ゴム人間になってブルアカ世界に来ちゃった…… 作:わっきょうらん
皆様いつも誤字報告、お気に入り登録、しおり、評価、ご感想ありがとうございます。
今回からアビドス編です。よろしくお願いします
せっかくなのでと言うことで表紙を描きました。もしよろしければご覧ください。
【挿絵表示】
ちなみに表紙の背景は水飛沫です。水上手く描ける人ってどれだけ練習してるんでしょうね……
漢には戦わなければならない時がある
「──────え ? 夢…… ?」
梔子ユメは何度も何度も目を擦る。頬をつねり、さらに目をぎゅっと瞑り、大きく見開くを繰り返す。しかしどれだけ目を覚ますように動作を繰り返しても、彼は────モンキー・D・ルフィは彼女の目の前にいる。
「な、なんで……生きて………」
「そりゃ死んだ覚えねェし」
〝何言ってんだ〟と、困惑するような顔を見せるルフィ。自身が死んだと思われていたとは微塵も考えていない間の抜けた表情をしている。
「幽霊じゃ……ない……… ?」
「だから死んでねェって !! にしても、ひっさしぶりだな〜 !! 2年ぶりくらいかな……っのぶっ !?!?」
「生ぎでる… !! よがっ……よがっだああああ !!!」
何度も幻覚かどうか確認したユメは、今自分が見えている彼が実体であることを理解した瞬間一直線に突進して抱きついた。抱きしめる力は万力さながらで、ゴム人間でなければ背骨がボキッと折れていただろう。しかし、締め付けによってもう一つ問題が生じた。それはルフィの顔がユメの胸に埋め込まれてしまったことで彼が窒息しかけてることだ。
「ひひはへひへぇ !!! (息ができねェ !!!)」
「…… ? …… !! あぁ !! ご、ごめんね ? えへへ……」
自身の行動を改めて再認識したユメは咄嗟に手を離し、少し気恥ずかしそうにしながら涙を拭う。
「ぷはー、死ぬかと思った。ゴム人間でも窒息はするからなァ……」
“ええっと……なんか2人の間ですっごいテンションに差があるんだけど……どういう関係なんだい ?”
「ユメは友達だ !! ……………アビドスでの……」
1年生時でのホシノとのやりとりがフラッシュバックしたのか、彼のテンションが10段階くらい落ちる。
“仲が良さそうなのはこのわずかな時間で分かったよ。でもなんかルフィは久しぶりの友との再会で、ユメの方は衝撃と感動の再会みたいなテンションの差があるから……それにユメさっきルフィが死んだって言ってたよね !? どういうこと !?!?”
「な、なんて説明すればいいんだろう ? 正直私もまだ頭の整理がついていないというか………と、とりあえずゆっくり説明していきますね !!」
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ユメは話した。ルフィとの出会い、そしてそこから彼とホシノと自身の3人で作ってきた思い出の数々と、あの日の喧嘩のことを。
「………それで私がまたドジやっちゃって……砂漠で遭難中に怪物に襲われたの。すっごく大きくて、見た目は……砂嵐のせいでよく見えなかったけど、蛇と鯨を融合させたような見た目をしていた気がする。そんな状況の中にいた私を、ルフィくんが助けてくれたんだ。……怪物の相手を引き受ける形で」
“なるほどね……でも、なんで死んでると思っていたんだい ? 死体を見た筈がないし…”
「それは…ホシノちゃんと一緒に怪物がいた場所に向かったら、そこにルフィくんがいつも身につけていたマントと、スマホがボロボロの状態で落ちていたから。それにその後アビドスにずっと来てくれなくなっちゃったし……」
“ルフィがその後一度もアビドスを訪れなかった理由は………”
「おれはノミになりたい……」ズーン……
“………今の彼の落ち込み様が関係してそうだね”
「ひぃんなんでぇ !? なんか私落ち込むようなこと言った !?」
ユメの過去の思い出話を先生と共に聞いたルフィは両膝、両手をつき、四つん這いになって下を向く。まるで〝ネガティブホロウ〟を喰らったかのような落ち込み具合を見せていた。
“………もしかして、ホシノって子が関係してる ?”
