助けた女の子に「責任を取りなさい」と迫られてる件 作:萩月輝夜
横浜騒乱編①
近年、オートメーションが進んでいる湾岸施設は一定の人員がいるだけでほぼ無人であった。
その為、夜間は岸への接岸は禁止されているはずのなのだが、日本籍に偽装した外国船が密かに接岸し、日付も変わろうかとしている深夜、大勢の邪悪な気配を漂わせていた。
『五号物揚場に接岸した小型貨物船より不法侵入者が上陸。総員直ちに五号物揚場へ急行されたし』
短波無線に届いた指令に私服警察官は顔を見合わせること無く現場へ急行した。
しかし、その現場へ向かう二名の警察官の表情は対照的であった。
「やれやれ、やっぱりあそこか。」
「ぼやいている場合じゃないですよ!警部!」
「しかしね、稲垣くん」
「つべこべ言わずに走る!」
「俺は君の上司なんだがね?」
「歳は自分の方が上です!」
「やれやれ…」
年上の部下に対して適当な感じに答えながら、朔也の同級生の兄である千葉寿和警部は足の回転を早め、部下である稲垣警部補と千葉警部は、700Mもある現地点から三十秒程で到着した。
両名共に魔法師であった。
駆けつけているのが自分達だけということに気がついた寿和はぼやいた。
「やっぱり人手不足だよなぁ…」
「魔法犯に対応できるのが魔法課の刑事だけですからね!」
「本当は、そうでもないんだけどなぁ…っと!!」
緊張感の無い会話を皮切りに寿和警部は高く跳躍した。
その手には一般的な反りの少ない直径1Mほどの飾り気の無い普通の木刀。
空中で滞空しながらサプレッサーがついたサブマシンガンを三点バーストで速射してくるテロリストの攻撃を柳のように回避し、密入者の生け垣を飛び越え援護魔法を仕掛けてきている魔法師三人をただの木刀で殴り倒していた。
一方で稲垣警部補は、サブマシンガンを持つ密入者相手に拳銃で打ち倒している。
素早く魔法師を片付けた寿和警部は挟撃する形で稲垣警部補と共に援軍を待たずして侵入者を制圧した。
「警部、船を抑えましょう!」
「えっ?俺が?」
「づべこべ言わない!」
コントでもしているのかと錯覚するような掛け合いに、たった今密入国している者達と戦っているようには到底思えない雰囲気さえあった。
だが、流石に敵を逃がすようなことをしないのは仕事人としての性なのかもしれない。
「わかったわかった。じゃあ稲垣くん船を止めてくれ」
「…自分では船を沈めることになるかも知れませんよ?」
「そのときは俺じゃなくて課長が責任を取るよ。」
「…『俺が取る』とは仰らないんですね?」
その発言にガックリと肩を落としながら、武装一体型のCADのリボルバーにケースレス弾を再装填する手付きに迷いはない。
稲垣警部補がグリップ底部のスイッチを押すと、バレルに内蔵された標準補助機構がホロスクリーンとして展開した。
引き金を引くと同時に魔法が炸裂し、貫通力と威力を向上させたメタルジャケット弾が離岸する小型船舶船尾を撃ち抜き爆発させた。
小型船舶は動力源を破壊され、惰性だけで動いている状態になっている。
「流石だねぇ稲垣くん、お見事」
呑気な称賛を口ずさむが、パチンと金具が外れる音が聞こえた。
木刀…ではなく仕込み杖。白刃が夜闇に煌めく。
義経の壇之浦八艘飛びといわんばかりに千葉警部が小型船舶に飛び移る。
鋼鉄の船舶扉は千葉一門の秘剣「斬鉄」によって切り裂かれた。
次々と船舶内部に突き進む千葉警部は獲物1本を手に捜査を始めた。
◆ ◆ ◆
「お疲れさまです警部」
「全く…骨折り損のくたびれ儲け、とはまさにこの事だねぇ。」
時刻は空が白み始めてきており千葉警部はまさに他人事のように呟いた。
勇んで船のなかを突き進むがもぬけの殻で船底ハッチが開いており、恐らくはそのハッチより潜水して何処かへ脱出を果たしてしまったようだ。
沈没中の密入船は稲垣警部補と千葉警部の攻撃のお陰で沈没の速度が早まってしまい、今はもう湾内海底に沈んでしまった。
特段手がかりになるようなものはなく、後で課長に叱責を食らうと考えると気が重くなったが、そのときの自分に投げることに決めた。
「逃げた賊の行方は未だに不明です。足取りはまだ掴めていないようですが…」
「まぁ、潜伏しそうな場所は分かりきってはいるんだがねぇ」
危うく沈没に巻き込まれそうになった千葉警部は、その一躍を担った年上の後輩の物言いたげな視線に肩を竦め、朝日を背に西へ視線を向けた。
◆ ◆ ◆
時を同じくして。
千葉警部が目を向けていた埠頭からそれ程離れていない場所には、横浜の観光地として知られている全国的に有名な繁華街があった。
その街の表からは見えない井戸がある裏庭では、傍らに一人の青年が佇んでいる。
井戸の壁がかちりと音を立てて引っ込むと、連続して壁が崩れていく。その中から全身ずぶ濡れのウエットスーツを着用した男達が一人、二人と次々と這い出してきて、総勢十六名の男達が集結した。
