助けた女の子に「…責任を取りなさい」と迫られてる件 作:萩月輝夜
九校戦編に突入しますが殆ど九校戦の話題がない…真夜中心になります。
あとキャラ崩壊してるかもしれませんがご了承ください。
濃厚な真夜と朔也のイチャイチャを見せつけられた達也達の心情はいかに。
感想&高評価有り難うございます。励みになります。
誤字脱字報告も合わせ有り難うございますと同時に申し訳ございません。
九校戦編①
四月の後ろに起こった”ブランシュ”による襲撃事件から2ヶ月以上が経過し学校生活にも慣れ始めた7月中旬。
魔法を学ぶ第一高校であっても期末テストというものは存在していた。
その中間考査が終了すれば全国に在る魔法科高校が一同に介し競い合う”九校戦”が始まる…その熱気が学校内に充満しているのを乗りきれずにいる男子生徒が二名…司波達也は元々醒めた性格でという理由で。
紫ノ宮朔也は元々”九校戦”に興味はなくどちらかと言えば目立ちたくはないという理由で端から見ていたい性分なのだが…ともかくとして達也は学業の本分である一学期の期末テストの成績を理由に生徒指導室に呼び出しを喰らっていた。
「失礼します」
「達也…一体なにしたんだ?」
「朔也。俺が何かした、という前提で会話をするのをやめろ。それにどうしたんだ皆揃って…」
生徒指導室から出る達也。
第一声が「なにかをやらかした」という前提の会話に難色を示すが視線へ向けるとそこには達也グループのレオ達(エリカ・美月)と朔也達がいた。
人だかりの集団が生徒指導室の前にたむろっている光景は職員用フロアに在る全く人が通らないわけでないその場所を通る生徒達によってチラチラ、またはこっそりジロジロと見ては横目で通りすぎていくのも無理もないことだった。
彼達は目立っていたのだ。
達也は言わずもが当然四月に起こった事件は秘密にされているが二科でありながら風紀委員に抜擢され勧誘週間での活動は同学年、上級生注目を集めるのは十分で在る。
そして朔也も日本人にしては高い身長と整った顔立ちに浮かぶその柔和な笑みと人当たりの良さは上級生や同学年の女子に人気を博しているのは言うまでもない。
達也以外もその見た目と性格は上級生または同学年に注目されている…がその中でもより一目を惹いているのは朔也と側に陣取る
しかしそのなかで自分の見た目など気にしていないレオが口を開く。
「どうした?ってこっちの台詞だぜ。いったいどんな理由で呼び出しを喰らったんだ?」
そう問われた達也は一瞬迷ったが対面にいる朔也が肩を竦めて見せたのでわざわざ心配して来てくれた友人達に不誠実だろうと、考え直し呼び出された理由を告げた。
「実は実技試験の事で訊も…もとい質問をされていてな」
「なんだそりゃ…」
「なにそれバッカじゃないの?」
レオとエリカが不機嫌になった。ワザワザ点数を下げる行為をすると思っている教師にバカバカしく思ってしまった様子だ。
「訊問?穏やかじゃねえな。一体どんな理由で…」
その問いかけに答える。
「要するに”手を抜いてるんじゃないか?”って疑われたのさ」
その事にエリカが憤慨する。
「なにそれ?そんなことしたって達也くんや朔也くんになんのメリットもないじゃない。バッカみたい」
「…でも先生が疑うのもわかる気がする」
「どうしてです?」
憤慨するエリカを尻目に雫が呟くと美月が首を傾げると達也は苦笑を浮かべるしか出来ない。
成績上位者は学内に上位二十位以上が張り出される仕組みになっておりその二つ、実技と理論を総合した結果が示されていた。
魔法実技
一位:1-A 司波深雪
二位:1-A 光井ほのか
三位:1-A 北山雫
となっており、4位からようやくBクラスの人物が出てきており上位20名はA~C組の人物達が名を連ねているのだが、魔法理論となると大判狂わせが発生していた。
魔法理論
一位:1-E 司波達也
三位:1-A 司波深雪
四位:1-E 吉田幹比古
理論に至っては上位二名がE組という結果に一科生はその当時大いに騒ぎになったが深雪が黙らせていた。
