『神代魔法:赤の咎』を《装填》。
星天から、焔が溢れた。
赤い。けれど、熱くはない。咎を炙り、原罪を焼き、星を落とすための焔。
蒼星の右腕が、炎になったように揺らぐ。星天の装甲の隙間から、赤い焔が漏れ出す。
それに応えるように、機構が変形した。肩口の装甲が開き、奥から瑠璃色の炎が揺らめく。
赤の咎。
星天の瑠璃の星火。
二つの炎が、蒼星の右腕の内側で噛み合っていく。
火属性弾の熱とは違う。もっと古く、もっと重く、もっと逃れようのない火。
神代の処刑火。
凍星の『赤の咎』が、星天の内部へ流れ込んでいる。
本来なら術式として落ちるはずだった焔が、神装兵器の記録領域へ触れ、火属性弾と噛み合う。
その瞬間、蒼星の視界に文字が走った。
星辰、罪を照らす刻。我は裁きの軌道に立つ。
隠れし罪業よ、星下に顕われよ。積もりし咎よ、焔の座に晒されよ。
赦しを乞うな。悔いを語るな。
そのすべては、既に星が見届けた。
蒼星は息を吐いた。自分の言葉ではない。
星天の奥から浮かび上がる、神代の記録。けれど、その文言は確かに、蒼星の右腕を通っていた。
我、星の罪を炙るもの。
我、原罪を焼き尽くすもの。
我、咎人の名を炎に刻むもの。
星天よ。
神代の記録を開け。赤き咎を焔と成し、
焔を星と成し、星を、穿つための弾丸と成せ。
がちり、と。
星天の内部で、弾倉が回るような音がした。薬室へ送られたのは、ただの弾丸ではない。
神代の咎。
星を落とすための弾丸。
罪業を顕わにせよ。咎を焼け。
命脈を貫け。その果てに、悔いよ。
蒼星は砲口を逸らさない。
嵐の向こう。毒々しく変色した蒼海漂龍《グラウクス》の胸奥で、青白い核が脈打っている。
狙う場所は、一つ。
我は星を穿つ弾丸なり。
我は咎を焼く執行の焔なり。
蒼星は星天を向けた。
「穿つ!!」
星天が火を吐いた。
赤い閃光が、嵐を貫く。
白い魔法陣の内側から落ちる焔と、星天から放たれた火が重なり、圧縮され、ひとつの星になる。
赤く焼けた咎の星。
その外側を、瑠璃と赤の焔が覆う。
嵐が割れた。毒雨が蒸発し、雷が弾け、風が押し潰される。
星を穿つ弾丸となった赤き咎の焔星が、蒼海漂龍《グラウクス》の核へ落ちた。
それは、弾丸が肉へ突き刺さるようなものではなかった。
緑色の宇宙から落ちた焔と、星天から放たれた火が、グラウクスの胸奥で脈打つ青白い核へ重なった瞬間、空そのものが赤く裂けた。
毒々しく染まった龍の身体が、大きく仰け反る。
咆哮が上がる。
怒りではない。
痛みとも違う。
咎の焔が核の内側へ入り込み、そこから全身へ赤い亀裂を走らせていく。胸へ、鰭へ、触角へ。毒雨を生み、風を纏い、雷を散らしていた身体が、内側から形を失っていく。
燃えているのに、煙は出ない。
砕けているのに、灰も落ちない。
焼かれているのは肉ではなく、蒼海漂龍《グラウクス》という存在そのものだった。
「……通った」
凍星が、かすれた声で呟いた。
白杖フィエルティジムを握る手は震えている。神代魔法の行使。そこへ蒼星の星天が重なった結果、術式は凍星の理解を超えた形へ変わっていた。
だが、結果だけは見える。
毒雨が止む。
雷が砕ける。
風がほどける。
嵐が、消えていく。
赤男爵が銃座にしがみついたまま、目を見開いた。
「ハハ……ハハハハハ!見たか、魔王!これぞ星を穿つ一撃である!」
「黙れ。機体を戻す」
Ju87は操縦桿を押さえ込んだまま、短く言った。
輸送機はまだ空にあった。
ただし、飛んでいるというより、墜ちる方向を無理やり選ばされているような状態だった。左舷翼は死んだまま、外板は焼け、尾翼は震え、機体のどこかで配管が破裂する音が続いている。
