助けた女の子に「責任を取りなさい」と迫られてる件   作:萩月輝夜

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九校戦編ラストです。
※激甘注意。
ダンスシーンは筆が乗りすぎて書き込みすぎました。
若干R-17要素あり。

感想&高評価ありがとうございます。誤字脱字報告も合わせてありがとうございます。

このイチャラブの奔流についてこれる読者様だけついてこい下さい!


九校戦編⑪

最終日を待たずに九校戦優勝は第一高校に決まったが祝賀パーティーは明日へ持ち越された。(因みに”モノリス・コード”の際も新人戦優勝した時に日付をずらす、と告げたときブーイングが来たらしいが無視された)

 

明日は本戦の”モノリス・コード”決勝トーナメントが開催される。

当然ながら第一高校は予選一位で通過しており参加選手とCAD調整のスタッフは其どころではなく…だったが他の選手達と技師達は手隙となっているのは事実であり”ミラージ・バット”での優勝により第一高校は総合優勝しその立役者である深雪を中心としたプレ祝賀会的な意味合いのお茶会がミーティングルームで開かれていた。

 

仕切りは鈴音と真由美、参加者は女性選手とスタッフ達…と男子もいないわけではないが微妙に居心地の悪さを覚えているのかひっそりと会場の隅で紙コップをもって優勝を喜んでいた。(男子の成績が悪い為)尚二年生、三年生の男子の姿が見えないのは明日の競技準備で忙しいためである。

 

この場に幹比古と美月とエリカがいるのは深雪が強引にミーティングルームに引っ張ってきたからである。(レオも誘われたが居づらい、という理由で断られた。)

そして本来であればいない筈の達也と真夜がいるのは朔也がこの場にいるからだろう。

達也と深雪、そして真夜と朔也が固まってコップをかちり、と合わせ乾いた音が響いていた。

 

「達也お疲れさま。これで漸く休むことが出来るな」

 

「ああ。明日は観戦させて貰おう。競技に関しては当然の事をしたまでだ…其に深雪が上手くやってくれたからな」

 

「おめでとう深雪。とっても綺麗だったわ」

 

「ありがとう御座います。狐坂さん。兄のお陰で優勝することが出来ました」

 

今回の試合での労いを交えていると少し離れたところにいたエリカ達が近寄ってくると続々と一年生女子九校戦メンバーが集って来て話せなかった試合の内容や結果を褒め称えていた。

その中で朔也の話題(モノリスコードでの結果)を真夜へ振ると嬉しそうな表情を浮かべていたのを他生徒が見て一同は思った。

 

(((((狐坂さんって本当に紫ノ宮君の事が好きなんだなぁ…)))))

 

転入してきて数日でバカップル…と言う不名誉な事で有名な二人だが面識の無いクラスメイトや同級生からは少し近寄りがたい印象を与えていた(知り合い達は普通に接している)が今回の件で自分から過剰なまでに朔也を持て囃したり自慢したりはせず静かに「私の恋人は凄いでしょう?」と後方彼女面(ガチ)と雰囲気で漂わせているのを見て認識が変化していたと同時にあの甘ったるい空間を作る犯人が皆の中で一致していた。

 

(((((一番悪いのは紫ノ宮くんだね…無自覚でやってるのがタチ悪いよ…)))))

 

一方でそんな視線を向けられているとは露知らず、朔也は普段と同じような緩い雰囲気を出しながら注がれたジュースをくぴくぴと飲んでいた。

 

「其にしても朔也くんの魔法すごかったよねぇ…あれって古式魔法なの?」

 

「…まぁ系統としては、かな?」

 

少し言い淀む朔也を見て深雪が助け船を出した。

 

「こら、エリカ?人の魔法を詮索するのはマナー違反よ」

 

「うえっ…ごめんごめん。でも気になるでしょ?」

 

その言葉にこの会場にいる全員が「確かに…」と頷いたが朔也が使っていた魔法に興味を持っていたがその本人が笑みで「教えないよ?」と物語っているので聞きに行く猛者はいなかった。

 

歓談が進むなかで達也は真夜へ本日の事を報告し明日、改めて風間達と報告をすることを伝えると耳打ちした。

 

「達也。少し耳を貸しなさい」

 

真夜へ近づき耳打ちするその声は他人には聞こえないがその内容を聞いた達也は少しだけ驚いた。

 

「………………宜しいので?」

 

「ええ。朔也さんは余り乗り気では無いらしいけど構わないわ。下手に国防軍に目を付けられるよりよっぽどマシだしね?」

 

「承知しました」

 

選手達の健闘を称える普通のプレ祝賀会は、就寝時間も近くなりお開きとなった。

 

◆ ◆ ◆

 

達也単独の”無頭竜”横浜ビル長距離狙撃も烈の風間への達也に感心する話題も無く終わった翌日の九校戦最終日。

本日”モノリス・コード”本戦の予選と決勝戦までを行い夕方に閉会式、そして七時からパーティーが行われる。

 

「応援にいかなくて良いの?」

 

「大丈夫です。未だ時間はありますから」

 

