ゴム人間になってブルアカ世界に来ちゃった……   作:わっきょうらん

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皆様いつも誤字報告、お気に入り登録、評価のほど誠にありがとうございます。あいも変わらずお世話になっており頭が上がりません。

〜正実パーティ:突然感情が吹っ飛ぶ時ってあるよね〜

ルフィ「イチカ !! この新しい学食のメニュー、美味そうだけど見たことねェような料理だぞ !」

イチカ「そうっすね、安全策を取るべきか、はたまた冒険するべきか……これぞまさに……」

ルフィ、イチカ「「〝イチカ〟八か !!!」」

ルフィ、イチカ「「ハッハハハハハハハ !!」」

ルフィ「……………なんでこんな笑ったんだ ? おれたち」

イチカ「わかんないっす」




紅茶 !!! Fox !!!

 

とある日の放課後、ルフィは紅茶専門店へ来ていた。暖色の光が広がる店内にはいくつか席が用意されており、茶葉を買うだけでなく店主に紅茶を淹れてもらうこともできるようだ。だが彼は別に紅茶に大きな興味があるわけではなく、好きな飲み物という訳でも無い。それなのに何故こんな場所にいるのか。それは彼が自らの意思でその場所に向かったのではなく、ある人物に連れてこられたからだ。

 

「いいですかルフィさん、ダージリン、アッサム、ウバ……この3つの茶髪は紅茶の中でもオーソドックスなものです。分かりましたか ? はい、復唱」

 

「え、えーっと……ダダン、アブサロム、

ユバ…… ?」

「全然違います !! ふざけたような回答しないでください ! 次に頓珍漢な回答をしたら、そのどこまでも大きく開くお口にロールケーキぶち込み、ホールケーキで蓋をして差し上げますよ !?」

 

「別にケーキならいくらでも食えるけど……」

 

「そういう話をしているのではありません !! はい一個目 !!」

 

「むぐッ !! ……もぐもぐ…………美味い」

 

大人の腕の長さくらいのロールケーキがルフィの口に強制的にぶち込まれるが、ルフィにとっては単なるラッキーでしかない。彼にロールケーキ等の食べ物をトラウマにさせるのなら一日中食べさせることが必要になるだろう。

 

……え ? まずなんでルフィを紅茶専門店へと連れて行った人物とやらは当たり前のように馬鹿でかいロールケーキを持ち歩いているのか ? だって ?

 

ムハハハハハ !! 油断したなァ !!! 桐藤ナギサとはこういう生徒だ !!*1

 

そう、ルフィをここへと連れてきたのは桐藤ナギサ。それもほぼ無理矢理にである。普段穏和な彼女がどうしてそのような行動へと至ったのか、時は少し前に遡る。

 

──────────

────────

──────

────

──

 

 

「このロールケーキ美味ェな〜」

 

時は遡って一時間程前、ルフィはナギサから『いい茶葉とロールケーキが手に入ったので一緒にどうか ? 』という旨の連絡を貰い、ロールケーキという文字を見た彼は当然一瞬のうちに食いついた。

 

 

ルフィはロールケーキを頬張った後に紅茶で流し込む。

 

 

うーん、なんか普通に自販機で買える紅茶と一緒のような気がするな……。違いがわかんねェ。

 

「ロールケーキは美味ェのがわかるけど紅茶はよくわからねェな !!」

 

「それはルフィさんが砂糖を入れすぎているからです。今日淹れた紅茶は花のような香りの後に口に広がるしっとりとした茶葉の甘みが特徴。砂糖を入れて飲むとその甘さが失われてしまいます」

 

「ん〜でもよ、紅茶なんて全部一緒じゃねェのか ?

 

ただ思ったことをポロッと口にしただけだった。

 

────しかし、その言葉は桐藤ナギサの逆鱗に触れた !!

 

 

バァンッ !!!

