ゴム人間になってブルアカ世界に来ちゃった…… 作:ぐらんどらいん
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今回はビナー戦です。皆様楽しんでいただけると嬉しいです。
本編、どうぞよろしくお願いします!
──ルフィがビナーと対峙する数時間──
「はぁ〜…………」ズ〜ン……
「えっと……ルフィ、何があったのですか ?」
「昨日散歩から帰ってきてからずっとこの調子だ……。あなたがここまで落ち込むのも珍しい」
「そうですね……今までも好きな学食のメニューが売り切れだった等で落ち込むことはしばしばありましたが、いつも3分以内には立ち直っていますし」
ハスミとツルギはもうルフィと決して短くない付き合いであるが、ここまで落ち込んだ様子の彼を見るのは初めてであった。いやそれどころか彼がここまで落ち込む様子など想像もしていなかった。
普段は明るくハッキリとした声で常に前を向いてソワソワした様子で待機所にいるのにも関わらず、今のルフィは声はか細く顔は常に下を向いており、椅子に項垂れ込むように座っていた。
「あの……本当に何があったんですか ?」
「友達に……いや友達じゃないって言われたわ……それに……二度と来るなって言われた……」
「何をしたんだ」
「なんかしちまったんだよ……たぶん……はぁ〜……」
「……メロンパン半分食べますか?」
「もぐもぐ……うまい…………」
「ちゃんと食べるんですね……」
「事情を知らないからとやかく言うべきではないかもしれないが……早めに元気になってくれると……嬉しい」
「わかってる、ちょっと踏ん切りつけるためにパトロールついでに散歩行ってきます、はい……」
「「敬語ッ……!?」」
そう言うとルフィは引き続き頭をしたに下げた状態で待機所の門を開けて外へと出たのであった。
「うーん……あれは相当重傷ですね」
「何事もなく帰ってきてくれるといいな……」
トリニティを巡回した後、おれはアビドスの砂漠を訪れていた。特に理由はない、なんとなくだ。
……やっぱ何もねぇなぁ……。ちっとも面白くねぇ。
「前にユメとホシノと探検した時はすっげー楽しかったのになぁ……1人だとなんにも面白くねぇや」
あいつらとはもっと遊びたかったけど、おれが来たせいでまたホシノとユメが喧嘩するのは嫌だな……。もう会わねェほうがいいのか……。
そんなことを考えながら歩いていたら、いつのまにかとんでもない奥地の方まで来てしまっていたらしい。ぼけっとしすぎだろおれ、何キロ歩いてんだ。
「だぁ〜!! もうしょうがねェ !! いつまでも落ち込んでいられるか !! 飯でも食いに行こう !!!」
そう思い、足をトリニティの方へと向けた次の瞬間、突如来た突風と共に視界が塞がった。
「これは……砂嵐ってやつか ? まじかよ……こりゃしばらく動かねぇ方がいいよなぁ〜。でも、なんでいきなり……」
砂漠のいじょーきしょーってやつなのかな ?
…………まて、何だこの巨大な気配、遥か遠くのはずなのにハッキリと分かるくらいのデケェ気配が一つある。それにそのすぐ近くに小さな気配も。
……行かなきゃならねぇ気がする。ここで行かなかったら、一生後悔するどころか、ずっと死にたい気持ちで生きるようになる。そんな予感がしたから、全速力で気配のする方へと向かった。
気配のする方へ走っていくと、少しずつ影が見えてきた。それと同時に、デケェ気配の近くにいる小さい気配も少しづつ鮮明になってきた。
「この気配……ユメだ……!!! 」
なんであいつこんな所に……!! いやそんなこと今はどうでもいいか、影見るだけでも分かる、あのデケェのユメを狙ってる。ここまで来て本当によかったッ !!
「〝ギア
「ウオォォリャァァァ!!!!」
殴り飛ばしはしたけど……なんだあいつの体、めちゃくちゃ硬ェ……本当に生き物の体なのか ? ……って、そんなことより今はユメの方だ !!