藤林に問われ、口に含んでいたお茶を飲み干した後に返答した。

達也は翌日の任務の件で、ホテルを別に取っていた風間の部屋を訪れていた。

その風間の部屋の台所を使って、藤林は達也へ食事を振る舞っていた。

 

「フルーツサンドを作ってみたの。美味しく出来ていると良いんだけど…」

 

「少尉の謹製、となれば隊内のメンバーが羨ましいと悔し涙するかも知れませんね」

 

少しだけ表情筋を緩めて返答する達也に対して、藤林は笑みを溢す。

 

「あら?達也くんいつの間にそんな落とし文句を言えるようになったのかしら」

 

「クラスメイトのせいかもしれませんね…でも藤林さんの手料理を頂けるのは嬉しいのは事実ですから」

 

呼び出した部屋の主は別件で出払っており、待つ間に二度目の朝食をご馳走になっていたのだが、食べ盛りの達也にはフルーツサンドがデザートに追加された程度では苦にならなかった。

 

「どうかしら?」

 

「…しっとりとした食パンに甘さ控えめの生クリーム、酸味のある果物達…非常にバランスが良く美味しいです。少尉は料理も上手いんですね」

 

真面目な顔で食レポする達也が可笑しかったのか、藤林は笑みを溢す。

其を見た達也が「なにか不味いことを言ってしまったのか?」と考えていた。

 

「ご馳走さまでした」

 

「お粗末様でした」

 

お茶を再び淹れてもらい一息ついていると、別件で出払っていた風間が真田と柳をつれて戻ってきたのを確認し立ち上がり敬礼すると、二人へぞんざいに返答し、手振りで席へ着くように命じた。

その場には独立魔装大隊の主要メンバーが揃っている。

 

早速昨日の任務の労いの言葉とその結果内容の報告を交えつつ会話が始まった。

達也が魔法での対人長距離狙撃を成功させ、国際シンジゲートである”無頭竜”日本支部を物理的に壊滅させたことが、話題に上がっていた。

そして件の組織が魔法師を材料としている魔法演算増幅装置である”ソーサリーブースター”の供給源であることを知らされ達也は、見えにくいながらも苦い顔を浮かべた。

 

そんな悪逆非道な魔法師を魔法師とも思わぬ組織の壊滅への足掛かりとなったことに、多方面からの感謝の言葉が来ていることを風間が伝え、一旦は報告会を終了したが別の話題が急浮上し、達也に話題を振った。

 

「お前の学友に紫ノ宮朔也という少年がいるが…彼は将来どんな職に就くのか、とは聞いたことがあるか?」

 

その話題を出されて達也は真夜に言われたことを思い出し、「予測していたこと」が的中し少し思案したが、直ぐに意識を切り替える。

 

「いえ…特には聞いておりませんが。少佐は気になるので?」

 

「ああ。先日での試合で見せた精神干渉系統魔法…確か《セフィロ・アリエス》と言ったか?強制的に戦意を奪うというのは凄まじい魔法だ」

 

「事実、既にA級指定されていますからね…拠点攻略での無血開城するには持ってこいでしょう」

 

真田がその話題に食いついて来た。

 

「私も声を掛けてみましたが…断られてしまいました」

 

「藤林が声を掛けてもダメだったとは…よほど警戒心が強いのか慎重だったか。其にしても試合で禁止された精神干渉系の他にも、一条将輝に喰らわせた魔法もなかなかものだった」

 

藤林が残念そうにしていると、柳が意外そうな声をあげる。

あれ程までに広域の精神干渉を扱える、そして一条に喰らわせた別の魔法の評価も高い。

軍人となれば戦力は一線級のものとなるだろうが、素質と本質は別物だろうと達也は判断する。元より彼は戦いを…血を見るのは好まない。真夜を守るためにその血を被っているだけで、その力を他人のために振るおうとは絶対にしない。そう、彼は真(・)夜(・)の(・)守(・)護(・)者(・)なのだから。

だからこそ、普段彼と関わりのある達也は所感を上司へ伝えた。

 

「戦えるだけの実力はあります。ですが彼は争い事と言った荒事は得意でない、とそう自分で明言していましたが…」

 

「ほう?だがあれだけの力をもってすれば血を見ずに相手を無力化させる事も可能な筈だ。其だけの実力を埋没させるのは惜しいな…」

 

暗に”達也の方で声を掛けてくれ、もしくは勧誘ししてくれないか?”と提案されているのだがその風間の問いかけに達也が返答する。

その言葉に、名前を告げた其にこの場に集う上官達の顔色が変化していた。ある意味での”鬼札”であった。

 

「彼は”四葉真夜”の庇護下にある人物です。下手な勧誘は止めたほうが宜しいかと…思われます」

 

◆ ◆ ◆

 

「おーい達也。こっちこっち~」

 

風間達のと談合を終えて試合会場へ戻ると声が聞こえそちらへ視線を向けると、何時ものような笑みを浮かべ此方に手を振っているのを確認し、足を向け大人しく最前列の席へ隣り合うように着席した。

 

「遅かったね」

 

