転生したらヒトカゲだった。しかも色違い   作:リザードン大好きマン

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第十八話 「え、痛。マジ岩岩岩。痛すぎて滅!」

 

 

 

 

 マサラタウンを出発して数日。

 

 景色は少しずつ変わっていった。

 

 草木は減り、地面は硬くなり、風の匂いも変わる。森の湿った空気は消え、代わりに乾いた土と石の匂いが鼻につくようになっていた。

 

「…………リザァ」

 

 小高い岩場の上で、俺は目の前に広がる街を見下ろした。

 

 ニビシティ。

 

 街の規模そのものが、マサラとは比べものにならない。岩を切り出して積み上げたような建物が整然と並び、街の外れには採掘用の足場がそびえている。

 

 灰色の街だった。建物の壁も、道の石畳も、空に向かって伸びる岩山も、全部が同じ色をしている。だがそれは暗さじゃない。削り込まれ、磨き上げられた岩の色だ。どこを見ても、人間の手が入っていた。

 

 土埃が風に乗って漂い、鼻の奥にざらついた匂いが広がる。乾いた空気が喉をかすかに刺す。

 

(……でかい街だな)

 

 建物の陰に身を潜めながら、俺は街の様子を観察した。

 

 大通りの脇では、イシツブテが荷物を運んでいた。丸い岩の体で器用に荷台を押し、人間の指示に従って角を曲がっていく。その向こうでは、ゴローンが採掘場の壁際に張りつき、岩肌を削る作業を手伝っていた。

 

 ポケモンと人間が、当たり前のように同じ仕事をしている。怒鳴り声も、逃げ惑う気配もない。ただ淡々と、それぞれの役割をこなしていた。

 

(……人とポケモンが生き生きとしている)

 

 自然と、そんな感想が漏れる。森とも違う。草原とも違う。ここは、人間と岩が作った場所だった。

 

「そっち気をつけろー!」

「ゴローッ!」

 

 怒鳴るような声、だが険悪な感じはない。むしろ、みんな忙しそうに動き回っていた。

 

 建設途中らしい建物の前では、人間たちが図面を広げ、その横でゴローンが巨大な岩を押し上げている。地面が低く揺れ、近くの石が小さく跳ねた。

 

 その巨体に、思わず目を奪われる。

 

(……でか)

 

 トキワの森ではまず見なかった種類のポケモンだ。木々の間を駆け回る虫ポケモンや鳥ポケモンとは、存在感そのものが違う。

 

 重い。それだけで圧がある。

 

 だが不思議と、怖さより先に感心が来た。

 

 街全体が、こういうポケモンたちの力で動いている。岩を砕き、運び、積み上げる。その繰り返しで、この街は出来上がっているんだと、なんとなく分かった。

 

(さっさと用事を済ませよう)

 

 長居するつもりはなかった。岩タイプと戦って経験を積む。まずはそれだけだ。

 

 マサラタウンを出てから、ずっと何かが引っかかっていた。密猟者を追い払い、ロケット団を撃退した。進化もした。確かに強くなっている。それは分かる。

 

 だが、本当に強くなっているのか。

 

 運が良かっただけじゃないのか。

 

 その問いに、まだ答えが出ていなかった。だから試したかった。今の自分が、どこまでやれるのか。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 ニビシティから少し離れると、人の気配は急に薄くなった。

 

 足元は乾いた岩場に変わり、草木もまばらになる。むき出しの崖肌には無数の傷跡みたいな裂け目が走り、ところどころ砕けた岩が積み上がっていた。風が吹くたび、砂混じりの空気が肌を撫でる。

 

 この辺りは岩タイプの縄張りなんだろう。地面には大きな這い跡や、何かを叩きつけたような跡が残っている。

 

(拠点にするなら……もう少し奥か)

 

 辺りを見回しながら進む。

 

 できれば雨風を凌げて、人間から見つかりにくい場所がいい。だが見えるのは岩、岩、岩ばかりだ。

 

 その時だった。

 

 ――ドゴォンッ!!

