助けた女の子に「…責任を取りなさい」と迫られてる件 作:萩月輝夜
ほぼイチャイチャしてるだけの九校戦開幕。ほぼテロです。
接点…と言うわけではないですがこの地点では出てきていないキャラを捏造して出してます。
それではどうぞ!
追記…【四葉継承編】四週見に行って特典小説コンプ…&二週目色紙幼い頃の”深夜&真夜”色紙ゲットしました…!
真夜様の1/4スケールのフィギュア出て欲しい(願望)
小鳥の囀りが朝日と共にやってきた次の日。
お互いに服は…昨日ベッドに入ったままの状態だ。
まだ目覚ましを設定した時刻ではないが目が覚めた朔也の意識はまだ不覚醒だったが対面する愛する者の顔を視界に入れたことで自然と頬が緩む。
「すぅ………すぅ………すぅ…」
「…………(本当に寝顔…可愛い。頬を突っつきたいけど起こしちゃうな…)」
誰も見たことがないだろう健やかな寝顔を見ることが出来る特等席を楽しむのが朔也の毎朝のルーチンだったりするのだが其が寝息を立てている人物に知られると顔を真っ赤にしてウニャられるので黙っていたりする。
寝ている彼女を起こさないようにスルり、とベッドから抜け出し朝食の準備を行う。
同居人は朝其ほど食べられないので少なめに作ると同時に昼食用の弁当を作る。
「そういえば…今日は選抜式だったっけ?」
いつぞやの生徒会選挙のように魔法や石が飛び交わないように願いたいものだな、と思いながら暫く作業を進めているとアラームが鳴り響き暫くすると寝室からダイニングへ続く扉が開くと目をこすり眠そうに隙を見せているのは目の前に朔也がいるからだろう。
「……おはよう朔也さん」
隙だらけな其は到底四葉の当主とは思えぬ程だが直ぐ様眠気を飛ばす…がまだ眠そうなのを見て笑みを浮かべる。
「おはよう真夜さん、ご飯もうすぐ出来るから顔を洗ってきて」
「ええ…分かったわ」
一緒に住んでみて分かったことだけれど若返った…肉体が精神に少し引っ張られているのか朝が弱い…が学校に一緒に行くことになってから頑張って起きてくれているのを見て美味しい朝食を提供しよう、と張り切っていた。
真夜が洗面台に向かい顔を洗っているのを待ちながら完成した朝食をテーブルに配膳する。
「…いい匂いね」
「さ、一緒に食べましょう」
「そうね」
「では…」
「「いただきます」」
手を合わせ共に朝食を取り穏やかな時間を過ごしながら時間になり家を出て共に通学し教室に入ると案の定…と言わんばかりの”噂話”が飛び交っていた。
「おい、聞いたか?二科生が技術スタッフに抜擢されたらしいぜ…?」
「うそ!?一体誰?」
「あの風紀委員の司波って奴だよ…」
「司波…ってあの深雪さんのお兄さんの?」
「どうせまぐれで選ばれただけさ…直ぐに実力が露呈してスタメンを外される」
九校戦スタッフの選抜会が行われていた翌日…発足式は今日の筈なのだが噂が出回っている辺り選考会で選ばれなかったかその場にいた一科の技術スタッフがゲロッたのかもしれないそれが広まったようだ。
人の口に戸は立てられない、と言うがここまで早く広がるのはプライドが傷つけられた腹いせなのかもしれないが彼の実力を知っている者達にとっては敗北した者の”捨て台詞”だと言うことを知っている。
が、其を知っていたとしても彼と血の繋がりある少女は冷静ではいられなかったそれは感情の昂りによって引き起こされる想子の冷気を吹き荒し教室に暖房が入るのは阻止された。
「……」
「落ち着きなさい深雪」
「落ち着きなよ深雪」
「す、すみませんお、
「こちらにいらっしゃい」
が、その悪意と悪意ない話題作りの噂に乗っかる生徒に怒りを向ける深雪の魔法が暴走しないように声を掛けたのは真夜と朔也であった。二人は深雪を教室の外へ連れ出し人気の無い角へ移動する。