「ああ。少し込(・)み(・)入(・)っ(・)た(・)話(・)を(・)し(・)て(・)い(・)た(・)。其で遅くなったんだ」

 

そう告げると、柔和な笑みのままなのは込み入った話、ということで国防軍絡みの話題だと言うことを察して、普段通りにしてくれているが…勘違いしているだろう。

 

「(そう言えば…出掛けていたのは風間少佐とあって昨日の報告会をしていたからか…だったな)そうだったんだな」

 

達也が来たことを確認し、試合開始前の競技会場に視線を向けていた。

 

「……(伝えてくれたようですわね)」

 

「…(はい。叔母上。風間少佐にお伝えしました)」

 

一方で何時ものように隣に座る真夜が達也へ顔を向け視線で話しかけてきたので頷く。

その反応に真夜は満足したのか、朔也と同じく試合会場へ向いていた。

 

叔母から聞いた話だが、提案した”四葉家の庇護下にある”という手を朔也は使いたくなかったらしいが、今回の九校戦で目立つのは避けきれない、と判断して真夜が押しきった形となるだろう。

其よりも達也は叔母の世間体が「若いツバメを囲っている妖艶な権力者の女性」として見られるのではないか?と危惧しているようだったが、そこまであの上官達は邪推はしないだろうと判断していた。

 

「どうしたの?」

 

「いや…なんでもない」

 

「?」

 

考え事をしていた朔也を見ていたのに怪訝な表情を浮かべられたので強引に天気の話題を出して気を反らすことに成功したようで、真夜と会話をしているのを見て内心でホッと息を吐いた。

 

(なんでもない…か)

 

上官達に告げたのは『紫ノ宮朔也は一時期、祖父に引き取られる前に孤児院にいたことがあり、その孤児院は四葉真夜が投資していた慈善事業の一つだった…その縁で幼少の頃の朔也と知り合い彼は覚えていないが、類い稀なる魔法師としての素質を見出され裏で支援しており、現在進行形で朔也は其を知らない』、と。

 

(…と朔也が聞いたら問い詰められそうだが…俺の技能も知らない事になっているので、此方の方が都合が良いかもしれない)

 

何れは何処かで知られるのだろう…と達也は他人事のように考えながら試合会場へ視線を向けると、丁度選手が入場してきた。

第一高校と第九高校の対戦カードとなり、奇しくも新人戦と同じものとなり、対戦校である九校は雪辱戦もあるのだろうが、闘志が燃えているように感じとれた。

第一高校のメンバーは服部に辰巳、そして十文字克人という屈指の実力者だ。

その面子を見た朔也が呟いた。

 

「それにしてもなんだけど…やっぱり高校生の競技に”十師族”が出るのは反則じゃないかな…」

 

「その十師族を倒した男が何を言うんだ…」

 

少し呆れ気味な達也の視線を受け苦笑いを浮かべるしかない朔也を尻目に、第一試合が開始された。

 

◆ ◆ ◆

 

結果としては第一高校は対峙する相手校を歯牙にもかけないほど圧倒していた。

 

「流石は第一高校の生徒、と言うべきでしょうか…どれもレベルが高いものですわね」

 

「服部先輩の魔法の使い方と辰巳先輩の運用方法は見習う部分がある…十文字先輩も言わずもながな…殆ど一方的だったけどね」

 

真夜は第一高校の上級生のレベルの高さに素直に感心し、朔也は使用された魔法とその使用方法に「良い見本だなぁ」と思うと同時に、一方的な試合運びに流石は十師族…と少し引いていた。

 

「プライドでしょうね。新人戦で朔也さん達が優勝したのだから、先輩である自分達が負けるわけにはいかないでしょう?」

 

「其もそうだね」

 

他人のように呟く朔也に対して真夜は「他人事ではないでしょうに…」と呆れた素振りを見せたというが其はさておき。

 

「次の試合まで時間があるな…十三時。お昼を取るにはちょっと早すぎるかも」

 

「其でしたら冷たいものでも頂きにいきませんこと?丁度出店でアイスクリーム屋さんがありましたので」

 

「良いね。それじゃあ行こうか」

 

試合が終わると同時に朔也は真夜の手を取って観客席を後にする。

何時ものように自然な流れでエスコートする姿を見ていたクラスメイト達は「良いなぁ…」と呟き、他生徒達は妬みと羨望の眼差しで見られているのを感じ取った達也は、「またか」と若干呆れ浮かべながら達也も深雪とほのか、雫三名の美少女を引き連れているのをそれが他人の目からどう映るのかをすっかりと失念してアイスクリームを買いに向かったのだった。

尚美味しそうに食べている同級生を見る朔也の目線は、完全に親戚の優しい叔父さんだったという。

 

◆ ◆ ◆

 

”モノリスコード”決勝戦ステージは『渓谷ステージ』に決定した。

その事を伝えるために真由美は選手控え室へ向かっていた。

ただ決定したことを伝えるためならば生徒会長である真由美がわざわざ足を運ぶ必要はない筈なのだが、文字通り事(・)情(・)が(・)違(・)っ(・)た(・)為である。

 

「対戦ステージが決定したわ。でも…その前にちょっと良いかしら?」

 