その這い出てきていた姿を一人の青年、身形を整えた若い男性が微笑を浮かべながら見ていた。
ずぶ濡れの男の一人が酸素レギュレーターを外し素顔を見せる。
まさに「悪人」といった人相の男だった。青年が声を掛けた。
「皆様、着替えてお寛ぎを朝食を用意させておりますので」
そう青年が言うと、先程レギュレーターを外した男が答える。
「周先生、ご協力を感謝いたします」
さして感謝など微塵も感じさせない感情が映った言葉であったが気にも留めず、にこやかに笑みを浮かべるだけで十六人の男達を引き連れて建物の内部へと入っていくその時、庭の入り口には仕立てられた白スーツを着てハットを被った男が腕を組み、入って行く男達をもたれ掛かりながら一瞥すると、無愛想な男が怪訝な素振りを見せたが、壁にもたれ掛かった男は特に反応をしないでいると、青年が代わりに返答していた。
「そちらのお方は協力者の方に御座います」
そう告げると一応の納得はしたのか、男達は建物内部へ改めて入っていた。
裏に青年と謎の男だけが残った。早朝の鳥の囀りの中で人の声が響いた。
「…あれが送ってきた兵隊どもか」
ポツリ、呟くと此方へ向かってくる青年に壁にもたれ掛かった男が声を掛ける。
「ええ。事を起す為の事前準備、適切な人物だと…そう判断したのでしょう」
「少数精鋭、か……まぁ戦力的には申し分ないだろう。大陸側も本気ということか。俺もやるべき事があるからな…利よ、もとい協力させて貰うとするか」
(今、『利用』と言い掛けましたね…)
嫌味ではなく率直な感想なのだろうと、青年は少しだけ口角を上げた。
「閣下の分も用意させております。此方へ」
スーツを着た青年が建物内部へ戻ろうとする時男へ向き直る。
その男は「お、そうか」と少し嬉しそうにして壁から離れ青年の後をついていく。
「あのむさ苦しい男達と食事を取る気にはならんが…お前の店の飯は旨いからな。相伴に預かろう」
◆ ◆ ◆
国立魔法大学付属第一高校で新生徒会が発足して一週間が経過していた。
生徒総会及び生徒会役員選挙にて様々な問題があったが、流血沙汰もなく発足した新生徒会は業務を遂行している。
真由美が生徒会長であったとき特例で朔也と真夜が食事処として利用していた。(職権乱用であったがお気に入りだったため使わせていた。しかし朔也と真夜がイチャイチャし過ぎてテロだったため、隔離の意味も込めて利用)
その食事会はなし崩し的に慣用化されたものであり、二人はそれを望んでいたわけではなく新生徒会が発足してから食堂を利用していた。しかし、案の定というべきか、九校戦の最後のパーティで『情熱的なダンス』を見せつけ、学内では『糖度計すら破壊する程の最凶カップル』という名誉?な渾名をつけられた朔也と真夜は、深雪と達也の監視の元に食堂を利用することとなった。(正直食堂を利用しなくとも屋上で食事でもよかったのだが、監視する司波兄妹がいないと永遠に甘い風を産み出す元凶と化す為)
そんな中暦の上では十月中旬に差し掛かろうか、としているときそろそろ論文コンペの準備が着々と進んでいた。
そして大亜連合による横浜襲撃事件『横浜騒乱編』のタイムリミットが近づいてきている。
本来であれば、平河小春が先の『九校戦』にて担当選手に怪我を負わせてしまったという理由で精神的な体調不良を理由にメンバーを降り、鈴音が達也へ声を掛けてメンバーにという流れだったが、小春の担当選手は事故無く競技を終了し、その直接の技師は自信喪失をしなかったが九校戦で目覚ましい活躍を見せた達也へ学校側と論文メンバー…ひいては小春の強い要望もあってか、入れ替わりという形で達也がメンバーに選ばれたようだ。
そんな学生生活を送り、授業が終わって秋の風が吹き肌寒くなってきた頃の夕暮れ時。
以前はアパートに住んでいたが、生徒会役員選挙が終わった辺りで引っ越しをして、都内から少し離れた家族用のマンションを購入し、今は二人で住んでいる。
前と同じように真夜と隣り合って座っており、ここで知識共有をしていた。
「達也さんが論文コンペのメンバーに選ばれたみたい。確かここから事件が動き出すのよね…」
「そう、1-Gの平河千秋が姉の小春の自信喪失は達也のせい…と周公瑾にその隙を利用され論文コンペの準備を滅茶苦茶に、ってところかな」
だが、今回それは起こらないと言って良いかもしれない。その小春が達也をメンバーへ押し上げるのを推薦しているし、九校戦での実績で一目置かれる存在となった達也は、他生徒に声を掛けられる場面が見られた。
あくまでも想像論に過ぎないが。と一言添えて。
「ですが、それはなくなっている為邪魔されると言うことはなくなった訳ね。でも別方向の妨害がある可能性は?」
「…大亜連合の工作部隊、か」