 

 突然、地面が跳ねた。

 

「――ッ!?」

 

 踏ん張った直後、少し先の岩場が内側から弾け飛ぶ。砕けた岩が宙を舞い、その下から巨大な影がせり上がってきた。

 

「……イワァァァアアア」

 

 岩と岩の間から、巨大な影が現れた。長い。とにかく長い。節のある岩の体が、山肌をうねるように這い出てきた。頭部だけでも俺の体の何倍もある。目が合った瞬間、全身の産毛が逆立った。

 

 イワークだ。

 

(でかい……)

 

 ゲームで何度も見ていたはずなのに、実物の迫力は想像を超えていた。山そのものが動いているみたいだ。地面を這うたびに岩が削れ、ざらざらとした摩擦音が響く。

 

 イワークはこちらをじっと見ていた。攻撃してくる様子はない。ただ、その目には明確な警戒が宿っていた。縄張りに入り込んだ侵入者を測るような目だ。

 

(最初は、イシツブテと戦いたかった…)

 

 逃げろ、と。頭では分かる。

 

 タイプ相性は最悪。ノーマル技とほのお技は効果いまひとつだ。ドラゴン技の「りゅうのいぶき」は通りそうだが、とても真正面から殴り合う相手じゃない。

 

 だが――。

 

(……いや、逃げない)

 

 俺は爪を握る。タイプ相性がどうした。そのぐらいで逃げては強くなんかなれない。

 

 決意と共に尾の炎が揺れる。

 

「……リザァ!」

 ひっかく

 

 一気に間合いを詰め、右腕を振り抜く。爪がイワークの体節をかすめ、乾いた音が鳴った。

 

――ガキィン!

 

 手応えはあった。だが、浅い。

 

(硬い……!)

 

 引き戻した腕がじんと痺れている。爪の先に岩の感触が残っていた。岩壁を素手で殴ったようだった。

 

 次の瞬間、イワークの巨体が迫った。

 

「イワッ!」

 ずつき

 

(速ッ――いや、デカッ!)

 

 反射で横へ飛び直撃を回避する。

 

 ――ドゴォッ!!

 

 さっきまでいた場所が砕け散る。岩盤が爆ぜ、飛び散った破片が腕を掠めた。速くはないが、デカいから一歩が異常に延びる。

 

 イワークが低く唸り、体をうねらせた。来る。横に飛ぶ。直後、イワークの巨体が俺のいた場所を薙ぎ払い、岩肌を削って轟音を上げた。着地した足元がぐらりと揺れ、小石が斜面を転がり落ちていく。

 

(足場が……!)

 

 踏ん張ろうとした瞬間、右足が滑った。咄嗟に手をついてバランスを保つが、その一瞬が遅れになった。

 

 イワークのずつきが迫っていた。避けきれない。腕で受けると、衝撃が肩まで突き抜ける。体が宙に浮き、岩肌を転がった。ごつごつとした岩の感触が背中と脇腹を打ち、口の中に血の味が広がる。

 

(……なんだよ、このパワー。正面は無理、距離

を取る)

 

 後退しながら、喉の奥に力を込める。感情の圧を凝縮し、一気に吐き出す。

 

「――リザァッ!」

 りゅうのいぶき

 

 青白い奔流がイワークの胴を直撃した。轟音とともに土煙が上がり、岩の欠片が飛び散る。煙が晴れると、イワークはそこに立っていた。傷ついている。だが、倒れていない。

 

(効いてはいる。でも全然足りない)

 

 岩の体に走ったひびは確かにある。だがあの巨体を止めるには程遠い。しかも、りゅうのいぶきは消耗が激しい。あと何発も撃てない。

 

 次の手を探した瞬間、イワークが頭を高く持ち上げた。

 

 その瞬間、視界いっぱいに影が落ちた。見上げる。頭上に、岩の砲弾。

 

(まず――)

 

 いわおとし

 

 ――ゴォッ!!

 

 岩が堕ちてきた。

 

 避けきれない。岩が肩に着弾した瞬間、世界が弾けた。

 

「――ガァァァァァッ!!?」

 

 骨まで砕かれたみたいな衝撃。熱いとかじゃない。痛みそのものが体を貫いて、呼吸が潰れる。俺は吹き飛び地面を転がる。

 

(こ、れが……効果ばつぐんの、痛みかッ…!)