真由美は克人を別室へ呼び出して二人きりになる。

色々と勘ぐってしまいそうな雰囲気だったが、二人ともそう言ったものではないと理解していたため普段通り…いや、少し表情が固く会話の場を設けるために別室に遮音障壁を形成し、真由美は立ったまま克人は着席しその要件を告げた。

 

「父から暗号メールが届いていたわ。師族会議からの通達よ」

 

「ほう?」

 

「その様子だと十文字くんには来ていないのね」

 

「ああ」

 

「…一昨日、朔也くんに一条くんが倒されたでしょう?」

 

「……それで?」

 

「十師族は日本の魔法界の頂点に位置する存在。十師族の名を背負う魔法師はこの国の魔法師の中で最強で無ければならない…」

 

そう告げる真由美の声は皮肉っぽかった。

 

「…例え高校生のお遊びであっても、十師族の力に疑いを持たれる結果は放置することは許されない、だそうよ」

 

「あの試合はお遊び、で片付けられるレベルではなかったがな。それを言うなら俺も朔也に膝をつかせられていたぞ?」

 

「十文字くん…」

 

本当なのか冗談なのか分かりづらい彼の表情と淡々とした声色に真由美は思わず頭を抱えてしまう。

 

「冗談だ。つまり十師族の強さを誇示するような試合を師族会議は望んでいる、ということだな?」

 

「ええ…こんな馬鹿馬鹿しい事を十文字くんに押し付けたくはないのだけれど…」

 

「いや、むしろこれは十文字家時期当主である俺が一人で処理することだ。気を遣わせて済まなかったな」

 

「いや、別にその事は良いんだけど…」

 

真由美は珍しく本気で行き場の無いなんの意味もない愚痴を溢した。

 

「ホント、馬鹿馬鹿しいったら…朔也くんが傍流であっても十師族の血を引いているのならこんな三流喜劇に巻き込まれなくても良かったのに…」

 

克人は真由美の愚痴に対して反応して見せた。

 

「確かにな…奴はこれからも十師族の思惑に振り回されるかもしれない。七草…俺は紫ノ宮が数字落ち(エクストラ)ではないかと疑っている」

 

「…朔也くんが?………確かにあれほどの魔法力を持っていても不思議じゃないけど彼は一般家庭の子の筈よ?」

 

真由美も春先の模擬戦で克人に膝をつかせた朔也の事を調べようとしたが…未だその事に手はつけていなかった。

 

「紫ノ宮…”四”ノ宮だとすれば?四の家系に属する魔法師なら精神干渉系に高い適性を持つのも頷けるが」

 

「彼が”四葉”…?そんな…でも…そうだとしたら…」

 

真由美は「信じられない…」と呟くが克人は腕を組んで静かに目を閉じている。

 

「隠しているのか、本当に知らずに無関係なのか…どちらかは分からんが俺は後者であると考えている」

 

「だとすれば突然変異ということ?」

 

「ああ。魔法の才能を考えるのなら出来れば十師族の傍流であった方が助かっただろうな。でなければあの三校での決勝戦で見せた領域干渉装甲の強度…下手をすれば十文字家の”ファランクス”に匹敵するかも知れんな」

 

克人が告げたその言葉は彼の声色の重さと共に真由美の耳に届けられた。

 

「十文字家の…?」

 

”鉄壁”と呼ばれた十文字家、その時期当主となる克人にそう言わしめるとは。

本当に朔也はいったい何者なのだろうか…と真由美は思考の海へ入っていきそうだったが克人が立ち上がったことで阻止された。

 

「一先ずその件は置いて置くべきだ。それに…あれ程の装甲魔法を見せられれば当家の”鉄壁”の名が廃る。任せておけ」

 

感情は表に出さず、そう答えたのみだった。

妙な勘違いをしたまま話が進んでいく。

 

◆ ◆ ◆

 

”モノリスコード”本戦決勝第一高校対第三高校。

奇しくも決勝戦の対戦カードは色々と因縁のあり良く言い換えれば「宿命の対決」なのだろうが、実際は準決勝以上に一(・)方(・)的(・)な試合運びであった。

 

新人戦で一条将輝が第九高校にやったことをそっくりそのままやり返されている状態となっており、選ばれた”渓谷ステージ”にて相手校の選手達が氷の礫や崖を砕いて岩を落とす、沸騰させた水を勢い良くぶつけたり…と地形を行かした攻撃が正面に立つ克人に向かうが、そのどれもが展開した障壁によって阻まれていた。

 

あらゆる種類の攻撃が幾重にも展開された障壁によって阻まれる十文字家の”秘技”である『ファランクス』。

敵の攻撃を弾きながら克人は一歩、また一歩と続々と発動し更新し、続ける障壁を展開しながら敵へ向かっていくその姿は、相手にしてみれば”巨大な城壁”が迫り来るようなものであった。

 

手を緩めれば反撃が来る…その強迫観念が相手選手を突き動かした。

 

