助けた女の子に「…責任を取りなさい」と迫られてる件 作:萩月輝夜
イチャアマの話数を出すとお気に入りが減るという…。
まぁ誤字脱字が多いからでしょう。本当に申し訳ない…。
お気に入り&高評価、コメントありがとうございます。
今回の夏休み編は真夜と絡みがなかった一校メンバーとの交流になります。(あと若干深雪が不憫枠。)
BBQが終了し、様々なイベントを終えて北山家の至れり尽くせりな大浴場でのお風呂を済ませた一校の女子メンバーたちは雫に割り振られた広々とした客室にパジャマ姿で集まった彼女たち、さながら修学旅行の就寝時間を過ぎても会話…『恋バナ』へと突入していた。
「ねぇねぇ、真夜ちゃん!」
「なにかしら?」
ふかふかのベッドの上で、エリカがクッションを抱えながら身を乗り出してきた。その隣でほのかが目を輝かせ、近くにいる雫、美月が興味津々に耳を傾けている。(この直前にほのかが達也へ告白して見せるが同じ理由で断り、というか保留状態になっておりどうやったら達也に好きになって貰えるのか恋人もちの真夜に話を聞きたい。)
因みに余談だがエリカもレオも最初こそ「さん」付けだったが慣れてきたのか呼び捨てや「ちゃん」付けで呼ぶようになった。それはさておき。
「いっつも学校…と言うか今日も見てて思うんだけどさー、真夜ちゃんって朔也君に対して一途って言うか、もう信仰に近いレベルでベタ惚れじゃない?二人って、一体何処でどうやって出会ったのよ。最近再会できた、とは最初の頃に聞いていたけど朔也君の何処に惚れ込んだわけ?」
直球の質問に、パジャマ姿の真夜は少し驚いたように丸い目をパチクリさせた。
一校のメンバーは、二人の出会いを『数ヵ月前の偶然』だと思っている。まさか三十年以上前に、本来であれば彼女の人生が狂わされる筈だったあの
「わ、私も二人の馴れ初め、すっごい気になります!」
ほのかの追求に、真夜は困ったように微笑み、部屋の隅で静かにハーブティーを口にしている深雪へと視線を向けたのは助けを求めたからか。
しかし、深雪はある程度の事を知らされていたが「朔也は本当は転生者である」と言うことを知らない。
真夜の心中を察したが意趣返し、と言う意味か(応援しておりますわ、叔母様)とニコリ、と微笑むだけだった。
(あっ…深雪…!こうなっては…仕方ありませんわ)
無情?にも援軍は来ないことを理解したため真夜は覚悟を決めて漆黒の髪をさらりと揺らし、膝の上で両手をきゅっと握りしめると、愛しい人を思い浮かべるように目を細めた。
「……切っ掛けは、私の…一目惚れなの」
「ええっ!?真夜ちゃんからのアプローチだったの!?」
「意外でした、そう言うのは朔也さん自分から行かれるものかと思っていました…」
エリカと美月(普段の惚気っぷりからの)予想に反した答えに、女子部屋がにわかに沸き立つ。
「ふふ、そうなのです。……少し昔のお話になるのですけれど。私、まだ本当に幼かった頃に、取り返しがつかないような、とても恐ろしい大事件に巻き込まれそうになったことがあったの」
真夜の言葉に、エリカや雫の表情が少し真剣なものへ変わる。
「周囲の大人たちも諦めて、私自身、もう世界から見放されてしまってもうダメなのだわ…って絶望して心を閉ざし掛けていたその時でした。ーー彼が、朔也さんが、たった一人で私の元へ駆けつけてくださったの」
真夜の瞳に、熱い光が灯る。
脳裏に蘇るのは、手術台の光、機械の駆動音に拘束する手枷と下卑な男たちの笑い声に自らの股を開かせようとする不快な感触ーー。
同時に思い返すのは舞い上がる突風に、此方を案じる二色の眼とただ自分を救い出すためだけに単身で突撃してきたあの愛おしい少年の私を抱き締める人肌の温もりだ。
「彼は名誉の為でも、義務でもなく、ただ『私を助けたい』という一心だけで、命を懸けて地獄のような場所へ飛び込んできてくれました。……彼が私の手を握って、『もう大丈夫だ』といってくれた瞬間、私の世界は彼の色に染まってしまったの。だから……一目惚れ、ですわね」
「うわぁ…。それはズルい、少女漫画よりもロマンチックじゃない…」
「本当に『小説よりも奇なり』なんて事があるんだね…」