「ユメ !! おいユメ !! しっかりしろ !!」
「ルフィ……くん ? なんでここに……」
「それはこっちのセリフだ !! なんでお前こんなとこにいるんだよ !!! しかもそんなボロボロで !!!! 」
「私は……いや、それよりも……早く逃げて…… !!」
「なに言ってんだ !! お前が早く逃げろ !!」
「私は……私はもういいの……!! いっつもドジばっかで、人に迷惑ばっかり掛けて……今だってそう、理想ばっかり高く掲げてさ……きっとこれは罰なんだよ……バカなばっかりやってる私に対しての。だからルフィくん、私が少しだけでも時間を稼ぐからさ……その間に逃げ…………」
「嫌だ !!!!!!」
「え…………」
「おれは目の前で死にかけてる友達を見捨てて逃げたくなんかねェ !!! そんなことするくらいなら砂漠の真ん中で干からびて死んでやるッ !!! ……だから、とりあえず助ける !!!! それで、後のことはお前に任せるから好きにしろ !!! とにかく今は絶対に死なせねェ !!! 」
「ルフィ……くん……ありがっ……ありがとうっ!!」
とりあえずユメを人がいる所に飛ばす !! くそ、誰かいねぇのか……誰か…………いた。遠くに1人だけ人の気配があった。誰なのかは見聞色じゃわかんねェ、でもこんな砂漠を1人で歩いてるってことはユメのことを探してるに決まってる !! ユメのことを探している奴は……あいつしかいねェ !!!
──頼んだぞ、ホシノ。
ユメの足を両手で強く掴む。そして自分の体を限界まで捻る。
「え ? ね、ねぇルフィくん……? も、もしかしてすっごい乱暴な方法で逃がそうとしてない ?」
「しょうがねぇだろ !! あのデカブツがいつ起き上がるか分かんねぇんだから !! ゴムゴムの〜!! 〝ハンマー投げ〟!!!!」*1
「うわあああぁぁぁぁぁ〜!?!?」
「生きろォッ!!!ユメ〜ッッ!!!」
とりあえずユメを逃すことには成功した。……無事に帰ってくれるかは賭けだけどな。頼むぞ、ホシノ。
さぁてあのデカブツは……、姿は砂嵐のせいでハッキリとは見えねぇけど、影で分かる。野郎完全に起き上がってるぞ。しかも随分元気そうだ。あんなデケェのから逃げ切るなんて無理そうだし……
「しょうがねェ……やるか」
『クックック……やはりあの怪物と戦うおつもりですか ? ルフィさん』
機械音声のような声が聞こえた方へと振り返ると、ルフィの横に一機のドローンが飛んでいた。砂嵐の中でも飛行可能ということから相当高性能なドローンであることが分かる。
「何だお前、誰だ ?」
『私のことは黒服とでもお呼び下さい、この名前が気に入っていまして。直接出向いてではなくこのような形での挨拶になってしまったことについては申し訳ありません。さて、誠にご勝手ながら今からルフィさんが戦おうとしている者についてお教えしておこうと思いまして』
『このデカブツの…… ?』
『ええ、頭の片隅にでも入れておいてください。
──今より遥か昔[神]について研究をしていた組織がありました。その組織は長年研究を重ね、ついに神の研究のための対絶対者自立分析システム。
『
……しかし、組織が集まっていた都市はある時何者かに破壊され、研究は忘れ去られた……
──はずでした。しかし荒廃した都市でAIは稼働し続け、神の研究をただひたすらに続けたのです。そしてある時宣言しました。『
そしてそこに至るまでに10種類の《預言者》が産み出されました。
あなたが対面しているのはその内の一体。
〝違いを痛感する静観の理解者〟
その名は………………』
ビナーの咆哮と共に、視界を塞ぐほどに濃く吹き荒れていた砂嵐が霧散するかのように吹き飛んだ。そして、それと同時にルフィの目にはビナーの姿がハッキリと見えた。真っ白な装甲に所々に走るオレンジ色のライン。さらに全長100メートルは優に超える巨大。その姿を目の当たりにしてルフィは固まっていた。
「なっ……あっ……き、きょ…………」
『(一目見るだけで肌で直感できる強大な力、そして圧倒的な威圧感……硬直するのも無理も
ありませんね)』
「巨大ロボだ〜!!!! スッゲェ〜!!!!」
『…………は ?』
そう、ルフィは威圧感にビビって固まっていたのではない。目の前にいる巨大な機械兵器というロマンの結晶のような存在に感動のあまり圧倒されていたのだ。1ミリも恐れていないことは彼が現在目を星のようにキラキラと輝かせている様子から見てとれる。
「くっそ〜、あれぶっ壊さなきゃなんねぇのかぁ〜 !! 名残惜しーな〜 !!!」
『ククッ、クックック……まさかそのようなリアクションをとるとは予想外でした。ですが、その様子なら足がすくんで戦闘できず……なんてことにはならなさそうで安心しました。さて、あなたの戦闘、貴重なデータとして取らせていただきますよ。クックック……』
「見たきゃ勝手に見てろ、強ぇって分かってんだから、始めから全開だ !! 〝ギア
蒸気を勢いよく噴出しながら向かってくるルフィに、ビナーはミサイルを全弾彼に向けて発射する。
「ミサイルゥ !? っと ! のわっと ! ってああああッ !! マントがッ !?!?」
クソッ !! ミサイルでマントが焼け焦げちまった !! あれお気に入りだったのに !!