 

 

「!? !? !? !?」

 

「もう我慢なりません !!! こうなったら私が直接、紅茶のイロハを叩き込んで差し上げます !!! ついてきなさいルフィさん !!!」

 

「いやだからおれは別に紅茶に興味は……」

「ルフィ !!!!」

「い、イエスボス !!」

 

あまりにも強すぎる圧と怒号のように感じる呼び方に気押され、普段使わないような返事がルフィの口から飛び出る。これが紅茶色の覇気……!!

 

──

────

──────

────────

──────────

 

と、このような経緯で現在に至る。哀れなり、弱き者よ。

 

「気を取り直して、まずは先ほど挙げたダージリン、アッサム、ウバの3種を飲んでいただきます。ここではプロの方が一流の製法で丁寧に淹れて下さりますから。必ず違いがお分かりになるでしょう」

 

ナギサはカウンターに居る店主にそれぞれ3種の紅茶を注文する。そこから3、4分くらい経ったぐらいであろうか、3つの紅茶がルフィとナギサの座っている席に運ばれてきた。

 

「さあ、飲みなさいルフィ」

 

「じゃあ、いただきます」

 

運ばれてきた紅茶に、ルフィは一口、また一口と順々に口をつけていく。そうしてしばらく腕を組んで考え込んだ後、もう一度一口ずつ飲み、また腕を組んで考え込む。その動作を紅茶を飲み干すまで繰り返した後、腕組みを解いてただ一言だけこう言った。

 

「紅茶だ」

 

「当たり前ですよ !?」

 

「それ以外に言うことねェもん」

 

なんかすげェ紅茶らしいけど、日本にいた時に飲んだ午◯の紅茶とほとんど違いがわからねェ……ちょっと味が違うような気もするけど、それは先に凄い紅茶だと聞いてるからであって、目隠しして飲んだら絶対違いわかんねェっておれ。……そういえばこの世界にも午◯の紅茶ってあるのかな、もうあれが最強でいいんじゃねェか ?

 

「ここまできて尚その態度を崩さないおつもりですか !? こうなったらここにある全ての茶葉を飲んでいただきます !!」

 

「ふざけんな ! 膀胱おかしくなるわ !!」

 

「あなたはゴム人間なのでしょう !? 膀胱くらい膨らませて無限に飲める筈です !」

 

「無茶言うな !!!」

 

ルフィの拒絶も虚しく次々と運ばれてくる紅茶の数々、もはや何杯飲んだのかわからなくなり始めた頃、彼はとあるお茶を口に含んだ後飲む手を止めた。

 

「あ、これは美味いし他の奴とは全然違う気がする。てかトイレ行きてェ」

 

「 !! ついに見つかったのですね ! 店主さん !! この紅茶はなんと言う種類のものですか ?」

 

もはや飲ませすぎて種類があやふやになっていたため、ナギサは店主に茶葉の種類を確認する。

 

「昆布茶ですね」

「ルフィ !!!!」

「別にいいだろ !! てかトイレ行きてェ」

 

結局、ルフィは昆布茶と紅茶の区別はつくが紅茶の種類に関してはほとんど区別がつかないという結果で終わった。

 

 

一生分の紅茶飲んだ気がする……もうしばらく紅茶は飲みたくねェな…………。

 

 

 

 


 

 

──翌日──

 

 

 

「……来たか、ルフィ」

 

「おう、来たぞ。大冒険に出かけるんだよな !! 楽しみだ !!!」

 

モモトークにてセイアからルフィに送られたメッセージ。それは『大冒険に出かけるぞ』というものだった。大冒険などという言葉にルフィが反応しない訳がない。それを裏付けるかのように、セイアが指定した集合場所に集合時刻の1時間前に到着したことは彼がどれくらい楽しみにしていたかをよく物語っている。

 

「気合十分のようでなによりだ。かくいう私も、今日は何故だか体調が絶好調でね。どうやら天が私にアクセルを踏み千切り、ハンドルを切れと言っているようだ」

 

「アクセル ? エンジン ??」

 

「ん ? ああそうだったね。言い忘れていたよ、私たちの移動手段は車だ。これで今日私たちは風を切る」

 