エリカが完全にノックアウトされたように溜め息を漏らし、雫は感心し美月とほのかは「そんなの、絶対好きになっちゃいますよ…!」と胸をときめかせていた。
「でも…だったらなんで付き合い始めたのが高校に入ってからなの?話を聞く限りだとそんなに昔から両片想いだったってことでしょ?」
雫の鋭い指摘に、真夜はほんの少しだけ寂しげに、だけど何処か誇らしげに目を細めた。
「それが、彼は少し…いえ、かなり無茶をされる方で。私を安全な場所に送り届けてくれた直後、張り詰めていた糸が切れたように倒れてしまったの。私を救い出すために、単身で無数の敵と戦って…その体は生死を彷徨う程の大怪我を負っていたの」
「えっ…」
「そんな…」
ほのかと美月が小さく悲鳴を上げ、エリカや雫が息を呑んだ。
『神様の手によって原作開始時間軸まで強制的に飛ばされた』という壮絶な事実を『生死を彷徨う程の大怪我を負って覚醒するまで時間が掛かった』という言葉に置き換えていた。他校の同級生として不自然はないし年齢の辻褄も合うし、空白期間の理由としても完璧な説得力を持っていた。
「一時は本当に、もう目を醒まさないのではないかと言われる程重篤で、医療の設備が整ったとても遠い場所でずっと療養を余儀なくされていたの。……でも彼は私との約束を守るために、奇跡的に目を醒まして、過酷なリハビリを乗り越えて戻ってきてくれた。そして彼は、春先に転入した第一高校の校舎で私を見つけてくれたのよ。ふふ、再会した瞬間の彼の慌てようといったら、本当に傑作でしたわ。まさか私が、彼の体の心配をしながら、同じ学校の同級生として転入してくるなんて夢にも思わなかったでしょうね」
愛おしそうにクスクスと笑う真夜を見て、エリカ達は「そっか…そんなに命がけで真夜ちゃんを…」「朔也くん、普段優しげな表情をしてるのに熱血漢だったんだね…」と、驚きと深い感動で完全に納得して胸を熱くしていた。
魔法による偽りではなく、命がけの救出劇という『事実』をベースにした真夜の告白。
一校のメンバは「なんて一途で、命を懸けた純愛なんだろう」と感動に浸る中、全てを察している深雪だけが、心の中で静かに、そして盛大に突っ込みを入れながらハーブティーを口に運んでいた。
(…本当に、何食わぬ顔で綺麗にお話を纏められましたわね、叔母様。実際には朔也さんは掠り傷負わずに、叔母様を助け出し…そして移動魔法でこの時代に一瞬で飛ばされたというだけだというのに。
ーーいえ。それ以上に大変だったのは私とお兄様ですわ。)
春先の出来事を思い出しながら遠くを見つめる深雪。
私たちの秘密を知るものなのかと警戒していたが、その実彼は叔母の命の恩人且つ一目惚れしていた相手だったと聞かされた時は、兄共々椅子からずり落ちそうになったからだ。
(あのときの叔母様の必死なポーカーフェイスとその裏の『早く会いたい、抱き締めてほしい』という少女のような大パニックっぷりを間近に観測させられた私たちの苦労も、少しは加味していただきたいものです。今ではあんなに朔也さんにベタ惚れで、先週の九校戦最後のダンスパーティのときもそうですが今日も海の一滴の自重もなく甘えられていたのですから、本当に人騒がせな叔母様ですね…)
嘗て世界を変えた英雄と、それを三十数年間待ち続け、再会時に必死の演技を見せた可愛い叔母。二人のスケールが大きく、何処か微笑ましい純愛の真実を思い返しながら、深雪は少しだけ、遠い目をせずにはいられないのだった。
◆ ◆ ◆
深夜、北山家の別荘は静寂に包まれていた。全員が遊び疲れ又は気疲れで眠ってしまっている為だ。
そんな中で俺はこっそりと別荘から抜け出し、日中に皆の目を盗んで二人っきりの時間を過ごした、あの突き出た大きな岩壁の影へと足を運んだ。
日中に真夜から「本当の意味での二人っきり、夜の水着デートに参りませんか?」と誘われたからだ。
昼間の賑やかさが嘘のように静まり返った暗がりに、寄せては返す波の音だけが優しく反響している。
水面に反射する柔らかな月光の中にその少女は佇んでいた。
「遅いですわ、朔也さん。待ちくたびれてしまって、夜の海へ飛び込んでしまうところでした」
振り返った真夜の姿に俺は思わず息を呑んだ。
