転生者メリットをほぼ生かすことができない世界とキャラに転生したので、主人公?をいじったりして人生エンジョイすることにした。

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500億年ぶりくらいに血界戦線のアニメを見返したのでつらつらと
  
アニメ1期「食悦」ニーカ姐さんのイメージのままに原作で動いていたら、みたいなコンセプトです
 



ボクっ娘 in 魔封街結社

 

 

 

 

 

 ハロー=ワールド。ドーモお元気ですか? ボクはここで今日もたぶん元気です。

 

 ボクって誰だよってツッコミはナシね。名前とか、記憶とかなんだかアヤフヤなものだから。

 

 元気ですといってもまあ、ぼちぼちというか、微妙なところではあるんだケドね。

 もとはといえば、何か変なテンション高い神様的な何かに、いわゆる漫画世界への転生しない? みたいなこと言われて、気が付けば某国紛争地帯。当時のボクの体格で出来るスキルを磨き、生き残るための嗅覚を磨き、色々やって命からがら。そのうち諸々の事情で変なオジサンに拾われて。まあ、事実上養父みたいなモノなんだケド、その人の元で助手やりながら、なんだかんだあって現在に至るという感じ。

 色々あったと言えば色々あったし、別に大したことないと言えば大したことない。

 転生直後の国に比べれば衣食住は良いし、同年代の友達とか写真仲間も出来たし、友達の会社に出資して共同経営したり、趣味に私生活にと色々と充実している。

 

 前世と違って平穏無事とは言い難い毎日だけど、これはこれで楽しさを見出そうと頑張るのが人間ってものサ。

 初恋の父親代わりの恩人の女性遍歴とかを知ってあっさり失恋しても、それでもまあ前を向いていかなきゃいけないんだから、人生楽しまなくっちゃ。

 

 ただまあだから何というか、予備知識があったからこそ。

 道行くお上りさんにしかみえない「主人公」、レオナルド・ウォッチの姿が目に入って仕方ない。

 原作通りに天パ気味の頭と細めた目で、周囲をきょろきょろと見まわし続ける姿は、なんともいえないヘタレな雰囲気を感じさせる。

 

 道行く()()()()()に驚き挙動不審なのはよくわかるけど、これじゃ本当、良いカモだ。

 主人公だしメタ読み的にたぶん死ぬことはないとは思うんだけど、このまま放置するのも忍びない。

 ……言ってるそばから何か走ってく()()()()()()()子供たちにぶつかって転んじゃってるし。

 

「大丈夫? そこのもじゃもじゃ君」

「へ? あ、えー、えー、大丈夫です」

 

 おや? むむぅ。

 こいつ今思いっきりボクの脚と胸元見てちょっと残念そうな顔したな? おいおいオネーサンわかるぞそういうの。金〇蹴るぞ?

 ちなみに今のボクの恰好は、白いレザージャケットに薄桃色のキャミソール、えんじ色のミニスカート。下は黒スパッツを履いているので色々安心仕様。ブーツはつま先に鉄板仕込んであるタイプなので、何かあってもすぐ蹴り上げたりできるわけだ。

 

 何? と不躾な視線にかつかつとつま先を地面に叩きつけて鳴らしてやれば、なんでもないですぅ! って情けない声を上げる主人公サマ。

 うーんこの声の色々大丈夫か心配になる感じ、こういう性格をしてるよなーという納得が強い……。

 

()()()()()お上りさんとは珍しい……。元ニューヨーカーじゃないよね? 外から来たんでしょ見た感じ。仕事?」

「え? あ、はい! えっと、これです! この募集に応募して! はい!」

 

 まともな人間に話しかけられて、ようやくと安堵してるのかな。

 なんかこう、話しかけてくる声がめっちゃデカい。

 テンション高い気がする。

 

 で、レオナルドがボクに見せた広告は記者募集のもの……、まだここがニューヨークと呼ばれていた頃のフォーマットに則った、しっかりとした文書。

 

「…………で、『ヘルサレムズ・ロットの歩き方』の記者募集か。……大丈夫? キミ、多分鉄砲玉が良いところな扱いだと思うケド。調子こかなくってもちょっと気を抜くとすぐ死ぬし、この街って。もっと稼ぎの良いところあったと思うよ?」

「いやそれでも! その、…………僕には必要があったから」

「フーン……。マ、訳アリなんてこの街で別に珍しくもないし。周りには気を付けてね、すーぐ銀行強盗騒ぎとかくらいなら起こるから」

「どんな街ですか!?」

「どんなって…………、ああいう?」

 