「ただ吠えるだけでなにもしない者達の戯言に耳を傾ける必要はないわね」
「そうだね…達也は実力でその場所を勝ち取ったに過ぎない…だから深雪は気にする必要はないよ」
二人に宥めるような言葉を掛けられ暴走しそうになった自分を恥じると同時に兄を案じてくれた言葉に胸がすくような感覚を覚えていた。が真夜よりお叱りの言葉が掛けられる。
「貴女が怒る理由も分かるわ…ただ…昂らせて周囲を威圧させるのは感心しないわね。深雪さんその辺りは姉さんに訓練を受けなかったのかしら?」
静かな威圧感が深雪に注がれる。背筋を伸ばし頭を下げた。
「も、申し訳ございません…叔母様」
その光景を見て朔也が苦笑し真夜は「はぁ…」とため息を吐いて小言を呟く。
「感情を制御するのも一流の魔法師としてのスキルよ。不用意に周囲を威圧するものではないわ。それに深雪さん…」
「まぁまぁ…真夜さん。深雪も分かってると思うからその辺りで」
庇って割って入るように朔也が待ったを掛ける。
「深雪だって実の兄がろくに実力を見てないのに表面だけの評価で判断されたのが我慢ならなかったんだよ。俺だって大切な人ががそういう連中の浅はかな私見でバカにされたら怒るよ」
朔也のフォローが入り「大切な」と言うところで視線を真夜へ向けると追求は逸らされた。
「(朔也さんにそういわれたら)…仕方がないわね。深雪さん。お気をつけなさい」
「はい、精進いたします」
真夜が深雪から視線を逸らし振り返った瞬間に深雪の視線が朔也とぶつかるとウインクを飛ばすとクスり、と笑みを浮かべる。そのウインクが妙に似合っているからだ。
(本当に不思議な人…この人は本当に同年代の男の子なんでしょうか…?自分よりも大人びていて…穏やかで…お父さん、のような…)
深雪に実父はいるが今は別居しており家族仲は冷えきっている、といっても過言ではない。
母である深夜が亡くなって直ぐに後妻を受け入れたその行為は多感な時期の深雪には不潔に思えてならなかった。
もし…彼のような性格の男性が父親なら良かったな…と一瞬思ってしまった。
(…朔也さんは同級生ですよ?それを父だなんて…百歩譲って未来の叔父様ですけど…しっかりしなさい深雪…)
「さ、戻ろうか。お節介だと思うけど真夜さんも気を付けて欲しくて言っただけだからさ」
「くすっ…大丈夫です。朔也さん理解していますから」
「あら、そう?なら良いけど…」
「朔也さん?戻りますよ」
「ああ、うん。今行くよ~。さ、戻ろう?」
「はいっ」
教室へ戻るとほのかと雫が近づき先程クラスメイトに言われた事に否定する言葉を掛ける。
「深雪、気にすること無いよ。達也さんの実力は本物だから!」
「うん、達也さんは自分の力で勝ち取った…誇ってもいい。ほのかの言うことは尤も。」
「ほのか…雫…そうね。有り難う」
友人である二人の援護射撃が飛んで来た事に更に苛立ちの感情が落ち着きを取り戻す。雫の言葉は若干?刺があったが。
昨日の選考会に共に参加し元いた一科生の先輩達の言葉に苛立ち反論したかったがそれは生徒会や部活連の克人達が達也のメンバー入りを支持したと伝え聞いている。
だが、実際にそのメンバー入りを勝ち取ったのは兄の実力であると支持した先輩達とここにいる皆が知っていた。
「…たしか五限目に全校生徒を講堂に集めて発足式やるんだっけ?」
「はい、その時正式にメンバーの発表を行います。私は進行役で登壇します」
「選手で参加するのに進行役か…大変だな深雪も。安心しなよ。もし暴動が起こるようなら俺達が対応するから」
「ふふふ…もし達也さんの番に回ってきて魔法や石が飛んでくるようなら私たちが対応しますね」
(お願いですから静かにお願いします…お二人が本気を出したら国一つ滅ぼせるのを知っていますから…!)
