ゴム人間になってブルアカ世界に来ちゃった……   作:わっきょうらん

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皆様いつも誤字報告、お気に入り登録、しおり、ご評価、ご感想誠にありがとうございます。

前回の後書きでルフィを出すと言っていましたがすみません。先にホシノのパートをやります。よろしくお願いします !!

前書きでの補足になって申し訳ないですが、この世界のシロコもちゃんとマフラーしてます。ユメとホシノ、ノノミの3人の誕プレとして貰った感じですね。



ホシノは———————

 

意識を落とすと、いつも同じ夢見る。あなたが燃え盛る炎の中にいる人影を追いかけていって、そのまま火に飲み込まれて灰になる。

 

必死に止めようと手を伸ばしても届かない。どれだけ全力で走っても、距離は少しも縮まらない。

 

そして、焼き焦げたあなたのマントが宙を舞って、私の肩に乗った瞬間にいつも目が覚める。

 

 

 

 

彼のマント()()()()()を首に巻くと、いつも同じ思考が巡る。

 

(私の代わりに彼がアビドスにいたら、今よりももっと……)

 

言い争いなんてない。

 

誰かが犠牲になることもない。

 

困難に苛まれても、めげずに立ち向かい続ける。そんな青春の物語になっていたはずだ。

 

 

 

 

………砂漠の中で燃え尽きた彼のマントと、ヒビ割れたスマートフォンが発見されたあの日、ユメ先輩の笑顔が完全に消えた。

 

私もユメ先輩も、まともに食事が喉を通らなかった。なんでもないタイミングで涙が出た。悪夢を恐れて眠れなかった時だってあった。

 

────でも、ユメ先輩は強かった。

 

あの人は、彼の死を背負って前を向くことを選んだ。

 

………私はまだ下を向いて引き摺り続けているのに。

 

 

 

 

「ホシノ先輩 !!」

「ホシノ先輩 !!!」

 

「うへっ !? な、なーんだセリカちゃんかぁ〜どうしたのさいきなり大きな声出して」

 

「いきなりって…私もう何回も同じくらいのボリュームで呼びかけてたんだけど……ってそんなこと言ってる場合じゃなくて !! ホシノ先輩 ! 弾当たってるってば !!」

 

「弾…… ?」

 

「だから !! さっきからホシノ先輩あの恩知らずたちに滅多撃ちにされてるんだってば !!!」

 

セリカの発言に、ホシノはようやく自分の半身に何か違和感を感じることに気づき、その方向へと顔を向ける。そこにはセリカの言う通り、無数の銃弾が自身に迫っていた。

 

「いやぁ〜ごめんねセリカちゃん、おじさんぼーっとしてたよ。本格的に歳かなぁ」

 

盾を地面に突き刺して壁を作り、銃弾の雨やり過ごしたホシノは普段と変わらない呑気な態度へと戻る。

 

「んもうっ ! しっかりしてよ !! てか歳1、2年しか変わらないから !! それじゃ、ちゃっちゃとあの恩知らず共をやっつけるわよ !!」

 

「うへ〜、りょうかーい」

 

現在、アビドスの生徒たちは便利屋68と交戦中であった。便利屋の社長である陸八魔アルは今回の依頼のターゲットがアビドス高校であったことに激しく動揺しながらも結局依頼続行という選択をとり、数多くの傭兵を引き連れて恩知らずの決戦を開戦した。

 

最初は数の差に揺さぶられたアビドスチームが劣勢に立たされたものの、先生の指揮によってすぐに体勢を立て直し、膠着状態となっているのが現状だ。

 

だが、依然数の優位が保たれているのにも関わらず便利屋一同が攻めあぐねているのは何も先生の指揮だけが理由ではない。

 

便利屋68が攻勢に出られない理由、それはアビドス……いやキヴォトス1のガードを持っている存在が彼女らの前に存在しているからである。

 

「あ、あのピンク髪の人…動きが止まっている間に何回もスナイパーライフルを当てたのに……」

 

「お、おっかしぃなぁ…爆弾に巻き込まれた回数もかれこれ10は超えてるはずなんだけど……」

 

