――戸塚弥彦視点
Cクラスは、一夜で消えた。
朝になれば、浜辺にいたはずの連中はほとんど姿を消していた。
残っていたのは、使い潰された物資の痕跡と、荒れた砂と、昨日まで確かにそこに誰かがいたという気配だけだった。
負けを認めた。
試験を捨てた。
そう片づけられれば、どれほど楽だっただろう。
だが、葛城さんはそう見なかった。
白峰も、そうは聞かなかった。
Cクラスは降りたのではない。
降りたことにした人間がいる。
その言葉が、頭の中で何度も引っかかっていた。
それだけではない。
物資の引き渡し時に、龍園は他クラスのリーダー候補情報を渡してきた。
あくまで候補情報。
確定ではない。
契約書にも、そう記されている。
その時は、少しでも情報が得られるなら意味があると思った。
葛城さんも、そう判断した。
だが、今なら分かる。
龍園がこちらへ売ったものと、龍園が最後まで握っているものが同じとは限らない。
むしろ、同じだと思う方が甘い。
あいつは候補を売っただけだ。
答えを売ったわけじゃない。
そして、その答えの中に、俺の名前が入っているかもしれない。
Aクラスのリーダー。
戸塚弥彦。
その事実が、昨日よりも重くなっていた。
俺は洞窟の外に出た。
夕方の空気は湿っている。
木々の間から差し込む光は弱く、地面の凹凸を曖昧にしていた。
少し離れた場所では、町田が手帳を開いている。
水場の見張り交代。
物資の使用状況。
橋本の移動。
Cクラスの残した痕跡。
必要なことを、淡々と記録している。
あいつは騒がない。
余計なことを言わない。
葛城さんに報告するときは丁寧で、橋本や俺には遠慮しない。
だからこそ、今のAクラスに必要な人間に見えた。
それが、悔しかった。
俺より役に立っている。
そう思ってしまう自分が、余計に情けなかった。
「何をしている」
背後から声がした。
振り返ると、葛城さんが立っていた。
「……少し、外の空気を吸っていました」
「一人で離れるな」
「……すみません」
「責めているわけではない」
葛城さんは俺の隣に立った。
いつも通りの落ち着いた声。
だが、何も感じていないわけではないはずだ。
Cクラスの一斉リタイア。
龍園の狙い。
候補情報という名の不完全な取引。
橋本の曖昧な立ち位置。
坂柳派の視線。
それらを全部見たうえで、顔に出していないだけだ。
「葛城さん」
「何だ」
「俺が、もっと上手くやれていれば……」
「その先を言う必要はない」
「でも」
「言う必要はない」
葛城さんの声は強かった。
俺は口を閉じる。
「お前が何を考えているかは分かる。自分がリーダーであること。洞窟占有時の動き。俺の近くにいすぎたこと。Cクラスに見抜かれる可能性。そのすべてを自分の失敗だと思っているのだろう」
何も言えなかった。
その通りだった。
「ですが、実際に俺の失敗です」
「違う」
葛城さんは即答した。
「お前だけの失敗ではない」
「でも、俺の責任ではあります」
自分でも驚くほど静かな声だった。
葛城さんも、わずかにこちらを見る。
「……そうだ」
そう言われて、胸の奥が痛んだ。
否定してほしかったわけではない。
だが、肯定されると、やはり重い。
「お前はリーダーだ。隠すべき立場でありながら、クラスの点に直結する存在でもある。その責任はある」
「はい」
「だが、責任があることと、すべてを背負い込むことは違う」
「分かっています」
「本当に分かっているか」
答えられなかった。
分かっている。
そう言いたかった。
だが、言えなかった。
葛城さんは浜辺の方へ視線を向ける。
「龍園の狙いは、俺たちに誰か一人を責めさせることでもある」
「誰か一人を……」
