転生したらヒトカゲだった。しかも色違い   作:リザードン大好きマン

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第八話 「……………」

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 互いに決め手を欠いたまま、戦闘は鈍く続いていた。踏み込み、離脱、牽制。どれも致命には届かないが、確実に体力だけが削れていく。

 

 スピアーの羽音は頭上で途切れず、アーボは距離を詰める機を窺い、金髪の男は網銃を下ろさない。均衡しているようで、じわじわと押されている感覚だけが残る。

 

(はぁ……はぁ……。これはやばいな)

 

 荒い息を吐きながら、ふと視線を横へ向ける。

 

 その先で、ピカチュウと目が合った。

 

 一瞬だけだった。だが、その目はさっきまでと違う。弱っているはずなのに、戦いの中で見せていたあの鋭さが戻っている。あの時、真正面からぶつかってきた時の目だ。

 

(……やれるのか)

 

 ピカチュウは小さく頷くように身構える。

 

(なら――合わせる)

 

 次の瞬間、俺は地面を蹴って走り出していた。

 

 スピアーの軌道を無視して、前に出る。さらに一歩、踏み込むはずの足を反転させ、()()()()()()()()()()()

 

 走る。ピカチュウへ向かって。

 

「……っ!? 逃げるつもりか?」

 

 帽子男の声が一拍遅れて漏れる。

 

 当然だ。さっきまでスピアーとやり合っていた相手が、急に戦線を捨てて別方向へ走り出したんだ。意図が読めない。

 

 だが、それでいい。

 

 視界の端で、ピカチュウも同時に動いているのが見えた。相手から完全に背を向けて、ピカチュウもこっちへ走ってくる。

 

「チッ! 逃すな追えッ!」

 

 アーボが地面を滑るように這い、ピカチュウの背後を追う。

 

 スピアーは羽音を轟かせながら低空へ急降下し、俺の背後を追う。

 

(それでいい。全部、想定通りだ)

 

 俺とピカチュウとの間合いが一気に縮まる。

 

 ピカチュウの体から、電気が溜まる気配がはっきりと分かる。さっきまでの弱い放電とは違う。明確に本気の溜め。

 

 俺は大地を本気で踏み込む。腕を引き、体を捻り、尾の遠心力を乗せる。

 

 距離が、一気に縮まっていく。

 

 俺とピカチュウ。

 

 その背後には、それぞれ敵。

 

 あと数歩。

 

 三歩。

 

 二歩。

 

 一歩。

 

 すれ違う、その瞬間――

 

 俺は全身を捻り、右腕を振り抜いた。

 

 同時に、ピカチュウの頬袋が眩く光る。

 

「カゲェェッ!!」

 

「ピカァッ!!」

 

 

 交差(スイッチ)――

 

 

ひっかく!!!

 

でんきショック!!!

 

 

 お互い、全力の爪と電気がすれ違う。

 

 

 ――バキッ!!

 

「アボォッッッ!?」

 

 ひっかくは、そのままアーボの真上から叩き込まれる。体が歪み、地面に叩きつけられる音が遅れて響く。

 

 土煙が舞う。姿を現したアーボは地に付したまま動かない。戦闘不能だ。

 

 ――バチィッ!!

 

「ビィィィッ!?」

 

 放たれた電気は、真正面じゃない。俺を追って低空に降りてきていたスピアー、その直線軌道をなぞるように突き刺さる。

 

 光が弾け、空気が焼ける。

 

 スピアーの体が一瞬だけ硬直し、そのまま軌道を崩して大きく揺れ、地面に堕ちて動けない。だが、意識はありこちらを睨みつけている。

 

 

 交差(スイッチ)、成功。

 

 息が一瞬だけ通る。

 

 だが、体は重い。踏み込みの反動がそのまま残り、次の動きに繋がらない。

 

(……まだ終わってない)

 

 だが――

 

 確実に、一つ崩した。

 

 

 

----------ー

 

 

 

 

 アーボが崩れ落ちた瞬間、金髪の男の顔から余裕が消えた。舌打ちと同時に腰のボールへ手が伸びる。

 

