どうして俺はこうも彼女が好きになったんだろうか、いやどうして、彼女が俺のこと好きになってくれたんだろうかな。
今では良くわかるんだけどこのときはほんとに何もかもが偶然で分からなかった。
俺は日髙宗一郎、一介のプロ野球選手だ。何の話かといえば、今から話す浅上藤乃の話だ。今、待ち合わせをして……俺が先についてしまったんだが……ふと思ってしまう
そういや以前そんな話をしたらこういわれた。
「逆に宗一郎さんはどうなんですか?どうして私が良いって思ったんですか?」
そういうと、俺はお前の仕草・雰囲気と全部が好きだからとしか言えなかった。
彼女はある特殊な事情によってほとんど視力が見えない状態だ。キスできるくらいの距離になったらようやく視認できるほどだ。
その事情というのは彼女に会ってから話していくことになるけど……そう考えていると、誰かがふいに軽く肩をたたく、振り返ると
「お待たせしました、宗一郎さん」
「藤か……何だ脅かすなよ」
「しょうがないじゃないですか、こうでもしないと私、宗一郎さんかどうかわからないですし」
目がほとんど見えない……なのに、悲観なところはなく何をしても受け入れて、
俺のことも大事にしてくれる女神みたいなやつだ。要するにそれだけすごい美人ってことだ
「どうしたんですか?宗一郎さん」
「なーに、お前見てるとホント俺って幸せ者だなって」
そういうと彼女は柄にもなく顔を赤らめた。
こういうところもあるからな、付き合いだしたときはなかったのに
「あっ……宗一郎さん今、なんでこんな奴になったんだって顔してる」
視界がほぼないはずなのに、こういうことだけは……ったく
「ああ、そんとおりだよ、ったく、でも嬉しいわこういう顔するようになって」
「それは……あの時、宗一郎さんが必死で私のことを……」
そう、すべてはあそこから
・・・・・
あの事件から5年がたつ、私は以前人を殺しました。
その理由は言いたくもないことをされ無茶苦茶にされた。気持ち悪さを感じた、獣みたいな眼で、すごく嫌だった。
おまけにそれで、彼らは面白くなかったのか、ナイフまで突き立てて、思い出すのも嫌なくらい。痛みがあり、
殺されたくない……その感情のままに私は6人も殺しました。
今思えばある人からしてはいけないことを体を張ってでも教えてくれて、そのことについては今では感謝してます。
でも感謝しても自分のしたことは変わらない。今では非常に後悔もしています。いくら憎くてやったとしても許されることではありません。
私は毎日、いえ祈らない日がなかったと思います。祈ったところで行いが変わらないことなどもちろんわかってます。
それは今もずっと、時折今でもずっと変わらない関係を保ってくれる、私のご友人の方も心配して慰めることはありました
「藤乃、あんまりこんなこと言わないほうがいいんだろうけど、
別に気にすることないよ。私ずっと親友なんだし、目が見えなくても、藤乃は変わらないよ」
こうして言ってくれるだけでもよかった。もっとも誰にも本当のことを言ってません。
私が言ったのは、この事件の時に目を悪くしたことだけ(周りは交通事故と思っているようですが)
それでも慰めてくれる。私を支えてくれる人がいる。鮮花だけではなく……
「この世界はこんなに素晴らしいことであふれているんです。だから絶望しないでください」
いつか周りのご友人で話しているときに出た会話です。
それを信じ、私は罪滅ぼしに困っている人、世の不条理で困っている人を助けたりしてます。
それを欠かさない日はありません、そうすることが私の出来ることと信じ、そんなことで過ぎていきました
「でも、私はこんなことをして何になるのでしょうか……」
変わらない争い、弱いものを虐げる日常
「今日も、今日で争いがなくなることはないのですね……」
何かを起こしても変わらない日々、変わらない人々、そんな街中を見やる、幸せそうな顔が浮かぶ人がいる
私だけがと悲観しているわけではありません。こんな世の中でもいつかはそんな不条理なことは起こらなくなる。
この世の中は素晴らしいことであふれているはず、そう信じ私は、少ない視力で前を向いて歩いていたそんなときでした
「あぶねえええ!!!!」
