四葉からは逃げられない   作:シャケナベイベー

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鬼神、産声を上げる


今回のお話はちょっと独自設定と独自解釈多めであることをご了承ください!


星を見た日

「っ…う……」

 

 ぼんやりと滲む視界に困惑しながら何とか身体を持ち上げる。ここは何処だろう、またあのマッドたちが部屋をいつの間にか移したのか。そうであるなら自分の手足が拘束されていないのはおかしいし、何よりあれだけあった傷痕が綺麗さっぱり消えていた。

 

「何が…どうなって……」

 

 分からない事だらけだ。こんな上質なベッドが研究所にあったのかという驚きを感じつつ何とかふらつく頭を抑えて立ち上がる…とその時、ガチャリと扉が開く。

 思わず身構えるが…そこから姿を見せたのはよく見知った親友だった。

 

「……弘一?」

「良かった、目を覚ましたんだな」

 

 なぜ、どうしてここに。そんな疑問が頭を埋め尽くしてしばらく。ようやく龍郎はここが四葉本邸の一室だと思い出した。あの研究所から助け出されたということも。

 

「ああ……助かったのか」

 

 ポツリ、とそんな言葉が口から溢れた。だがそれも仕方のない事だろう。三日間、拷問に薬物投与、精神的な責め苦まで与えられて正気でいるというのが無理な話だ。

 龍郎とて、自己暗示による精神防御をしていなければ心が壊れていたかもしれない。

 

「どこか痛むところはあるか?」

「身体が少し怠いくらいだな。それ以外は何ともない……迷惑かけたな」

「迷惑なんて思っちゃいないさ。大事な親友のためだ、苦労の一つくらいなんてことないよ」

「……そうか」

 

 片目を失ったというのに何一つとして気にしていない弘一の態度に、龍郎はホッとしたような、申し訳ないような気持ちになる。

 だからだろう。こんな言葉が口をついて出たのは。

 

「……右目はまだ痛むか?」

「まあね。中々痛みが引いてくれないから真夜にも心配をかけてしまっているからな」

「悪かっ「でもな」痛っ」

 

 龍郎の謝罪に被せるようにして、彼の額を指で弾いた弘一が不敵な笑みを浮かべた。心配はないと、そう告げるように。

 

「右目を喪ったのは()の油断が原因なんだからわざわざ龍郎が気に病むことでもないんだぞ」

「それは…そうだが……」

 

 それでも納得し辛いのだと表情で語る親友に笑みを零した弘一はそんな背負いがちな男の肩を叩いた。

 

「何でもかんでも罪に思って潰れたんじゃ世話ないよ。少しは気を抜いたって良いだろうに」

「背負ってるつもりは……」

「背負ってるよ。特にこの前の交流会の時からね。何年君の親友やってると思ってるんだ」

 

 弘一が得意げに胸を張る。それにクスリと笑みを零した達郎は「そうだな」と頷いた。

 張り詰めていた糸が切れたのか、急激な脱力感に襲われる。起きて間もないのにこれじゃあな…と苦笑しながらベッドに座り込んだ。とろりとした睡魔が身を包む。

 

「悪い…また少し、寝る……」

「分かった。ゆっくり休むといい」

 

 ゆっくり休むんだぞ、と部屋を出ていく弘一を手を振って見送り、龍郎は深い眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──なんか四葉家が大漢に報復し始めました!

 

 龍郎誘拐事件から数ヶ月後。大亜連合上層部はその報告で椅子から転げ落ちた。

 崑崙法院が日本の少年魔法師を攫って実験を始めたと聞いた時も『ふーん、そう』で済ましていた彼らであるが、その後の四葉家の報復が恐ろしいったらないのである。しかもなんか七草家まで一緒にいるし何やらかしたんだ崑崙法院。

 大亜の上層部は見て見ぬ振りを通すことにした。なにせ下手に突いて怒りの矛先を向けられたくないのだ。

 

 ……まあ崑崙法院はその一線を越えて蛇の尾ならぬ竜の尾を踏んだわけだが。

 