「リーダーが見抜かれた時、責任の所在を巡ってクラスは揺れる。俺を責める者もいるだろう。お前を責める者もいる。坂柳派は、それを利用する」
坂柳。
その名前が出た瞬間、胸の奥が熱くなった。
あの女ならやる。
葛城さんを失脚させるためなら、Aクラスの失点すら利用する。
俺はそれが許せなかった。
だから、葛城さんの側に立ってきた。
葛城さんを支える。
葛城さんを守る。
そう思っていた。
でも。
俺は本当に、隣に立っていたのか。
それとも、葛城さんの後ろで、葛城さんの名前を借りて声を大きくしていただけなのか。
「戸塚」
「はい」
「俺の名を使って周りを押し返すな」
その言葉が、胸に刺さった。
以前なら、反射的に言い返していたかもしれない。
違います。
俺は葛城さんのために。
Aクラスのために。
そう言っていたはずだ。
だが、今は言えなかった。
白峰の言葉を思い出す。
守る声というより、押し返す声に聞こえた。
あの時は腹が立った。
今でも腹は立つ。
でも、完全には否定できない。
「俺は……葛城さんの邪魔をしていましたか」
「邪魔ではない」
葛城さんは言った。
「だが、お前の声が大きくなるたびに、周囲は俺ではなく、お前を見る」
「……はい」
「それは時に有効だ。だが、今は危うい」
俺が目立てば、俺がリーダーだと見られる。
俺が葛城さんのそばにいればいるほど、俺が重要な役割を持つと読まれる。
そんなこと、少し考えれば分かったはずだ。
だが、俺は考えなかった。
葛城さんのそばにいることが、正しいと思っていた。
葛城さんの言葉を大きくすることが、支えることだと思っていた。
違ったのかもしれない。
いや。
全部が違ったわけではない。
でも、足りなかった。
「葛城さん」
「何だ」
「俺は、どうすればいいですか」
言った瞬間、自分で気づいた。
また、聞いている。
答えを求めている。
葛城さんの後ろに立とうとしている。
葛城さんもそれに気づいたのだろう。
少しだけ沈黙した。
その沈黙が怖かった。
「それを俺に聞くうちは、まだ後ろにいる」
息が止まった。
怒られたわけではない。
突き放されたわけでもない。
けれど、今までで一番重い言葉だった。
「……すみません」
「謝るな」
「ですが」
「謝罪ではなく、お前自身が考えろ」
葛城さんは静かに言った。
「俺の指示に従うだけなら誰でもできる。お前が俺の隣に立つというなら、お前自身の判断を持て」
隣。
その言葉が、胸の奥に沈んだ。
俺は葛城さんの隣に立ちたかったのか。
それとも、ただ葛城さんの後ろで、強くなった気でいただけなのか。
分からない。
分からないが、分からないままでは駄目だ。
「少し、考えます」
「ああ」
葛城さんはそれ以上何も言わなかった。
俺はその場を離れた。
一人になるなと言われたばかりだが、洞窟の入口から見える範囲だ。
完全には離れていない。
木の根元に腰を下ろす。
土が少し湿っていた。
遠くで、誰かが荷物を動かす音がする。
Aクラスの生徒たちは、表面上は落ち着いている。
だが、空気は重い。
Cクラスは消えた。
龍園は候補情報だけを売った。
その先にある答えは、まだあいつの手元にあるかもしれない。
そして、その答えが俺なら。
Aクラスは失点する。
葛城さんは責められる。
坂柳派が動く。
俺は、葛城さんの足を引っ張る。
「隣、か」
小さく呟いた。
その時、足音が近づいた。
振り返らなくても分かった。
白峰だ。
あいつの足音は、うるさくない。
気配がないわけでもない。
ただ、こちらが構える前に、いつの間にか近くにいる。
「ここ、座ってもいい?」
「勝手にしろ」
「うん」
白峰は隣ではなく、少し斜め前に座った。
真正面でも、真横でもない。