「くぁwせdrftgyふじこlp !!!! 」
ホシノという単語が聞こえた瞬間、ルフィは誰かに殴り飛ばされたかのように吹っ飛ぶ動きを見せる。あまりにも過剰すぎる反応だ。
「ひょっとして…あの日の喧嘩のこと気にしてるの ? 大丈夫だよ !! ホシノちゃんもう怒ってないから !!」
「で、でもよ、あん時のホシノのキレ具合とんでもなかったぞ ? 2度とくるなとまで言われちまったし……」
「……ホシノちゃん、あの時のことすごく後悔してるの。ルフィ君が死んだと思って、精神的に危なくなっていた私を支えてくれている時も、今も、ずっとずっと苦しんでる。ホシノちゃんの苦しみは、きっとルフィくんにしか晴らすことができない。
────だからお願い、もう1度、ホシノちゃんに会ってあげて欲しいの」
「……………」
ユメのお願いにルフィは数秒間沈黙した後立ち上がり、顔を思いっきり上は向け、勢いそのままに口角を吊り上げてニカッと笑った。
「なーんだ !! んじゃとっとと会って仲直りすりゃよかったんだな〜 !! いや〜おればかだったばかだった !!!」
彼の笑顔はいつにも増して明るく、その表情は遊園地のアトラクションに乗る順番まであと少しとなった子供のようにワクワクが溢れるものだった。
そのままルフィはスキップするようにシャーレの執務室の窓に立ち、勢いよく開いて窓の淵を両手で掴んでパチンコのゴムのように腕を伸ばす。
「ハスミたちに伝えてくる !! アビドスに行ってくるって !!!」
「ルフィくん…… !! ありがとう !!! ホシノちゃんには私が伝えておくから !」
“それじゃあ、私は一足先に向かわせてもらうとするよ。ユメ、案内を頼んでもいいかな ?”
「まっかせて下さい !! アビドスの道ならいっぱい知ってますから !!」
「それじゃユメ ! 先生 ! アビドスで会おう !!」
「ゴムゴムのォ〜〝ロケットォォ〟!!」
伸ばした腕を引き戻し、ルフィは開けた窓を通り抜け、シャーレの執務室からトリニティの方向へと一直線に吹っ飛んでいった。
あと少しあと少し……ここらへんかなっと !!
地面から大体十数メートルあたりの位置で足を地面に向けて着地する。ついたぞトリニティ !! とっととハスミに報告しないとな ! ホシノに会っていいんだよなぁ〜 ! ひっさしぶりだな〜 !! 楽しみだなぁ〜 !!!
昂っているテンションをそのまま表すかのごとく、ルフィは勢いよく待機所の扉を開ける。
「ただいまー !!」
「おかりなさい。随分と機嫌が良さそうですが、何かいいことでもあったのですか?」
「行きてェところができた ! アビドスに行ってくる !!」
「アビドス… ? 確かあの時の砂漠の……随分と遠くのところへ行くのですね。一体何をしに ?」
「友達に会いに行ってくる !!」
「……まあそんなこったろうと思っていましたが……えぇ分かりました。あそこならまず人が少ないのでいくらあなたでも問題行動は起こさないでしょうし、許可しましょう」
「ありがとう !! そんじゃいってきまー「たぁーだぁーしぃー !!」 ? 」
ハスミはルフィを引き止めたのち資料室に入り、自身の背の丈に届くのではと言うほどの高さの書類の山を引っ張って、それをルフィの目の前に置いた。無論その量から質量もとんでもなく、ズドン!と書類を集めて出せる限界のような音が響いた。
「この書類を全て終えてからにしなさい」
「なんじゃこの量 !?!? 理不尽だ !!」
「理不尽でもなんでもありません ! 今まで正義実現委員会の持ち場を離れていた分、そして今から離れる分をきっちりとやってもらいますからね !!」
「だとしても、この量は多すぎだろ ! 3年生の1人として言わせてもらうけど、いくらなんでも書類溜め込みすぎだぞ !!」
「「「「全部お前の始末書
だよっ !!!!!」」」」
あまりにも素っ頓狂のとんちんかんのバカタレの発言に周囲にいた正義実現委員すら大声をあげて突っ込んだ。
無論ルフィは全員に袋叩きにされて書類に手をつける前にボコボコになった。
泣いたっていいんだ…… !!
(書類の山を)乗り越えろ !!!
ちなみにルピー君はエクセルの開き方すら分かりません。
今回も閲覧いただきありがとうございました。
導入的な感じだったので短めに終わってしまいましたね…
次話も急いで作成しますのでよろしくお願いします。