総合結果としてこうなった。
総合順位
一位:1-A 司波深雪
二位:1-A 北山雫
三位:1-A 光井ほのか
成績だけで見れば一科が占めているのだが理論に関してはEクラス二名が名を連ねている。
ナニが問題かと言われれば感覚的に実技が出来なければ出来ないような理論的な理解が難しい概念が多々あるからでありそれだけでも問題なのだが達也は理論に置いて二位へ十点以上の差をつけていた。
朔也に関しては目立たない為に全テストで平均点より少し高い位にして上位二十名の外二十一位。実技に関しては少しだけ本気を出したがそれも場外の二十一位…平均点に調整していた。
疑惑の視線が達也へ向かい雫達が憤慨するがモニターでしか成績を見ていない教職員にとっては文句の一つも言いたくなる…という教員としての在り方を問われるような内容だがここで揉めても仕方なのないことなのだ。
憤慨する深雪達を尻目に近くにいる
「…それにしても四校へ転校を勧めるなんて酷い先生。学校としては自己否定。教員の目は節穴なのかしら?」
「そう言ったら終わりですよ…まぁ向こうも所詮はデータでしか見てない、ってのが如実に出てるし。まともに取り合わなくて良いんじゃないですか?向こうは親切で言ったのかも知れないが…余計なお世話、ってやつです。それに達也達が目立つのは不味いんじゃ…」
「…それもそうね。しかし、そもそも教員が其を言ってしまうのが問題ではなくて?」
「赤点は取ってないんだ。強制されることもないからアドバイスってことで一つ…」
朔也が宥めると少女は溜め息を吐く。そしてジト目になって朔也を見た。
「それよりも…私は朔也さんの成績に物申したい気分なのだけれど?本来なら一位取れる実力在る筈でしょう?」
本来であれば成績上位にいる筈の朔也が手を抜いて…基目立たぬように立ち回ったのが彼女にとっては気に入らないらしかったのだが反撃されてしまう。
「それ言ったら貴女だって深雪を押えて一位取れたでしょう?実力的に」
言い返されて言葉に詰まる少女。
「!そ、それは…そんなことしたら目立ってしまうじゃない。私は良いのです。貴方こそ本気を出せば…」
「一位になったら恐らく九校戦選手に選ばれますよ?俺は競技に出たい訳じゃない。貴女がミラージとかアイスピラーズでの活躍を見たいですが…それよりも隣で一緒に並んで魔法科高校の夏の風物詩を楽しみたいんです。…競技に出たら時間が無くなっちゃうじゃないですか」
「ッ…!」
目の前にいる人物が本気を出せば一瞬で終わるが其では宜しくないのは理解している。
真摯なその表情に少女は顔を少し朱色に染め視線を逸らす。
「な、なんだか誤魔化された気がしますけど…でもそう言う理由なら許してあげます」
「?何処に誤魔化す要素があったの?」
「……///(んもう…!そういうことを臆面無く…もう…!)」
そう言って少女の手を取る朔也。少女は手を取られその手を遠慮がちに触れながら優しげな表情を浮かべている。
二人が会話に夢中になり自分達の世界を作り出しているその最中達也の話題から九校戦に移っていると二人の世界を形成しているのに気がついたエリカが二人の名前を呼ぶ。
「…おーい。朔也くん、
「(ッ!)…あら、どうしたのかしら千葉さん?」
「どうしたの?」
声を掛けると向かい合っていた朔也と真夜が顔をエリカへ向ける。
「まーた二人だけで世界展開してる…達也くん達の話聞いてた?」
「聞いてたよ。先生が失礼な奴で雫が九校戦フリークだった、ってことを。ねぇ真夜さん」
「ええ勿論。少し内緒のお話をしていただけです。聞いていましたよ。ふふっ、北山さんが九校戦の話を熱心にしていて可愛いわね、という話をしていただけよ」
「う、うん…」
真夜と朔也に微笑み掛けられ気恥ずかしさからか表情の乏しい雫が頬を朱色に染めていた。
「(い、イチャイチャを展開しながら人の話を聞いているとは…恐ろしい!というかその内容は両親では?)そ、そう…?」
(俺はコーヒーが欲しくなったぜ…つか、達也と妹さんより甘々じゃねーか…!)