 

 起き上がれない。

 

 体が命令を無視している。手をついても腕が震えて、体を支えられない。

 

 今まで食らってきた攻撃の中で、一番重かった。ピカチュウの電気も、スピアーの針も、全部がかすり傷に思える。岩の重さがそのまま体に叩き込まれた感触だった。

 

 なんとか膝を立てる。歯を食いしばって顔を上げると、イワークが距離を詰めてきていた。

 

 イワークの巨体が一気に迫る。避ける前に、岩の塊みたいな胴体が全身へ巻き付いた。

 

(やば――)

 

 しめつける

 

「リッ、ザぁぁぁァァ!!」

 

 全身が軋み、骨が悲鳴を上げる。息を吸おうとするたび、さらに圧が強くなる。内臓が押し潰される。

 

「……イワァァ」

 

 目の前で、イワークが低く唸る。

 

 余裕の目だった。俺を敵として見ているというより、小さな侵入者をそのまま握り潰そうとしているだけみたいな目。

 

(く、そ……ッ)

 

 抵抗しようとする。爪を立てようとする。だが腕が固定されていて、まともに力が入らない。足だけで地面を蹴るが、岩の体はびくともしない。

 

 りゅうのいぶきを撃とうとする。喉に力を込める。だが締め上げられた胸では、技を撃つだけの息が集まらない。えんまくも同じだ。何もできない。

 

 視界の端が、じわりと暗くなり始める。力が抜けていく。

 

 頭の奥で、さっきまでの自信が音を立てて崩れていく。

 

(……慢心、してた)

 

 なぜここにいるのか。試したかったからだ。自分がどこまでやれるか確かめたかったからだ。 

 

 それは本当か。

 

 違う。正直に言えば、「絶対に勝てる」と思っていた。進化して、りゅうのいぶきを覚えて、ロケット団まで倒した。そのどこかで、慢心していた。

 

 岩タイプに弱いのは分かっていた。足場が悪いのも分かっていた。それでも気合で何とかなると思っていた。

 

 苦しい。痛い。悔しい。

 

 でも、それ以上に――情けなかった。

 

 強くなった気でいた。少し勝てたくらいで、自分はもう戦える側なんだと勘違いしていた。

 

 現実は違う。

 

 目の前のイワークは、おそらく本気ですらない。それなのに俺は、こうして簡単に潰されかけている。

 

 呼吸が潰れ、視界が暗くなる。

 

 それでも――。

 

(……こんな所で、終われるか…)

 

 視界が狭くなる。

 

 意識が遠のきかける。

 

 その寸前だった。

 

「イワーク、止まれ」

 

 低く、短い声だった。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 イワークの動きが、ぴたりと止まった。

 

 締め上げていた力が、すっと抜けていく。岩の体がほどけ、俺は地面に崩れ落ちた。膝をつき、咳き込みながら息を吸う。肺に空気が戻ってくる感覚が、これほどありがたかったことはない。

 

「ゴォォ……」

 

 イワークは小さく鳴いて頭を下げ、その場に静止した。さっきまでの圧倒的な威圧感が、嘘みたいに消えている。

 

 岩山の上から、一人の人間が降りてきた。

 

 年は十代の半ばくらいだろうか。褐色の肌に、短い黒髪、特徴的な細い目。動きに無駄がない。岩場の足元を確かめることもなく、自然な足取りで近づいてくる。

 

 その顔を見た瞬間、息を呑んだ。

 

(……タケシ!?)

 

 ニビジムのジムリーダー。岩タイプの使い手として名高く、カントー地方でも屈指の実力者。前世でゲームを遊んでいた頃から知っている顔だ。まさかこんな形で、直接目の前に立つことになるとは思っていなかった。

 

 しかも、あのイワークがタケシのポケモンだったということは――。

 

(俺が挑んだのは、ジムリーダーの手持ちだったのか……!)