……キヴォトスって高2でも車運転していいんだな。日本じゃ確か18にならねェと車の免許って取れなかったよな ? そこらへんも違ェんだなぁ。ま、そもそも銃が当たり前のように使われてることを考えたら些細な違いか ! ハハハ。

 

「この近くの駐車場に車を停めてある。早速向かおう」

 

「うん ! 行こう行こう !!」

 

2、3分歩いて駐車場へと到着する。そこにあったのは背の低いオープンカー、まずお嬢様が乗るような車ではない。

 

 

これってオープンカーってやつだよな ?? すげェ !! 乗るの初めてだ、ワクワクしてくるな !!!

 

「さ、シートベルトをグッと締めておきたまえよ。吹き飛ばされても拾えないからね」

「それにしても……運転なんていつぶりだろうか……久しぶりだ。なまっていないといいがな…………

──────エンジンが」

 

エンジンが掛けられると同時にセイアが勢いよくアクセルを踏みタイヤが擦れるような甲高い音を鳴らしながら回転する。そしてまるでロケットエンジンを点火したかのような爆発的な速度で駐車場を飛び出した。

 

「どわぁ〜 !!!! 法定速度はァ !?!?!?」

 

「────荷台に置いてきてしまったよ」

 

「なんかお前雰囲気かわってねェか !? うおわぁぁぁぁぁぁ !!」

 

曲がり道を大体不敵すぎるドリフトで直角を描くように曲がり、アクセルを踏む足を緩めることなく突っ走り続ける。

 

「だっはっはっはっ !!! ジェットコースターみてェ〜 !!!」

 

最初はちょっとびっくりしたけどこれめちゃくちゃ楽しいな !! 事故だけすっげェ心配だけど !!

 

「ふむ、やはり君はすぐさま適応してみせるか……────それなら、さらにギアを上げようか」

 

セイアは変速機のレバーを引き、ギアの回転数を上げる。それにより元々速度の乗っていた車が一段と速力を上げてけたたましく走る。

 

「うっひょー !! さらに速くなったー !!」

 

「ふふふ、どうやらエンジンがなまっているかという心配は杞憂だったようだね。寧ろ待ち望んでいたとでもいうべきか」

 

そうして2人がドライブ(大爆走)を堪能する最中、突如として現れた背丈の低い車が横に並んで並走して来た。様相を見るにスポーツカーの類だろう。そして並走してわざとらしくエンジンを響かせてくるという明らかな挑発行為。

 

────やる気だ、こいつ。

 

「……なるほどな、普段の私ならば舐め腐った並走をされようと、真横でエンジンを鳴らされようと、大抵のことは紅茶を飲みシマエナガを撫でて見過ごしてやるだろう────だが、ハンドルを握った私に喧嘩を売ったのは人生最大のミスと言っていいだろうね。受けて立ってやろうじゃないか」

「さあルフィ、この先は戦場だ。しがみついてでもついてきたまえ」

 

「パトカーが心配だなぁ」

 

ポリ公にビビって走り屋が務まるものか。そう言うかのように両車ともスピードを上げることに一切の躊躇いを見せない。カーブの時すらアクセルを緩めることなくタイヤの悲鳴のような高い音を鳴らしながらドリフトを決め込む。まさにデッドヒートと形容すべきカーレースだ。

 

法定速度 ? そんなもんキヴォトスにはない。(断定)

 

しかし、デッドヒートにも終わりが見え始めた。向こうのスポーツカーのが加速に優れているからか、少しずつセイアの車と距離が空き始めてきてしまっている。

 

「クッ…… ! 向こうも無謀な若造という訳ではないようだね。……よしルフィ頼みがある」

 

「ん ? なんだ ?」

 

「加速が足りない。車を押せ」

 

「バカ言うな !!!」

 

「やらなければ負けるのみだ !! さあ早く !!」

 

「くっそ ! ゴムゴムの…… !!