妙な位置だった。
「何だよ」
「真正面だと、話しにくいかと思って」
「気を遣ったつもりか」
「たぶん」
「たぶんって何だよ」
白峰は困ったように笑った。
その笑い方にも腹が立つ。
でも、以前ほどではなかった。
「葛城くんと話してたね」
「聞いてたのか」
「全部じゃないよ」
「どこからだ」
「隣、って言葉の少し前くらい」
「十分聞いてるじゃねえか」
「ごめん」
「だから、すぐ謝るな」
「うん」
「頷くな」
白峰は素直に黙った。
それがまた調子を狂わせる。
俺は膝の上で拳を握った。
「お前、前に言ったよな」
「うん」
「俺の声が、葛城さんを支える声じゃなくて、周りを押し返す声だったって」
「うん」
「……まだ、そう聞こえるか」
聞いてから、後悔した。
何でこいつに聞いているんだ。
葛城さんに聞くのと同じじゃないか。
誰かに答えをもらおうとしている。
だが、白峰はすぐには答えなかった。
「答えた方がいい?」
「は?」
「戸塚くんが、本当に聞きたいなら言う」
「……言えよ」
「うん」
白峰は少しだけ視線を落とした。
「押し返す感じは、少し減ったと思う」
「本当か」
「うん。でも、怖いのを隠そうとして、息が浅くなる時がある」
胸が詰まった。
「怖いに決まってるだろ」
「うん」
「俺が見つかったら、Aクラスが失点する。葛城さんが責められる。坂柳が調子に乗る。俺が……俺が、全部台無しにするかもしれない」
言葉が止まらなかった。
自分でも驚いた。
白峰は何も言わない。
だから、余計に言ってしまった。
「俺は葛城さんを支えるつもりだった。でも、俺がリーダーになったせいで、逆に足を引っ張るかもしれない。葛城さんの近くにいたせいで、目立ったのかもしれない。龍園が持ってる答えに、もう俺の名前が入ってるかもしれない」
口にした瞬間、喉が固まった。
言ってしまえば、本当にそうなる気がした。
白峰は少しだけ目を伏せる。
「候補と答えは、違うんだよね」
「……ああ」
「でも、候補を買った側が安心できないなら、売った側はもっと嫌なものを持ってるのかもしれない」
「分かってる」
「うん」
「だから怖いんだよ」
白峰は責めなかった。
慰めもしなかった。
ただ、少しだけ間を置いた。
「戸塚くん」
「何だよ」
「それ、全部一人で持つには大きいよ」
「持たなきゃいけないだろ」
「うん。持つ必要はあると思う」
慰めではなかった。
それが、少し意外だった。
「でも、潰れるために持つわけじゃないと思う」
「……どういう意味だよ」
「責任って、沈むための重りじゃなくて、立つ場所を決めるための重さなんじゃないかな」
俺は白峰を見る。
何を言っているのか、全部は分からない。
けれど、不思議と耳に残った。
「お前の言い方、やっぱり分かりにくい」
「ごめん」
「謝るな」
「うん」
「頷くなって言ってるだろ」
「難しいね」
「何がだよ」
「戸塚くんと話すの」
「こっちの台詞だ」
思わずそう返していた。
白峰は少しだけ笑った。
俺は息を吐いた。
笑う気にはならない。
でも、喉の詰まりは少しだけ薄くなっていた。
「俺は、葛城さんの隣に立てると思うか」
また聞いてしまった。
だが、今度は少し違った。
答えを求めるというより、自分の中で言葉にしたかった。
白峰は首を傾げる。
「立てるかどうかは、僕には分からない」
「だろうな」
「でも、後ろにいるだけなら、そんなこと聞かないと思う」
俺は黙った。
白峰は続けない。
その言葉だけを置いて、黙る。
こいつのそういうところが、本当に腹立たしい。
足りない。
でも、足りないから、自分で考えなければならなくなる。
「俺は……」
口を開く。
何を言うかは決まっていなかった。