 ボクが顎をしゃくって示した方を見て、レオナルドは口をあんぐり。

 空飛ぶダンプトラックから伸びた触手に絡めとられた数頭の牛がもーもー鳴いてるのを、あきらかに蟲みたいな目がいっぱいついた頭した3メートルくらいはありそうな上半身裸の腕が四つある大男? みたいなのが追いかけまわしてたりしてる映像は、それだけでもうお腹いっぱいだ。 

 

 

 

 B級映画の脚本に予算をありったけつぎ込んだよな()()()()()()()、違法建築の集合体みたいなのが、今のニューヨーク────このヘルサレムズ・ロットだった。

 

 

 

「宇宙人はいないと思うけど、異界と現世が融合した大体何でもありの超一級危険地帯。物見遊山でも命がいくらあったって足りやしない。……本当に大丈夫?」

「……だいじょばない、ですけど、頑張ります! ハイ!」

 

 あらあら。

 ボクはこの世界、すなわち「血界戦線」の漫画版を知ってるから、ここがどれほど危ない場所なのかも知ってるし、彼がどうしてそんな場所でも来なければならなかったのかも知っている。

 だけど実際、それらを知識ではなく体験として味わった上で、なお意思を折らずに立つことが出来る彼は、なるほど、確かに尊い人だ。

 

 妹の視力を取り戻すため────自分の不始末を、勇気が出せなかった償いのため。

 

 その覚悟一つで只の一般人が命をかけられるんだから、こりゃリーダーも気に入りそうなものだ。

 

「フーン……。じゃ、そうだね。キミ、名前教えてよ」

「えっ?」

「キミの書いた記事、見かけたら買ってあげるから。何かビッグなことしたいんでしょ? せいぜい、死なない程度に応援してあげる」

「あ……、ありがとうございます! あの、えっと!

 レオナルド・ウォッチです!」

 

 レオナルドか、と。復唱してからボクは右手を差し出し。

 

「ボクはニーカ。ニーカ・コヴァレンコ。ま、地獄の窯の底じゃ短い付き合いかもしれないけど……、コンゴトモヨロシク」

「不吉なこと言わないでくださいよ!? いや本当ッ!!!?」

 

 良いリアクションで絶叫しながらもちゃんと握手をし返してくれるあたり、レオナルドは漫画で呼んでいた以上に面白いコなのかもしれないと、ボクは思わず微笑んだ。

 

 

 

   †††††††††††††

 

 

 

 アクション系の漫画作品「血界戦線」。

 一歩間違えれば即世界終了みたいな超スケールの存在とか事件とか、そういうのから世界滅亡をさせまいと日夜戦う小規模秘密結社のメンバーたちとのバトル漫画というか、でたらめアクション作品っていうか。

 

 ボクが転生したのは、そんな漫画世界の準レギュラー ……というにはちょっと出番がアヤシイ感じの女の子。まあ女の子と言っても今年で24歳だケド。外見的には美少女そのものなのでそこは置いておこうか。

 で、ボクと養父(パトリック)とは、その組織の協力者枠みたいな武器商人。半分以上は所属してるような感じだけど、完全に抱き込まれたーってなると武器の入手経路とかに支障が出るので、そのあたりの匙加減はパトリックの担当だ。

 ボクの担当はもっぱらメカニック。

 武器の開発とか、個人用の大掛かりな調整とか、そういうのも割とやる。

 基本的な技術はパトリックから伝授されてるケド、まあ、要は二人して大体おんなじことができる。ツーとカーな、職人の相棒関係二人組みたいな感じだった。

 

 まあそんなことを何で振り返ってるのかと言うと、多分()()()()原作第一話が始まる頃だからだ。お上りさんな主人公(レオナルド)と顔を合わせてからおそろそろ、ひと月。

 確かヘルサレムズ・ロット入りしてからそれくらいの時期だったかなーという記憶があるので、ボクはその記憶に従って、行きつけのダイナーに行くことにした。

 

「はい、『ダイアンズダイナー』へようこそ……って、ニーカちゃんか」

「やっほー、ビビアンさん。儲かってる?」

「ぼちぼちよー。……この間常連のあの木の枝みたいなお爺さん、ダンプに突っ込んで燃やされて死んだからちょっと入りが減ったかしら? ここのヘビーユーザーだったし」

「ボク、いつも通り意味わかんないよ」

「ま、いつも通りだからね」

 