 

 野生だと思っていた。何の根拠もなく、そう決めつけていた。慢心どころの話じゃない。呆れるほどの見通しの甘さだった。

 

 タケシは俺を見た。値踏みでも警戒でもない。ただ静かに、観察している目だった。

 

 そのままイワークの傍らに立ち、腕を組んで俺を見下ろした。

 

「……色違いのリザードか」

 

 独り言みたいな口調で、それから少しだけ間を置いて続ける。

 

「その戦い方、長生きできないぞ」

 

(…………っ!)

 

 俺は何も言えなかった。

 

 言い返す言葉が見つからなかったというより、その一言が正確すぎて否定のしようがなかった。慢心していた。足場を無視して突っ込んだ。技の消耗を考えなかった。全部、自分でも分かっていた。それをたった一言で言い切られた。

 

 男はイワークの体節をそっと撫でた。イワークは気持ちよさそうに目を細め、低く唸った。あれだけ俺を圧倒していたイワークが、今は子犬みたいにそこにいる。

 

(こんな怪物を従わせる人間がいるのか)

 

 驚愕というより、静かな衝撃だった。力で制しているわけじゃない。あの男とイワークの間には、長い時間をかけて積み上げてきた何かがある。街で見た、岩タイプたちと人間の関係と同じ種類の重さだ。

 

 タケシはもう一度だけ俺を見た。

 

「怪我の手当てくらいはしてやる。来るか」

 

 命令でも懇願でもなかった。ただ、そう言った。

 

 俺はしばらく、その顔を見つめていた。胸の奥で、さっきの言葉がまだ響いていた。長生きできないぞ。

 

 反論はできない。現実として、俺はあと一手で終わっていた。慢心して突っ込んで、あっさり締め上げられた。それがどういう意味か、体で理解している。

 

 小さく息を吐き、タケシの後ろについて歩き出した。

 

 イワークが静かに後を追う。その足音が、岩山に低く響いていた。

 

(……しかしまあ)

 

 情けない。本当に、情けない初日だった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

 

 ニビジムの奥は、ひんやりとしていた。

 

 岩を削って作られた通路は薄暗く、壁に埋め込まれた照明だけが淡く揺れている。外の乾いた空気とは違い、ここには冷えた石の匂いが満ちていた。

 

 その一室で、俺は岩台みたいな寝床の上に座り込んでいた。肩には白い包帯が巻かれ、脇腹にも薬草を潰したような湿った感触が張り付いている。少し動くだけで全身が軋み、特に右肩はまだ熱を持ったままだった。

 

 真正面では、タケシが静かに薬箱を片付けている。

 

 無駄のない動きだった。必要以上に喋らないし、こちらを気遣うような素振りもない。ただ淡々と処置を終え、使った器具を元の場所へ戻していく。

 

「……リザ」

 

 礼のつもりで小さく鳴くと、タケシは短く「ああ」とだけ返した。

 

 それきり会話は止まる。

 

 妙な空気だった。気まずいわけじゃない。ただ静かで、落ち着かない。俺の方だけが勝手に意識している感じだ。

 

 岩壁に背を預けながら、さっきの戦いを思い出す。

 

 イワークの巨体と岩の重さ。

 

 岩技を食らった瞬間の、骨ごと砕かれるみたいな痛み。そして、締め上げられながら何もできなかった自分。

 

 思い返すたび、尾の火が小さく揺れた。

 

「オーキド博士から話は聞いてる」

 

 不意に、タケシが口を開いた。薬箱を閉じながら、こちらを見ないまま続けた。

 

「黄色のリザードが研究所に来たってな。子どもたちを助けて、ロケット団ともやり合ったらしい」

 

(……もう広まってんのか)

 

 思わず顔をしかめる。

 

 いや、オーキド博士なら不思議じゃない。タケシみたいなジムリーダーと繋がりがあってもおかしくないし、珍しい色違いのポケモンが現れれば話題にもなる。

 

 だが、少しだけ引っかかった。

 

「……リザ?」

 

「別に捕まえる気はない」

 

 こっちの警戒を読んだみたいに、タケシは先に言った。

 

「博士からも、見かけたら気にかけてやってくれって言われただけだ」

 

 その口調はあまりにも自然で、逆に嘘っぽさがなかった。

 

 タケシはそこでようやくこちらを見る。

 

「だが、お前は無茶をするタイプだとは聞いてた。実際その通りだったな」

 