この二人を敵に回した場合真夜の魔法と朔也の魔法の一端を知ることになった深雪は恐らく指先一つでこの魔法科高校の全校生徒…いや国一つを相手取ることが出来る実力を持っているだろうと断言できた。
そんなことは恐らくしないだろうが…二人が暴走しないようにしなくては、と深雪は妙なところで気疲れした。
そこに関してはほのかと雫は頭に疑問符を浮かべていた。
そして五限目の九校戦発足式はつつがなく始まり読み上げられるメンバーの名前。
達也の名前が上がった際に拍手は本当に少なく盛大な拍手を行ったのは一科生を押し退け最前列に陣取った1-Eのメンバー達と朔也と真夜だった。
その拍手は不承不承ながらも壇上にいる生徒会と部活連の主要メンバーが行ったことによりつられてまばらながら行われた。こうして達也は技術スタッフとして深雪も選手として参加することとなった。
◆ ◆ ◆
「それじゃあ行きましょうか」
「そうね。行きましょう」
数日が経過し九校戦が開催前日の八月一日の午後。
参加生徒ではない朔也達は別に前乗りする必要はない為二人はデートと称してドライブを敢行する。
既に九校戦会場付近(本当に近い)ホテルを一室押えておりそこに九校戦終了まで連泊する手筈となっている。
もちろん部屋の手配をしたのは真夜であり四葉家が関係する企業を通じてのことだ。
宿泊先へ向かう手段は”キャビネット”を使えばそれまでだが味気がない、と言うことで朔也が用意したのは某メーカーの2人乗り大型自動二輪。
既に免許は取得…というかこの世界に送られた際に所持していて勿論操縦もすることが出来た。
バイクに跨がりエンジンを掛けると廃気筒のマフラーが震え炉を暖めており直ぐ様後ろに乗る真夜も跨がり腰に手を回し密着する。
「(大胆、だったかしら…?折角だから…と言ってバイクで2人乗りと言い出したのは私だけど…はしたない、と思われないかしら…?)……振り落とさないでね?」
「勿論、安全第一で目的地に向かいましょう」
「きゃっ、ちょっと…!(こ、この隙にぎゅっと抱きつくわ…!)」
「行きますよ(うぉっ…!?真夜さんのバイクスーツ越しに伝わる柔らかい感触が背中に…!)」
スロットルを回しバイク独特のエキゾースト音が響きバイクが発進するその際に急な加速に抱きついた真夜の悲鳴と抗議が上がったが朔也が無視してアパートから目的地へ向かった。そのとき互いに別の事を考えていた。
その道中に高速道路のSAに寄って食事を取ったりして休憩を挟みながら進む。
「どうかしたの?」
「…いや、なんでもないよ(事故が起こっていない…?そうすると達也達は”無頭竜”の襲撃を受けなかった…か。良いことなんだがなんだか不気味だな)急なカーブだなって思って」
東京から静岡の九校戦会場へ向かう道中カーブに差し掛かったとき一校の九校戦メンバーが搭乗したバスが反対車線から飛び出した乗用車が突っ込もうとしていた事故現場に遭遇…する事は無く代わり映えの無いカーブがキツいだけの高速道路だ。
「振り落とされないようにしがみついておくわね(再び密着するチャンスね…!)」
「安全運転で行きますよ(うおっ…!?また柔らかいのが…いかんいかん…!)」
少し拍子抜けしてしまったが深雪達が危ない目に会わなかった事に安堵しながら背中に当たる幸せなモノの感覚を後ろに感じながら思わず制御を失い掛けながらバイクを走らせた。
暫くバイクを走らせると目的のホテルに着きバイクを駐輪して受け付けでチェックインした後予約していた部屋に入り荷物を置いて明日の予定を確認しその日は外食し他愛ない会話をして眠りに着いた。(真夜は悶々としていたが朔也の寝顔を見て頭を撫で抱き締めて寝た)
◆ ◆ ◆
翌朝。
朔也は別々のベッドて寝ていたはずの真夜が自分のベッドに入りそして抱き締められ胸に顔を埋めていることに驚いた。互いに目が覚め顔を赤くしていた。