そんな大声で制止されたのが彼と初めて会った日です。その声は当然怒っていた、
平静を保っていたようには見えますが……そんな感じは明らかで、そうして彼が続けざまに
「お前何してんだよ!!!!」
「えっ………?」
これが彼との出会いです。どうやら、私は、うとうとしていて、赤信号だったのに渡ろうとしたのを、
彼はどうやら……私がすべてに絶望して自殺しようとしたと勘違いしたようです。
「おまえ、まだやり直せるだろ!なんで死ぬなんて選択しようとしたんだ!」
「いえ、あのちょっと………」
どうやら誤解されているようなので、私は
「す、すみません、誤解してます」
「…………えっ???」
そして私は目の前にいる人に説明をしました
「自殺しようなんて誤解です。もちろんそうやって助けてくれなければ私は危なかったのかもしれません。
でも私、視力あまり良くないんです、もちろんそんなこと言い訳にしかなりませんが、それで赤信号が見えていなかったのでしょう。
でもありがとうございます。あなたがいなければこうならなかったのかもしれませんから」
「そ、そうか……」
そういえば、どこか眼の光がなんというか……そういうことだったのか……馬鹿だな俺は……
「す、すまない、誤解して、声まで張り上げてしまって」
「私のほうこそ誤解を与えてしまって、でもあなた優しいですね。声はどことなく怖い感じだったんですけど、
今声を聴くとすごく優しく聞こえます。今やっとあなたがどんな人かわかった気がします」
「そ、そうか???」
「ええ、私、あなたよりどうも年下のようですが……
生意気言いますと、私嬉しいです。あなたみたいな人にあえて良かったです」
そうこうするとすっかり打ち解けていました。どうしてでしょうか。普段私はこんなこと言わないのですが………
ここまでしてくれたからなのでしょうか、悪い気はしませんでした
「だが俺が悪かったよ、街中であんな大声出しちゃって、周りもよく見えないんだろ………余計に、怖がらせたろ」
すごく申し訳なさそうに言う彼………以前私が初めて憧れを抱いた先輩に何となく似ている気がしました。
私に感情をくれた人。なんといえばいいんでしょうかねこういう時は、でも、こうまでしてくれる彼に笑ってほしかったから私は
「ふふ、大丈夫です。そんなことないですよ、あなたよりもっと凶暴な人は見てきたつもりですから」
「なんかそういうのもな……まあいい………そうだ、君名前は……?吹っかけた失礼なことをする俺が言うのもなんだけど」
彼女は意外そうな顔をしてこっちを見やり
「あなたやっぱり変わってます。普通はこういう人敬遠するんじゃないんですか?
少なくとも私は寄りつくなんて……逃げ出す人がほとんどだったのに」
「俺はそう思わないな、もっと変人な奴を俺は知ってるし。それに変人は俺だろ、見ず知らずの人に大声かけてまで引き留めたんだから」
やっぱりこの感じ、なんなんでしょうね、悪い気はしないのに。胸の奥がなんか痛い……
「そうですか、私は浅上藤乃といいます。そしてあなたは?あなたのほうこそ名乗ってください」
「ああ」
浅上か………どこかで聞いた名前だな……初めて会うし気のせいか
「そっか………じゃあ今度お礼したいからこれ、俺の電話番号」
「お、お礼???」
「そりゃあ、俺の勘違いのせいで浅上さんに対して余計な心配をさせてしまったからな。
今日はちょっと手持ちがないからダメだけど……っていうか余計かな?」
変わった人だと思います。普通こんなことになったとはいえ……こうやってできることではない、今までこういう人を知ったのは……
私の知る限り一人しかいなかった。どこかその人と顔は全然違うのにどこか似ている感じがした
「いえ、嬉しいです。そうですね、お言葉に甘えましょうか、これ私の電話です……いつでも宜しいんですか?」
「明日からなら大丈夫、もちろん浅上さんの好きな時に」
「わかりました。明日このくらいの時間に」
結局それから翌日、電話をかけることにしていたら
trrrrr
「電話………浅上さんか………」
まああいてるし、どっちでもいいか
「浅上さんかな」
「はい、宗一郎さんですね」
どうやら昨日のことで電話してくれたんだろう。見た目通りのまめな子だ