それでも、嵐は消えていた。
グラウクスの身体は、空の中で崩れていく。赤い亀裂が全身を走り、鰭がほどけ、触角が光の粒になって散る。毒を含んだ雨雲も、風も、雷も、核を焼かれた龍の崩壊に巻き込まれるように消えていった。
最後に、青白かった核が砕けた。
赤い焔が内側から弾け、グラウクスの輪郭が朝の空へ溶けていく。
蒼星の視界に、表示が走った。
蒼海漂龍《グラウクス》を討伐しました▼
■■神■■■■■■■■■■に認められました▼
神装兵器《星天》の記録領域が拡張されます。
接続深度が更新されました。
魔力伝達効率が上昇しました。
反動処理補正が更新されました。
登録情報を《焔星》へ圧縮します▼
《焔星》が《星天》に登録されました。
「……登録」
蒼星は小さく呟いた。
その直後、身体が落ちた。
星天の砲口にはまだ赤い残光が残っている。右腕は動く。だが、重い。肩から背中にかけて、神代の焔を通した反動が鈍く沈んでいた。
それでも、さっきまでとは違う。
痛みはある。負荷もある。けれど、星天が蒼星の動きを拒まない。接続部の奥で軋んでいた引っかかりが、わずかに薄れている。
蒼星は落下しながら、輸送機を見た。
遠い。
けれど、届かない距離ではない。
落ちる線。
届く線。
死ぬ線。
その隙間に、踏める場所を探す。
蒼星は空を踏んだ。
一歩。
蒼い閃光が走る。
二歩。
空を足の裏で掴み、蹴る。
三歩。
輸送機のハッチが近づく。
椒が身を乗り出していた。凍星も、白杖フィエルティジムを床へ置き、片手を伸ばしている。
あと一歩。蒼星は足を出した。
だが、届かない。空を踏む感覚が、そこで途切れる。
「蒼星さん!」
椒の手が伸びた。同時に、凍星も身を乗り出す。
蒼星は左手を伸ばした。椒がその腕を掴み、凍星が星天の手首を掴む。
「引くぞ!」
「うん!」
二人が同時に引いた。
蒼星の身体が、ハッチへ叩き込まれる。床を転がり、黒白の修道装が擦れ、星天が重い音を立てた。
椒が怒鳴る。
「届いてねぇじゃねぇか!」
蒼星は床に倒れたまま、淡々と答えた。
「一歩足りなかった」
「冷静に言うな!」
凍星は荒い息を吐きながら、蒼星の腕を離した。
「無事です?」
「ギリギリ」
「無事じゃないな」
「動ける」
「それも無事とは言わない」
その時、機体が大きく傾いた。
赤男爵が叫ぶ。
「左舷が保たんぞ!」
Ju87は操縦桿を押さえ込みながら、前だけを見ている。
「旧砦跡まであと少しだ」
「あと少しで落ちるぞ、魔王!」
「流石に、無茶をし過ぎた」
Ju87が、珍しくそう言った。
その言葉だけで、機体が本当に限界なのだと分かった。
蒼星は起き上がった。
椒が顔をしかめる。
「蒼星さん、今度こそ寝てろ」
「寝てる暇なんてないでしょ?」
蒼星は短く返し、糸を伸ばした。
左舷翼へ。
胴体の支柱へ。
尾翼へ。
歪んだ外板へ。
それだけでは足りない。
蒼星は開いたハッチから再び機体の外へ出る。風が叩きつける。黒白の修道装が大きく翻り、星天の指が外装を掴んだ。
今度は、翼だけを支えるのではない。機体そのものを縫う。
裂けた外板の縁を結び、浮いた補強板を押さえ、歪んだ尾翼へ糸を通す。風を受けるたびに暴れる左舷翼を、糸の張力でわずかに下げ、機首が流れそうになる瞬間だけ逆側へ引く。
操縦の邪魔にならないように。けれど、落ちないように。Ju87の操作に合わせて、蒼星は糸を締め、緩め、張り直す。
「俺の操縦に勝手なことをするな」
操縦席からJu87の声が飛ぶ。
「うるさい。ここで落ちたら、今までの頑張りが無駄になる」
「これは墜落ではない」
「赤男爵と同じ」
「……同じにするな」
Ju87の声が、わずかに低くなった。