だが、言わなければならない気がした。
「俺は、葛城さんが間違えるとは思ってなかった」
「うん」
「いや、違うな。思いたくなかった」
自分で言って、胸が痛んだ。
「葛城さんは正しい。葛城さんについていけばAクラスは守られる。そう思ってた。だから、葛城さんに逆らう奴が許せなかった」
「うん」
「でも、それは……葛城さんを信じてたんじゃなくて、葛城さんに預けてただけだったのかもしれない」
白峰は何も言わなかった。
その沈黙が、肯定にも否定にも聞こえなかった。
だから、続けられた。
「俺が考えなくていい理由にしてた」
声が掠れた。
悔しい。
情けない。
自分で自分を殴りたいくらいだった。
俺はAクラスの人間だ。
下位クラスとは違う。
そう思ってきた。
なのに、自分は何をしていた。
葛城さんの名前を借りて、声を大きくしていただけじゃないのか。
「戸塚くん」
「何だよ」
「怒鳴らなかったね」
「……今、それ言うか?」
「うん」
「最悪だな、お前」
「ごめん」
「でも」
俺は拳を緩めた。
「怒鳴ったら、また誤魔化すことになる気がした」
白峰は小さく頷いた。
「それなら、たぶん大丈夫」
「何がだよ」
「戻ってないから」
「分かりにくい」
「ごめん」
「謝るな」
俺は呆れて、少しだけ笑いそうになった。
笑わなかった。
でも、息は軽くなった。
その時、町田が近づいてきた。
「戸塚、白峰」
「何だよ」
「葛城さんが呼んでいる。今後の見張りの配置を確認するそうだ」
「分かった」
俺は立ち上がる。
町田は俺を見て、少しだけ目を細めた。
「体調は問題ないか」
「何だよ急に」
「顔色が悪かった」
「……問題ない」
「そうか」
町田はそれだけ言って、手帳を閉じた。
白峰が立ち上がる。
俺は洞窟の方へ歩き出しかけて、足を止めた。
「町田」
「何だ」
「お前、記録してるんだよな」
「必要なことはな」
「水場のことも、橋本のことも」
「ああ」
「なら、俺のことも記録しとけ」
町田が初めて、少しだけ驚いた顔をした。
「何をだ」
「俺がリーダーとして、何をしたか」
「……分かった」
「変な顔するな」
「いや」
町田は手帳を開いた。
「必要だと思っただけだ」
俺は鼻を鳴らした。
「そうかよ」
白峰は何も言わなかった。
でも、後ろで小さく息を吐いたのが聞こえた。
俺たちは洞窟へ戻った。
葛城さんは地図代わりの紙を広げ、数人の生徒に指示を出していた。
橋本は少し離れた場所にいる。
いつものように笑っている。
だが、その笑い方はどこか丁寧だった。
白峰が前に言っていた意味が、少しだけ分かった気がした。
あいつは、逃げ道を残している。
どこにでも行けるようにしている。
それは悪いことなのか。
分からない。
ただ、俺とは違う。
俺は、今までどこにも行けなかった。
葛城さんの後ろにいることで、自分の場所があると思っていた。
でも、違う。
場所は借りるものじゃない。
立つものだ。
「戸塚」
葛城さんが俺を呼んだ。
「はい」
「見張りの配置を確認する。お前の意見も聞く」
以前なら、俺はすぐに「葛城さんの判断に従います」と言っていた。
それが正しいと思っていた。
だが、今は違う。
俺は紙を見た。
水場。
洞窟。
物資管理。
見張り。
橋本の位置。
町田の記録。
白峰の移動範囲。
候補情報を受け取った後の、各クラスへの警戒。
すべてが複雑に絡んでいる。
俺に全部が読めるわけじゃない。
でも、何も考えないわけにはいかない。
「水場の見張りは、増やしすぎない方がいいと思います」
俺は言った。
葛城さんがこちらを見る。
「理由は」