 その動きだけで分かる、嫌な予感が先に来る。次の瞬間、光が弾け、ピチューが地面に現れた。

 

「……ぴ、ちゅ……」

 

 状況も分からず震えるだけの小さな体。その首が、何の躊躇もなく掴み上げられる。

 

「てめェら、動くなよ。こいつを殺すぞ?」

 

 低い声。右手の網銃がこちらを向いたまま、左手の指がじわりと食い込む。力が入るたび、ピチューの体がびくりと跳ね、喉の奥から潰れた音が漏れる。

 

「ぴ……っ、ちゅ……っ」

 

 空気が凍りつく。

 

 ピカチュウの動きが止まる。視線は一点、掴まれた小さな体に釘付けのまま、全身が目に見えて震えている。さっきまでの鋭さは完全に消え、ただ見ているだけの存在に落ちる。

 

(……くそッ!)

 

 こっちも動けない。この距離、この状況で踏み込めば、先に潰れるのはピチューだと分かりきっている。

 

 それでも止まれば終わる。スピアーは痺れて動けないが、いつ戻ってきてもおかしくない。帽子の男も崩れていない。このまま膠着すれば、確実に押し潰される。

 

 選べ。

 

 頭が一瞬で回る。守るか、動くか。どっちも中途半端はない。

 

(……一瞬でいい。ピカチュウを信じる)

 

 それだけあればいい。

 

 地面を蹴る。一直線に、ピチューへ。

 

「は?」

 

 金髪の声がぶれる。予想外の動き。止まるでもなく、迷うでもなく、真正面から突っ込んでくるその判断に、照準がわずかにズレる。だが、完全には崩れない。指の力はそのまま残り、ピチューの喉が締まる嫌な音がはっきりと聞こえる。

 

(……俺の素早さじゃ足りねぇ)

 

 このままじゃ届かない。息を叩きつける。

 

 えんまく

 

 ――ぼぉっ!!

 

 黒煙が一気に広がる。だが薄い。広がりきる前に風に押され、完全には隠れない。それでも輪郭が歪む。その一瞬、金髪の手元に迷いが生まれる。

 

「チッ……!」

 

 その隙に、叫ぶ。

 

「カゲッ!カゲェェッ!!(動け!ピカチュウ!!)」

 

 止まっていた時間が弾ける。

 

「――ッピ!」

 

 ピカチュウが動く。だが遅い。迷いの分だけ踏み出しが遅れている。

 

(……間に合わねぇ)

 

 それでも止まらない。

 

 煙を突っ切る。視界が揺れる。腕を引き、全身を捻る。

 

 ひっかく

 

 踏み込み、体重、尾の遠心力、全部を叩き込む。

 

 俺の狙いは本体じゃない。ピチューを掴んでいる、その腕。

 

 ――ザシュッ!!

 

 手応えはあるがが浅い。完全には崩せない。それでも、ほんの一瞬だけ指の力が緩む。

 

 その一瞬に、全部を賭ける。

 

「――ぴかッ!!」

 でんこうせっか

 

 黄色の軌跡が煙を裂いて突き抜ける。迷いの残った一撃。それでも速度は落ちない。一直線に、顔面へ。

 

 衝突。

 

「ぐッ、があァ!!?」

 

 鈍い音と同時に、金髪の体が弾き飛ばされる。掴んでいた手が完全に外れ、ピチューの小さな体が宙に投げ出される。

 

 落ちる。

 

 反射で踏み込む。腕を伸ばす。

 

 ギリギリで、掴む。

 

 軽い。あまりにも軽い。

 

 腕の中で、小さな呼吸が戻る。

 

「……ぴ、ちゅ?」

 

 か細い声。

 

(――間に合った。本当に、ギリギリで)

 

 煙が流れる。金髪は動かない。網銃も手から離れて転がっている。

 

 その前で、ピカチュウが崩れ落ちる。全力の一撃、その反動で立っていられない。

 

 静寂が一瞬だけ落ちる。

 

 俺は息を吐きながら、ゆっくりと視線を上げる。

 

(まだ終わっていない。スピアーと帽子の男が残っている。でも…)

 

 

 

 勝てる。あの時の俺はそう思ってた。

 

 

 

----------ー

 

 

 

 呼吸が浅い。肺が焼けるみたいに熱い。それでも足は止まらない。視界の中で、黄色はもう動いていない。ピカチュウは限界だ。だから――ここは、俺一人でやる。

 

羽音が鳴る。

上。

来る。

 

 体を沈めると同時に、空気が裂ける。針が頬を掠め、熱が走る。だが浅い。そのまま踏み込む。間合いに入る一歩、そのまま振り抜く。

 

 ひっかく

 

 ――ガギィッ!!