 そんな訳で大漢からの救援要請にも無視を決め込んでいた彼らは四葉&七草の報復に内心ビビり散らかしながらも嵐が過ぎ去るのを待った。だってまかり間違ってこちらにも牙を向けられたら堪ったものではない。残念だが大漢には犠牲になってもらおう大丈夫後で統合するし。

 そうして一日が過ぎた頃。

 

「大漢の艦隊が日本の海域に攻め込みました!!」

 

 上層部は無言で台パンした。

 何やってんだ馬鹿どもが、と。しかも連中ウチの艦も使ってんじゃん終わった、と。

 

 

 そんな状況の中、当の龍郎はと言うと……

 

 

 

 

 

「平和だ……」

 

 呑気に釣りに興じていた。馬鹿なんだろう。

 とはいえ一つ勘違いしないで欲しいのは何も龍郎は呑気に危機感の一つもなくこんなことをしているわけではないということ。

 

 当然のように報復に赴かなかった四葉の人員が陰から見守っているし、龍郎が四葉家の別邸で心身療養の為に来ていると了承しての事だからだ。

 

「と言っても、元造様たちは結局大漢に行っちゃったしな……」

 

 ふうむ、と唸る。

 自分の為に彼らがあれだけ怒りを抱いてくれていたのは素直に嬉しいし、顔を見せた時も安堵の表情を浮かべていたことからもそれは疑いようが無いだろう。

 それに今回は息子の片目を奪われたことで激怒していた七草家一同も加わっているので原作のような死人は少なくなると思いたい。出来れば誰にも死んで欲しくはないのだ。だが大漢は滅べ。

 

 その時、海面が揺れ、僅かな振動が伝わってくる。魚が餌に食いついたにしては些か妙な揺れ方だ。

 

「司波殿」

 

 その時、横に音もなく四葉の戦闘魔法師が降り立った。気配も無く突然現れたので龍郎はビクリと肩を大きく震わせて振り向いた。

 

「ビックリした…どうしました?」

「大漢の艦隊が日本の海域に侵入したと」

「馬鹿なんですか?」

 

 対馬を襲撃して返り討ちに遭ったでしょう、と龍郎は呆れたように言う。それにそもそも大漢は今現在四葉と七草の合同部隊による報復を受けている真っ最中の筈だ。

 

「大亜連合は関わってないか、分裂してるし…となると攻め込まれおいてまだ艦隊をこっちに差し向けるだけの用意があった?」

「報告では一部大亜連合の艦隊もあるようですが…恐らくは鹵獲したものを投入したかと」

「勘弁してくれ……」

 

 軍が何とかするのだろうが面倒事に変わりはない。だがその分大漢の戦力が分散されたことで元造たち側の死者も少なくなるのではという希望も生まれたことは龍郎にとっては幸運だった。

 

「兎に角ここを離れましょう。あの連中が何かしら仕掛けてこないとも限りません。貴方の魔法を研究し利用しようとしていた奴らのことだ、念の為にも別邸に戻るべきだ」

「……分かりました」

 

 促され、龍郎は背を向けて走り出す。

 その無防備な背に四葉の魔法師はニタリと妖しい笑みを浮かべながらCADの銃口を向け、意識を奪う魔法を──

 

「これはアイツ(弘一)の分だ……!!」

 

 それよりも早くありったけの憎悪を塗りたくった声と共に龍郎が振り向きざまに魔法を二発放つ。一発は男が発動しようとしていた魔法式を砕き、もう一発は男の右目を撃ち抜いた。

 

「穴だらけだな。俺が気付かないとでも思ったか?」

 

 血を流す片目を押さえる男に油断無くCADを向けながら龍郎は冷え切った声で言う。

 嗚呼なるほど。気付かれていたなら演技もいらないか。

 

「いつから気付いていた?」

「お前は俺を『司波殿』と呼んだが、彼らは俺を名前で呼ぶんだ。それに、俺が攫われた理由が俺の魔法を研究して利用するためなんて、彼らには一言も語らなかったからな」

「なるほどなるほど…これはオレのミスだな。いや面目ない!」

 