「なら、受け入れろ」
「こちらの指示に従え」
「分かった」
「本当に分かっているか?」
「たぶん」
「信用しない。だが使えるものは使う」
蒼星は糸を引いた。
左舷翼が風に煽られる。その角度を殺すように、糸を一本締める。機体が沈む。すぐに別の糸を緩め、尾翼へ通した糸を張り直す。
Ju87の操縦に逆らわない。だが、足りない部分だけを補う。落ちる寸前の機体を、糸で縫い止めながら空へ戻す。
「死神が機体の上にいるのが、嘆かわしい」
「飛べてるでしょ」
「嘆かわしいと言った」
「なら飛ばして」
Ju87は短く息を吐いた。
「……進路、旧砦跡」
壊れかけた輸送機は、蒼星の糸に縫われたまま、朝焼けの空を進んだ。蒼星は糸を引いた。壊れた翼が、ぎしりと鳴る。だが、折れない。機体は大きく傾きながらも、旧砦跡へ向かって進み続けた。
雲が切れる。嵐が消えた空の向こうに、旧砦跡が見えた。
「見えたぞ!」
赤男爵が叫ぶ。だが、次の瞬間、その声から勢いが消えた。
「……なんだ、あれは」
旧砦跡。連盟と連合がぶつかるはずの戦場。
地図で見たそこには、森と丘陵と、崩れた砦の跡があるだけだった。少なくとも、凍星が示していた地形ではそうだった。
だが、今そこには大河があった。戦場を裂くように、巨大な水流が走っている。
本来あるはずのない川。
ましてや、船を浮かべられるような水量など、どこにも存在しないはずだった。その大河の上を、戦艦が走っていた。
「……戦艦?」
椒が呆然と呟く。
「戦艦だね」
凍星も、珍しく声に疲れが滲んでいた。
「なんで旧砦跡に大河と戦艦があるんだ」
「知らない」
蒼星は機体の上で糸を張り直しながら答える。
「こんな奇策、実行する集団を私は知ってる」
「奇遇だな、蒼星さん俺もだ」
「はぁ……十中八九、私たちの古巣が関わってますよこれ……」
砲声が響いた。
大河を走る戦艦の砲門が火を噴き、旧砦跡の一角へ砲弾が落ちる。土煙が上がり、魔法の障壁が砕け、さらに別方向から火球と雷撃が飛び交う。
連盟。
連合。
戦場は、すでに混沌だった。
「間に合った、とは言えるのか?」
椒が顔をしかめる。
「少なくとも、まだ終わってない」
凍星が白杖フィエルティジムを握り直した。
その時、蒼星がわずかに目を細めた。
「……あれ」
旧砦跡の上空。
戦場の砲撃と魔法が飛び交うその上で、二つの影が浮いていた。
片方は、何かの足場の上に立ち、妙に大きな声で喋って立ち、妙に大きいる。もう片方は、その横で看板のようなものを抱えていた。
松林とシジミーだった。
「さあ、始まりました旧砦跡決戦!実況は私、松林、そして解説も私、松林でお送りします!」
松林は空中に浮かんだまま、大仰に片手を広げた。
「さて解説の松林さん、本日の見どころは?」
「はい、やはり注目すべきは連盟と連合、双方の初動ですね」
「なるほど、初動ですか」
「ええ。特に連合側の奇策。これは見事に刺さっています」
「では、現状の流れをどう見ますか?」
「正直に申し上げましょう。このままなら連合優勢。よほどの番狂わせでもない限り、流れは覆らないでしょう」
「おおっと、解説の松林さん、かなり踏み込んだ発言です!」
「いえいえ、現地を見ればそう言わざるを得ません。戦場に本来ないはずの大河! その上を走る戦艦!いやあ、意味が分からない!」
『意味が分からないのに解説しているんですか?』
「そこは勢いです!」
シジミーはその横で、黙って看板を抱えていた。
「そしてこちら、ジミーさんによる現地看板情報も充実しております!ええ、喋るのは私だけです。ジミーさんは看板担当!役割分担が美しいですね!」
松林はそこで、ふと空を見上げた。
