ゴム人間になってブルアカ世界に来ちゃった…… 作:わっきょうらん
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カイザーの全ヘイトをここにぶつける。
「おれに手紙…… ? ちょっと見せてくれ」
正義実現委員の生徒から手紙を受け取り封筒に書いてある名前を確認する。差出人は………ホシノ………… ?。
ルフィへ
まずは手紙という形で別れの挨拶をしてしまうことを謝罪させてほしい。古臭いやり方だけど、私にはこういうのが性に合っててさ。
ルフィにはずっと話して無かったことがあって。実は私、昔からずっとスカウトを受けていたんだ。
カイザーPMCの傭兵として働く代わりに借金の大半が帳消しになる。そんな話でね。
……うへ、なかなかいい条件だとは思わない ? おじさんこう見えて結構実力買われててさ。
昨日は咎めるようなこと言っちゃったけど、ユメ先輩を助けてくれたことは、ありがとうって言葉じゃ言い表せないくらい感謝してる。ルフィはあの時、私の大切なものを守ってくれた。
だから、今度は私の番。借りを返す…って言い方は傲慢かもしれないけど、ルフィが大切に思ってくれているアビドスは私が守る。
……ルフィ、君にお願いがあるんだ。もし私がいなくなった後、後輩たちやユメ先輩が苦しんでいたら、ほんの少しだけでもいいから、支えてあげて。あの子たちは強いからそのほんの少しの支えで乗り越えられるはずだから。
それと、私がつけていたマフラー。あれはルフィが一年生の時につけてたマントを使って作ったものなんだ。恥ずかしいことだけど、もう会うこともないだろうから、伝えておこうと思ってね。
最後に、もし私がみんなの敵として現れることがあったら……終わらせられる相手は君がいいからさ、だからお願い、その時は私のヘイローを壊
ルフィは途中で手紙を握り潰し、待機所から飛び出した。
「ルフィどこへ !?」
「ごめんハスミ ! 今すぐ行かなきゃいけねェ !!」
「しかし……」
「始末書なら後で10000枚でも何枚でもやるから !!! 行かせてくれ !!!!」
「どうしてそこまで……「いい、行かせてやれ」ツルギ… !?」
「今だけはいい。何かを失って守る立場など……元からないも同じだ」
「ありがとうツルギ !! 本当、ありがとう !!!」
ルフィは最短距離一直線に、自身の出せる限りの速度で アビドスを目指して走り続ける。進路を妨害する建物等は腕を伸ばしてカタパルトとして利用し、ひたすら真っ直ぐ進み続けた。
「ハァ、ハァ、ハァ…… !!」
頼むホシノ、まだ行くな ! まだお前に言ってないことがあるんだ !! 心のどこかで拒絶されることを恐れてて、後回しにしてた…… !!
本当はお前と再会した時、最初に言うべきことだったんだ。
お前はおれの────────
「何なのよ…… !!! あれだけ偉そうに話しておいて……結局1人で行っちゃうなんて !!!」
対策委員会の教室に響き渡るセリカの悲痛な叫び。その原因は机に置いてあったホシノの退部届けと、対策委員会のみんなに向けた別れの手紙によるものだった。
アヤネによって1番最初に発見されたそれは、彼女らにとってあまりにも残酷な現実だった。
「そんな……ホシノちゃん………いやだよ………」
「……助けにいかないと、対策委員会に迷惑がかかるし、私1人で行く」
「お、落ち着いてください !! まずは足並みを揃えないと……」
今にも飛び出そうとするシロコをアヤネが制止したその時、柴崎ラーメンが爆発した時ですら比にならない程の爆発音が校舎へ響き渡る。
「爆発音…… !? 近いです !! 場所は……そんな………アビドス都市部 !? 侵攻者は……カイザー…PMCです……」
「カイザーPMC !? なんでこのタイミングで… !?」
「お、応戦しないとです !!! 何はともあれ、アビドスがこうげきされているのを見過ごす訳には……… !!!」
「考えてる時間が惜しい、すぐに行こう !」
“ユメは市民の人たちの避難をお願い !! ”
「は、はい !!」
ノノミとシロコが教室を飛び出し、それに他のメンバーも続く形で市街地へと出る。
「いたぞ !! 対策委員会だ !!」
「戦闘許可は出ている !! やれ !!」
“もうこんなところまで…… !!”