 額に手を当てて笑う男が血を流す片目を治癒魔法で止血し指を鳴らす。するとその姿が映像のようにブレ、やがて現れたのは白のコートにハットを被った男の姿。

 

「どうせ態とだろう…幽寂。成り代わってた人は殺したのか?」

「まさか。オレにそんな技量は無い。あと三十分もすれば起き上がってくるだろう」

「何が狙いだ」

 

 油断無くCADを構え、警戒心を露わにする龍郎。

 一度自分を打ち負かした相手にも怯え一つ見せず立ち向かおうとするその精神。手元に置けなかったのが残念でならない。

 

「そう邪険にするなよ。オレはただ、アンタに警告をしに来ただけさ」

「警告?」

「大漢の艦隊が向かってるってのは事実だ。ほら、向こうを見てみろ」

 

 幽寂の指差す先……海岸線上に艦隊が四隻ほど確かに目視できた。

 

「……もうこんな距離まで。軍は何してるんだ」

「オレの部下が足止めしてるさ。邪魔されたくないもんでね」

「お前……」

 

 やはりコイツはここで殺さなければならないと()()()()()()()()()()()()()()を使おうとして「止せ止せ。オレ相手に使うもんじゃないぞ」と制された。

 

「ったく…そんな軽々しく使う魔法じゃないだろソレは。良いか? オレはそんなことのためにお前に手を加えた訳じゃないぞ」

 

 やれやれと肩を竦める幽寂に龍郎は眉一つ動かさない。分かっていた事だ。あの拉致事件以来、疑似とはいえ机上の空論であった筈の『ブラックホール』の魔法がCADにインストールされていたのだから。しかもお誂向きとばかりの専用CADと共に。

 恐らく幽寂は自分の魔法演算領域に手を加えたはずだ。深夜の固有魔法である『精神構造干渉』に似た類の精神干渉系統魔法を扱えることは間違い無い。

 

 何より恐ろしいのは、この男が自分にそこまでする理由を何一つ思い至らない点にある。

 

「……お前は何が目的なんだ」

「別に何も? 艦隊を潰すなら好きにすると良い。その為にわざわざ軍を足止めしてやってるんだからな」

 

 手をヒラヒラと振り、興味なさげに艦隊を見やる幽寂に警戒しつつも、控えてあったケースから特化型CADを取り出す。

 大型のライフル程の銃身のそれは黒曜のような輝きを帯びており、恐ろしいまでに龍郎にピッタリと合っていた。まるで刀を正しい鞘に納めたような感覚。

 普通なら何かしら妙な仕掛けがありそうだと警戒するところ、龍郎は幽寂の性格から『コイツが興味を示している俺に不利益なアレコレを齎そうとするとは考えにくい』と考え、好きに扱うことにした。

 

「ほお、使うのか。じゃ、オレはその様を見物するとしよう」

「……それだけのために来たのか?」

「言ったろ? 若者の力を侮ると痛い目を見るってな」

 

 もはや幽寂にとって崑崙法院などどうでも良い。()()()()()()()()()()()()()()()()()()。崑崙法院も大漢も滅ぶのなら是非ともこの力を味わってから滅んでくれ。

 

 立ち去っていく幽寂を警戒を解かぬ眼差しで見送った龍郎は完全にその気配が消えたのを確認して深く息を吐き出す。

 海に視線を向ける。戦艦四隻は夜であるにも関わらずその目にくっきりと映っていた。

 

「ふぅ……よし、やるか」

 

 一度深呼吸をし、気持ちを切り替えた龍郎は準備に取り掛かる。両手で持ち上げたCADの銃口を真っ直ぐ戦艦へ向ける。

 四隻は横一列となって真っ直ぐこちらに向かっている。

 

「好都合だな」

 

 ぶっつけ本番、成功するかどうかは半々。だが知ったことではない。やれるからやる、それだけだ。

 魔法式の構築が始まる。龍郎の意識内で複雑な演算が高速で展開され、現実の情報体を書き換えていく。

 