迫り来る魔法を前にして怯まない胆力と障壁を維持し続けるその”息継ぎ”と言える魔法力の高さは、他の魔法師と隔絶した実力を誇る。事実、相手選手三名は既に息が上がって疲弊していたが、対する克人は疲れも息切れも見せてはない。

 

そしてお互いの距離が十メートルに差し掛かった時、遂に克人の歩みが止まった。

彼は歩みを止めた一歩を踏み出すのではなく、地を蹴り巌のような体が宙を舞い自らに加速・移動魔法を掛け障壁を縮小化し、ショルダータックルの要領で相手選手へ突撃すると身体に接触し、後方へ吹き飛ばされる。

 

連鎖するように克人は停滞すること無く相手選手を吹き飛ばした後着地し、地面を踏みしめ再び飛び込み二人が倒された後、最後の三人目に向け突進した。その巨体を弾丸のように発射し、相手選手は対抗する手段を持たず最後の選手が倒され、”モノリス・コード”決勝戦は幕を閉じた。

一校の総合優勝に花を添える、完全な勝利であった。

 

◆ ◆ ◆

 

試合が終了し拍手に応える克人へ、周りの観客達と同じように拍手を送りながら朔也は先程の光景を思い出していた。

 

「…圧倒的と言うか一方的だったな」

 

拍手しながらそう呟くと真夜が反応して見せた。

 

「あの実力であれば次期当主も問題ないでしょうね。現当主は体調を崩されているという話ですし。今は彼が代行として動いていますから」

 

「(だからあんなに険しい表情をしてるんだな…未だ高校生なのに四十代の見た目)しかし、実際に”ファランクス”を向けられたことあるけど怖かったな…」

 

春先の演習場での模擬戦を思い出して苦笑する。

その件に関しては秘密にしていたが達也経由で聞いていた真夜は「そんなこともありましたね…」と思いながら観客達に紛れ歓声に応えるように手を上げる克人を見た。

 

(一条家の跡取りが朔也さんに負けた。例えそれが”学生間の競技”であったとしても事実十(・)師(・)族(・)の(・)嫡(・)男(・)が(・)敗(・)北(・)し(・)た(・)…という真実に変わりはない。思う者は思うでしょうね…十(・)師(・)族(・)の(・)魔(・)法(・)師(・)は(・)弱(・)い(・)の(・)で(・)は(・)無(・)い(・)の(・)か(・)?と。)

 

だからこその決勝戦を単騎で相手校を蹂躙…とまではいかないが圧倒したその試合運びは師族会議…ひいては日本魔法界を満足させるものだっただろう、と真夜は判断していた。

 

しかし、一方で彼女の心はある意味で満足していたが不満もあった。

 

(まぁ…私の朔也さんが最強なのが真実。体面というのは大切ですから…良いでしょう。今は公然と口にするのは難しいですが…何れはですが…本当に今の立場はがんじがらめですわね…)

 

流石の真夜も今の状況で朔也との関係を口に出来るとは考えていない。

出来ることなら田舎でひっそりと二人で身分を隠して子供は最低三人欲しい(男の子と女の子二人)と大型犬が飼える庭付き住宅で暮らしたいが…夢のまた夢だろう。

 

(それに四葉分家の皆さんの説得も必要ですし。すんなりと行かないものです…)

 

ちょっぴりその事を考えて溜め息をつきそうになったが、脳内だけで押さえた。

 

◆ ◆ ◆

 

九校戦全日程が終了し閉会式を迎える。

新人戦優秀者として深雪が表彰され総合優勝を果たした第一高校は優勝旗を克人が掲げていた。

残すは閉会式後の労いのパーティだけとなったのだが、ここで朔也と真夜はこの大会の健闘を讃える言葉を観客席で聞きながら駆け引きの事を考えていた。

 

(恐らく十文字先輩が余計な一言を言ってくるだろうからなぁ…此方から見(・)せ(・)つ(・)け(・)る(・)か(・))

 

(朔也さんにはもっと大胆になっていただきませんと…此方から仕(・)掛(・)け(・)ま(・)す(・)か(・))

 

二人の盛大な策略がパーティの場で発動しようとしていた。

 

◆ ◆ ◆

 

十二日間にも及ぶ激闘の後は労い…というわけではないが開会式の時は違い緩やかな空気が流れ、本当の意味での”パーティー”が開かれていた。

若いティーン達が互いの勝ち負けに無関心、というわけには行かなかったが真剣勝負の後の緊張感を漸く解放されたからか何時も以上にフレンドリーになっているようでドレスコードは各校の制服で色別の制服を着用した生徒が歓談し食事を楽しんでいるのが見て取れた。

 

「…初日とかだったら全員バチバチだったんだろうな」

 

「ええ。その事を考えたら選手に選ばれなくて良かったと思います」

 

パーティ会場にてホテルのシェフが腕を振るった料理がバイキング形式で並べられており、朔也と真夜は人目のつかない会場の隅にひっそりと二人並んで飲食を楽しんでいた。

手にしていたグラスを空にして言う。

 

「…お酒があれば文句無いんだけど」

 

「もう朔也さんったら……私たちは”高校生”なんですよ?」

 

「ははは。ごめんごめん」

 