大亜連合の特殊工作部隊のリーダーである陳祥山と呂剛虎が、何処からか情報を手に入れ勾玉(レリック)を強奪しようと動き出していたのも大きな要因だ。
だが、今回チャートが変更されているため本来とは異なるルートで『横浜騒乱編』へ繋がるだろう。
「達也にはそれとなく、念のために伝えておきましたが…それに話を聞いている限りでは、達郎さんの後妻が余計なことをするから面倒なことになったのですよね?」
そう、司波達郎の後妻である司波小百合が司波家に持ち込まなければこんなことにはならなかった筈なのだが…と考えていると、真夜が不機嫌そうな表情を浮かべていた。怒りを見せるのは無理もない。ましてや感受性が高くなっている少女の姿では歯止めが聞かないのだろう。
「姉さんが亡くなってから、半年もしないうちにあの男は後妻を娶って達也や深雪を放って自分達は悠々自適に暮らすなんて考えられないわ…あの男がそんな性格だったなんて知っていれば、お父様の決定なんか無視して結婚相手なんかに選ばなかったのに…!そもそもお父様もなぜ恋人がいる男を姉さんの伴侶に…」
怒りに顔を真っ赤にし肩を震わせている真夜の手を取って落ち着かせるように目を見た。
「落ち着いて、真夜さん」
「っ………ええ、ごめんなさい。少し感情的になってしまっていたわ」
「大丈夫さ…達也達の両親が彼らに愛情を与えないのなら、俺と真夜さんが与えてあげれば良いんだ…俺たち同い年だけど」
そう笑って見せると、先ほどまで怒りを見せていた真夜は何時もの表情に戻り、鈴の鳴るような音で笑い始めた。
「ふふっ…そうですわね」
その裏で静かに思考する。
四葉という名家に婿養子として迎え入れられ”破壊”と”再生”という神の如き力を
(そう言えば…達也の『再成』と『破壊』はどういった経緯で獲得したんだろう?)
ふと、気になることがあった。
本来の歴史を辿っていない真夜は世界に対して破壊や滅亡を望んでいない。ではなぜ達也は”最強”足りうる能力を獲得しているのか、と
「そう言えば…達也はどうして『破壊』と『再成』を使えるようになっているの?」
「あ、それは…」
そう問いかけると真夜は少し困ったように頬を掻いて視線を逸らした。
「真夜さん?」
「いや、あり得ないとは思うのだけれど…でも、それは関係ないと思うというか…」
「真夜さん」
慌てふためき視線を逸らす真夜への距離を縮め、逃がさないように腰を抱くと小さく息を吐き、追求逃れするのを諦めたのかなんとも言えない顔で説明した。
「…お姉さまが妊娠したときにお腹を触って『朔也さんみたいに強くてカッコいい良い男の子に育つように』とかお願いしてたけど…そ、そのくらいしか願ってませんからねっ」
「特別な処置はしてないってこと?」
「と、当然じゃないですか」
「願ったら生まれた達也がその二つを獲得してしまった可能性が高い…と」
そう言われ内心で苦笑した。
この魔法科の世界で”願い”というものはバカに出来ないものらしく、結果論かもしれないが原作で達也がその能力を獲得しているのをみると、真夜を救った所で根本は変わらない。そしてその能力の発現に自身が少なからず関わっているのを聞かされると、誰かを一人責めるというのは出来なかった。
「…突然、私の心を掻き乱した上でいなくなってしまった貴方にも責任があるのではなくて?」
『これが真夜を救った皺寄せか…』と幸せな皺寄せを甘んじて目の前にいる少女のジト目を受け入れるしか出来なかった。真夜は悪戯に笑みを浮かべる。
「…でも、ある意味で達也は精神的には私と朔也さんの子供になるのでしょうか?」
「年の近い子供は要らないかな…」
「それもそうですわね。まぁ愛らしい私の甥ですけれど」
そんな冗談染みた言葉を交わして暫くして、腰のホルスターに入っている【ブレイブ・ホライゾン】が鳴動したのを感じてソファーから立ち上がった。
「……さて、と少し出てくる。(カメレオプスからの連絡あり、か)」
「どちらへ?」
「少し、達也の所へ。今日にでも司波家に聖遺物を持ち込んでいるなら小百合さんが襲撃を受けているかもしれない。…それに少し気になることがあるからね。後で達也のところでご飯を食べようか。話したいこともあるし」
元々、達也の家で食事を取ろうかと学校にいるときに相談していたので不審な点はないだろう。
聖遺物を確認したいのもあったからだ。
「ええ。わかりましたわ。私も準備します。深雪に連絡をした方が良いかしら」
「お願い出来ますか?」
「分かったわ」
自分が存在する以上…何かしらの不確定要素が関わってくるだろうと感じていた。
そう言うと真夜は深くは聞かずに立ち上がり出掛ける準備をしてくれる。司波家とは数十分程で到着できる距離に位置しているので問題ない。
真夜が手早く着替えた後、黒のジャケットを真夜が羽織らせてくれた後玄関に向かいヘルメットとグローブ、ブーツを着用しマンションの駐輪場に止めているバイクに跨がって予想進路へ向かった。