 

 硬い感触。だが届く。スピアーの体がわずかに揺れる。そのまま離れる前に、羽音が爆ぜる。反撃。速い。横へ跳ぶ。地面を抉る音がすぐ隣で鳴る。

 

止まらない。

来る。

また来る。

 

 見るんじゃない。感じろ。羽音、風圧、空気の揺れ。それだけで軌道を拾う。

 

踏み込む。

避ける。

叩く。

すれ違う。

 

 呼吸と同じリズムで、攻防が回る。

 

 一歩遅れれば刺さる。半拍ズレれば終わる。そんな距離で、ずっと噛み合っている。

 

(……互角、かよ)

 

 笑えない。それでも崩れない。

 

 スピアーが一度、高度を取る。上空で止まり、羽音が一瞬だけ消える。

 

来る。

分かる。

 

 地面を蹴る。横へ。次の瞬間、さっきまでいた場所が深く抉れる。着地と同時に前へ。逃げない。距離を詰める。

 

 ひっかく

 

 今度は深い。外殻に食い込む感触。だが同時に、針が肩を掠める。焼ける痛み。毒がじわりと広がる。

 

(……効いてきてるな)

 

 足が重い。視界が少し狭い。それでも、止まらない。

 

 スピアーも同じだ。

 

 羽音が荒い。飛び方がわずかに鈍い。さっきの電撃が効いている。それでも、落ちない。まだ戦える。

 

 互いに、一歩も引かない――

 

 

 どくばり

 

 ひっかく

 

 ダブルニードル

 

 えんまく

 

 むしくい

 

 なきごえ

 

 

 音と衝撃と痛みが、順番もなく叩きつけられる。避ける、踏み込む、弾く、ずらす、その全部が途切れずに繋がり、どこからどこまでが自分の動きなのかも分からなくなる。

 

 どくばりが頬を掠める。ひっかくが外殻を削る。ダブルニードルが空気を裂き、えんまくが一瞬だけ視界を潰す。むしくいで距離を詰められ、なきごえで無理やり起こりを崩す。

 

 

 

 

 ―止まらない。

 

 

 

 

 ――ただ殴り合っている。

 

 

 

 

 ―――気づけば、地面が近い。

 

 

 

 

 

 ――――どちらともなく、崩れ落ちる。

 

 

 

 

(……体が、もう、動かないッ……)

 

 目の前で、スピアーも伏している。羽音はもうない。針も動かない。ただ、かすかに体が震えている。

 

 俺も動けない。呼吸が壊れていて、肺が動かない。体に力が入らない。視界がぼやけ、音が遠い。

 

 

……。

 

 

『戦え』

 

(……頼りたくねぇ)

 

 胸の奥で、小さく反発する。

 

 あの力を使えば、確かに勝てるかもしれない。体が勝手に動いて、迷いも痛みも吹き飛ばして、目の前の敵を焼き尽くせる。

 

 でも、それは“俺”が勝つんじゃない。ただ、本能に体を明け渡すだけだ。

 

 そんなのは違う。俺は、俺の意思で戦いたい。自分で考えて、自分で動いて、自分の力で勝ちたい。

 

 それが、俺の戦いだ。

 

 だが――。

 

 視界の端に、倒れたピカチュウの姿が映る。肩で息をしながら、それでもこちらを見ている。さっきまで一緒に戦ってくれた、小さな背中。

 

 あいつは限界まで戦った。次は、俺の番だ。

 

 目の前では、スピアーもまだ意識を失っていない。ふらつきながらも、ゆっくりと身を起こそうとしている。

 