少しして二人は着替え下へ降りるエレベーターの中で朔也が思案する。
(事故は発生していない…か。でも確か裏で賭博してるんだっけ?国際シンジケート”無頭竜”…だったか。掛け金が集中している第一高校の主力選手が事故または棄権するような事があれば連中の一人勝ちだから…第三高校を勝たせようとしてるんだっけか…しかし、よりにもよって達也達が活躍する場で邪魔するとは…運がないと言うかタイミングが悪いというか)
その心の声に呆れが浮かぶのはよく調べてから上手く出来レースをやれよ、と思わないでもないが四葉の隠蔽力を考えれば達也の素性…二科生の事など普通に驚異に入らないと思って実行してしまっても無理もないだろう。
同情はしないが。
(貢さん達にお願いして排除して貰う?…いや、あまり便利に使いすぎるのよくないと思う。只でさえ俺たちがお願い事が多すぎる…)
思い当たる節が多すぎて朔也は心の中で苦笑する。今度胃痛に効く漢方か魔法を掛けて上げなければ、と決意した。
(まぁ、なにかあれば俺が対処するけどそのシンジケートを追ってるのは国防軍の風間少佐の部隊だから達也が必然的に関わるしな…しかしまぁ大亜連合も懲りないな。あの一件で日本に手を出したくない、と思っているはずだが…まぁ…真夜さんに手を出そうとするなら…)
そこで自分の心情と目付きが鋭くなっていることに気がつき我に返り一拍置いて考えてみる。
(しかし…達也達には火の粉は自分で振り払って貰おう。それよりも俺がいることでなにか又別のアプローチで攻撃してくるかもしれない…”あの力”が関わっている、という確信が欲しい)
「どうしたの?」
「…いや、なんでもない。達也に箔を付けて貰うための必要経費、ってことかな」
「???ええ。達也さんの腕なら一般のクラフトマンなら有象無象でしょうし」
確信が欲しいため心苦しいと思いながらそう告げると真夜は「仕方がない…」と言う表情で葛藤しながら不承不承に納得したのは出来損ない扱いされている達也を正式に認めさせる為の行動だと自分に納得させる為だろう。
別の意味に取ってくれたのなら逆に好都合だった。真夜には純粋に楽しんで貰いたいからだ。
会話が丁度終わりエレベーターの扉が開く。
ロビーには九校戦を一目見ようと全国から詰めかけた利用客が数多くおりそれぞれが会話を進めていたが一人の利用客がエレベーターから出てきた二人を見て言葉を失い静寂が訪れていた。次々と利用客、そして受付担当の従業員の視線が二人へ注がれた。見惚れているものもいれば感嘆の溜め息を吐く者がいた。
バイクスーツ姿…では当然なく朔也は黒のTシャツに灰色の薄手のジャケット、ジーパンと飾り気の無い衣装だが本人の見目秀麗さがありより一層際出させていた。
同時に真夜も目立ちすぎないように珍しく白のサマーワンピースを着用して肩を出さぬよう薄手のブラウスを羽織る姿だったが朔也と同じくその一目を惹きすぎる見た目は深窓の令嬢如き可憐さを漂わせながら大人の色気を醸し出していた。
「さて…行きましょうか」
「ええ」
そう告げ手を差し出し真夜は手を取った。
しかし二人は注がれた煩わしい視線など気にしもせず互いの腕を絡ませロビーから退出し九校戦の会場へ足を運び動きが止まっていたロビーは彼らが立ち去った後ようやく動き出していた。
◆ ◆ ◆
全国九つに設置された魔法科高校の親善試合…”九校戦”が始まった。
最初に行われたのは真由美が出場するスピード・シューティングの予選から決勝までの戦いと渡辺摩利が出場するバトル・ボードの予選だ。
会場には通算10万人を越える観客が交通の便が悪いにも関わらず押し寄せどれ程期待が高いのかを示している。
その場に集うもの達は学生達の熱気を味わいたい…所謂夏の甲子園に近い熱意だろうか?