 彼が発動するのは、理論上は可能とされ、しかし机上の空論に等しかったもの──即ち『仮想ブラックホール』である。

 勿論本物のブラックホールなど使えるはずもない。作り出すのは重力波を歪ませ、莫大な引力で何物をも引き寄せてしまう黒の空洞。

 

「目標捕捉。戦艦との距離約四十km……『仮想ブラックホール』、発動」

 

 銃身を艦隊へ向けトリガーを引く。

 一筋の光が真っ直ぐ伸び、やがて艦隊の間の空間に着弾。その数秒後、着弾した空間がねじ曲がり、バスケットボールサイズの漆黒の球体が形成され、そこから凄まじい引力が四隻の戦艦を重力の鎖で捕らえた。

 

「な、何事だ!?」

「凄まじい引力で戦艦が引き寄せられています! 退避できません!!」

 

 艦内は阿鼻叫喚に包まれる。死が自分たちの肩に手を掛けているのを、誰もが感じ取っていた。

 

「成功した、か……なら次だ」

 

 脂汗が頬を伝って地面に落ちる。それを雑に拭い、龍郎はCADを構え直す。

 

「『仮想ホワイトホール』、発動」

 

 再度トリガーを引く。すると銃口の先端にブラックホールとは真反対の真白の球体が形成される。

 

 『ホワイトホール』。ブラックホールとは違い、実在を確認されていない仮想の天体。あらゆるものを呑み込むブラックホールに対し、あらゆるものを吐き出す白い特異点。

 

 構築された白い球体から凄まじいエネルギーが放出され、全てを呑み込むブラックホールと反発し合いとてつもないエネルギーの力場が出来上がる。巻き込まれている戦艦が崩壊していないのは奇跡だろう。

 

「頭痛ぁ……けどここまでやったなら、後は仕上げだけだ」

 

 普通なら仮想ブラックホール一つで片がつくだろう。わざわざホワイトホールまで発動する必要などない。

 ならなぜこんなことをするのかと言えば、とある魔法を実演するためだ。

 

 ブラックホールとホワイトホール、正と負、プラスとマイナス。全く以て正反対のこの二つを掛け合わせた時何が起こるのか。

 

「ホワイトホール、照準をブラックホールに固定……射出!」

 

 トリガーを引き、ホワイトホールが莫大なエネルギーを撒き散らしながら撃ち出された。

 撃ち出されたホワイトホールは約数秒後、ブラックホールの眼前に迫る。

 

 差し迫る濃密な死の気配。艦隊は退避しようにもブラックホールの引力に呑まれて動くことが出来ず、ゆっくりとブラックホールに近付くホワイトホールを眺めていることしか出来ない。

 

 そしてついに、白と黒の特異点が接触した。

 ゴゴゴゴゴッという音と共に海面が激しく波打ち、地震にも似た揺れが襲い来る。龍郎は何とか踏ん張りながら、二つの魔法の維持に全神経を注いでいた。

 同じ加重系魔法の極致である二つが溶け合い、新生する。

 

 

 

 

 

 そこには『蒼』があった。

 野球ボール程の大きさの球体。静謐に、しかし圧倒的な『ナニか』を以てそこに生まれ出でた星。

 夜であるはずなのに、その球体によってまるで朝になったかのよう。

 

「な、なんだ……」

 

 つい先程まで死神に肩を叩かれていた大漢の人間たちは訝しげに窓の外に映るその蒼い球体を見る。

 美しいサファイアを思わせる輝きのその球体。美しい筈なのにどうしようもなく、先のブラックホールやホワイトホール等より格段に死の気配が襲い来る。

 

 やがてピタリと停止していたそれが眩い光を放つ。グルグルと回転し、その形を膨張させていく。

 

 

 

 

 

星魂爆発(スピリチュアル・バースト)

 

 

 

 

 音と色彩が消えた。

 その数秒後、世界を裂く轟音が響く。空が震え、海が割れ、何もかもが呑まれていき、蒼い光が夜空に向かって伸びた。

 