 ここで止まれば、負ける。

 

 俺も、ピカチュウも、まとめて捕まる。そんな未来だけは、絶対に認められない。

 

(……チッ)

 

 悔しい。本当に、悔しい。

 

 自分の力だけで押し切れないことが。

 

 結局、この力に頼らざるを得ないことが。

 

 それでも――。

 

(……今回だけだ、勘違いすんなよ)

 

 ゆっくりと立ち上がりながら、胸の奥に向かって言い聞かせる。

 

(お前に体を渡す気はねぇ)

 

 拳を握る。

 

 震える足に力を込める。

 

 目の前のスピアーを真っ直ぐ睨みつける。

 

「炎は使ってやる。でも、戦うのは――俺だ」

 

 

 ――特性《りょうげんのひ》発動

 

 内側から焼かれるみたいな、暴れる熱が一気に広がる。尾の火が膨らみ、空気を舐める。

 

「……カゲェェェェッ!!」

 

 

 ――特性《むしのしらせ》発動

 

 スピアーも、起き上がってくる。弱っているはずの体から、圧だけが膨れ上がる。羽ばたくたびに風が裂け、地面の葉が跳ねる。

 

「……キシャャャッ!!」

 

 

(あいつも同じだ。限界の先で、無理やり立っている)

 

 その目が、こっちを捉える。

 

 次の瞬間、同時に動く。

 

 叫ぶ。

 

「……カゲェッ!!」

「……キシャッ!!」

 

 

 羽音が爆ぜる。地面を蹴る。距離が一瞬で消える。もう読むとかじゃない。避けるでもない。ただ、ぶつかる。

 

 ひのこ!!!

 

 ダブルニードル!!!

 

 火が塊になって叩きつける。狙っている感覚はない。ただ、目の前の存在を焼き潰す衝動のまま吐き出す。

 

 スピアーに直撃。外殻が弾け、焦げる匂いが広がる。片方の針が砕け、欠ける。

 

 それでも――止まらない。

 

 羽音がさらに荒れる。削れたはずの体で、構わず俺に突っ込んでくる。

 

「――ッ!!」

 

 腕が針に当たり、針が肉を裂く。関係ない。

 

 痛みも毒も、全部どうでもいい。

 

 ただ、前に出る。

 

 踏み込む。

 振り抜く。

 叩き込む。

 

 ひっかく!!!

 

 捻りも遠心も、全部を乗せて叩き込む。火を纏った爪が外殻を抉り、そのまま吹き飛ばす。

 

 ――バキッ!

 

 鈍い衝撃。

 

 スピアーの体が弾けて、地面を転がる。

 

「キシャア……!」

 

 それでも、終わらない。スピアーはすぐに起き上がる。羽音が狂っている。黒い複眼が、逸れない。

 

(これで最後だッ!ありったけを叩き込むッ!!)

 

 同時に、踏み込む。その瞬間――

 

「ぴ、ピカァッ!!」

 

 

 

 ――パンッ!!

 

 ひのこ

 

 乾いた音が響いた直後、頭上で影が広がった。

 

「カゲッ、カゲッ!?(これは、網!?)」

 

 踏み込んだ勢いのまま網に突っ込み、全身を絡め取られる。腕も脚も尾も一瞬で縛られ、そのまま地面へ叩きつけられた。

 

(しまった!? スピアーが来る――)

 

「キシャアァァッ!!!」

 ダブルニードル!!!

 

 ――ドスッ!!

 

(…………あ)

 

 腹に、深々と突き刺さる。

 

 一瞬、何が起きたのか分からない。次の瞬間、内側から体を引き裂かれるような激痛が爆ぜた。

 

 息が、消える。声も出ない。

 

 視界が白く弾け、全身から力が抜けていく。

 

 網に捕えられたまま、体がぐらりと崩れ落ちた。

 

 

 

 

----------ー

 

 

 

 

(はぁ…はぁ…くそッ。あの男を忘れてた…!)