そう嗜めながらも少しは同意できるところがあったのか、その言葉は優しいものだった。

 

「しかし…深雪も人気者ね」

 

「深雪凄いよね…イヤな顔もせずに大人、というか淑女じみた対応をしてるんだから。これも教育の賜物か…」

 

視線の先には他校の関係者、大会主催者、会場提供した基地の幹部、大会を後援しているスポンサー…までは理解できるが、こともあろうことか、芸能プロダクションのエージェントと思わしき人物が纏わり付いているのを少し離れた所から達也が、「どういう事だ…?」と少し苛立ちを見せながら睨みを効かせているのが見て取れたが、その隣にマネージャーのように付き従う鈴音が不躾なアプローチからガードしているのを確認することが出来ているので、心配は要らないだろう。

 

「朔也くんもご苦労様だったな。試合見ていたぞ?」

 

「あら、渡辺先輩。お体の調子は宜しいのですか?」

 

そうしていると近づいてくる気配を感じてそちらを向くと摩利が声を掛けてきたので、怪我の具合を真夜が確認すると、腕を少し上げて元気なのを示した。

 

「ああ。未だ激しい運動をするわけには行かないが日常生活を送るには問題ない、と医者からのお墨付きだ」

 

それはお墨付きといえないのでは…?と朔也はツッコミたくなったが、ふと彼女は今年で九校戦に参加するのは最後なのだ。不慮の事故があって悔しい思いをしているだろうが、彼女は”渡辺摩利”なのだから弱いところを見せたくないのだろうな、と自己解釈し余計な事は口にしなかった。

 

「それなら良かったです。心配していましたのよ?」

 

予想外の言葉に虚を突かれた形となった摩利だったが、直ぐ様何時ものような様子に戻った。

 

「まぁ朔也君や狐坂も真由美と十文字に無茶難題を吹っ掛けられた被害者だからな。私が言うことではないんだろうけど今日のパーティは楽しむと良い。君たちのお陰で総合優勝が出来たお礼代わり、と言ってはなんだがね」

 

「ええ。せっかくの機会ですし楽しませて頂きますわ」

 

真夜が返答すると、摩利は「それではな」と告げ人混みの中に戻っていくと、他校の生徒達が近づいていくのが見えた。

男子よりも女子生徒が多いのは彼女が同性にモテるのからだと知っていたが、実際に目の当たりにすると凄いものを見た、と朔也は感じていた。

 

「(所謂…宝塚系美女で同性にモテるのは分かるけどあれで”乙女”だからなぁ…まぁ原作でも人気がある女性キャラだったし。まぁ俺は一目惚れした人がいるから目移りなんてしないけど)なかなか難儀な人だなぁ…渡辺先輩も」

 

「そうですわね…最後の九校戦でまさか裏で牛耳っていた国際シンジゲートの策謀に巻き込まれるとは。渡辺摩利の”ミラージ・バット”を見てみたかったのですが…不運としか言えませんわねぇ…」

 

不運、という言葉に朔也は同意し頷くしか出来なかった。

 

◆ ◆ ◆

 

お偉いさん方が退出しホールには生徒達だけが残った。

あるものは食事を楽しみ、会話を楽しんでいる者達…益々和やかに緩い空気が広がっていた。

ホールの前方にあるステージ上で管弦の音が響き始めたのは主催者の熱意に少年達は直ぐ様応えた。

ここまでに懸命に話術を駆使して他校の生徒、及び同校の気になっていた女子達の手を取ってホール中央へ歩みを進めた。

 

煌びやかなドレスでないのが残念だが、制服というものは冠婚葬祭に使うことが出来る万能衣装である事は疑いようがない。(魔法科世界の制服は色鮮やかなので使用できるのかは分からないが)

女子生徒の制服はインナーケープがターンの度にくるりと翻り、ドレスに見劣りしない煌びやかさを誇っていた。

 

当然ながら深雪の元には数多くの同校または他校の男子生徒が詰め掛けていたが、声を掛けるのが気後れしているのか、誰一人として声を掛けられずにいる状況だった。

一方で突如として現れた謎の美少女である真夜に対し視線が向けられ声を掛けようとする少年達も多くいたのだが、朔也が滲み出る威圧感で近づけずにいた。

 

「…おや?」

 

「あら?」

 

真夜の手を引いてそろそろ踊ろうと思うと、朔也と真夜も見知った顔が深雪と達也に近づいているのを確認し足を止めた。その会話を聞くために耳を立てた。

 

「二日ぶりだな一条将輝」

 

「むっ。司波達也か」

 

二人が気さく?な挨拶をしている。

 

「体の方は大丈夫か?」

 

「ああ。心配は要らん。それにしてもお前には大会中手を焼かされたぞ”モノリス”メンバーには特に。…紫ノ宮朔也アイツは本当に何者なんだ?」

 

本来なら勝者からの気遣いの(自分達を負かしたチームメンバー)言葉など不快でしかないのだが、将輝は紳士的であり友好的な返答をして相手の実力を評価して見せた。自分を負かした、と言わないのは男としてのプライドがあるからだろう。

 

達也は肩を竦めて見せた。

 