一日目は”スピード・シューティング”の決勝と”バトル・ボード”の予選。スケジュールの違いは試合時間の所要時間を反映しているからだろう。
摩利のバトル・ボード予選は第三試合の為最初は真由美の”スピード・シューティング”の第一試合を観戦するために競技場へ足を運んでいた。
「うわ。最前列が人が沢山だね」
「恐らく、真由美さんを見たい、と詰めかけた男達が陣取っているからでしょうね…バカな人達」
嘲笑とも取れる呆れた声に朔也は苦笑する。
会場へ到着すると最前列とそこから二列目は既に満員となっており男性が七割、女性が三割…と七草真由美を一目みたいと詰めかけたミーハーか熱狂的なファンが詰め寄せてるからだろう其を見て真夜は少し呆れたような表情を浮かべた。
「”スピード・シューティング”の競技の特徴上離れたところで見ないと分からないから。意味無いね」
空中で打ち落とす標的を視認するために為には近い距離で特に一番前に座っている観客は選手と同じ動体視力を持ってないと行けないわけだが。
「本当ね。彼らは魔法実技を見に来てる訳でなくてアイドルにでも会いに来ているのかしら?」
「ははは…かもね。でも俺も彼処に立ってるのが真夜さんならかぶりついて見てたかも」
「え?」
次の瞬間観客席の温度が概念的に上がった。
観客が持つコーヒーに大量の砂糖、ジュースの糖度が上がり一気に病気になりそうな甘ったるいモノへ変化する。
その状況を作り出した本人は隣に座る少女に対して微笑を浮かべ心からの言葉を少女の手を取って告げた。
「”スピード・シューティング”の選手が真夜さんなら、ね?最前列にいる彼らみたいに…まぁ凛々しいユニフォーム姿を不躾な感情で見ていたら目を潰して回っていたけど……俺が見ているのは君だけだから。可憐で美しい真夜さんが視線を集めてしまうのは仕方の無い事だからね」
ストレッチパンツにミニワンピースと間違えそうな程のウエストを絞った詰め襟ジャケットのユニフォーム…身体のラインが出過ぎて只でさえ色気が限界突破している真夜が着ようモノなら男子が目をかっぴらいて見てしまうだろう…其が朔也としては度しがたいモノだった。恐らく彼女が選手に選ばれようものならこういうことになる、と分かっていたため手を抜いて貰った節があるが…カメラに納めようモノなら魔法を使って破壊するだろう。其ほどまでに独り占めしたい、と言う独占力の現れであった。
歯の浮くような言葉をさらりと告げる朔也。
そう言われ淑女らしく振る舞う真夜だったが内心はドキドキであり耐性は出来つつあるがその顔と声で言われる破壊力は抜群すぎた。
「(…ッ!)ふふふ…まぁ。お世辞が上手ね。貴方は(ああああああああああッ!?またそういうことを…んもぅ!それにっ…見ているのは君だけ…って…んもうっ!)」
「お、俺のコーヒーが角砂糖十個入りになるくらい甘い…!」
「奇遇だな。俺のソース焼きそばのソースがチョコソースになったぞ…?」
「私のコーラなんて甘すぎて一瞬で虫歯になるレベルに進化していたわ…」
「パルパルパル…」
「なんかヤバイのいなかったか…?」
周囲にテロを発生させていた光景を後ろに陣取っていた第一高校の面々…と言うか達也達(幹比古、レオ、エリカ、ほ美月、ほのか、雫順)がその光景を見ていた。
「こ、公共の場でなんて破廉恥な…?!」
「またやってるぜあの二人…」
「本当にラブラブね…ここにいる兄妹なんて比になら無いレベルで」
「わぁ…///」
(良いなぁ…私も達也さんとあんな感じになれたら…ってこんな人一杯の場所でなんて…恥ずかしいぃ!でも羨ましい…)
「空気が一瞬にして甘くなった…お菓子工場かなにか?」
コミュニティの面々に羨望と呆れの視線を向けられている二人を見ながら達也と深雪は何ともいえない感情に支配されていた。
(叔母上…場所を…場所を考えてくれ…それと朔也お前が発端なんだからどうにかしてくれ)
(最近、お兄様との距離感を見つめ直す為のいい機会だと思って見ていましたが…これは流石に不味いです叔母様、朔也さん…!これは歴としたテロです…!)