(西城くん私も同感だよぉ…)
(はわわ…しゅごい///)
声を掛けられハッとするエリカ以外のメンバーも既に
…しかし、そのやり取りを達也はなんとも言えない表情、苦笑いを浮かべながら…複雑さが混じり合った表情で見つめていた。
朔也の隣にいる少女…夜空を落としたような艶やかな腰まである頭髪、その身体は制服越しでも分かる程に女性らしいメリハリのあるグラマラスな体型をしており色白で瑞々しく華やかな美貌を持ち切れ長の目の下に泣き黒子が特徴的でそれが少女でありながらどこか妖艶で、異性を惑わすような大人の可愛らしさ(小悪魔的な魅力)を同居させている。恐らく、というか百人中百人が”美少女”と評する見た目をしている…がそれは達也と深雪にとってはよく知る人物…自分達の叔母である
当然他のメンバーは
五月という中途半端な時期に転入してきたが謎の美少女が自分達のコミュニティ…その中心人物である朔也と仲睦まじい”イチャイチャ”を繰り広げていれば嫌でもスルースキルが身に付くと言うものだった。
そして二人して妙に面倒見が良いため一部では達也達グループの”父と母”と言われるまでになっていた…がそれをなんとも言えない気分で見ていたのは達也と深雪。
(また俺は友人と叔母のイチャイチャを見せつけられている…)
(叔母様…朔也さんと仲睦まじいことは良いのですが…その…時と場所を考えてください)
深雪に至っては苦笑する始末。
何故、こんなことになったのか…それは五月の初旬まで遡る。
◆ ◆ ◆
五月初旬。四葉家本邸真夜の書斎。
二人は未だに熱い抱擁を交わしていた。
「…朔也さん。色々と聞いておきたい事があるのだけれどいいかしら」
真夜からの質問を受けたが互いに離れようとしないのは温もりを失いたくないからか。
「そうだ俺も…真夜さんに確認しておきたいことがあります。一旦離れますか…」
そう告げると真夜は服の布地をぎゅっと掴む。
「………」
言葉には出さないが離れたくない、と物語っており朔也は微笑み抱き締めた。
「逃げませんよ」
「………///(ああ…朔也さんがすぐ近くに居てくれる…)」
「(本当に可愛いなぁ…こんな子を三十数年放置した屑男がいる……って俺か。しかし本当に可愛いな…)……」
頭の頂上がすぐ眼下に有ったため手持ちぶさたとなった左手をその登頂部において撫でる。
「ッ!…んあっ…んふっ…(頭撫でられて…ふわふわ…して…ふわあぁあああっ…)」
「(あ、身悶えてる。本当に可愛い)……」
「「…………」」
胸元に沈む真夜の頭を撫でるとビクッと反応するがそれが面白くて撫で回していると少し目が潤んでいる真夜が抗議したそうだったがそのまま抱き合う…が中断されたのは第三者のエントリーがあったからだ。
「失礼します」
「「あ」」
二人は隣合って書斎のソファーに座り淹れたての紅茶がテーブルに用意され葉山が用意したものだったが
「シテ…コロシテ…」
「いや、これに関しては俺が悪いので俺を殺して…」
朔也が宥め漸く落ち着きを取り戻し話せるようになったため真夜から口を開いた。
「…貴方はどうして
そう問いかけ頬に手を伸ばす。嘗ての頬の傷跡に白魚のような指先がひんやりとした感触が伝わった。
(どうして、か…あの頃のままなのは俺がその直後に”時間転移魔法”で神様に飛ばされた、からだけど…そんなことを言っても信じてくれないよな。俺がそもそもその”時間転移魔法”を使えないんだから)
神様から与えられた”魔法”…分かりやすく表記すると”
「(と、言っても隠し事って俺苦手だからなぁ…流石に最後の転移は…)…説明するよ」
手のひらを頬に沿わせ此方を見つめる真夜の表情を見て嘘隠し事をするのは精神衛生上…というよりも真摯に向かい合いたいと思ったため事情を説明した。
始めにそもそもこの世界の住人ではなく転生者であり”天恵”を与えられ”作品”という媒体を通して真夜に惚れたが道中で彼女に宣言した言葉は本心であったこと。