「Cクラスの足跡は、水場を奪うためというより、こっちに意識させるためのものだった可能性があります。増やしすぎれば、向こうの思い通りになる」
「続けろ」
「ただ、減らすのも危険です。見張りは現状維持。ただし、交代時に誰がどこを見たか、町田に記録してもらうべきです」
町田が手帳に目を落とす。
「記録は可能だ」
「橋本は物資側に置いたままでいいと思います。でも、完全に外すんじゃなくて、報告役として使う。あいつは軽いけど、見えるところにいれば使えます」
橋本が眉を上げた。
「ひどくない?」
「事実だろ」
「戸塚に言われると腹立つな」
「俺も言ってて腹立つ」
数人が小さく笑った。
葛城さんは笑わなかった。
だが、止めもしなかった。
「それと」
俺は息を吸った。
「龍園から受け取った候補情報は、使うべきです。でも、信じ切るべきじゃありません」
葛城さんの目がわずかに鋭くなる。
「理由は」
「龍園が売ったのは候補です。答えじゃない。あいつが最後に使う情報と、こっちに渡した情報が同じだとは思えません」
口にしながら、背中に冷たいものが走った。
俺自身の名前も、龍園の答えの中にあるかもしれない。
それでも、言わなければならなかった。
「だから、候補情報で他クラスを見るのはいい。でも、その情報を根拠に安心するのは危険です。特に、Aクラス自身のリーダー情報が守られていると思うのは……甘いと思います」
周囲が静かになった。
自分で言っていて、怖かった。
俺は自分の首を絞めるようなことを言っている。
だが、今のAクラスに必要なら、言うしかない。
葛城さんはしばらく黙っていた。
そして、低く言った。
「採用する」
心臓が一つ、大きく鳴った。
「水場は現状維持。交代記録を町田が取る。橋本は物資側に置き、報告役として使う。候補情報は参考にするが、判断の根拠にはしすぎるな。白峰は違和感があれば、町田か俺に伝えろ」
「分かりました」
町田が答える。
「了解」
橋本が軽く手を上げる。
「うん」
白峰が頷く。
俺は、少し遅れて返事をした。
「はい」
葛城さんが俺を見る。
「戸塚」
「はい」
「今の判断は、お前のものだ」
胸が詰まった。
嬉しいわけではない。
怖さが消えたわけでもない。
だが、逃げる場所が一つ減った気がした。
それは不安だった。
でも、不思議と嫌ではなかった。
「責任を持て」
「はい」
今度の返事は、さっきよりも少しだけ真っ直ぐ出た。
夜が深くなる。
Cクラスの浜辺は静まり返っている。
島のどこかに龍園がいるかもしれない。
伊吹や金田が、どこかで動いているかもしれない。
橋本が何を考えているかも分からない。
坂柳派がこの結果をどう使うかも分からない。
分からないことばかりだ。
でも、全部を葛城さんに預けることは、もうできない。
俺はリーダーだ。
隠れなければならない。
だが、隠れているだけではいけない。
葛城さんの後ろではなく。
隣に立てるかは、まだ分からない。
でも、少なくとも。
後ろから声を大きくするだけの自分には、戻りたくなかった。
洞窟の奥で、誰かが小さく咳をした。
外では、風が木々を揺らしている。
その音の中で、白峰がふと呟いた。
「戻らなかったね」
俺は振り返る。
「何がだよ」
「さっきの戸塚くん」
「……分かりにくいんだよ」
「うん」
「でも、まあ」
俺は前を向いた。
「戻る気はねえよ」
白峰はそれ以上、何も言わなかった。
それでよかった。
言葉はもう、十分だった。
俺は洞窟の入口に立ち、暗くなった浜辺の方を見た。
Cクラスは消えた。
龍園の狙いは、まだ見えない。
そして、見えないものの中に、俺の名前があるかもしれない。
最終日、何が起こるかは分からない。
けれど、俺はもう、葛城さんの後ろに隠れるだけではいられなかった。