彼女が身に纏っていたのは昼間のロイヤルパープルではなく、あの日「刺激が強すぎる」と一度は却下した筈の黒のマイクロビキニだった。
いつ買ったのか?と疑問が脳内を駆け巡るがその答えに辿り着くのは簡単だった。
複合施設での数分ほどだったが分かれた時間があった筈だ。恐らく、と思考が到達する前に目の前にその漆黒の布地を纏う真夜がいた。
「ま、真夜さんそれは…」
「…貴方が…着て欲しそうにしていましたので…私、頑張りましたのよ…?」
おねだりされて買ったわけではない。
彼女が『夜の女王』としてのほんの少しの悪戯心と背伸び、そして「貴方を驚かせたい」という一途な乙女心から、こっそりと自分で購入しに戻ったのだろう。
昼間の高貴で優雅な深紫とは異なり抜けるような白い肌に映える、極限までに布地を削られた漆黒のファブリック。
十六歳相応の瑞々しく健康的ではあるが、女性として魅力的すぎる肢体を包み込むには些か心もとないデザインは、一見すれば扇情的で下品と言われかねないが、今の真夜はそれを完璧に着こなし息を呑むほどに美しい少女と女の境界線ギリギリのラインが、夜空を吹き抜ける岩陰の中で鮮烈に浮かび上がっていた。
「どう、かしら…?なんだが、貴方の視線が熱くて、直視されると動けなくなってしまいそうだわ」
真夜は波の音に恥ずかしさを隠すように、自身の細い腕でそっと身体を隠すようにしながら、上目使いで俺の反応を窺ってくる。頬はほんのり桜色に染めて、潤んだ瞳でじっと感想を待つ様は、等身大の色気よりも大人の妖艶さが勝っていた。その光景を見て喉がへばりついているような感覚すら覚え唾を飲み込むのすら痛い、と感じる程だ。
「すごく、綺麗だ。驚いたけど…それを着こなせるのは真夜さん。君だけだよ」
そう告げると真夜は緊張が解けたように嬉しげに微笑むと、白い砂浜を蹴ってトトトッと小走りに近づき、迷うことなく俺の胸に飛び込んできた。細い腕が俺の首に回され、心地よい体温と、お風呂上がりの甘い香りが岩壁に反響する潮風に混ざって優しく鼻腔をくすぐった。
「…私の世界から貴方が消えてしまった時…私は自分の未来さえ全部真っ暗になってしまったように感じていました。でも…貴方は本当に私の元へ戻ってきてくれた」
「真夜さん…」
胸に顔を埋めたまま、真夜が愛おしそうに、だけど少しだけ力を込めて腕を引いた。
「だからね、朔也さん。もう絶対に私の前からいなくならないで。もしまた私の手を離そうとしたら…本当にお仕置きですからね?」
「約束する。もう何処にも行かない。そして君を守る。ずっと真夜さんの隣にいる」
彼女の腰をしっかりと抱き寄せ、その誓いを証明するように、満点の星々と月明かりの下でお互いの額を優しく合わせ、静かに微笑み合った。誰も見ていない、誰も知らない、昼間と同じ秘密の岩陰での穏やかな甘い時間は、誰にもバレることなく、静かに更けていった。
◆ ◆ ◆
「いい、朔也君!?真夜ちゃんはね、あんなに命懸けで君のことを想い続けてくれてたんだからね!もし少しでも泣かせるような真似をしたら、アタシが剣術で真っ二つにするからね!」
「(?なんの話だ……って真夜さんあの事話したのか。”カバーストーリー”を…口裏合わせておかないと)わかってるよエリカ。真夜さんを泣かせる真似はしないさ」
翌日の午後。北山家の別荘を後にクルーザーに乗り込んだ際、昨晩の恋バナで完全に感極まったエリカから、胸ぐらを掴まんばかりの勢いで釘を刺されていた。(胸ぐらは掴まれていない。詰められただけ。)
隣ではほのかと美月が「朔也さん、真夜さんを絶対に幸せにしてくださいね…!」と何故か感涙を浮かべてハンカチを握っている状態になっていた。
「(真夜さんマジでなに言ったの…?)ああ。勿論」
事前に打ち合わせしていた内容より盛られている気がしなくはないのだが、今は確かめる術はない。
漸くエリカからの詰問?から解放されそれぞれが帰路に就くため駅へ送り届けようとしたが、朔也達は車を手配していたためここで解散となる。(手配してるのは隠しているが四葉家の車両と運転手)
「ふふ、エリカさんも皆さんも、ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。…朔也さんは絶対に約束は守る方ですから」