◆ ◆ ◆
新築のマンションで肩を寄せあって熱々の痴話喧嘩?を誰に見せるでもない光景を繰り広げている一方で。
司波家にはその問題の人物である父達郎の後妻である司波小百合が訪問していた。
その姿に深雪は達也に体を隠すように後ろに移動するが、達也の一言に後妻の身体がビクりと落ち着きのない反応を見て、逆に落ち着きを取り戻した。
小百合を前にしてその場にはいないと判断し普段のように振る舞い、達也は「話があるから上に上がっていなさい」と命じて二階へあげさせた。
「では、ご用件をお伺いしましょうか」
「相変わらずあなた達は私の事が気に入らないようね」
「深雪はそうですね。実の母が半年で亡くなったというのに直ぐ様後妻を入れたとなれば、心の中にしこりを残しても仕方ないでしょう。大人びて見えてもまだ十五歳の少女ですから」
「あなたはどうなの?」
「さぁ。そのような感情に縁がありませんので」
そう告げると小百合は恨み言を此方へ向けてくるが、それこそ子供である自分達には関係のない話だった。
同情こそすれど納得できる話ではない。それが生前母親と秘密裏に恋人関係にあったとなれば尚更だ。
「それで?本日はわざわざ何のご用ですか?」
そう問いかける達也。小百合は本題の先延ばしを無意識に誘導していたようだったが、悟られないように自然に話題を再開する。達也は悟っていたが、指摘するほど子供ではない。そして彼女が告げた用件というのは、高校を中退し会社の研究室を手伝えという身勝手なものだったからだ。
断る理由など達也には幾らでもあった。深雪の護衛としていなければならない。もし遊んでいると言われても自分と第三課と協力した飛行デバイスの受注で、会社の利益貢献は今期だけでも二十パーセントのプラスになっているのですがと告げることも出来たが、その無理な用件を突っぱねるほどに強力な一言が達也にはあった。
「俺が高校に通い、深雪の護衛として一緒にいることは本家の
そう告げると小百合の表情に悔しいという色が浮かんでいた。しかし、彼女も「はい、そうですか」と引き下がれない理由があった。
「…じゃあせめて、このサンプルの解析を手伝ってくれないかしら」
そう言って小百合はハンドバックから大きめの宝石箱を一つ。そして三十センチ程の長方形のアタッシュケースを取り出し、慎重な手つきで二つの蓋を開ける。
まず始めに、中には赤い半透明の玉が一つ。その形は日本に住むものならば誰でも見たことがあるものだ。
瓊勾玉系統のレリック…出土先は不明であり話を聞く限り国防軍からかなり強引に複製する事を要望されたようだが、レリックはその性質上、現代技術では人工的な技術で構成すら出来ていないのが実情だ。
しかし、その事を知っている達也の鉄面皮を崩すには十分すぎる内容が小百合の口から告げられた。
『瓊勾玉には魔法式を保存する機能がある』
それが事実ならば達也の…四葉の、ひいては四葉真夜の夢である「魔法師が人として生きられる世界」へ繋がる研究が完成する一歩となるだろう。
しかし、複製が難しい聖遺物を軍から預かって「出来ません」では体裁が悪い。そして達也としてもその保存機能は確認しておきたいが、それを本社の意向で振り回されるのは勘弁願いたかった為、自身が所属している第三課に回しておいてもらえれば頻繁に顔を出すことが出来る…がそれを口にはしなかった。
しかし目の前の小百合はそれが看過できなかった。なぜなら、彼女がFLTの社内派閥の勢力を考える立場にあるからだろうと、社内政治に疎い達也であっても理解していたのだが…。
小百合も第三課が成功事案として手柄をあげるのを由としていないのは、自らの実績が上がっていないという証拠に他ならないからだ。
「それじゃあ…此方の方も見てもらえる?」
複製が難しい瓊勾玉…だけでなくもう一つのアタッシュケースを開きそれを見た達也は目を疑った。
「…これは…なんです?」
達也の目の前に出現したものは長い棒状の鉄塊だった。形状からしてみれば縄文・弥生時代の銅剣に近い見た目だろうか。そう考えていると、小百合が解析できない達也に少しだけ得意気に語る。それを聞いて達也は内心で驚いた。
「日本にある弥生時代よりも古い遺跡から出土した聖遺物…研究者達はこれを
「
改めてアタッシュケースに納められている鉄塊を【精霊の瞳】でまじまじと見つめる。
…良く見るとその形は”剣”なのだろう。刀身にはくすんでいる七つの結晶石…配置的には”北斗七星”だろうそれが埋め込まれており、それが想子やマナを通すレイライン…本来であれば武装としての役目がある刃がついており柄がある…しかし武装と言っても儀式で使うような短刀なのだろう。その見た目で神話神装と言われてもしっくりと来ない。
(能力までは分からないな…しかし、これが出土したCADの原型、というものなのか?)