 

 

 

 

 

 

 その日の事を人々はこう語った。

 星を見た、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハハハハッ!!!!」

 

 一連の流れを特等席で鑑賞していた幽寂は両手を広げて大笑を響かせていた。愉快で堪らないと言うかのように。

 

「これだから、これだから魔法師というのは面白い!!」

 

 全く以て素晴らしい見世物だ。地雷原でタップダンスしても今なら無傷で生還できるだろうほどに幽寂はご機嫌だった。

 

「にしても、これでオレも()()()()()()()()()ってやつだ──」

「それは良かったですな」

 

 唐突に聞こえてきた声に幽寂は椅子を蹴倒すようにして硬化魔法を施して盾代わりに使用する。案の定、幾重もの魔法が殺到し炸裂した。

 

「おいおい、オレ一人に四葉の御老体方が勢揃いたぁ、随分大盤振る舞いじゃないか?」

 

 おちゃらけた声を出す幽寂の視線の先には、戦意を滾らせる四葉の古老達──一族が魔法技能師第四研究所から独立する前の、始まりの四葉たる四葉和真、四葉彩夢、四葉兵馬の三人が揃っている。

 

「貴方相手であれば我らが出向かない訳にも参りませんからな」

「如何な理由で以てあの子を拉致したのか、聞かせてもらいます」

「怖い怖い…愚弟そっくりの身内への情愛さだ」

 

 クククッと幽寂は嗤う。その時、ザリッと土を踏みしめる音と共にもう一人がこの場にやってきた。

 

「深夜達からの報告を聞いてもしやと思っていたが…やはり貴方だったか」

「ハッ、九島の坊主じゃないか。久しぶりだな。元気にしてたか?」

 

 やってきた第三者……『トリックスター』九島烈は油断ならぬとばかりに幽寂から目線を離さず見据えている。

 

「相変わらず享楽主義なことですな。弟君が嘆かれますぞ──司馬龍真(たつま)(せんせい)

「小僧が。言うようになったな」

 

 パチパチと幽寂は──司馬龍真はかつての教え子に賞賛を贈る。

 

「なぜ生きているのか、なぜ若々しい姿のままなのか、なぜ崑崙法院にいたのか、なぜ龍郎君を攫ったのか……聞きたいことが山程ありますな」

「殆ど答えられないが、一つだけ答えてやろう。オレが司波龍郎を攫った理由だが──ひ孫を手元に置いておきたい以外の理由があると思うか?」

「やはり……」

 

 烈は自分の推測が当たっていた事を確信した。

 司波龍郎は、目の前の男のひ孫…つまり、四葉家と親戚関係にある。

 であるならば逃がす理由は無い。捕らえて尋問するまで。四人が一斉に踏み込もうとした、まさにその時。

 

「悪いが、お前たちに構っているほど暇じゃないんでな」

「ッ、待っ──!」

 

 逃亡を察知した烈が飛び出す。伸ばされた手が掴むより数瞬早く、龍真の姿は消え失せた。

 

『久しぶりに話せて満足した。じゃあな』

 

 そんな声が木霊した。




幽寂:本名、司馬龍真。四葉家の素体となった司馬空哉の兄。とある娘と結婚し子を成すが魔法師として機能しなかったため見切りをつけた。その後、件の子は姓を司馬から司波に変え、一般人として暮らすことになる。
 息子、孫と魔法師としての芽が出なかったがひ孫である龍郎が魔法師としてこれ以上ない素質を持っていたために、交流会で彼を見つけたときは内心狂喜し、その素質を見たいということで元々の崑崙法院からの指示を無視して龍郎を拉致した。龍郎にブラックホールやホワイトホールの魔法を使わせるため、何らかの細工を施したとされる。


余談:作者が力尽きたので大漢側は描写出来なかったので委細は省きますがとりあえず連中は滅びました。艦隊を動かしたことで戦力も分散され、かつ四葉と七草の合同部隊だったため、四葉側の死者六名、七草側の死者八名の計十四名。

次回、大漢編エピローグ
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