マントを犠牲にしつつも、ルフィは放たれたミサイルを全て回避し、そのままビナーへと接近しながら両腕を後方へと勢いよく伸ばし、ビナーの腹部へと潜り込む。
「ゴムゴムの〝
後方へと伸ばされていた腕が瞬きする間もないほどの速度で引き戻され、そのままビナーの腹部へと直撃する。しかし、ビナーの体はその衝撃でほんの少し振動こそしたものの、傷一つすらつくことはない。ビナーは自身の下に潜り込んでいるルフィを吹き飛ばさんと、尻尾で彼のいる場所を地面ごと薙ぎ払う。
「うおっ !? あっぶねぇ……」
迫り来るビナーの尻尾と砂の波を、ビナーの尻尾の装甲部の引っ掛かりを伸ばした腕で掴み、引き戻して乗っかることで攻撃を躱す。
「打撃は平気だけど、あいつが動くことで起こる砂の波に巻き込まれたら生き埋めになっちまうな……」
ビナーの尻尾を伝ながら、ルフィはビナーの頭部を目指して走る。それに対してビナーは振り落とそうと体を捻りながら暴れるが、ゴム人間でいつでも腕を伸ばして掴まれるルフィには大して効果はない。そのことを瞬時に理解したビナーは再びミサイルでの攻撃に移行する。
「またミサイルか……数も多いなめんどくせェ !!
ゴムゴムの〝
ミサイルを全て脚で薙ぎ払い、そのままビナーの体を走り続けて頭部へと到達する。そして頭部へ到達したルフィは勢いよくジャンプして足を上へ高く伸ばす。
「ゴムゴムの〝
「からのっ〝
振り下ろされたかかと落としと両足裏を合わせた突きがビナーの脳天にクリーンヒットする。流石に頭部への攻撃というのはダメージになったのかビナーは上にいるルフィを睨むかのように目にあるオレンジ色の光を細める。
しかし、ルフィの攻撃はこれだけでは終わらない。
「〝ギア
巨大な両腕がビナーの頭部を押し潰し、ミシミシと軋む音を響かせる。
よかった、ギア3は通用するみてぇだな。少しだけどヒビも入ってるし、唸り声をあげてるのがいい証拠だ!!
『(ふむ、通常のキヴォトスの生徒ではまず間違いなく血管が破裂する程の血流の促進による身体能力の向上、そして巨大化によるパワーの増強。自身の身体的特性を存分に活かしています。しかし、ビナーはそれでは倒せませんよ、ルフィさん)』
ビナーは再度ルフィをロックオンするかのように睨みつけ、再びミサイルを放つ。先刻に放たれたものよりもさらに数が増やされている。
こいつミサイル好きだな !! けどギア2なら走ってれば当たらな……いや、このミサイル追尾してくるぞ !! さっきまでのやつはそんな機能なかったのに !!
『(ビナーは一言で言ってしまえば超高性能のAI。相手の行動の一つ一つを分析し続け、その行動に対する解を算出していく。故に時間が掛かれば掛かるほどに手札が封殺されていき、さらに攻撃方法も進化し続ける。単身で奴を破壊できる者は今のキヴォトスには存在しないと言っても過言ではないでしょう。
……そして、それはルフィさん。あなたも決して例外ではありませんよ)』
追尾してくるミサイルを全て迎撃したルフィの目の前に現れたのは巨大な砂の壁。いや、砂の津波と言った方が正しいかもしれない。ルフィの周りでトグロを巻くビナーによって発生したそれはルフィを飲み込もうと迫ってくる。
『金獅子のシキ』みたいな技だな……。とりあえず飲み込まれる前に穴開けて脱出してねぇと !!
「ゴムゴムの〜〝
腕を高速で動かして貯めたパワーを一気に解き放って砂の津波に大穴を開けてそこから脱出する。そしてギア3で殴ろうと腕を膨らませていると、口を大きく開けているデカブツが目に映った。
ビナーの口はオレンジ色に眩く輝き、その輝きはチャージ音と思わしき音と共にどんどんと大きくなっていく。
「これは……やべぇッ…………!!! 緊急脱出!!」
ギア3で腕に溜めていた空気を思いっきり吐いてその場から移動した次の瞬間、先程までルフィがいた場所に向かって一直線に熱線が放たれる。
〝アツィルトの光〟
ビナーの口から放たれた熱線は地面を抉りながら焼き焦がし、通過した地点を瞬く間に焦土へと変えてしまった。
「ハァ、ハァ……う、うそだろ……今のって…………」
「ビームだぁ〜!!!!」
『(この人、いちいちリアクションしないと死ぬんでしょうか ? もう体力も少ない筈なのによくやりますね……)』
巨大ロボな上にビームまで放てるなんて……最高すぎるぞこのデカブツロボ !! 敵じゃなきゃどんなによかったか……。いや、とにかく今は決着つけねぇとな。そろそろ体力も限界だ。
「〝ギア
〝
回転する巨大な拳がビナーを思いっきり殴りつける。ビナーは装甲にヒビを走らせてのけ反りながらもすぐさま体勢を立て直し、ミサイルポッドを全弾開いてルフィへ先程よりもさらに速度と追尾性能が向上したミサイルをルフィに向ける。
「ミサイルごとやってやる !!