祈りを捧げたり、悪しき者から魔を払うという使い方ならこの形が適しているのかもしれないが、戦う為には向いていないだろうと…それに。
(この神器からは朔也の持つ特化型CADと同じものを感じる…?何故だ?)
そう考えていると小百合がその鉄塊の説明をして見せる。
「…共に出土し残っていた文献にはこの神器にはこう記されていたみたい。『星々と民の悲鳴響き渡る時、その危機に応え我が身を刃として鍛える、ひとたびその刃が触れ、あるいは放つ光茫の照らす処、あらゆる呪術の根元より悉く断ち切られ、則ち滅ぶに及ぶ、一度紡がれた理もなく、永久に不変の虚無へ帰する也』とね…まぁ詰まる所」
小百合は苦笑して要点を説明して見せたそれは、達也の表情を変えるには十分すぎた。
「…これは相手の魔法を無力化することが出来る武装よ」
小百合が持ち込んだ二つの聖遺物は世界の軍事バランスを狂わせるほどの大きな力を持つものであり、お伽噺で片付けることはできなかった。
◆ ◆ ◆
結局のところ小百合の提案を達也は断った。
聖遺物の複製…瓊勾玉と神器は手に余るものだったが、その構造を模倣できれば実現の一歩に近づくため第三課にまわしてもらうように依頼したが、小百合はそれが気に入らなかったのか癇癪を起こして足早に司波家を出ていった。それを見送ると溜め息を吐いた。
「お兄様?」
「どうした」
その光景を二階に続く入り口から覗き込んでいる深雪の姿を確認し、苦笑しながら立ち上がった。
「叔母様と朔也さんから連絡があり『一緒に夕御飯を取りませんか?』と」
「叔母上と朔也から?…了解したと伝えておいてくれないか?」
「わかりました。お兄様はお出掛けですか?」
「…ああ。危機管理の足りていない女性のフォローに行ってくる。戸締まりをして留守番を頼む。夕食前には戻ってくるよ」
達也は脱いだブレザーとネクタイを深雪へ手渡すと不快げに眉を顰めた。
「…何処まで手を煩わせれば気が済むのでしょうかあの人は」
達也は「フォロー」に出掛ける理由を説明する
「生憎と見てみぬ振りは出来ないよ。小百合さんの持つ聖遺物は魔法式の保存…そしてもう一つは何処かの組織に奪われてはいけないサンプルだ」
その表情に納得の顔が浮かんだが、一層不快げに眉を顰めた。
「そのような事情があれば仕方がありません。お兄様、気を付けて」
「…お前も来るか?」
同じくダイニングで戯れていた《カメレオプス》と《ブレイドラ》がおり、達也が声を掛けると一匹が反応した。
達也は深雪へネクタイを渡し、黒のブルゾンを深雪に着せてもらい玄関へ移動してグローブとヘルメット、ブーツに身を固め肩に《カメレオプス》が飛び乗り外へ出た。
◆ ◆ ◆
案の定、というかやはり小百合はどこからか漏れていた聖遺物を奪取しようとしていた組織に襲撃を受け、犯罪者ご多用の黒い大型バンが進路上を防ぐように横付けし、スライドドアから黒尽くめの男が二名襲いかかろうとしていた場面に出会し、拳銃を『分解』し対峙する二人の人体急所を『霧散霧消』によって撃ち抜き、声にならない呻き声をあげて倒れ込んだのを確認し、小百合の乗る車両を確認していると、突如として胸が焼け付くような痛み…射撃を受けたのだと判断するには十分なモノだった。
車両を遮蔽物代わりにして達也は自らに『再成』を施し身体を再生させるが、痛みまでは誤魔化すことは出来ず、激痛の余韻で脂汗を流す。
今のスナイパーの仲間であろう襲ってきた黒服二名はふわりと浮かび、先程出てきたバンに吸い込まれるように格納されると逃走を許してしまった。
逃走を阻止したかったが、今は自分を狙うスナイパーの対処が先だと割りきった。
自らを穿った弾丸をベースに弾道線を予測、射手の位置を把握し達也は同じく千メートル先にいるスナイパーのスコープ越しに射手を見つけた。
向こうも驚いただろうが達也は躊躇いなくCADの引き金を引いて『霧散霧消』を発動した。
「やはりだったか…」
小百合が襲撃を受けるのは想定内だったが、魔法を使わずに1キロ地点からの狙撃を成功させるスナイパーが出てくるとは想像も付かなかった。魔法も使ってしまったため、後ほど響子にお願いして不正利用の履歴を削除して貰わないとなと考えながら、小百合の乗るコミューターを確認すると安全装置が作動し、挟み込むように保護されている彼女は”目”を通して見ても無事なことが分かり、一先ず駅まで送ろうと外部操作でエアバックを戻し、自動操作に切り替えようとしたそのときだった。
「…ッ!」
先程までいたコミューターの位置から飛び退くと、アスファルトが砕かれる程の威力が飛びかかる。何が起こったと確認するために攻撃が飛んできた方向を確認すると、そこには達也がよく知る現実の生き物とは異なっていた。
(馬…?いやUMA…幽馬というべきか…?)