 つまり、そういうことだった。

 ビビアンさん、ここのダイナーのマスターの娘さんで看板娘のお姉さんだ。彼女とお父さんもちょっとワケアリでこの地獄(マチ)に滞在して生活しているらしい。事情はあんまり詳しく聞いてないケド。

 

 で、そんなビビアンさんの目の前でお腹押さえて「グウルオオオオオオオギュアアアオオオオアウイアオオオオオ」みたいな音鳴らしてるレオナルドはいったい如何したのサ。腹の虫? どんなにお腹空いてもそんな音ならないでしょ……。

 

「に、ニーカさん……」

「お金ないの? また記事ボツったんだ。フーン。……おごる?」

「それはちょっと何と言うか、色々アレな気がするのでパスで!」

 

 1、2回とかなら遠慮しなくて良いのにと思わなくもないケド(どうせ本編に入ったら同僚みたいなものなんだし)。維持はるものじゃないのに、と思ってビビアンさんを見れば、肩をすくめて厨房の方へ。

 そのまま手早くチーズバーガーとフライドポテト盛をさっと持ってきて、レオナルドに「お食べ」ってやるあたり面倒見良いなーと感心する。皿洗いのバイト込みなところも含めて。

 

 ボクはボクでカウンター、彼の隣に座って注文。キングサイズドッグにビッグチーズバーガーとハッシュドポテトと骨付きチキン1ダース、あとド〇ペのピッチャーを一つ。

 隣でレオナルドがちょっと引いてるけど、マ、ボクはこれくらい食べないと体重が減っちゃうので(鋼の意志)、必要経費といえば必要経費だ。……流石に毎食頼むにはお財布が心もとないケド。

 

「レオナルド、記事書くって言ってたけど写真も自分で撮影してるんだよね。見せてみーなーよぅ」

「えっええ……? そんなに見せられるようなモノじゃ────」

「へたくそぅ」

「うわっ!? ちょっ、勝手に見ないで……!」

 

 うーん……、普通。

 彼が持ってたカメラを首からひょいっと取り上げて、ニヤニヤ笑いながら冷やかしてみる。

 ボクも趣味で撮影してるだけだからアレだけど、なんというかこう、被写体に対する主体性がないっていうか。何を撮影したいかっていうピントがずれてるというか、そのせいで構図が雑っていうか。

 普通にこの訳わっかんないことになってるヘルサレムズ・ロットに対する興味がない感じ?

 

 ……まあ、そりゃそうか。本来、好き好んできてる子じゃないし。

 ボクみたいに楽しみを見出そうって気もないだろう。

 

 レオナルドの撮影した写真をいくつかパラパラめくりながら、昔の写真を見かける。

 

 目がきらっきらしてる、車いすの女の子の写真────。

 

「可愛い。フーン……、彼女?」

「いえ違いますよ!? 妹! 妹ですから!」

「何慌ててるのサ」

 

 からかって遊びつつも、写真に写ってる女の子、おそらくミシェーラちゃんだろう子を見る。

 周囲のコントラストとかはともかく、画角ヨシ、被写体の愛らしい笑顔と目がなによりもくっきりと印象付けられる配置というか。

 これはさっきまでの写真と違って、しっかり楽しんで撮影してるのがわかってしまう。ちょっとだけ胸に棘がささるような感覚。

 

「んにゃ。写真こういうのは上手じゃん」

「えぇ? あ……、りがとうございます?」

 

 言いながらカメラを返して、レオナルドがカメラを手に取った瞬間。

 突然レオナルドが「待って待って! こら猿!? いや、待てカメラ、返して!」とか言って立ち上がって駆けだしていった。……あれ? カメラ? あれ、今渡したはずなんだけど、いきなりレオナルドの手元から消えて、あれ?

 

()()()だろ。カメラが消えるところが見えなかったから」

「気の毒だなーあの兄ちゃん。なまじ知能あるからあのサルども、換金されてオシマイだ」

 

 あー、なるほどネ。ここでつながってくるんだ。

 まあボクが話したりしてたからってのはあるんだけど、ビビアンさんのセリフの時間だいぶとっちゃったカナ。こっちだと血界戦線の世界観説明というか、レオナルドの素性周りの解説が色々変わってそうだ。

 

「そんな速いのなら、なんでレオ、猿だってわかったのかしら。叫んでたわよね?」

「え?」

「あっ本当。言われてみれば」

  

「ご家族の写真はいってたみたいだし、何事もないといいけどね……。

 あっビビアンさん! これ、包んどいてあげてください」

 