自分が目の前でいなくなったのは”時間転移”の魔法であの時間で真夜の前に出現し崑侖方院からの脱出を見届けた後に転移魔法によって二○九五年へ飛ばされた、と…。
「……そう、なのね」
「本当にごめんなさい…」
拒絶される事を覚悟しながら告げた後に体を真夜へ向け頭を下げる。
頬に触れていた手のひらは離れ頬を打ち据える…かと思ったが予想を裏切られた。
「真夜さん…?」
両手が朔也の頬を柔らかく捉える。真夜の紫の双瞳が彼を見据えておりそれは柔らかいものだった。
「驚きはしたけど…例え朔也さんがこの世界の住人でないとしても生まれ変わって私を助けに来てくれたのでしょう?私にはそれが嬉しいの」
「でも、俺は…貴女を」
そこから先の言葉を紡がせないように頬に触れていた手のひらを外し人指し指を唇の前に添えた。
その表情は大人の余裕のある女性の笑みだった。
「らしくないわ。私の知る紫ノ宮朔也は自信に満ち溢れた男の子よ。あの時脱出した際も言いましたよ?”貴方が居なければ私は酷い目にあっていた”と。あの時…言えなかったことを改めて言わせて頂戴」
「真夜さん」
「「私を…助けてくれてありがとう。朔也さん」」
「ッ…!」
今の真夜と過去の真夜の表情が重なる。過去に残してきてしまったことに罪悪感が積み重なったがそれよりも目の前の”少女”が愛おしすぎて再び抱き締めてしまう。
「真夜さん…」
「……朔也さん…ここまで待たせたのだから…やっぱり好きじゃない、は無しよ…?」
真夜の表情を見る朔也、その表情は不安に揺れている。
「ええ…勿論。どんな手を尽くしても君と一緒になりたい。あの日から君が好きだ」
「ッ…!遅すぎよ…でも私も…貴方に救われてから…好きよ」
迷うこと無く告げる朔也の言葉に真夜は沸き上がっていた行動を掻き消された。
「ひゅっ…(もう…平手でも入れてやろう、なんて思ったけど…そんな顔してそんなこと言われたら納得するしかないじゃない…さ、散々待たせられたのだから…ワガママになっても…いいわよ、ね…?)な、なら…言葉だけじゃない…行動で示して」
潤んだ瞳で見上げる真夜に優しく頷いた。
「喜んで」
顔を近づけ二人の影が重なった。
外の色が茜色に染まり室内に差し込む光が二人の影を飲み込みその抱擁は空が漆黒へ移り変わろうとして紅茶の湯気がなくなりすっかり冷えきってしまうほどに続きかなりの時間が経過していた。
「そう言えばなんですが…七草弘一さんとは婚約ってどうなったんですか…?」
「何故その事を…って貴方なら知っていても不思議じゃないわね。そうね弘一さんとは…婚約を破棄したの」
その後二人は抱擁を交わしながら朔也側の質問に真夜が答える。
「一体どんな理由で…」
「そうね…」
真夜は理由を述べた。
崑侖方院での身体事故が引き起こっていない状態で無事に戻った真夜は七草光一との婚約は継続したままになっている筈なのだがここでもまた本来の歴史からずれた現象が発生していた。
真夜は崑侖方院から救出された後に弘一との婚約者…共に歩むパートナーとして…だった筈だが幼い頃の真夜は崑侖方院での監禁で一時期極度の”男性恐怖症”を発症していたのだ。同年代、大人の男性を前にすると動悸が激しくなり立ちくらみを引き起こす…これには弘一も例外ではなく恐怖症の対象となり…本当の家族以外の男性とは近くに接近させる事すら憚られた。彼女も改善しようと努力したが心理的なストレスはどうしようもなく生理が遅れてしまう、という問題が発生していた。改善するために姉深夜の精神干渉系魔法を用いて治療しようとしたがリスクが大きすぎた。
そのため早期に婚姻して出産するという魔法師の役割を果たすことが難しくなりその事を受け四葉家の方から婚約を破棄…それを七草家が受諾という流れになったのだ。
しかし、その裏には故・四葉元造の思惑と姉深夜の精神干渉系魔法が関わっているが一番はあの場面であの言葉を掛けられた真夜の心が朔也に向いている事だった。