そこには紫色の体躯に銀の甲冑を身に纏い四つの脚を炎を纏わせた怪馬がいたのだ。
『ーーーー!』『ーーーー!』『ーーーー!!』
「この感覚…廃工場の時と同じ…!一体何処から…!」
術者を捜索するが見当たらず、その間にも三匹の幽馬が嘶き、馬脚でアスファルトを踏みしめ突進してきた。その速度は優に八十キロを越えており、直撃すれば魔法師であろうとも即死は免れなかった。
しかし、一匹目を回避し二匹目を間一髪で避け三匹目は回避もまま成らず手にしたCADで『
達也が使用できる魔法で唯一対抗できるのがこれしかないと言えば、それまでなのだが…。
『ーーーー!』『ーーーー!』
回避しに成功していた一匹目と二匹目が既に攻撃体勢に入っているのを察知する。
このまま行けば目前にいる三匹の幽馬は入れ替わり立ち替わりで自らを蹂躙するだろう…どうするべきか、思考を巡らせていると一匹目が目前に迫る。再びCADを構え『霧散霧消』を発動しようとしたその時ーー。
『ーーーー!?』
突如として飛来した炎の鏃が幽馬に突き刺さり消滅する。連鎖するように背後から襲いかかろうとしていた幽馬も同じく炎に貫かれ嘶きが道路へ霧散する。
「ーーー援護は必要なかったみたいだな」
「だから言ったでしょう?必要ないと」
「…朔也?それに…叔母上も」
ふと、背後から声が掛かり振り返る。そこにはバイクに跨がり左手を突き出している朔也の背後にはバイクスーツを着用する真夜の姿があった。
◆ ◆ ◆
小百合を駅まで送り、聖遺物を押し付けられた達也は自宅に戻り、風間とコンタクトを取って街頭カメラと想子レーダーの反応を誤魔化すようにお願いした後、襲撃されたことを説明していた。
「1キロ先からの狙撃が出来るスナイパーを手配したり化成体のような魔法を使う術者が襲ってきたか……案外敵の組織は直ぐに割れるかもしれないぞ?」
風間の言葉は尤もだった。それほどまでに優秀な人材を用意できる組織は多くないだろう。
「よろしくお願いします」
「ん、ちょっと待ってくれ。先程襲撃に使われた車が見つかったらしい。此方で調べた上で処分するがいいか?」
「お手数掛けます」
そう告げて通信を切ってモニターの死角となっていたダイニングのチェアーに視線を向けると、腰掛けている朔也、そしていつの間にか真夜もマンションからやって来て深雪と共に台所に立ち、朔也と達也の食前を甲斐甲斐しく拵えていた。
深雪が身に付けるのはファンシーなデザインのフリフリなエプロン。真夜は朔也が送ったのだろうシンプルな赤いエプロンだ。並んで調理する姿はその実血縁関係は叔母と姪なのだが…姉妹に見えてしまっていた。
「……」
その光景を普段のように柔和な笑みを浮かべ微笑ましく見つめている朔也の前に質問をしようとしたが、真夜が「食事にしましょう」と配膳を深雪と共に進めたため、会話を取り止めた。
◆ ◆ ◆
食事が終わってソファーのある場所へ移動した。対面するのは達也と朔也。其々の隣には深雪と真夜が腰掛ける。
「朔也」
「どうしたの?」
「つい先程襲撃してきた男達が乗ってきたバンが見つかったと風間少佐から聞かされた。向こうの方で襲ってきた組織を調べてくれるらしい」
「そっか」
「それにしても、さっきは助かった。だがどうして彼処に?」
「ん?真夜さんご要望のスイーツを買いに出掛けていたらあの場面でバッタリさ…と言いたい所だったけど、さっきお前を襲っていた怪物の反応があってね…それで向かったと言うわけ」
そう告げる朔也。
「あの怪物はなんだったんだ?あれも召喚されたものだと?」
「あれ《ソウルホース》、”星魂魔法”の一つ。…あれがいるってことは術者が何処かにいる筈だったが…見なかったか?」
「いや、把握できる範囲にはいなかった」
「…達也の【精霊の目】でも把握できなかったのですか?」
達也の返答に真夜が驚く、達也も頷いて「そうです」と返す。
(”ソウルホース”が召喚されているってことは、大亜連合の中に俺と同じ魔法を使うやつがいるって事で確定か)
脳内で”蠍座”の術者の事を思い浮かべる。またしても、それが今回も関わっているのかもしれないと思い浮かべ、対峙することは避けられないと判断して意識を切り替える。
「それで?司波小百合が持ち込んだ厄介事のタネはどれだい?」
「…お前は俺たちの生活を覗き見ているのか?」
達也からそんな冗談が飛んでくるとは思わず微笑を浮かべる。
「そんなわけないだろう?向かう途中で達也が司波小百合を護衛している。彼女はFLTの部長で用件があってここを訪れた…で何か重要なものを狙って組織からの襲撃を受ける…と状況判断すれば自ずと答えに辿り着くさ」