「昨日のことか?」
「はい、と言っても私がするのもおかしい話だったのかもしれませんね」
「そうでもないよ、俺もしようと思ってたし、俺が言い出したことだ、浅上さんさえよければそれでいい
大体さ、俺が昨日金を持ってればよかったんだよ、だから気にすることはない」
「…………」
彼女が少し押し黙るいったいどうしたのだろうか
「どうした???何かあったか???」
「………いえ、少し考え事してて、何でもないことです。ところでどうすれば???」
「まあ昨日会ったとこにしよっか。指定あればどこでもいくが」
「そこにしましょう、そこに会わなければ宗一郎さんと会うことはなかったのですから」
こうして、私は電話を切ってそこに向かいました。あの時宗一郎さんに対しては悟られないようにしましたが……
この感じ、中学生で経験したあの感じ・あの人に会った時にそっくりです。感覚がなかったあの頃、不
思議とこれには感覚があって………そのときだけの感覚だと思っていたんですが……
でもどうして………また、あどうでもいいことですね、これっきりでしょうし、そもそも私なんかにこんなこと本当は許されるはずもないんですから
私はあの場所で待つことにしました………とはいえ
「(不思議な感じですね、別にそんなつもりはなかったとはいえ、こうなってしまうのですから)
でも、私は何をしているのでしょうか、私にこんな権利はない………自分の感情のままに人を殺してしまった私なんかに………
純粋すぎるあの人には似合わない……
「浅上さん???」
そろそろ考えないと
「浅上藤乃さん!」
「えっ!?」
「やっと気づいた……どうしたんだ?浅上さん」
どうやら彼が来てて……考え事をしている私に話しても気づかなかったようだ。ホント、今日だけなんだから、忘れないと………
私なんかのために……宗一郎さんにも迷惑じゃないですか……
「いえ、大丈夫です。それより宗一郎さんどうしましょうか?」
「別にお金なら大丈夫だからそこだけは心配しないでいい」
「宗一郎さんって何か職業でいい仕事についてるんですか?」
「ああ、そういえば言ってなかったんだな、でも俺ってもうそんな認知度か……
もっと活躍せんといかんなあ、俺、野球選手なんだ」
「えっ!?」
私は本当に驚いた。野球選手って華やかそうな印象で、こんな人とは想像してなかったから
「そんな驚かんでも、確かにそう見えんかもしれんが」
「いえ、宗一郎さん凄い優しい人だったから驚いたんです」
「俺よりお人よしがいるんだぞ。まあいいや、浅上さんはどんなの好き?何でも言っていいぞ」
それでは……あそこでしょうか……
「そこの喫茶店行きましょう、私高校の時よくそこの喫茶店のお茶大好きだったんです。宗一郎さんもきっと気に入ると思います」
「俺としてはいいんだが、いいのか?遠慮しないでいいぞ」
そういっても彼女は首を横に振って
「いいえ、もちろんそんなことないですよ。優しい宗一郎さんだから甘えてます」
「俺優しいか?そんなにやさしいって思われてねえが」
そういうと
「いいえ、優しくなければ昨日あのようなことはできません。私は宗一郎さんはすごい優しいと思います」
「ま、まあいいや………」
なんかおかしいな俺は、どうしてこういわれただけでこうも胸が……締め付けられるんだろうな……
まあいい、入店してさっそく頼んだものが運ばれて
「ふぅ……おいしい………宗一郎さんもどうです?」
目を閉じて彼女は味わって飲んでいた。こんな言い方をすると大げさだが、渋い藤色の服装に似合っていてまるで聖母みたいな、たたずまいだ
「(ったく、こんなこと思って俺は馬鹿じゃねえのか………)」
「宗一郎さん???」
「あっす、すまん………」
「宗一郎さん、合わせてるんですか?無理しなくてもいいんですよ」
「いや、そうじゃないんだ、ごめんな………いい店だな。ずっとこの道通ってるはずなのに全然知らなかったな、結構おいしい」
そういうと彼女は
「そうでしょう、他のもおいしいし、何よりここの空気が好きなんです。みんな静かで優しくて」
「そうだな、そういうところっていいよな、ところでまだいる?もっと頼もうか?」
「いえ、これくらいがいいんです。今日は本当にありがとうございました」