深雪は自分が兄への態度が周囲にこう映っていると自覚し自重していたがこうしてまざまざと見せつけられると其が誤解ではなく本当だと取られるのだな、と再確認していたが周囲への無差別甘々爆撃を仕掛ける叔母と叔父の姿に頭を抱えた。
暫くすると試合が開始されクレーがシューティングレンジ前を駆け抜ける。
「あれが会長の”マルチスコープ”か…凄いね」
「其を合わせてだけれどドライアイスの亜音速弾の狙いを狂い無く丁度”百発”…正確ね。入手した情報を自前で処理できるほどの処理能力は彼女の努力か…才能かしら?」
イチャついていた二人だったが試合が始まれば真面目に試合運びを観戦していた。
朔也は純粋に魔法の技術を”評価”し真夜は魔法師としての”品評”を行う。
試合は結局のところ真由美の勝利で終わり観客が離れていくものが後ろで達也達が魔法における世界の改竄に対してレオ達に説明していたが試合が終了しバトルボードの第三試合が始まる為会場を移動する。
試合が開始される前に達也がほのかと甘酸っぱいアオハルを繰り広げていたが一方でも繰り広げていた。
「私には不向きな競技ね…」
「まぁ…真夜さんは体力無いからね。体力トレーニングしない?」
普段の生活に置いてもあまり活動的に動く、と言うイメージは無い。実際に一緒に生活しているが基本的に校内を移動するぐらいしか運動をしていないだろう。この間ジョギングに一緒に出掛けたら500m走っただけで息を切らしていた。
「あら、失礼なことをいうのね。しないわ私は。やりたくない理由はムキムキ女になりたくないだけよ。エネルギーの消費効率が良いから必要ないわ」
確かに、と肉体が若返っているからか新陳代謝が向上している。それに元々食が細い真夜は太る、と言う概念は有り得ないのだが
(まぁ…恐らく運動とか苦手そうだし。いざって時に動けるようにして貰わないと…それに…まぁこれは良いか)
暫くすると水路には四名の選手がサーフボードに乗り待機している。注目選手である摩利は他の選手と違って仁王立ちしており歓声と黄色い声が飛び交っていた。
「うわっ、偉そうな女…」
エリカが相変わらずの敵意をむき出しにしているのを聞いて朔也は苦笑いを浮かべ達也は相変わらずだな…と思った。
「随分な自信家ね…まぁそれに裏打ちされた実力があるからでしょうけど」
「渡辺先輩は現時点でもA級魔法師としてもやっていける実力がありますから…本人の気質もあるんでしょうけど意外と乙女ですからね」
そうこうしている内にアナウンスが選手紹介を始め摩利の順番が回ってくると会場に黄色い声が響き渡る。
見た目も相まって少年少女向けの騎士物語の挿絵のような佇まいだ。
「そういわれればそうね。好きな男性の前では乙女になるのは今熱烈な歓声を上げているファンが聞いたら驚くでしょう」
生徒会室でのやり取りを思い出しているのだろう。真夜はクスりと笑みを浮かべた。
エリカが敵視しているのは自分を気に掛けてくれている腹違いの兄である千葉修次が摩利の恋人なのが理由で気にくわないのだろう。
…彼女の生まれを考えれば幼い頃から気に掛けてくれていた兄が他の女に取られた、となれば嫉妬するのも仕方なの無い事なのかも知れない。深く他人の人生に口出しする気も起きないが。
「ギャップ萌え、と言うやつかも知れない。まぁ…推せるか血の涙を流すかはファンの民度によると思うけど」
「出来れば前者であって欲しいわね…」
スピーカーから合図がながれ選手が準備、構えると空砲が鳴り響く。
結果としては予選は摩利の独走で勝利を奪い取りその実力を他校へまざまざと見せつけた。
「硬化魔法の応用と移動魔法の併用のマルチキャスト…優秀ね」
真夜はそう呟き予選であってもハイレベルな魔法を見せてくれた学生に満足していた。
◆ ◆ ◆
さて、お祭り騒ぎ、と言うのは様々な問題が発生する。
特に人が集まるこういった施設で起こる問題と言うのは人と人の出会いを求める…つまりはナンパになるのだがそれに朔也と真夜は遭遇してしまった。
「…さっき会長に連絡をとったから試合が終わり次第迎えに来るそうだよ」
「へぇ…朔也さんと真夜さんはお姉ちゃんと同じ第一高校の生徒さんなんだ?」
「まぁね。君のお姉さんに無理矢理、もとい、頼まれて風紀委員会に入れさせられたよ」
その言葉で少女は「へぇ…」と呟き朔也を見るのは自分の雰囲気が”そういった目で見ても許される”と言う雰囲気を醸し出しているからだろう。朔也も其を咎めないし真夜も特別なにも言わなかった。侮った、ではなく興味深そうにといった感じだったからだ。
「…それじゃあ結構優秀なんだね?」
「まぁ、それなりには心得はあるよ」