それらしいことを言って突然来たことを誤魔化し、達也が納得したのを確認すると続けざまに質問した。
「それで?持ってきた…と言うか押し付けられたモノって言うのは?」
そう告げると達也はソファーの隣に置いていた袋から箱を
この時、朔也は記憶にある数よりも多いことに気がついた。
(?数が、多いな)
箱を開き瓊勾玉の内容を聞かされた…までは良かった。
二つ目に取り出した三十センチ程のアタッシュケースを開き、その形状を見せられた時に目を見開いた
「なんだこれ……?」
武器…なのだろうそれは、刃が欠けてみすぼらしい鉄塊となったそれが辛うじて短剣であり、七つの穴は北斗七星を模して刻まれたそれの存在…その名前を達也から聞いて思わず驚き口を開きそうになる。
(
朔也の様子を見て達也が怪訝な表情を浮かべていたが話を進める。
曰く、相手の仕掛けた魔法を無力化して精神干渉系統の魔法を無力化する能力を持つ武装…と言う話を聞いて確信が持てた。
(うーわ…普通に出土しちゃったのか…”グランシャリオ”…というか効果えげつないな)
精神干渉を無力化すると言う能力はどっから湧いたんだ?と聞きたくなったが、相手の仕掛けた魔法を無力化すると言うのは、元となったバトルスピリッツのカード…ブレイヴは所謂”装備カード”、正式名称は”銀河星剣グランシャリオ”は”バースト”と言う様々な条件で発動する伏せ札を破棄する能力がある。
「ん、なんだ…?って俺のCADが」
「朔也さんの【ブレイヴ・ホライゾン】が光っている…?」
(まさか…)
恐らくは其が元となっているのだろうと考えていると、突如として腰に差しているホルスターが鳴動し光り輝いた。
これは共鳴している…と朔也は自分のCADを取り出してデータストレージを外し格納されているデータカードをホログラムにして、”グランシャリオ”を取り出す。そこで一つ思い付いたことがあった。
「達也、この出土品に触れても構わないか?」
「構わないぞ」
達也は短く頷きその様子を深雪と共に見守る。真夜もまた其を見つめている。
「其じゃ遠慮なく…と」
聖遺物にデータカード化した”グランシャリオ”が近づく度に彩度が濃くなり、光が強くなる。共に赤色化した鉄塊に変化が見られ、僅に、ほんの僅に表面の錆が落ちていく。
手にしたホログラム表示したデータカードが聖遺物に近づいた瞬間、目映い光が司波家のダイニングに広がった。その光量は家屋の自動光減スクリーンが発動するレベルであり、達也達も目前を覆うか瞼を閉じた。
「一体何が…!」
「これは…?」
「眩しいですわね…」
各々が反応を見せ、視界を覆っていたものを外すと、そこには驚くべき光景が広がっていた。
朔也が手にしているのは先程のホログラムデータカードではなく、アタッシュケースに収まっていた赤色化した鉄塊は黄金色の刀身を持ち、七つの宝石が光り輝く北斗七星を描く宝剣…其に掲げるそれは本来の輝きを放ち、三十センチの刀身が煌めく。
突然の事態に達也と深雪は目を丸くして驚く。
「朔也、一体何をした…?」
「何をしたと言われても直感でやったらこうなったんだ。”こいつを翳せ”って呼ばれたみたいに」
そう告げてホログラム化したデータカードの『銀河星剣グランシャリオ』のイラストを見せると、二人は復元され朔也の手にある聖遺物を見比べ、これまた驚いていた。
「データカードのイラストと朔也さんが手にしている聖遺物は一緒ですね…」
達也は達也でカードテキストを細部まで確認していた。その中のテキストの一文を見て目を細める。
「テキストにある『バーストを破壊』?『創界神ネクサス』一体どんな効果なんだ…?だが、ここに”光導”の文言が入っている…その聖遺物は本来光導魔法を使う術者専用なのか…」
「折角だし試してみるか?こいつの能力を」
そう告げて朔也に達也は家の地下へ案内する。
「それじゃあまぁ…やってみますか」
広さ二十メートル程の地下空間に連れられた真夜達は、解放された聖遺物の能力を確認するために準備を施した。
空間内に設置魔法を真夜が光を操ってステルス状態にした地雷を各所に、その中を朔也が聖遺物を持って突破すると言うものであり深雪は勿論朔也は察知できていない。達也も【精霊の瞳】で確認しなければ視認が出来ない状態だった。想子が漏れでないように
