくなっていく。頭の中で、その景色を見ているのだろう。

 

「それ聞くの、すっごく好きなんだ」

 

 その言葉は、思っていたより静かだった。楽しみ、というより、大切に抱えている感じに近い。

 

「昨日もね、ここまで来てくれたの」

 

 窓の外を見る。夕方の光が、病室の白い壁を薄く染め始めていた。

 

「……遠いのに」

 

 少し笑う。

 

「毎月、ちゃんと来てくれるんだ」

 

 その声音には、感謝が滲んでいた。

 いや。もっと深い。"置いていかれてない"ことへの安心みたいなものが、そこにはあった。

 

「ほんと、いい子なんだよ」

 

 ぽつりと呟く。

 

「大好き」

 

 その言葉だけ、まっすぐだった。飾っていない。取り繕っていない。

 だからこそ。次の言葉が、やけに静かに落ちた。

 

「今度は、修学旅行があるんだって」

 

 その瞬間。咲希の手が止まる。カードを持っていた指先が、少しだけ力を失う。

 

「……そっか」

 

 小さく笑う。でも視線は、どこか遠かった。

 

「もう、そんな時期なんだな」

 

 病室の窓の外では、夕焼けがゆっくり色を深くしていた。学校なら、今頃みんなで騒いでるのだろう。どこの班になるとか。お菓子はいくらまでとか。夜更かしできるかなとか。そんな、くだらないことで笑い合っているのだろう。

 その景色が。咲希の中には、ちゃんと浮かんでいるのだ。

 

「いいよね」

 

 小さく呟く。

 

「みんなで行って。いっぱい写真撮って。夜遅くまで喋って」

 

 そこで少しだけ声が止まる。笑顔は崩れていない。しかし、その笑顔の奥で、"羨ましい"が静かに滲んでいた。

 

「……私も、行きたかったなぁ」

 

 ぽつりと零れる。本当に、無意識だったのだと思う。咲希自身、その言葉が人の前で自分の口から出たことに対して、一番驚いた顔をしていた。

 

「……あ」

 

 小さく目を見開く。それから、慌てたように顔を逸らした。

 

「ご、ごめんね!」

 

 反射みたいに笑う。

 

「なんか、泣くつもりじゃなかったのに!」

 

 明るく言おうとする。いつもの天馬咲希みたいに。声が少し震えていた。両手で慌てて涙を拭う。なのに、次から次へと涙が溢れてくる。ぽろぽろと止まらない。

 

「……やだなぁ」

 

 咲希が、小さく笑う。泣き顔のまま。

 

「ちゃんと元気にしてるのに。ちゃんと頑張ってるのに」

 

 喉が震える。それでも、笑おうとしている。

 

「なんで……私だけ」

 

 最後までは言えなかった。

 でも、分かる。置いていかれる感覚。外にある"普通"へ、自分だけ手が届かない苦しさ。みんなが前へ進んでいく。思い出を作っていく。自分だけ病院の時間に取り残されている。

 その感覚が。少しずつ、咲希の心を削っていたのだろう。

 

 ——ヒビが、広がる。

 

「……咲希」

 

 出来る限り優しく名前を呼ぶ。咲希がゆっくり顔を上げる。涙で滲んだ瞳。強がりきれなくなった顔。

 その姿を見た瞬間。胸の奥が、痛んだ。

 そっと、肩へ手を置く。

 

「俺たちで、作ろうぜ」

 

 静かに言う。

 咲希の瞳が、小さく揺れた。

 

「……え?」

 

「思い出」

 

 続ける。

 

「この病院にいるやつらさ」

 

 周囲を見渡す。プレイルーム。廊下。小児病棟。ここには、自分たちみたいに"行けなかった側"の子どもたちがたくさんいる。

 

「遠足も。修学旅行も。参加できなかったやつ、多いだろ」

 

 咲希が、静かにこちらを見る。この前も遠足に行けなかった小学生を咲希が頭をなでながら励ましていた。

 

「だったら」

 

 息を吸う。

 

「ここでやればいい」

 

 一拍置く。

 

「イベント」

 

 その言葉に、咲希の呼吸が止まった気がした。その目に、少しずつ光が戻ってくる。

 

「遠足でもいいし。文化祭みたいなのでもいい。みんなで計画して。みんなで準備して。みんなで楽しむ」

 

 言葉を重ねるたびに。咲希の表情が、少しずつ変わっていく。最初は驚き。そのあと、戸惑い。そして自分でも気づいていなかった"期待"。

 

「思い出ってさ」

 

 少しだけ笑う。

 

「場所じゃなくて、人で決まるだろ。俺たちは咲希の友達の代わりはできないかもしれないけど、咲希と一生忘れられない思い出を作ることはできるよ」

 

 その瞬間。咲希の目が、大きく揺れた。胸の奥で、何かが跳ねたような顔。

 きっと。諦めることで守っていたのだ。"行きたかった"を。"混ざりたかった"を。"みんなと同じ時間を生きたかった"を。期待したら苦しくなるから。最初から、「仕方ない」って閉じ込めていた。

 なのに今。目の前の人は、"ここでも作れる"と言った。病院の中でも。自分たちでも。ちゃんと青春をやれるのだと。

 

「……ここでも、作れる?」

 

 小さな声だった。不安と。期待と。信じたい気持ちが、全部混ざった声。

 

「作れる」

 

 即答する。

 

「むしろ、めちゃくちゃいいの作ろうぜ」

 

 少しだけ前のめりになる。

 

「どうせなら、修学旅行より楽しいやつ」

「なにそれ」

 

 咲希が、涙を拭きながら笑う。

 

「ハードル高すぎだよ」

「それくらいでいいんだよ」

 

 肩をすくめる。

 

「やるなら全力」

 

 その言葉に。咲希が、ふっと息を吐いた。それから。ゆっくり笑う。今度は。無理やりじゃない。ちゃんと、心からの笑顔だった。

 

「……やろっか」

 

 小さく言う。でも、その声には確かな熱があった。

 

「みんなで」

 

 頷く。

 ヒビは、まだ消えていない。置いていかれる怖さも。一人になる不安も。きっと、まだ胸の中にある。

 

 でも。そのヒビの隙間から。少しだけ、光が差し込んでいた。

 

 




いつも読んでいただきありがとうございます。
不定期更新ですが、最後までお付き合いいただけると幸いです。

ここまで読んでいただけるなんて光栄です。
お気に入り・評価ありがとうございます。
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