「もう…香澄ちゃんったら…申し訳ございません。あの場面で割って入っていただいて有り難うございます。助かりました。それに御馳走までしていただくなんて…」
セミロングの少女が真夜へペコリ、と頭を下げると優しく微笑んだ。
「ふふ、気にしないで。彼もそういうのが気に入らなかっただけだから。」
「うん。真夜さんの言う通り気にしないで。嫌なことがあったら美味しいものを食べて忘れるのが一番だから」
「泉美、別にあんな奴私だけでも…」
「香澄ちゃん」
「ちぇ…わかってるって…有り難うございます。朔也さん、真夜さん」
ショートカットの少女がセミロングの少女に窘められよく似た双子が一緒に頭を下げるのを見て上げさせる。まさか遭遇するとは思わず苦笑い…を内心に浮かべながら目の前の双子を見た。
「(まさかここで遭遇するとは…凄く申し訳ねぇ気分になるな)気にしないで。俺も真夜さんもああ言った手合いが嫌いなだけだったから。余計なお世話だったかもしれないけどね?」
普通の迷子なら良かった…しかし世界ってのは上手く出来ているらしい。
まさかの”ダブルセブン編”で大きく登場する七草の双子…七草香澄と七草泉美だった。
何故こんなことになっているのか、と言うと先述したとおり不純な動機で此方にやってきた輩…つまりナンパをしに来た男達。魔法師は見目が整っている者が多く、例え優れていたとしても大人数で女性一人…もとい少女二人が男に取り囲まれる…と言うのは心理的に恐怖を覚えるものだし非魔法師に魔法を使い怪我をさせた、となれば大きな問題になるのだ。
其を”スピード・シューティング”の決勝観戦に向かう道中、昼食時に近かったため朔也が真夜の手を引いて「あっ!出店ある!唐揚げだ!」と無垢な声を上げているのを真夜が見て「(やだ…私の恋人可愛い…)」と感想を覚えているとハッとした朔也が「…俺も可愛いところあるでしょ?」と恥ずかしそうにハニカミながら返答し昼食を物色している最中、彼女らとナンパ集団に出会う。
朔也の心情的に無視することは憚られた為ナンパ集団を
その後年長者と言うことで昼食を御馳走し試合会場に乗り込む。
その名前…というか名字を聞いて真夜も内心微妙な心境となったが直ぐ様切り替え名前を告げると香澄から放たれた言葉に二人して苦笑した。
「あ!お姉ちゃんが言ってたバカッ」
「か、香澄ちゃん!」
「もががが~~っふはっ!何するのさ泉美っ」
「しょ、初対面の人たちに何を言い出すのっ。も、申し訳ございません」
「いや、どう考えたって…ああ、泉美可愛い顔が台無しになっちゃうよ?」
「誰のせいですかっ」
おい、今バカップルって言おうとしたろ。啓や花音のようにベタベタと見せつけているわけではないんだが?
何てことを家でしかも妹に伝えているのかあの生徒会長は…流石の真夜も苦笑いを浮かべるしかない。
さておき、普通に接すれば警戒されるため名前を知ってくれていたお陰で会話をすることが出来たため試合前の真由美に以前渡されたプライベートナンバーに連絡し「妹さん達が迷子になっていたので保護しました」と連絡すると「試合が終わるまで一緒にいてくれる?」と頼まれたため今一緒にいる…というわけでありその事を説明すると二人は「じゃあ一緒に試合を観戦しましょう」と提案してきたので隣にいる真夜へ確認をすると快諾してくれた。
スピード・シューティングの観戦席は人で埋め尽くされており他選手であればそこまででもないのだが真由美人気のお陰だろう…対戦相手には気の毒だが。つか、後で会長とは話をする必要があるな、と真夜と朔也は思った。
隣にいる真夜が耳打ちする。(座席的に真夜と泉美を朔也と香澄で挟み込むように着席している。)
「まぁ二人でもなんとかなりそうだったけど…騒ぎを起こすより穏便ね。其より真由美さんの試合を見ましょう」
「…そうですね」
程なくしてシューティングレンジに真由美が姿を見せると嵐のような歓声がスタンドを揺るがした。
スタンドにそこかしこに設置されたパネルに「お静かにお願いします」と表示が出ると波が引くように歓声が引いていったが熱気は更に高まったように思えた。
(にしても対戦相手が可哀想だな…)
同じ魔法科高校の三年生…同じ性別で同じ年齢だが魔法師としての隔絶した”格”と言うものが存在しており越えることは出来ない壁として立ちふさがっていることを。
一方で真由美は観客の熱気など気にしないといった素振りでCADのロックをリリースし開始の合図を待つ。
五つのランプが一つずつ点灯していく度に相手選手は緊張で押し潰されていく。
ついにランプが全て点灯しブザーが鳴り響き発射器から二色のクレーが射出される。白が相手選手、赤が真由美が破壊すべきクレーの色だ。
