転生先がゴブリンだった。   作:ひまなめこ

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4話 お留守番

リムルドside

 

「はあ…。やってらんねえ…。」

 

リムルに置いてかれて村に残る事になった俺は一人村外れの丘で日向ぼっこをしていた。

 

「リムルドちゃん、こんな所でのんびりしてて良いの?」

 

すると、ある一人のゴブリナ…こいつは確か…ゴブアだったけ?が話し掛けてきた。

 

「良いの良いの、村の統治は全部お父さんに丸投げされているから。」

 

「でも、見張りくらいはしておいた方が良いんじゃない?リムルドちゃんは村唯一のオーガで強いんでしょ?」

 

…ふむ、確かに一理も百里もある。

 

折角強くなったのだから、不貞腐れてないで皆を守るためにこの力を使わないとな。

 

「うし!じゃあ村に戻るか!」

 

「うん!」

 

俺は日向ぼっこをやめて、警備の為に村に戻り入り口付近で直立不動のまま待機する。

 

「…。」

 

「…。」

 

何も起こらない。

凄く平和だ。

 

「警備って暇だね。リムルドちゃん。」

 

「うん、何でお前も一緒に警備してんの?」

 

先程日向ぼっこしていた俺に話し掛けてきたゴブアは俺と共に村に戻って、そのまま俺の真隣に立って警備をしていた。

 

「駄目だった?」

 

「いや、駄目じゃないけど…。何でわざわざ着いてくるのかなって。」

 

俺とゴブアは元からそんなに仲が良かった訳じゃない。

寧ろ俺は中身が男である関係上ゴブタやゴブゾウ達とつるむ事の方が多かった。

 

しかし、最近俺がオーガに進化してからと言うものの。

ゴブアは矢鱈と俺に着いてくるのだ。

 

「だって…リムルドちゃん格好いいんだもん…。」

 

「格好いい?」

 

「うん!村で唯一オーガに進化したゴブリン。皆リムルドちゃんを尊敬している。皆からの羨望の対象で私の憧れなの。」

 

成る程…。

もとより魔物と言うのは強き者に従い、強き者に惚れ、強き者に憧れる傾向にある。

 

言うなれば、あれだ…小学生で足が速いとモテる的なあれ。

 

魔物は強いとモテるのだ。

つまり、オーガの俺は滅茶苦茶強いから今モテモテなのだ。

 

「んふふっ!ふふーん!そうか…憧れか~。」

 

うん、悪くない。

寧ろ良い!実に気分が良い!

 

「よし!ゴブア!俺に何処までも着いてこい!あの夕日に向かって走るぞ!」

 

「まだ昼だよ?」

 

まあ、そんなこんなで気分が最高潮になった俺はルンルン気分でゴブアと共に村の警備を続ける。

 

大体一時間くらいかな?

時計が無いから何とも言えないけど、俺の体内時計でおよそ一時間が経過した頃に村に来客が来た。

 

招かれざる客を後ろに引き付けて…。

 

「リムルドちゃん、あれ!」

 

「ああ!恐らくここにくるまでに気付かぬうちに巣を刺激したんだろ。」

 

端的に言うと来客とは他の集落に住んでいたゴブリン達だ。

以前、牙狼族達から逃げるために協力を要請したが、断られた集落の…。

 

そんな彼らは今後ろから追ってくる巨大な蟻型の魔物の群れから逃げながら、俺達の村まで走ってきていた。

 

「もしかしなくても、あの蟻共の対処を押し付けに来たってところか?」

 

俺達の協力は断った癖に…全く図々しい奴らだ。

 

しかし、見捨てる訳にも行くまい。

あの蟻には申し訳ないが、ここで討伐させて貰う。

 

「ゴブア、ちょっとあれの対処に行ってくる。数秒間だけここを開けるぞ。」

 

「う、うん。頑張って。」

 

俺は村の入り口から離れて蟻から逃げているゴブリン達の元へ駆け寄る。

 

「あ、あなた様は…。」

 

「舌切りたくなかったは黙って走れ!」

 

ゴブリン達と蟻の間に割って入り、ゴブリン達を庇う体勢を取る。

 

…なんやかんやで、初陣か…。

でも、不思議と緊張はしない。

何故なら俺には特別な力が有るからな。

 

俺は蟻の群れの前でスキルを発動する。

 

「ユニークスキル【受愛者】」

 

その能力の詳細は獲得した時から既に俺の脳内に関連情報が流れ混んできていた。

 

このスキルの効果は主に二つある。

 

一つ目は…。

 

「…!。」

 

その瞬間、目の前の巨大な蟻の群れが一斉に倒れる。

 

これが俺のスキルの一つ目の効果。

それは俺に敵意のある者から生気を吸い取ると言うもの。

ある程度格上にも通じる力だ。

 

そして二つ目は…。

 

「無意味な殺傷はあまり好きじゃないんだ。言葉は通じなくとも、例え虫でも家族はいるだろ?」

 

俺は蟻を殺さずに無力化するために、【粘糸】を使って蟻の群れを一纏めにぐるぐる巻きにする。

 

これが二つ目の能力。

俺に好意がある者のスキルをコピー出来る。

とは言ってもどんなスキルでもコピー出来る訳じゃない。

コピー出来るのはエクストラスキルまで。

ユニークスキル以降のレア度のスキルはコピー不可だ。

 

今回の場合、リムルのスキルをコピーして使わせて貰った。

 

「さて、少しタマヒュンするかもだけど、我慢してくれよ…!」

 

俺は【粘糸】で一纏めに拘束した蟻達を持ち上げて遠く彼方へとぶん投げる。

 

虫は生命力が高いし、上空に投げ飛ばしても問題ないだろ。

 

「さて、取り敢えず危機は去った。それで、お前達。うちの村に何の用だ?」

 

蟻を投げ飛ばした後、俺は後ろで俺の戦いを見ていたゴブリン達に向き直り、そう質問する。

 

「ひ、庇護を。あなた方の主からの庇護を賜りたく馳せ参じました。」

 

比較的年を取っているゴブリンが前に出て俺の質問にそう答えた。

 

何となく予想はしていたが…、やはりそう来たか…。

 

分かっている。

ゴブリンは弱い生き物だ。

強力な魔物の庇護が無ければ長くは生きられない。

コイツらのしていることは生きる上では正しいことなのだ。

しかし、それでも割りきれない。

 

コイツらはあの時、確かに俺達を見捨てたのだ。

仕方ない事であっても簡単には割り切ることなど出来ない。

 

でも、自分がされたからってそれをそのまま相手に返すのはいけないことだ。

 

ついこの前リムルに諭されたばかりだ。

復讐なんてやっても何も生まない。

 

コイツらは以前俺達を見捨てたが、だからと言って仕返しして良い理由にはならないだろ。

 

それに村の統治の全権は今お父さんが持っているしな。

 

取り敢えずここはお父さんに丸投げしよう。

 

「村長の家に案内する。詳しい話はそこで聞こう。」

 

俺はゴブリン達を連れて村の中へと戻るのだった。

 




ゴブリナに成り立ての時期のゴブアの口調って分かんないんすよね…。

オーガに進化した後はかなり凛々しい口調でしたけど、多分元からあんな口調だった訳ではないと思うんですよ。

今後、紅丸や蒼影が出たら、少しずつ凛々しい口調に矯正していきたいと思います。
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