「……ん?」
戦場の上空を、壊れかけの輸送機が突っ切っていた。
左舷翼は歪み、外板は焼け、機体の上では黒白の装いを翻す人影が糸を張っている。
松林の声が、一拍遅れて跳ねた。
「おっとぉ!?ここで空から乱入者です!なんだあの飛び方は!飛行か!?墜落か!?いや、落ちていなければ飛行理論でしょうか!」
自分で言って、自分で頷く。
「解説の松林さん、あの機体をどう見ますか?」
「はい。どう見ても限界です」
「なるほど限界!では何故飛んでいるのでしょうか!」
「気合いですね」
「解説になっていません!」
松林はさらに目を凝らした。
「……待ってください。あれ、見知った顔がありますねぇ」
輸送機の上部。糸で機体を縫い止めながら、蒼星が立っていた。
「おとめさん!?」
シジミーが看板を抱えたまま、びくりと顔を上げる。
『蒼星さん!?』
「おとめさんです!間違いありません!行方不明扱いだった赤い死神が、まさかの空路で旧砦跡へ帰還!しかも機体の中ではなく上!普通は中に乗るものでは!?いえ、おとめさんなら上でも不思議ではないのか!?いや不思議です!」
松林は一人で頷き、一人で首を振った。
「そして中には、さつき!奏雨君も確認!これは事件です!これは美談です!これは売れ――おっと、報道です! あくまで報道です!」
シジミーがそっと看板を掲げる。
『赤い死神、戦場へ帰還』
『優しい赤い死神』
『蒼星夢小説好評発売中』
松林は満足げに頷いた。
「素晴らしいですね、ジミーさん。商魂と報道精神の融合です」
蒼星は、三枚目の看板を見た。
少しだけ目を細める。
頭が痛くなるような内容があった気がした。
「Ju87、進路変更。あいつらに突っ込む」
「理由は」
操縦席から、短い声が返る。
「戦力補充」
「今の機体で余計な重量を増やす理由としては弱い」
「あと、腹が立った」
「そちらが本音か」
「うん」
Ju87は一拍だけ黙った。
「了解した」
「了解するのかよ!」
椒が叫ぶ。
「進路上にいる。拾えるなら拾う」
「いや、突っ込むって言ったぞ、今!」
「拾うために突っ込む」
「言い方の問題じゃねぇ!」
壊れかけた輸送機が、わずかに機首を変えた。
蒼星の糸が機体の上を走り、左舷翼の角度を無理やり合わせる。外板が軋み、尾翼が震え、森へ向かって落ちかけていた機体が、ぎりぎりのところで空中の二人へ向きを変えた。
松林が実況を止めた。
「……ん?」
シジミーが看板を抱えたまま、ゆっくりと輸送機を見る。
『ごんにき、こっち来てない?』
「来ていますね、ジミーさん」
『避ける?』
「あの速さで来られたら、無理ですね、ジミーさん」
松林は咳払いをした。
「おっと、ここでおとめさん御一行、こちらへ急接近!これは取材対象から取材班への熱烈な逆取材でしょうか!」
蒼星の糸が伸びた。
「ごん、ジミー。回収する」
「おとめさん、回収という言葉に強制力がありすぎませんか!?」
『蒼星さん、看板だけは!』
「いい加減に喋れ」
「はい……」
シジミーは即座に看板を下ろした。松林が隣で感心したように頷く。
「ジミーさん、切り替えが早い」
「ごんにきも実況してる場合じゃないって」
「実況者は死ぬ瞬間まで実況を――」
「死にたくないんだけど!」
糸が二人を絡め取る。松林は最後まで芝居がかった声を張った。
「おっと、ここで取材班、取材対象による強制回収!これは救助か、拉致か、あるいは戦力徴用か!」
「戦力徴用」
蒼星が即答した。
「言い切った!」
次の瞬間、二人の身体が空中で引っ張られた。
「うわあああああ!」
「ごんにき、看板!」
「ジミーさん、今は命です!」
松林とシジミーが、壊れかけた輸送機の開いたハッチへ飛び込む。