射程圏内に飛び込んできた赤いクレーは次々と撃ち抜かれていく。
しかし其はこの競技の特徴上賢い戦い方ではないのは自分が壊すべきクレーを相手のクレーと間違って破壊しないで済むためアシストしているような感じがするが…しかしそんな理屈を粉砕する技量が今発揮されている。
その光景を見た真夜が感心したように呟いた。
「あれが真由美さんの『魔弾の射手』ね…凄い精度じゃない(流石は弘一さんの娘、ってところかしら…)」
飛び交う白と赤のクレーをしたから発射されたドライアイスの弾丸が撃ち抜く。
射手…銃座を作成しドライアイスの弾丸を発射する『魔弾の射手』は今行っている競技ではクレーに振動系統の魔法をぶつけて破壊するのが一般的であるがお互いの魔法が干渉し思いがけない事象を引き起こす…で、あるのならばこれが実戦だった場合敵対する魔法師と打ち合った場合先手を取るのならば座標を絞り混みより強い干渉力を集中する必要がある。其を真由美は実戦し相手の意識外と領域干渉外から攻撃を出来る…と言う卓越した世界的に見ても高い魔法師レベルのある真由美の照準の精密性を誇る彼女の代名詞、とも言える魔法であった。
真由美がその見た目と魔法力も相まって『
(やっぱり十師族相手じゃ一般生徒では相手にならないか…まぁ見ている限り圧倒的な実力差でねじ伏せる、ってのは見ていて面白いけど対戦相手はたまったものじゃないな)
どんどんとパネルに表示される広がっていく点数差を見て苦笑する。気の毒だがこれが”血筋と才能”と言うものだろう。チラリと隣を見ると目をキラキラと輝かせ姉の活躍を見ている双子の姿が視界に入り今シューティングレンジでクレーを破壊している真由美は今年で卒業…第一高校の三連覇が掛かった大事な試合ではあるが…その実観客席にいる実妹達に良いところを見せようと本気を出した結果…なのかもしれない。
◆ ◆ ◆
”スピード・シューティング”の決勝は真由美の優勝で終わった。
その後一緒に観戦していた香澄達を真由美に預けると感謝の言葉を掛けられると同時に試合結果について聞かれたので無難な返答をして見せた。
七草姉妹と別れを告げ大会選手ではないため再びホテルへ戻る。きっと明日から香澄達は学校の同学年と共に観戦するか家人共に姉の試合を観戦するのだろう。
一日目の試合日程が終了し熱気が籠っていた会場は人の波がサッと引いて別物と化していた。
その会場を後にして宿泊するホテルへ戻り予約していたレストランで食事を取り他愛ない会話をして部屋へ戻り互い違いに湯浴みをした。(両者共に一緒に入りたかったが言い出せなかった)
「…今日も一緒に寝ても良いかしら?」
「俺も一緒にベッドに入りたかったから良いよ」
「…お邪魔します」
「どうぞ」
互いに別々のベッドに入るが結局同じベッドに入る事になり真夜が朔也の腕を枕にしていた。
(朔也さんの…)
(真夜さんの…)
((体温あたたかい…))
お互いの体温を感じながら心臓の鼓動を音楽にして目蓋が落ちそうになるとき朔也は小さく声を掛けた。
「ねぇ真夜さん?」
「…なぁに?」
声が小さくなってきているのは動いたりして疲れ丁度良い鼓動が子守唄代わりになっているからだろうそれはお互いの言葉の小ささを表していた。
「今日は…楽しかった?」
そう問いかけると重い目蓋を少し上げ紫の瞳がチラリ、と見え表情には幸せそうな笑みを浮かべる。
「ええ…今まで経験したことが無い事が出来て楽しかったわ…貴方は?」
そう問われて朔也は抱き締めながら重くなる目蓋を薄く開き二色の眼が見える。
「俺も楽しかったけど…真夜さんと一緒だったからもっと楽しかったよ」
「(もう本当にこの人は…)…///じゃあその楽しさを手放さないように抱き締めて。明日はお弁当を作らなくて良いんだから一緒に眠り、なさい…」
「喜んで…お休み真夜さん」
「お休みなさい、朔也さん…」
部屋を暗くして暫くすると抱き合った二人の寝息が重なるのだった。
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九校戦から真夜様を参加させるとしたらどの年代が良いですか?
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十二歳ぐらい(中学生ぐらい)
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十六歳ぐらい(主人公より少し上お姉さん)
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本編(よりは若二十代それで制服を…)