お出掛け用の清楚なサマードレスに身を包んだ真夜は、一校の仲間たちの前で、これ以上ない可憐で無害な笑みを浮かべていた。その完璧な擬態っぷりに、俺の隣にたつ達也は相変わらずのポーカーフェイスで口を挟むこともなく、ただ一言。
「朔也、早く車に乗ってくれ。これ以上エリカ達に絡まれると帰りの渋滞に巻き込まれる」
「ああ。そうだね。じゃあみんなまたね」
一校の仲間に見送られながら手配された車へ乗り込む。
助手席に達也が座り後部座席に朔也を挟み込むように深雪と真夜が乗り込むと車が動き出した。
車が動き出すと美しい海岸線が窓の外を流れていく。昨日からの船旅に始まり、スイカ割りにビーチバレー、水上バイクでのアクティビティ。そして夜の恋バナ。魔法による認識阻害を使わずに一校の面々に四葉の招待を隠し通した疲労は、思いの外大きかったらしい。
「すぅ…すぅ…」
ふと気がつけば、俺の右肩にこんこんと眠る真夜の頭が預けられていた。
すやすやと規則正しい寝息を立てる彼女の顔は、ただの責務も重責もない只の愛らしい少女そのものだった。
更に、俺の右肩にはーー。
「う………ん…………」
小さく身じろぎながら、深雪がそっと頭を乗せてきていた。
真夜の「惚気すぎ暴走」に四六時中ハラハラし、エリカ達の鋭い勘を逸らすために周囲への気遣いを限界まで張り巡らせていた深雪。一番胃を痛めていた彼女もまた、限界を迎えたようで眠りについていた。
「(深雪にも感謝を伝えないとな…)…あ」
両肩に伝わる、二人の大切な少女達の心地よい重みと温もり。
俺が身動きを取れずに苦笑していると助手席に座っていた達也が、静かにルームミラー越しに後部座席へ振り返った。
「………」
「いい加減にしろ」と呆れられるかあるいは妹への過保護さを発揮する筈の達也だったがーーミラー越しに映る彼の表情は驚くほどに穏やかだった。
自分の命を救ってくれた、世界で一番大好きな恋人の隣で、なんの憂いもなく幸せそうに眠る叔母・真夜。本当は傷つく筈だった過去の悲劇を消し去られ、今こうして『普通の女の子』として遅めの恋を謳歌している彼女の寝顔は、本当に穏やかだ。
そして日々の張り積めている重責から解き放たれ、とある事情で男性に対して潔癖な所があり隙など見せない筈の妹が安心しきって無防備に眠る妹・深雪。
「…静かに走らせてくれ。二人とも随分と疲れているようだからな」
そう告げると運転手に小さく手で合図を送り、車内の空調の温度を少しだけ上げるように指示を出した。
達也の低い、けれども優しい声が車内に響く。
(達也にも…お礼しないとな)
それを聞いた俺は両肩の温もりを愛おしく感じながら差し込む夏の柔らかな夕暮れの日差しの中で、これから始まる一校での賑やかで甘い日常へ思いを馳せていた。
朔也…今すぐ手を出したいけど婚前行為は流石に不味い。待ってくだち。
真夜…朔也から迫って欲しいので色々誘惑してくる悪い子。サキュバスだこれ。(声的には某キャスターかアーチャーな小悪魔。)
深雪…今回の不憫枠。(自重してください叔母様、朔也さん)でも一人の女の子をたったひと
りで助けに向かった行動と叔母に関しては色々可笑しくなるが真面目?なので心の何処かでは父親より父親らしい人物として無意識に慕っている。
達也…苦労人。憤慨する深雪と暴走する叔母と朔也を諌めるのが仕事。今回の別荘イベントでほのかから告白されたのをきっかけに感情があれば俺も二人の関係のようになれるのだろうか?と思案したりしなかったり。(ただしバカップルは勘弁したい)
九校戦から真夜様を参加させるとしたらどの年代が良いですか?
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十二歳ぐらい(中学生ぐらい)
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十六歳ぐらい(主人公より少し上お姉さん)
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本編(よりは若二十代それで制服を…)