「……傷1つないね」

 

「しょ、ショットガンも効果ありませんでした ! どうしましょう……」

 

その存在の名は小鳥遊ホシノ。とある存在からは〝キヴォトス最高の神秘〟とも評される彼女の実力はまさに天下一品。彼女1人で巨大武力組織ですら壊滅してしまう程の戦力を有している。

 

「と、とにかくあの人止めないと……って速ッ !?!?」

 

ホシノの特筆すべき点は防御力のみではない、ほとんどの生徒がまだ追うことすら困難にする機動力もまた最強の一角たる所以である。

 

そして、便利屋68が攻めあぐねている時間は────あまりにも長過ぎた。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「あ、定時だ」

「帰ろ帰ろっ」

「帰りにそば屋寄ってく ?」

「いいね、行こう行こう」

 

「え、えぇ !? ちょっとあなたたち !? 待ちなさいよ ! ねぇ待ってってば !!」

 

必死に引き止めるアルの姿も虚しく、ゾロゾロと引き上げていく傭兵団たち。彼女が限界ギリギリまで値切って払った金額ではここまでの戦闘が限界だったようだ。ん〜タイムリミットだねェ〜。

 

「こりゃやばいね…まさかこの時間まで決着が着かないなんて……どうする ? アルちゃん」

 

「あ、う、うぅぅう……こ、これで終わったと思わないことね !! アビドス !! 覚えてなさーい !!!」

 

「あははっ ! 完全に三流悪党のセリフじゃん !」

 

「う、うるさい ! さっさと逃げ……ちがう退却するわよ !!」

 

 

 

“……行っちゃったね”

 

『な、なんだったんでしょうか……』

 

剣士だったら恥になるレベルの情けない逃走姿を、先生とアヤネたちアビドス一同はただ茫然と見届けた。

 

“とりあえず、みんなお疲れ様。一度教室に戻ろっか”

 

「ですね〜⭐︎ひと休みしましょう」

 

「あいつら、次来たらタダじゃおかないんだから !」

 

各々、アビドス校舎へと戻る。しかし、校舎へと先生とユメ以外のみんなが戻ったのを確認すると、ホシノは2人を呼び止めた。

 

「先生、ユメ先輩。……ルフィが生きているって話、詳しく聞かせて貰えますか ?」

 

ホシノの目は、普段の少し垂れ下がった状態とは真逆であり、その貫き通すような視線はまさしく〝暁のホルス〟と言うに相応しいものだった。

 

 

 

3人は普段は使われることの無い生徒会室の部屋へと移動する。そこで先生とユメは2人で説明した。先生に関してはユメに教えられるまでそもそも彼がホシノとユメから死人扱いされているとは思っていなかったこと、そしてユメも衝撃的なことすぎて頭の整理が完全にはついていないことを。

 

「いやぁ…その…完全に言うタイミング逃しちゃってね ? ご、ごめんねホシノちゃん ? ……ひぃん…」

 

普段のにへら〜とした様子はもはや見る影も無く、無表情でユメの言い分を聞くホシノの姿にユメは鳴き声を上げることしかできなくなってしまう。

 

「…まあ、100歩譲ってそれは許しましょう。重要なのはそこではありませんから。……重要なのはルフィが生きていたのにも関わらずずっとアビドスに来なかったことです」

 

“ !! それは…… ! ”

 

「分かってるんです… ! 原因は私でしょう… ? ハハ、笑えますよね…2度と来るななんて言っておきながら、戻ってくることを望むなんて……」

 

目を涙で潤ませながら乾いた笑いを浮かべるホシノの姿は、先生とユメにはあまりにも悲痛に映った。

 

“ホシノ、それは……”

「それは違うよホシノちゃん !!」

“ユメ…… !!”