 後で見かけたら渡しとくんで、と言いながらポテトをつまんでると、ビビアンさんは何とも言えない顔で苦笑いしていた。

 

 

 

   †††††††††††††

 

 

  

 ────で、今回の顛末。

 

 特に何かボクが介入したわけでもないので、無事にまーた世界がぶっ壊れかねない事件が発生して、それに巻き込まれたレオナルドの手で解決と言う感じになったらしい。

 詳細については漫画で知ってるけどボクが知ってると色々オカシナことになるので、レオナルドがどう頑張ったかーとかは特に何も知らないって体でいる。

 ビビアンさんたちのお店が崩落に巻き込まれるってのも、お父さんのマスターと彼女とがそれで建物の下敷きになるってのを知ってても、特に何もせず事件に巻き込まれる前に店を出た。

 

 だって別にボクって、そんなスーパーマンみたいな身体とかしてるわけじゃないし。

 武器とかエンジニアとしてはプロフェッショナルだし、コンデジ好きだし、FPSではなんか百発百中だったけど、それで何か出来るってことはないのだ。改造スタンガンくらいは持ってるけど、その程度でどうこうなるようならこの世界はこの世界たりえない。それくらい色々とヤバい。

 

 転生者なんてアドバンテージを事件に巻き込まれないようにする以上のことが出来ないくらいには色々絶望極まってるのがここヘルサレムズ・ロット。

 血界の眷属(ブラッドブリード)みたいな吸血鬼とかに目をつけられたらひとたまりもないし、あんまり派手に動いたりすると()()()みたいな怪人集団とかと遭遇しかねない。ぼくにできることなんて言えば、友達が巻き込まれ()()()ようにちょっと連絡してそれとなく誘導したり、ボク自身がその事件現場からまあまあ離れたところにいるってくらいなのだ。

 

 というわけで、まーだ全然建て直せてないけどとりあえずカウンターと座席と、あとパラソルで軽く雨避けだけやってるお店に「やほー」と顔出し。

 

「あっ、ニーカさん!」

「バイト順調カナ? レオナルド」

「まあ…………、なるようになるというか。体よくコキ使われてます」

 

 店のエプロンをつけて苦笑いしてるレオには、先日のハンバーガーは流石に届け済。

 事件直後、当日には営業再開していたので、お店に再度顔を出して、ちょうどハンバーガー代のアルバイトしますよ! と頭を下げに来ていたレオに、気楽に手渡した感じだ。

 その場でおいおい泣きながらバーガー食べてた姿は色々哀愁を誘って何とも言えない感じで、ボクはにんまり、ビビアンさんはちょっと引きながらみてたりしてたケド。

 

 あっそうだそうだ。

 

「皿洗い中のそこのレオナルド」

「ん? どうしました?」

「────()()()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。使わなくても結局、ボス(パトリック)に持ってろって言われたみたいだけど、ま、不具合とかあったら言ってね~。一応調整するから」

「あ、そうですか! それはどうも、助かりま────す、って、えええええええええええッ!?」

 

 ホーホー、予想通り良いリアクションありがとうございますだ。

 にししとニンマリ微笑むボクを指さして、大声で慌てふためくレオナルド。

 そんなボクの背後から、ぬっと背の大きな影がひとーつ(クラウスさん)ふたーつ(ザップ)、ちょっと小さくみーっつ(チェインちゃん)

 

「……ここで合っているな。レオナルド君、頑張ってるね」

「やほー、リーダー」

「おや、ニーカ君。……常連かな?」

「割とね~」

 

「クラウスさん! って、いや、本当にお知り合い!? えっ、いや何がどうなって……!!!?」

 

 これまた予想通り大きなリアクションをしてる面白おかしいレオナルドを笑ってると、「旦那はともかく俺無視かよアルバイト陰毛が」とかザップが煽るし「打ち上げくらい大人しく出来ないの銀猿風情が」とかチェインちゃんが煽る煽る。

 いがみあう二人になれてなくて慌てるレオナルドに「大体いつもあんなだよん」と一声かけておいた。

 

「えっと……、つまりニーカさんも?」

秘密結社(ライブラ)の正規メンバーというかじゃないけど、ま、委託業者? 子会社? ん、そんなわけで改めて、よろしーく」

 

 気楽にニヤニヤして手を差し出せば、何故かレオナルドは慌てたように震えて、こちらこそ! って頭下げてきた。

 ん? どうした、そこはシェイクハンズなところなのでは……?

 

 

 

 

 


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