 

 視界が揺れている。息が浅く、肺がうまく膨らまない。網が体に食い込み、少し動こうとするだけで体が軋む。

 

 動け、と何度も命令するのに、力が指先まで届かない。焦りだけが空回りして、体だけが取り残されていく。

 

 その向こうで、低い声が落ちた。

 

「……数が合わねぇな」

 

 帽子の男は、淡々と状況を見ていた。地面には動かない金髪、倒れたラッタとアーボ。崩れた戦力を一瞥してから、腰のボールへ視線を落とす。

 

「ボールは二つだ」

 

 短く、確認するように呟く。

 

 その意味が、すぐには飲み込めなかった。

 

 だが次の言葉で、理解が強制的に追いつく。

 

「なら、いらねぇ方は殺す」

 

 視線が、横へ流れる。

 

 ――ピカチュウ。

 

 その奥で、ピチューが小さく震えている。

 

(……やめろ)

 

 声にならない。喉が焼けついて、何も通らない。体も動かない。ただ、分かってしまう。

 

 “選別”だ。

 

 スピアーが、ゆっくりと浮かび上がる。急ぐ様子はない。逃げられないと分かっている動きだった。欠けた針、焼けた外殻、それでもなお残る殺意だけがはっきりとこちらに伝わってくる。

 

 ピカチュウが、一歩前に出る。

 

 ピチューの前に、自然に体を置くように。

 

 震えている。それでも退かない。

 

「……ふっ、そうだ」

 

 帽子の男が吐き捨てる。

 

「お前は売れねぇ。殺れ、スピアー」

 

 その一言が、やけに冷たく響く。

 

 スピアーが高度を落とす。狙いは一直線。逃げ場も、迷いもない軌道。

 

「ぴ……ちゅ……」

 

 小さな声。動けない。ただその場で固まっている。

 

(逃げろよッ……!)

 

 そう思うだけ。声は届かない。

 

 ピカチュウは振り返らない。ただ前を向いたまま、小さく鳴く。

 

 俺と目が合う。

 

「……ぴか」

 

(……ピカチュウ)

 

 それだけで、十分だったみたいに。

 

 スピアーが構える。

 

 来る。

 

(動け!動け動け動けッ……!)

 

 力を込める。網が食い込む。痛みだけが返ってくる。体は、びくともしない。

 

 羽音が、爆ぜる。

 

 その瞬間だけ、やけに遅く見える。

 

 一直線に伸びる針。その軌道に、ピカチュウの体が重なる。

 

(やめろッ、やめろッ….……あ)

 

 間に合わない。

 

 ――ドスッ!!

 

 鈍い音。

 

 ピカチュウの体が、貫かれている。

 

 針が腹を突き抜け、背中から覗く。一瞬だけ動きが止まり、それから力が抜けていく。

 

「……ぴ……か……」

 

 かすれた声。

 

 視線が、わずかに落ちる。

 

 その先に、ピチュー。

 

 無事だ。

 

 それを確かめるみたいに、ほんの少しだけ目が細くなる。

 

 次の瞬間、針が引き抜かれる。

 

 血が散る。

 

 体が崩れた。

 

 ――どしゃっ

 

 地面に落ちる音が、やけに軽い。

 

「……ぴ、ちゅ……っ」

 

 震えた声。ピチューが転びながら近づく。

 

 俺は、動けない。

 

 何もできないまま、全部を見ている。

 

 尾の火が揺れる。弱く、頼りなく、今にも消えそうで――それでも消えない。

 

(……あああ)

 

 頭の奥で、何かが軋む。

 

 分かってたはずだ。間に合わないことも、止められないことも。それでも――何もできなかった。

 

 ピカチュウは、もう動かない。

 

 その後ろで、ピチューの声だけが、いつまでも森の中に響いていた。

 

 

 

 

 

 







【名前】???
【種族】ヒトカゲ
【性格】おくびょう
【特性】りょうげんのひ
【持ち物】無し

りょうげんのひ:自分のHPが1/2以下になるまで、ほのお技を使えない。HPが1/3以下になると、ほのお技の威力が2倍になり、「すばやさ」のランクが1段階上る。

【技】
・ひっかく
・ひのこ?
・えんまく
・なきごえ
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