既に校舎のすぐ側まで接近してきているカイザーの兵士を打ち倒しながら市街地を進む。しかし、いくら倒しても倒してもカイザーの軍勢は衰えるどころか増すばかりだ。
さらに、奥の方には兵士だけでなく装甲車、戦車、戦闘ヘリが夥しい数展開されているのがうっすらと映っている。
「先生 !! 住民の避難終わりました !!」
“ありがとうユメ !! これで住民の方が巻き込まれる心配は無くなったけど……数が多すぎる……”
カイザー兵士だけでなく、ついには奥に待機していた機甲部隊も前へと出始めアビドスに向けて砲撃を開始する。
「ッッ !!」
「シロコ先輩ッ !! ウグッ……!!」
放たれた砲弾がシロコの付近で爆発し、間髪入れずにセリカのいた位置付近にも着弾する。
あまりにも数が多すぎる重火器の前に、アビドスの戦線はジリジリと後退していき、気づいた時にはアビドスの校舎前まで戻ってしまっていた。
「……もうこれ以上は下がれない」
『何者かの接近を確認……あれは……カイザーの理事です !!』
アビドス生徒を囲っていたカイザー兵士が少し道を開けたかと思えば、そこからカイザー理事の姿が現れる。
「ふむ…こうしてわざわざお出迎えに来ているとはな…… わざわざ校舎前まで侵攻する必要は無かったな」
「これは何の真似ですか ? 企業が街を攻撃するなんて……いくらあなたたちが土地の所有者だとしても、そんな権利は無いはずです !!」
『それに学校は私たちアビドスのものです ! 侵攻は明確な違法行為 ! 連邦生徒会に通報しますよ !!』
「スカウトなんて最初から嘘だったってこと… ? いや、それよりもホシノ先輩はどこ ?」
「ホシノちゃんを返してッ !!!」
「そうよこの悪党 !! ホシノ先輩を返せ !!」
アビドスの怒りの声を、カイザー理事は一蹴するように鼻で笑う。
「連邦生徒会に通報 ? いいだろうやってみろ。それで奴らが動くと思っているのならな。奴らが動かないことなど、過去に散々願っても助けてくれなかった貴様らが1番分かっているんじゃ無いのか ?」
『ッッ………』
「それとも…マントを被った少年にでも助けを求めてみるか ? 昔はアビドスによくきていたそうじゃないか」
「ッッ !! ルフィくんは必ずここに来てくれる !!! 」
「ルフィ…… ? そうか……『麦わら』と同一人物だったのか……あの戦いで死んではいなかったのだな。まあ、些末事だ。こんな何の価値もない場所にもう一度来るなどあり得ないのだからな」
「ルフィくんは来たもんッ !!! 今だって……必ず来てくれるもん !!!!」
「ふん、それなら精々願い続けていろ、アビドス生徒会の小鳥遊ホシノが退学した今、アビドスの生徒会はもはやないも同然。君たちはもう何者でもない。アビドス高校はもはや学校として成り立っていないのだよ」
「ふざけないで !!! 生徒会がなくなっても、対策委員会がまだあるでしょ !? こんな蛮行許されるわけない !!」
『セリカちゃん………対策委員会は……公式に許可を受けている委員会じゃない……』
「え……… ?」
『対策委員会ができた時には……もうアビドスの生徒会の機能は無くなってたから……』
「そうだ。貴様らは非公認の委員会、貴様らの存在を示すものは何もない」
「────だが喜ぶといい、これで貴様らはこの学校の借金から完全に解放されるのだからな」
そう言い終えたカイザー理事は、戦車の砲塔の照準ををアビドス校舎の中央へと向けさせた。
「なんで…… !! 何してる !! なんでアビドスを攻撃する !!!」
何重にも付けられた拘束具を軋ませながらホシノは黒服に向かって叫ぶ。
「どうしてと言われましてもね……何もおかしなことはありませんよ。あの借金の大半はこちらで負担させていただきました。それが私とあなたの契約ですから。しかしそれとは別にあなたが退学してしまい、アビドスにはこれ以上公的な生徒会メンバーはいなくなってしまいました。それでは学校として成り立たないでしょう」
「お前…… !!!!」
「……契約とは双方にメリットがあるからこそ結ばれるものです。私の利益は別として……カイザー側の利益のことは考えなかったのですか ?」
「ッッ……… !!!」
自身の眼前に立つ黒服をホシノは睨むが、その行動は何の意味もなさない。
「さて……次はルフィさんですね。マエストロやゴルコンダに先を越されてしまうのは少々面白くありませんが……まあいいでしょう」
「────────は ?」
「契約さえ結んでしまえば期限などありませんから……どのみち彼の力を研究する上であの2人の力は借りる必要があるでしょうし」
「………なんで」
「……まだ何か質問がありますか ? ホシノさん」
「なんでルフィが狙われる !! お前はあの時言ったはずだろ !!! 私かルフィのどちらか1人だけだと !!!!」