「俺も良く分からん。心優しい良い奴だとしか言えないが…」

 

「なんだそれは…兎も角今度あったら次は負けないさ。お前にも…奴にもな」

 

「ああ」

 

そう告げ達也と不敵な笑みを浮かべる将輝は握手する。

握手する際にお互い力を込めて「ぎりり…」と鳴っているの聞いて朔也は苦笑する。

潔く気持ちの良い歓談に深雪はその光景をみて笑みを浮かべる。そこで本来では(原作を知っている朔也だけだが)あり得ないやり取りが繰り広げられていた。

 

「ん、んん…?司波…司波?もしかしてだが司波…お前と司波深雪さんは兄妹なのか!?」

 

「今ごろ気がついたのか…?」

 

達也は将輝に対して「嘘だろお前…」と隠す気の無い呆れ顔を見せる。

 

「くすっ…一条さんは私とお兄様が兄妹には見えなかったのですね」

 

呆れ顔の達也と一条の反応が面白かったのか、口元を隠しニコニコを笑みを浮かべる深雪を見て少し顔を赤くした将輝は咳払いし口にしていた。

 

「あ、いや……んんっ…し、司波さん、自分と一曲お相手願いませんでしょうか?」

 

咳払いし息を整えてから将輝は恭しく、深雪に向かって一礼する。

 

「此方こそ。宜しくお願い致します。一条さん」

 

深雪も作法通り一礼を返して、差し出された手を取った。勿論笑顔で。

 

「一条の奴やるな……(あのチキンボーイがやるじゃない。つか男前度が上がってないか?)」

 

「…深雪さんを簡単にはあげませんわよ?」

 

「…それはそう。欲しければ俺と達也を倒していけ、って言う?」

 

「それは幾らなんでも理不尽が過ぎません事…?」

 

少しだけ叔母の側面を見せる真夜の意見に叔父となる朔也も同意見であった。

そして達也も女性からの申し込み(ほのかや雫、真由美等のヒロイン達)が多く慣れないダンスで疲労困憊になっているのが見えて二人で声を殺しながら笑った。

 

(やるなら今だな…)

 

(仕掛けるならこのタイミングね…)

 

少しの時間が経過しついぞ暖めていた”作戦”が発動した。目的は違えど本質は一緒だったのだが。

二人は向かい合い予め打ち合わせしていたかのように動き出した。

 

◆ ◆ ◆

 

彼はそっと右手を差し出し、手のひらを上に向けて何時ものような人の心を落ち着かせる微笑みを向けていた。

その所作には何時も以上に洗練された優雅さがあった。

 

「麗しいお嬢さん、次のワルツを私めに預けていただけませんか?」

 

色白ながらも男としての力強さに溢れた彼の手が私の目に触れて、その指先はぶれること無く差し出された。

 

「私のステップを狂わせない自信がおありなら喜んでお受け致しますわ」

 

いたずらっぽく微笑みながら彼の二色の目を見つめ返す。

差し出された手をわざとゆっくりと自分の手を重ね、彼のリードの腕前を試すように挑戦的な目を向けた。

 

管弦の曲がホールに響き渡り互いを手にした二人は緩やかにワルツの旋律に乗せられ、床の上を滑るように進む。二人の足音がぴったりと重なり、一つの生き物になったかのような錯覚を覚えた。

 

肌が触れ合う手のひらから、彼の情熱が伝わってくる。

耳元を掠める衣擦れの音が音楽よりも大きく心臓に響いた。

 

一つ、また一つ。大きな旋回。

遠巻きに二人を眺める観客の影も煌びやかなシャンデリアの光も、全てが高速で流れる色彩の渦へと変わっていく。

世界から音が消え、ただ彼の呼吸と私を導く確かな腕の強さだけが世界の全てとなった。

 

「何処で習ったのかしら?」

 

「父親にハワイで教わったんだ」

 

「ふふふ…冗談がお上手ね」

 

「君を喜ばせるなら冗談も上手くなきゃ」

 

冗談交じりの説明に私は微笑を浮かべる。

彼がステップを急かすように、私の腰を引き寄せ身体が密着する。その熱はより大きくなった。

シャンデリアの光を浴びて彼女の制服のインナーガウンがふわりと大きな百合の花が開くようにふわりと広がった。

 

彼のリードは強引に見えて驚く程に滑らかであり、まるでお互いが引き寄せ合うように私の体は彼のステップに同調していく。

次のステップを踏んだ時私の腰を引き寄せた。見上げた彼の赤と紫の瞳に赤く染まった自分の顔が映る。

彼の温もりと抗うことの出来ない甘い眩暈に身を任せながら情熱的なワルツを踊った。この夜が永遠に終わらなければ良い、と願っていた。

 

しかし、無情にも音楽は最後のクレッシェンドを迎え華やかなファンファーレと共に幕を閉じる。

ピタリ、と二人の動きが止まった。

 

パチ…パチパチパチパチ…!