聖遺物を装備した朔也が足を一歩踏みしめる。達也は設置している場所を【目】で確認している。事実、場所が分からないのか光学迷彩で隠された地雷がすぐ近くにあると言う状態であと一歩で踏んでしまうところだったが、それはキャンセルされた。
(これは…)
踏み出した一歩はすぐさま後ろへ戻され、距離を取って手にしている聖遺物を振るった瞬間、
「無力化されている…?」
「見えている…いや感じていると言った方が良いのかしらね」
一つ目の爆発物を処理して一歩、また一歩と踏み出すと、設置された設置地雷を発動させずに破壊していった。
何度目かの地雷を無力したところで、ゴール地点である真夜達のいる地点へ到着した。
「これは…想像以上の能力だな」
「ああ。これを持っているだけで空間に仕掛けられた魔法を破壊することが出来るみたいだ。実際に場所が分からなかったけど、こいつを握った瞬間に伏せられた場所が明確になっていたから…伝承は正しいのかも」
その事が正しいと証明したことは達也としても喜ばしいことだったが、これを小百合を襲った組織が狙っているという危険性も充分に証明できてしまったのだ。
「…これが非魔法師団体や敵対勢力に渡ったら面倒なことに成りそうだな」
その言葉に深雪と真夜が頷いた。
その一方で、達也は別の確信…初めてこの聖遺物を見たときと朔也が持つCADが放つ波長が合っていたことに合致していた。
「(やはり、俺が感じた感覚は間違いなかったらしい。朔也の持つ【ブレイブ・ホライゾン】はその神話神装と同じ、ということになるのか…?…)」
再びダイニングに戻り、手にしていた聖遺物を机の上に置こうと手を離したときだった。
「あっ…剣の色が…」
達也と深雪が信じられないといった表情を浮かべる中で、一旦朔也が聖遺物から手を離すと、元の赤色化した鉄塊と化し小さくなるのを見て深雪が声をあげる。
「どうやら朔也さんが触っている間は本来の姿を取り戻すみたいね…」
「この聖遺物、俺が預かって良いかな」
「だが…」
躊躇いの素振りを見せる達也。これが何処かの組織に渡って悪用される方が不味いと思ったからであり、力を独占するつもりはなかった。しかし、これは預かりものであり、然るべき場所へ戻す必要があるのだがーー。
「其に関しては四葉家の方で研究所と国防軍に圧力を掛けておきましょう。このまま達也さんのところに置いても余計な敵を引き寄せる可能性がありますし、此方の聖遺物は任せて。そちらの瓊勾玉に関しては研究を進めて下さい。今後、四葉の利に成ると思いますので」
一先ず、”グランシャリオ”は朔也が預かり、勾玉は達也が預かることと成った。
◆ ◆ ◆
何処かの朽ちた雑居ビル群。
「情報を報告しろ」
「横浜の関東魔法支部への潜入に成功」
「現地協力員の勧誘に成功。まもなく活動を開始します」
「聖遺物の奪取ですが…失敗したようです」
「聖遺物の機能を確認できたか?」
「いえ、やはり現物が無ければ解明できないとのことです」
一室に置かれた大型モニターには司波家に持ち込まれた瓊勾玉のデータ、そして武装型の聖遺物の画像が表示されている
「…我が軍の魔法技能は他国より遅れているのは事実。魔法式を保存できれば我が軍の魔法技能は飛躍的に向上する。それにもう一つの武装型聖遺物…相手が放った魔法を無力化できると言うのが事実であれば、数で勝る我々は世界を相手取ることが出来る…」
日本に潜り込んだ大亜連合特殊部隊のリーダーである陳祥山が呟く。
「なんとしても聖遺物を奪取せよ」
そう隣にいる副官である呂剛虎が視線だけで頷いた。
「私も協力させて貰おう。少々その聖遺物に興味があるのでね」
室内の壁際にもたれ掛かる白スーツの男が声を掛けると、呂剛虎は胡乱げな表情を浮かべるが、陳祥山は短く返答した
「…良いだろう。だが邪魔はしてくれるな。貴様が放った魔法も対して役には立たなかったようだが」
「これは手痛い指摘だ。だがけしかけた魔法が無力化されてしまったからな。並大抵のものでは動いてくれないか…面白い」
その口元は愉快そうに歪まれた。
九校戦から真夜様を参加させるとしたらどの年代が良いですか?
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十二歳ぐらい(中学生ぐらい)
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十六歳ぐらい(主人公より少し上お姉さん)
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本編(よりは若二十代それで制服を…)