「言葉を曲解しないでいただきたいですね。ホシノさん。私はただ2人同時に扱うのはパンクすると言っただけで、契約を結ばないとは言っていませんよ。ただ先に私の同僚のような存在が彼を研究し、後で私に順番が回るだけです」
ホシノを突き放すようにそう言い放った黒服は、防壁といってもいいほどに分厚い鉄の扉を閉め、ホシノを完全に閉じ込めた。
「………あぁ、そっか………」
(私は、また大人に騙されたんだ)
「………ごめん、みんな。私のせいで……全部……」
「シロコちゃん、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん、ユメ先輩、先生」
「…………………………ルフィ」
「……………ごめん」
「やめてっ !!!!」
アビドス高校に照準を合わせ、ジリジリとキャタピラを動かして近づく戦車をユメは必死に止めようとする。
「お願い……します………壊さないで……下さい………」
当然ながら、いくらキヴォトスの人間といえどもユメはその身一つで戦車を止められる程の力はない。いとも容易く弾き飛ばされたユメは大粒の涙で地面を濡らしながら懇願する。
「クククッ……フハハハハハハ !!! 遂に抵抗する気も失せたか !!! いやしかし、驚いたよ。まさかここまでこの学校を大切に思っていたとはな、てっきり諦めた時に〝私たちは頑張ったから〟と言い訳するために残っていたのかと思っていたのだが……一体なんのためにこんなくだらない土地に残っていたのだか」
「ッッ !! あんたそれ以上言ったら………!!!」
「撃つ」
セリカとシロコは理事へ銃を向ける。……しかし、銃口を理事にむけていたのは彼女ら2人だけだった。
「い、今戦っても………」
『………何かが……変わるのでしょうか……… ?』
「アヤネちゃん !?」
『兵士の接近反応が……ずっと増え続けています………たとえそれをどうにかできたとしても……その後どうすれば………学校が無くなったら、もう戦う意味がありません……借金だって、まだ残ったまま………』
『土地もない……ホシノ先輩もいない……こんな状況で何ができるのでしょうか…… ? 一体どうすれば………』
「アヤネちゃん……」
セリカもシロコも、気づいた時には銃を下ろしてしまっていた。
「クックックッ……どうやら完全に戦意喪失してしまったようだな。それなら、一思いに校舎の真ん中から破壊してしまおうか」
カイザー理事が〝撃て〟と命令した瞬間、戦車が一斉に砲撃を開始する。
「そんな……アビドス高校が………私たちの……みんなの思い出が………」
「フン、真ん中を狙う必要も無かったな。あれでは粉微塵だ」
「──────お前、この校舎撃った意味……分かってんのか ?」
立ち上る黒煙が晴れた先にあったのは、校舎の真ん中に立つルフィの姿だった。汚れに塗れたマントも制服の様子から、戦車の砲弾を全て受け止めたのだろう。
『うそ…… !?』
「あの方は………ルフィさん…でしたよね……」
「ルフィくん…… !?」
「………まさか本当に来るとはな。だがどうでもいい、もう一度撃て、奴もろとも吹き飛ばせ」
“ルフィ !! 避けて !!!”
「この校舎がお前みたいな奴に壊されるもんか !!! この校舎は
再び放たれた砲弾全てがルフィに直撃する。
「嘘でしょ……あいつモロに……… !!!」
「ルフィくん !!!!」
「まさか本当に避けないとはな、アビドスに関わる連中というのはバカしかいないらしい……」
「ほらな、壊れねェ」
砲弾は全て命中した。……だが、それでも彼は立っていた。一切校舎を傷つけさせなかった。
「バカな…… !! 何故あれを喰らって立っていられる !?」
「この学校の借金がどうとか、お前の目的とか知らねェけどな、この場所は…こいつらがずっと守り続けてきた思い出の結晶だから。飾りなんかで立ってる訳じゃねェんだぞ…… !!!」
「お前なんかがヘラヘラ笑ってぶっ壊していい場所じゃないんだぞ !!!!」
「グッッ……… !!!」
ルフィの気迫に、カイザー理事も、カイザーの兵士も気圧され自然と体が後ずさる。そんな様子に構うこともなく、ルフィはアビドス校舎から降りて一歩一歩カイザー理事へ近づいて行く。
「お、おい待て貴様 !! その制服、トリニティの者だろう !? 私に手を上げればトリニティが火の海になるぞ !?!? 貴様のエゴ一つでカイザーPMCを敵に回すつも"
「ヴヴヴヴヴヴア"ア"ア" !!!!!」
ルフィは武装色を纏った拳にありったけの力を込めてカイザー理事を数十m吹き飛ばすと、大きく息を吸って叫んだ。
「望むところだァァァァ !!!!!」
今回も閲覧いただきありがとうございました。
やっとカイザーとぶつかるところまで来れました……。
また次回もよろしくお願いします。