(…………)

 

 言い返せなかった。

 

 俺は視線を逸らし、巻かれた包帯を見る。白い布の下では、まだ鈍い痛みが脈打っていた。

 

 タケシは壁際へ移動し、水差しからコップへ水を注いだ。そのまま一口飲み、静かな声で続ける。

 

「岩場でイワーク相手に真正面から突っ込んだ。足場も見てない。相性も考えてない。技の消耗も無視してる」

 

 一つ一つが、そのまま胸に刺さる。

 

「戦う時、お前は攻めることを優先しすぎる」

 

 責める声ではなかった。ただ事実を並べているだけなのに、それが妙に重い。

 

「気持ちで前に出るのは悪くない。だが、それだけで押し切れる相手ばかりじゃない」

 

 イワークの目を思い出す。

 

 あいつは最後まで余裕だった。

 

 俺は全力だったのに、向こうは縄張りに入り込んだ小動物を追い払うくらいの感覚だった。

 

 悔しさで、爪が小さく岩台を引っ掻く。

 

「……リザ」

 

「悔しいか」

 

 タケシはそう言って、少しだけ口元を緩めた。

 

「なら考えろ。どうすれば勝てたのかを」

 

 その言葉で、頭の奥にさっきの戦闘がゆっくり浮かび上がってくる。

 

 イワークへ飛び込んだ瞬間の感触。爪へ返ってきた硬すぎる岩の感触と、その直後に崩れた足場。体勢を崩したところへずつきが飛んできて、避けきれないまま叩き飛ばされた。

 

 いわおとしを食らった瞬間の痛みまで、やけにはっきり思い出せる。

 

 最初は全部、単純な力負けだと思った。

 

 イワークの方が強かった。ただそれだけだと。

 

 だが、本当にそうだったのか。

 

 もし最初から距離を取って戦っていたら。足場の崩れを警戒して動いていたら。真正面から殴り合うことばかり考えず、もっと地形を使えていたら。

 

 結果は少し違っていたんじゃないか。

 

 考え始めると、次々に反省が浮かんでくる。

 

 今までの俺は、とにかく前へ出ることしか考えていなかった。速さと勢いで押し込み、そのまま倒す。森の中では、それで何とかなっていた。

 

 だが、イワークには通じなかった。

 

 相手が変われば、戦い方も変えなきゃいけない。そんな当たり前のことを、俺は全然分かっていなかった。

 

 黙り込んだ俺を見ながら、タケシが壁に背を預ける。

 

「お前、強くなりたいんだろ」

 

「……リザ」

 

「なら、まず生き残ることを覚えろ。突っ込んで倒れるだけなら、強いとは言わない」

 

 静かな声だった。

 

 でも、その言葉は妙に残った。

 

 生き残る。勝つことばかり考えていた俺には、なかった視点だった。

 

 部屋の奥から、低い唸り声が聞こえる。

 

 視線を向けると、イワークが岩床の上で丸くなっていた。あれだけ暴れていた巨体が、今は静かに目を閉じている。

 

 タケシはその姿を見ながら、小さく息を吐いた。

 

「しばらくここにいるといい」

 

 俺は顔を上げる。

 

「傷もまだ治ってない。それに、お前はまだ戦い方を知らなすぎる」

 

 タケシの視線が、真っ直ぐこちらへ向く。

 

「修行するか?」

 











投稿が遅くなり申し訳ありませんでした。リアルが忙しすぎてマジ卍。

というわけでタケシの登場です。数多くいるジムリーダーの中で1番好きなキャラなので書きました。ちなみにあの時イワークがいた理由は、ただのパトロールみたいなもので深い意味はありません。あとタケシをTSさせようか一瞬迷いました。

【名前】イグニス
【種族】リザード
【性格】おくびょう
【特性】りょうげんのひ
【持ち物】無し

りょうげんのひ:自分のHPが1/2以下になるまで、ほのお技を使えない。HPが1/3以下になると、ほのお技の威力が2倍になり、「すばやさ」のランクが1段階上る。

【技】
・ひっかく
・ひのこ?
・えんまく
・なきごえ
・りゅうのいぶき
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