 

止まった世界に、遅れて拍手と歓声が流れ込んでくる。

その音で私は自分が夢の世界から現実へと引き戻されたことを知った。

彼の手が、私の腰からゆっくりと離れていく。触れていた箇所が信じられないほど熱く、痺れたように疼いている。

衣服を隔てて触れ合っただけの彼の胸板の硬さや、男らしい体温が、未だ掌に焼き付いて離れない。

 

彼は一歩下がり、胸に手を当てて完璧な一礼を捧げた。その端正な顔に先ほどまでの情熱は嘘のように消え、何時ものような紳士的な柔和な微笑が戻っていた。

 

「素晴らしいダンスをありがとう、私の可愛いお嬢さん」

 

そう囁く彼の瞳は、もう、私の赤くなった顔を映していなかった。ーー表向きは。

 

「……意地悪。そんな風に突き放すように呼ばないで」

 

私はドレスの裾を引いて優雅にインナーガウンを返しながら彼にしか聞こえない程の囁き声で抗議した。

離れようとする彼の指先、ほんの一瞬だけ爪を立てるように強く握り返す。周囲の拍手に紛れ込ませて、私は彼を小さく睨み見つめ呟く。

 

「私の心臓、未だこんなに煩いのに…。ねえ、貴方にとって私は、本当にただの『かわいいお嬢さん』のままですか?」

 

見上げた彼の潤んだ瞳が、彼の完璧な紳士の仮面にピキリとひび割れさせようとしていた。

彼の喉仏が、一瞬だけ酷く熱を帯びたように大きく上下した…気がした。

 

「……手厳しいね。そんな瞳で見つめられたら、紳士の仮面を守るのも命がけだよ」

 

困ったように笑う。けれど何時も以上の意地悪な、けれども酷く甘やかな笑みを唇に浮かべた。

周囲の耳を意識するように、彼はわざとらしく一歩距離を取る。しかし、私を見つめるその二色の瞳の奥には、普段の優男からは想像できないドロリとした濃い独占欲が隠しきれずに揺らめいていた。

 

「君がただの可愛いお嬢さんでないことを、俺が一番良く知っているよ。…だからこそ、大切に、段階を踏みたいと思っているのだけど…」

 

彼は私の手を取ってホールの中央から一歩踏み出した。

 

「そんなに急かされたら…俺もこれ以上、我慢強い男を演じるなんて出来なくなっちゃうよ。でも今は学生同士。もう少し待って欲しいかな」

 

そう告げる愛しき恋人の鋼の理性に悶えながら身を焼く焦れったい熱の感触を楽しみ腹いせ、と言わんばかりに彼に腰を抱かせ周囲へ見せつけるように歩き出す。

 

「…でも、覚悟しておいてね」

 

一歩を踏み出した時、そう不意に彼に呟かれて私の心臓は早鐘のように激しく打ち鳴らしていた。

 

(ひぅ…ッ////)

 

彼らのやり取りを聞かれてはいないものの、腰を抱いて会場を後にするという状況を見たホールに残った生徒達のほとんどが顔を真っ赤にした。

 

(自重してくれ…朔也、叔母上…!!)

 

(は、破廉恥です…!朔也さん、叔母様…!!こ、こんな公衆の面前で…!)

 

達也は呆れたような表情を浮かべ、深雪は顔を真っ赤にし見つめている。

 

一方真由美とあずさ達はと言うと、平静を装ってはいるものの内心は動悸が早まり「あわわ…」と顔を真っ赤にしていた。摩利に至っては「やってくれたな…」と言った感じに。勿論顔を紅くしていた。

 

本来であればここで克人が十師族に勝利したことの意味を問う筈だったが、流石の彼も空気を読んでいた…と言うよりも朔也へ「十師族の女性と付き合え」とは言えなかった。それ程までに二人が愛し合っている事を見せつけられ、流石の克人も人の恋路を邪魔して馬には蹴られたくはなかったのだ。

 

斯くして不本意?ではあったが巻き込まれ競技に参加する事となった朔也は、克人への牽制と真夜の夜会のダンスの思惑は上手いこと重なって成功し、二人に夏の思い出を与えるのだった。

 

◆◆ 九校戦編 完 ◆◆




朔也は克人の「お前は十師族の女性と付き合え」と言われる前に真夜との情熱的なダンスと見せつけるかたちでホールを出ることで牽制すると言う手段で回避。

真夜は真夜で手を出させたい為大胆なダンスを提案→朔也にやり返されて真っ赤になってお持ち帰りされた。(勿論手は未だ出していない。出されてない。ヘタレではなく意識的な問題。口付けして寝るぐらいで我慢してる。此方は我慢の限界近いが会場で掛けられた言葉で脳のキャパがオーバーフローして気絶。此方は此方で暴発しないように自身に精神干渉系統魔法を使い無我の境地に至りそう。無理ゲー)

風間達は報告会で達也からそう聞かされて「あの少年に手を出すのはやめておこう…」となってる。割りと警戒されてるかも?

九校戦から真夜様を参加させるとしたらどの年代が良いですか?

  • 十二歳ぐらい(中学生ぐらい)
  • 十六歳ぐらい(主人公より少し上お姉さん)
  • 本編(よりは若二十代それで制服を…)
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