ゴムゴムの〝
装填されていたミサイルごと潰したことで、ミサイルポッドが誘爆し、ビナーにダメージを与えさらに装甲にヒビを入れる。そしてその勢いのままルフィはビナーをさらに押し潰そうと全力で力を入れる。
「ウオォォォリァアアアァァァァ!!!!」
ルフィが力を入れれば入れるほど、装甲の軋む音が大きくなっていく、しかし、ビナーはすでにギア3にも慣れつつあった。まだ損傷ない部位に馬力を集中させることで、巨大化したルフィの足を押し返していき、体を大きく1回転させることでルフィを吹き飛ばした。
「ぐあッ !! ハァ、ハァ、ハァ……ギア3に、慣れてきてるのか…… ? いや、どっちしろ、これで最後だ !!!」
頼むから発動してくれよ……。
「〝武装色硬化〟!!」
よし !! 発動した !! この一撃で終わらせる !!
「〝ギア
腕を今までで一番長く後方へと伸ばし、そのままビナーに限界ギリギリまで接近していく。当然ビナーもそれを近づかせないべくミサイルでの弾幕を形成するが、ルフィは全て回避することは諦め、あえて数発自らくらいにいくことで道を切り開く。そして勢いよく飛翔しビナーの頭部のすぐ横まで到達した瞬間、限界まで伸び切っていた腕を全速力で引き戻し、その際に発生した空気との摩擦で発生した熱が武装色を纏った腕を紅く、紅く染め上げていく。
────そして、彼の拳は炎を纏った。
「〝
燃え盛る炎の拳が装甲を焼き焦がし、刻印をつける。ビナーは咆哮のような呻き声を上げながらのたうち回った後に、倒れて沈黙した。
「ゼェー、ゼェー、ハァ、ハァ……あ〜体中がイテェ……ほとんど動けねェなぁ……」
ビナーのすぐ近くに倒れ込むルフィ。両者ともが倒れた状態で一切動かないまま暫く時間が経過した時、突如ビナーの周りが振動し始めた。
原因は明白、ビナーが再び動き始めたのだ。動き始めたビナーはゆっくりと体を起こし始め、すぐ近くに倒れているルフィを睨みつけた。そしてゆっくりと口を開け、エネルギーのチャージを開始し始める。
「……まじかよ、おれもうほとんど動けねぇってのに容赦ねぇやつだな……あれ喰らったら死ぬなぁ〜。おれ」
『……万策尽きたと言ったところでしょうか』
「お前……まだいたのか」
『ええ、とてもいいデータが取れました。お礼と言ってはなんですが、ユメさんの現状について教えておきましょう。梔子ユメさんは現在、小鳥遊ホシノさんに回収され、そのまま病院へと搬送されました。その後のことは分かりませんが、あの様子ならまず間違いなく生きているでしょう』
「なんでお前が知ってんのか分かんねぇけど……そっか、あいつ無事だったんだ……なら、よかった…………」
『……それではさようなら。
モンキー・D・ルフィさん』
黒服 ? だったかな、そいつのドローンが飛び去っていくのが見えた。それとデカブツが光線チャージしてるのも。あと何秒後に放たれるのかなぁ……。まあどっちみちおれ死ぬけど。
それでもまあ、ユメとホシノが無事ならそれでいいんだ。……ツルギとハスミ、ナギサとミカとセイアたちには迷惑かけちまうけどな……。
セイアといえば、だいぶ前にあいつと絶対勝てない敵に会った時どうするかって聞かれたことがあったなぁ〜。あん時は勝つまでやるって答えたけど、死んだら次もクソもねぇよなぁ……。
さて、そろそろか……。短かったけど、楽しかったし悪くはなかったなぁ。
────バイバイ。
「ツルギ !!!!」
「キエエエエエェェェェア"ア"ア"ア"ア"!!!!」
ビナーの光線が放たれようとした瞬間、ルフィの目に映ったのはビナーの目を撃ち抜くハスミとビナーを吹き飛ばすツルギの姿だった。
今回も閲覧ありがとうございました。
これは余談ですが、ツルギとハスミと仲良くなっておかないとここでルフィが死にます。ブルアカのバッドエンドスチルみたいな光景になります。