 

奥に見える曲がり角の先の建物を掴み、腕を戻して車ごと自分を引っ張る。

 

「〝ブーストロケットォ〟!!」*2

 

引き戻される腕のパワーによってセイアの車はぐんと速度を上げて相手の車をあっという間に追い抜く。そして曲がり角にぶつかるギリギリのタイミングでセイアはハンドルを切り、それに合わせてルフィも手を離すことでドリフトを成功させて凌ぎ切る。

 

開かれた圧倒的な距離に相手も諦めたのだろう。後ろを振り返ると先程まで激戦を繰り広げていたスポーツカーの姿は見えなくなっていた。

 

「────また会おう強敵(とも)よ」

 

「いやァ〜面白かったな。まさか大冒険がカーレースだとは夢にも思わなかったけど」

 

その後は勝利の余韻に浸るように優雅なウイニングランで車を走らせ、セイアの自宅まで戻った。

 

「今日はありがとう。久々に爽快な走りをできたよ」

 

「こちらこそだ !! 初めての経験ですっげェ楽しかった !! 本当、ありがとう !!」

 

「その顔、ふふふ、どうやら本当に心の底から楽しんでくれたようだね。それならなによりだ」

「…………ルフィ、締め括りとして、一つ質問したいのだが、いいかな ?」

 

「ん ? どうしたんだ ?」

 

「もし……時空連続体における未確定領域の生起事象を、因果律の通常プロセスを逸脱して現時系列の意識へ先行的かつ能動的に射影、知覚せしめる。ほんな超局所的時空間情報超越認識能力を持ったら、君はどうする ?」

 

「頭打ったかお前」

「君たまに容赦ないよな」

 

「おほん……まあ、とどのつまり未来予知能力と言うものだ」

 

「未来予知か !! いいよな〜カッケェし !!」

 

てか未来予知身につけるために見聞色の覇気の練習してるんだしな !!

 

「ふむ、確かに未来を知れるというのは大きなアドバンテージになりあるだろうな。不確定事象の実質的な確定。つまりカンニング……だが、逆に自身の運命(さだめ)を突きつけられるとも言えるだろう」

「…………例えば、自分の死の未来とかね」

 

「死かぁ…………」

 

「そうだ。未来を見てしまった結果、自分の終わりを見ることになることだってあるだろう。皮肉なものだね。もしそんな状況になったら君はどうする ?」

 

「うーん…………」

 

ルフィは暫く考え込む素振りを見せた後、口を開いた。

 

「おれ実はよ、一年生の時に一回死にかけたんだ」

「ちょっと待て初耳なんだが ?」

 

「そりゃ言ってねェし」

 

「まさかすぎるカミングアウトであるし、それついて詳しく問いただしたいが……まあいい、続けてくれ」

 

「うん、それから思ったんだ。どんなに強くなっても、いつかは死ぬんだってな」

「だから、おれは全力で生きることにした !!」

 

「ど、どういうことだ…… ?」

 

「後悔がねェようにやりてェことやって、大切なもん守って、とにかく全力でやるんだ !! そんで、死ぬときゃなんの後悔もねェまま死ぬ !!」

 

「……もし、見えた死の未来が後悔と絶望に満ち溢れていたものだったら ?」

 

その言葉を聞いたルフィは歯を見せてニッ大きな笑顔で答えた。

 

「ぶっ飛ばす !! そのために強くなってきた !!」

 

「…………君らしいな」

 

「うん、これがおれだ !!」

 

「そうか……なるほどな。長々と質問してしまってすまなかった。ここら辺でお開きにしようか」

 

「おう !! またなー !!!」

 

「あぁ、バイバイ」

 

全身を使って大きく手を振りながら去っていくルフィをセイアは小さく手を振りながら見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は…………眩しいな」

 

 

 

 

*1
そうだったのか !! くそォ…… !!!

*2
オリジナル技。乗り物を加速させる用のゴムゴムのロケットであるため声質自体はほとんど変わらない






今回も閲覧いただきありがとうございました。次回で2年生編終わりです。三年生編はかなり短く終わって本編へ行く予定です。

次回は日曜日までには確実に更新します。遅いペースで申し訳ないです。

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