 

「ユメ先輩…… ?」

 

「ルフィくんはホシノちゃんに会いたいって言ってたよ !! 仲直りしたいって言ってたよ !!! 」

 

「……本当に… ?」

 

「本当だよ !! それにさ…ルフィ君が私を助けてくれたあの時……私が投げ飛ばされたすぐ近くにホシノちゃんがいたこと…あれは偶然じゃないと思うんだ」

 

「え……… ?」

 

「きっとルフィくんはあの時ホシノちゃんの位置が分かってて、私のことを任せたんだよ !! ルフィくんは一年生の時からホシノちゃんのことをずっと信頼してるよ !! だから大丈夫 !! 何も心配は要らないよ !!!」

 

両肩に強く手を置きながら語りかけるユメの姿は、ホシノの目に強く焼きついた。

 

「あぁ…そっかぁ……私、会ってもいいんだぁ……うへへ」

 

ホシノは全身の力と、憑き物が抜けたかのように椅子へと座り込む。

 

“私は過去のことについては、話して貰ったことしか分からない。……でも、アビドスに行ってもいいと分かった時のルフィの顔は、私が見た中で1番いい笑顔だった。それはきっと、ホシノに会えるからじゃないかな”

 

「うん…ありがとね、先生。……さぁ〜てと」

 

普段の調子を取り戻したホシノはグッと背伸びをした後生徒会室の扉を見つめる。

 

「シロコちゃんたち ? おじさん盗み見はちょーっと関心しないなぁー」

 

“え !?”

「ひぃん !?」

 

「!?………バレてた……」

 

バレていたことにびっくりしたシロコはバランスを崩し、それに合わせて覗き見していた他のアビドス一同も雪崩れるように扉の前に倒れる。

 

「だ、だから私とアヤネちゃんはやめておいた方がいいって… !」

「え〜でも2人ともすごく気になってそうだったじゃないですか !」

「そ、それはそうですが…うぅっ……」

 

「全く、悪い後輩たちだなぁ………どんなお仕置きをしようかな ?」

 

「ん────私死んだ」

 

「ほ、ホシノちゃん…その、お手柔らかにね ?」

 

「……まあ善処します」

 

「ん ! 死んだ、私死んだ !!」

 

 

 

……うへへ、今日は、本当に久しぶりに…ぐっすり眠れそうだなぁ。

 

 

 

──────────

────────

──────

────

──

 

────翌日、ルフィside────

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ…… ! あと……半分…… !!」

 

ルフィは未だ始末書に苦しめられていた。若干涙目になりながらも必死にペンを動かして反省の意を表す文字を刻んでいく。

 

「ほらほら頑張って下さいよルフィ、いい加減立って見守るの疲れて来たんですから」

 

「ハスミ… !! 横で見せびらかすようにジュース飲むなよ !! どつくぞ !!」

 

「いやぁ同胞が始末書に苦しめられている様子を見るながら飲むプラペチーノというのはとても美味しいものですね」

 

「……お前そんなことばっかやってから太r」

「お、やんのか ?」

「なんでもないですすみませんでした」

 

ハスミの圧に黙らされそのまま無力にペンを動かし続けるルフィ。

 

とちょうどその時、ルフィのスマホから突如通知音がなった。

 

ん ? 通知だ。モモトークからじゃねェか、メッセージの主は…ユメ*1とヒフミか、しかも送られてきた時間ほぼ同時じゃねェか。なんかあったのかな ?

 

スマホを開いてモモトークを起動させる。メッセージの件数はどっちも一件だけみたいだな。確認しよっと。

 

ルフィは2人のメッセージを確認する。しかしなんと2人のメッセージの内容はほとんど同じ内容であり、尚且つ衝撃的なものだった。

 

 

《ユメ》: ひぃん……ルフィくん、私銀行強盗しちゃったぁ……

 

《ヒフミ》: る、ルフィさん……銀行強盗しちゃった場合ってどうすればいいんでしょうか ?

 

 

ルフィはそっと携帯の電源を落とす。

 

「……なあハスミ」

 

「どうしましたか ?」

 

「身内から犯罪者2人出ちまったんだけどどうすりゃいいんだ ?」

「はい ???」

 

 

 

 

 

 

*1
シャーレ執務室で再会した際に再度交換した





今回も閲覧いただきありがとうございました。

次回こそルフィたっぷりですので… !! どうぞよろしくお願いします。
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