それから、俺達は何のこともない会話で終わり。そして………
「楽しかったぞ」
「私もです。こんな気持ち久しぶりでした。あんなことありましたけど……宗一郎さんにあえてよかったです」
そうして、私は早くこの場から去ろうとした。そのほうが彼の幸せ、だけど彼が告げた言葉が私を
「そっか………迷惑じゃなければだが、またいいか?」
「えっ!?」
わからないどうして………
「わ、私のどこがそんなに……」
「うーんそういわれてもな………どこか俺の妹に似てるんだ………
ってのは冗談で、まだお返しできてると思ってないし」
「その迷惑に………いいんですか???」
こんな私、好かれる……いや関わってはいけない人だ……
かといって無碍なこと言えないですし……
「やっぱり話してて飽きないんだ。それになんか浅上さんは自分のこと低く見ているようだが
俺はそう思えないだ、少なくとも俺はな……ダメだったらいいんだ」
「そ、そうなんですか………それじゃあよろしくお願いします」
そういわれても私は大いに悩んだ。付き合うというより一緒に食べてるときも
私の中の罪悪感がこびりついて踏み出せず、何を思ったか私は
・・・・・
「どうしたん?藤乃?」
「いえ、どうしたものか………私どうやら好かれてしまったようで、以前に言いましたよねばったり会った男性のこと
でもどうしても踏み出せなくて……」
「かああ幸せだねえ藤乃は、私なんてまだ一人よ」
「どうしてだと思います?私………」
「藤乃はどうなの?その人のこと」
すごく魅力的です……ですが、
「正直に言って、どうなの?藤乃が迷惑ならやめればいいし」
「………凄く魅力的な人です。すごく優しい………私の素直な気持ちを言うと、もっと一緒に居たい………です」
「でしょうねえ、藤乃の気持ち見ればわかるわ、素直に出過ぎ、なら後悔のないようにしないとね」
「はい」
「ったく、その男がうらやましいわ、こんな女神様捕まえようとして気に入られてるんだから」
だがいざとなると、私と居ればどうなってしまうのだろう………そう思うと、どうしても前に踏み込めなかった。
今後このようなこといつまでもしていいわけがない。あの人と付き合いたい、でもそれならば私のことをもっと知ってもらわないといけない。
「鮮花はどう思います。もしどうしても言わないといけないことがある場合、鮮花ならどうします?」
「私なら迷わずいうわ。そんなに想っている人ならなおさらね。それでだめならしょうがない、その時は藤乃あなたに愚痴るわね」
「そうですか、ありがとうございます」
・・・・・
「ふぅ………やっぱちょっと強引だったんかなあ………」
一方誘ったはいいが……あれから付き合ってくれるがどうにも浅上さんはそっけない、どうしてだろうか……
そもそもがたった一回の出来事でこんなになんで俺は入れ込んでんだか……そんな時彼女から電話がかかってきた
「浅上さんじゃないか………最近は俺が電話するばっかりだったから………まあいいか」
「宗一郎さん………ですね」
「ああ、浅上さんどうした?浅上さんからは珍しいね」
「ええ、宗一郎さん、今度会えますか?………そこで話したいことがあるんです」
ついに来たかと思った……そっけない態度もそれだったのかも。
きっとおれに嫌気がさしたんだろう……だからといって断るわけにも行かない
「どこがいいんだ???」
「初めて………私と会ったところがいいです。空いてます?」
あそこ………俺の気まぐれで助けたあの場所
「わかった………いつも通りの時間でいいな」
「ハイお願いします」
・・・・・
あとは私の過去のことを言うだけ。それを言ってあとはどうにでもなれ。
仮にこうなっても鮮花がいる。私には何も失うものがない………ないはずなのに
「心が痛い…………何なのでしょうかこれは………」
痛覚がわかるようになり5年になりますがこうしたことは初めてです。何がどうあって私はこうなるのでしょうか………
宗一郎さんにすべてを言えば収まってくれるのでしょうか……
要約最終的には彼女も自分自身で立ち直ろうとしていましたが
何とかもうちょっと踏み込めないかなと思い
こうやって行きました。
彼女と桜は好きなキャラなので本当に幸せになってほしいです