正確には、飛び込んだのではない。投げ込まれた。
床を転がった松林が、勢いのまま壁にぶつかる。シジミーは看板を抱えたままその上に落ちた。
「ぐえ」
「ごめん、ごんにき」
「大丈夫です、ジミーさん。実況者は丈夫です」
椒が二人を見下ろした。
「檎さん、しじみさん。何やってんだよ」
「見ての通り、現地実況です、さつき」
「見て分からねぇから聞いてるんだよ」
凍星が白杖フィエルティジムを支えに立ち上がる。
「ごんさん、じみーさん。戦力として数えるから、動ける準備をして」
「奏雨君、到着早々その扱いは厳しくないですか?」
「この機体、もう落ちるし余裕がないんで」
「それは……なんでぇ?!」
松林の声が裏返った。
その答えの代わりに、輸送機が大きく沈む。
床が傾き、松林が壁へ滑り、シジミーが看板を抱えたまま座席にしがみついた。
「ごんにき、実況してる場合じゃないって!」
「ジミーさん、これは実況しなければならない状況です!現地実況、墜落寸前の輸送機よりお送りしております!」
「いや、だからやめてって!不吉すぎる!」
「やめろ、不吉だろ」
椒が大太刀を支えにして体勢を戻す。
赤男爵が前方で叫んだ。
「魔王!追加の積荷により機体重量がさらに限界である!」
「分かっている」
Ju87は操縦桿を押さえ込んだまま、前だけを見ていた。
「森へ入る」
「森へ入るって、着陸する場所じゃないですよね?」
松林が恐る恐る聞く。
「不時着地点だ」
「言い方を変えた墜落では?」
「生きていれば不時着だ」
松林は一瞬黙り、それから両手を広げた。
「なるほど!解説の松林さん、これはどう見ますか!」
「はい、非常に危険ですね!」
「そのままですね!」
「そのままです!」
シジミーが真顔で言った。
「ごんにき、現実逃避してないで」
その時、機体の上から蒼星の声が落ちた。
「黙って掴まって」
短い一言。全員が、反射的に近くの支柱や座席へ手を伸ばした。
蒼星は機体上部で糸を引く。左舷翼。尾翼。胴体。歪んだ外板。最後に、機体の腹へ糸を通す。
森が迫っていた。Ju87が操縦桿を倒す。
「衝撃に備えろ」
赤男爵が笑った。
「総員、着陸姿勢!」
椒が即座に言う。
「墜落姿勢だろ!」
松林が叫ぶ。
「旧砦跡決戦、空路突入編!まもなく強制着陸でございます!」
「実況やめろって!」
次の瞬間、輸送機は森へ突っ込んだ。
絶対に本人たちはやらないと思う。
凍星の『神代魔法:赤の咎』、蒼星の神装兵器《星天》、そして火属性弾が同一対象へ寸分の狂いなく重なったことで、システムが三つの効果を一つの魔法として再構成したもの。
『赤の咎』は、火弱点を保有する対象へ特効を持つ神代魔法であり、神代における処刑魔法の一種。ただ燃やす炎ではなく、咎を炙り、罪業を暴き、咎人を火刑に処すための焔である。
《星天》は、星を落とすために作られた神装兵器の一つ。
神代魔法との親和性が高く、『赤の咎』によって生じた神代の焔を受け入れ、火属性弾と噛み合わせることで、術式として落ちるはずだった焔を「星を穿つ弾丸」として再構成した。
星辰、罪を照らす刻。
我は裁きの軌道に立つ。
隠れし罪業よ、星下に顕われよ。
積もりし咎よ、焔の座に晒されよ。
赦しを乞うな。
悔いを語るな。
そのすべては、既に星が見届けた。
我、星の罪を炙るもの。
我、原罪を焼き尽くすもの。
我、咎人の名を炎に刻むもの。
星天よ。
神代の記録を開け。
赤き咎を焔と成し、
焔を星と成し、
星を、穿つための弾丸と成せ。
罪業を顕わにせよ。
咎を焼け。
命脈を貫け。
その果てに、悔いよ。
我は星を穿つ弾丸なり。
我は咎を焼く執行の焔なり。