それを聞いた朔也は内心で頭を抱える。
「(…つまり俺が弘一さんから真夜をNTRしたってことじゃねぇか…やっちまったぁ…)そ、そうだったんですね…」
そう告げると抱き締めている真夜が顔を上げる。ジト目で見つめられた。
「そうだったんですね、じゃ無いわよ…お陰で魔法師の界隈で少しだけ浮いていたわ。この年齢で当主で未婚なのは私だけね」
「それは本当に…申し訳ない…」
年齢の事を突っつかれれば朔也はもう黙るしか出来なかった。事の発端が自分なのだから仕方のない。
「本当よ。全く…責任取りなさい。待たせられたお陰で朔也さんより大人になってしまったわ」
「私怒っています」というポーズをとなりながらそう言って再び真夜は胸元に顔を埋めるが嬉しそうな吐息が漏れ出ているのを聞き逃さず再び抱擁を行う。
「…俺はどの真夜さんも好きですけど」
耳元で囁くと真夜が「ひうっ…」と可愛らしい声を上げた。
「そうやって誤魔化して…そ、そういうことじゃないのよっ!大人の女性が十五歳の少年とイチャイチャしてるのが問題なの!…問題なのよ…」
同時に彼女の不安を解消…というか過ごす筈だった青春時代を奪ってしまった事への”埋め合わせ”を行うための提案をして見せた。イタズラっぽい笑みを浮かべる。
「真夜さん。少しの時間ですけど…学生時代に戻ってみません?」
「えっ…?」
その時真夜はつくづく朔也が規格外であることを思い知らされたのだった。
◆ ◆ ◆
五月の初旬、深夜の司波家リビングにて。
『ごきげんよう。達也さん、深雪さん。』
突如として四葉本家からの通信に応答する達也達の前に現れたのは当然四葉真夜…の筈なのだが達也達の記憶より…”若返っていた”。いや元々若々しい見た目なのだが女性、というよりも少女という見た目に変わっておりその雰囲気は親戚である黒羽亜夜子を成長させ少し大人びさせたような見た目となっていたが一体何故…となっている視線を無視して会話を続けるので司波兄弟も動揺しながら問いかける。
「叔母上…一体どうされましたか?」
「叔母様が珍しいですね…このような時間にお掛けになるとは」
『突然の事でごめんなさいね?その事で二人には早急に共有しておきたいことがありましたの。…さぁおいでになって下さいな?』
とすぐ側にいる人間が執事である葉山ではなく良く知る人物が突如として映っていることに流石の二人も驚愕を隠しきれない。
『よっ。二人とも』
「「……!?」」
画面越しの場所…四葉の本邸に二人の共通の友人である紫ノ宮朔也がまるで友達の家にいるかのような自然な気軽さで達也達へ手を上げる。
「朔也…!?どうしてお前がそこに…叔母上これは…!」
「朔也さんが一体どうして…!?」
慌てる二人を見て「やれやれ…」という表情を浮かべる。
それを見た朔也は「いや、普通驚くでしょう…?」と視線を向けるが向けられた当人は気にせずに続けた。
二人は其よりも自分達が”四葉の関係者”であることを知られ動揺が走っているが真夜は無視する。
『こうなることは分かっていましたが…二人とも落ち着きなさい。順番を追って説明します』
こうして始まる朔也が四葉本邸にいる説明…それは想像を絶したものであり達也と深雪は呆然と聞いていた。
そしてその経緯を説明しだした真夜の惚気。(重要な箇所、転生者であることを伏せる)
曰く、崑侖方院で幼い真夜を救ったのは次元転移魔法を使えた朔也であったこと。
曰く、その時両者が一目惚れして別れていた二人が時間を越えて再開し今付き合い出していること…。
『それで達也さん…』
「す、少し待ってください叔母上…状況を整理する時間を下さい…」
『ええ、いいわよ。突然の事で驚いたでしょうし』
余りの情報量にパンクしそうになり眉間を押える達也とそれを同時に聞いていた深雪は宇宙猫状態となっていた。
朔也が過去の叔母上の命の恩人で互いに一目惚れ?そして三十数年の時を経て再開し恋人となりゆくゆくは結婚すると宣言された。どう言うことだ?
「……」
『?』
その事の発端となった
「状況を説明すると朔也が叔母上が恋人関係に有る、という解釈でよろしいですか?」
『ええ。そのとおりよ』
嬉しそうなそれでいて恥ずかしそうな乙女の表情を浮かべる叔母の姿に達也は驚愕する。
そんな表情を浮かべさせる事が出来る友人…それがが真夜が彼の情報を欲しがったりして提出を求めるようにしたのも辻褄が合う。叔母が語った”幼少の頃を知っている”という台詞も納得がいった。
(叔母上を単身で救い出した…となればあの魔法の威力にも納得がいくな)
彼の脳裏に浮かぶのはあの廃工場の怪物を対応していたその姿だった。
その実力が嘗ての大漢に有ったとされる崑侖方院を壊滅させたのは彼の魔法の真の実力で有る事とその実力を真夜を救うためだけに発揮し一人対複数…軍隊で言う一個大隊とほぼ国家魔法戦略の中枢と言っていい場所にたった一人で突入し崩壊させる、という相手にとっては悪夢そのものだが叔母にとって見ればそんな危険な場所に自身を省みずに救出しに来てくれた少年に一目惚れするのは無理もない話だしまず同じ男として尊敬の念を向けていた。
(俺も恐らく…深雪が拉致された場合同じ行動を取るだろう…だが彼は”惚れた”という理由で一国を敵に回すとは…これ程までに叔母上を愛している、というのなら俺がなにか言う必要はないだろう…節度を守ってくれさえすれば。そう、節度を守ってくれさえすれば…!)
「叔母様。おめでとうございます…!」
その馴れ初めを聞いた深雪はその行動に驚き朔也を見る。
一人の少女のために国家を敵に回したという大胆さはまだ友人としての付き合いは短いが欠片も感じることが出来なかった。どちらかと言えば争いが苦手な平和主義者…といった感じだったがそれはいい意味で裏切られ心に達也と同じ感想…情熱を秘めた熱い男の子であると見方が変わった。
一方で朔也が自分達の”叔父”になるかもしれないと言われ少しだけ複雑なでもありかもしれない…と思っていると幸せそうな表情を浮かべている真夜へ一先ずの祝福の言葉を掛けた。
『うふふ…有り難う』
『二人に認めてもらえるように頑張るよ。後安心して欲しいのは達也達が四葉の関係者ってことは他言しないしばれないようにフォローに回るから』
「それは分かったが…だが叔母上の見た目が変わっている理由はなんだ?」
甥の率直な質問に真夜は苦笑し朔也は何時ものように柔和な笑みを浮かべ答えた。
『若返っている?…そう俺の魔法だよ。持っている術式には対象となる人物の情報体に対して時間遡及が出来るんだ』
(俺の”再成”と原理は同じか?だがその使用用途が異なるかもしれない…)
『まぁかなり限定的な使用しか出来ないんだけどな…』
そういって朔也は手にしていた専用の特化型CADを見せる。
達也的にはどんな魔法が使われたのかが気になり今度詳しく聞く機会もありそうだ、と少しワクワクしていた。
一先ずは叔母の姿が若い頃の姿なのは朔也の魔法のお陰であった。
これから四葉分家の根回しを行い朔也を本当の伴侶とするべく行動するという趣旨を伝えられ達也達は生返事をするしか出来なかった。四葉の権力を使えば戸籍や情報など簡単に改竄できる。
仮に恐れられている”四葉家”がそのために力を使っていいのか?と口に出そうとしたが幸せそうにしている叔母の姿を見たらなにも言えなくなってしまった。
自分達の当家当主が一人の少年に懇ろになっている…と文章にするととてつもないインモラルな関係に思えるがそれを指摘できるほど達也達の心臓は強くなかった。
そして…問題が発生する。
「狐坂真夜です。よろしくおねがいしますね」
(お、叔母様っ…!)
(驚く深雪の隣で一高制服姿の真夜を見て満足げな笑みを浮かべる朔也)
真夜が朔也の魔法で若返り第一高校に転入してきたのだ。
その強行手段を四葉家の権力を使い偽装し変更させ四葉真夜、もとい狐坂真夜として一科生として転入してきた。
正直黒羽家の貢は止めるべきなのだが真夜と朔也に「なにか?(威圧)」を向けられれば黙るしかなく胃痛がしていたが…それはそれとして狐坂真夜は黒羽家の遠縁の家計…と言うことになっている。
そして時間は戻り七月。
そんな達也達の心配など知らない、と言わんばかりに二人は少し遅い青春学生生活を謳歌していた。
そして九校戦が始まるまで幾ばくかの猶予が有るのだった。
感想&評価よろしくお願いいたします。
九校戦から真夜様を参加させるとしたらどの年代が良いですか?
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十二歳ぐらい(中学生ぐらい)
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十六歳ぐらい(主人公より少し上お姉さん)
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本編(よりは若二十代それで制服を…)