ブラック・ブレット 贖罪の仮面   作:ジェイソン13

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ああ。もっと早く書けるようになりたい。


勾田中の狂犬

 そこは、昔通っていたゲームセンターとは違っていた。清潔が保たれ、筐体に傷は見当たらない。中高生や大学生のカップルが和気藹々とゲームを楽しみ、店員もにこやかな顔をして人当たりが良さそうだ。壮助が昔通っていたゲームセンターとここでは、東京エリアの外周区と中心地ぐらい治安が違っていた。安全という意味では居心地がよく、喧嘩と暴力の化身のような自分が一挙一動に気を遣わなければならないという点では、居心地が悪かった。

 

 一通り見て回った後、壮助の目にあるものが留まった。クレーンゲームコーナーの景品――逆立てた金髪が特徴の中世貴族風の少年のフィギュア――だ。フィギュアにはそれほど興味が無かったが、この少年のフィギュアには既視感を覚えた。もの凄く身近なところで見たことがあるような気がしてならなかった。

 

(あ、これ詩乃がやってたゲームのキャラだ)

 

 ふと思い出した途端、もう寝てもおかしくない時間に携帯ゲーム機を握って布団の上でプレイする詩乃の姿が浮かび上がる。彼女は食い入るように画面を凝視し、息を荒くしながらボタンを押してゲームを進めていた。

 壮助が何のゲームか気になってこっそり画面を見たところ、このフィギュアの元となったキャラクターが主人公と思しき女の子に縋りつくシーンが見られた。詩乃がヘッドフォンをつけていたので、どんなセリフが聞こえたのかはわからないが、大方「お前が居ないと俺は駄目なんだ!」的なことを言っているのだろう。

 

 ――涎を垂らし、恍惚とする詩乃の表情は可愛らしいが、ちょっと気持ち悪かった。

 

(ちょっと取って、あいつへの土産にでも――)

 

 そう考えた途端、壮助は頭を振って今思ったことを払拭する。

 

(違う。そんなことを考えるためにここに来たんじゃない)

 

 壮助はクレーンゲームから離れ、ゲームコーナーから少し外れた自動販売機に向かった。そこでジュースを買い、隣に設置されたベンチに腰掛けた。

 

(とりあえず、俺が考えられる限りのプランであいつを倒すために必要なものは揃えた)

 

 壮助は周囲の視線を確認し、誰も自分のことを見ていないと確認すると、こっそりバッグのチャックを開けて中身を確認する。

 バッグの中身は、愛用の司馬XM08AGとその弾倉(マガジン)、麗香から買ったタウルス・ジャッジと散弾、そして麗香の元に訪れる前に寄った武器商人から購入したC4プラスチック爆弾とその起爆装置だ。

 このゲームセンターにいる人間全てを殺すことが出来る量の武器弾薬がここに詰まっている。しかし、これだけあっても里見蓮太郎はきっと殺せないだろう。もしかすると傷一つつけられないかもしれない。それでもこれが壮助にとっての精いっぱいだった。里見蓮太郎に立ち向かうためのプランとそれに必要な武器がこの全てだった。

 壮助はゲームセンターの喧騒の中で目を閉じ、里見蓮太郎との戦いをシミュレートしていく。それは里見蓮太郎との一対一の勝負。そこにパートナーの森高詩乃はいない。蛭子小比奈もいない。自衛隊や民警仲間の協力も敵対組織の妨害もない。完全に目の前の敵と対面し続けることを想定した孤独な戦場だ。パートナーとペアを組んで戦うことが基本の民警としてはあり得ない想定だった。

 

 

 

 

 

「義搭くん、だよね?」

 

 

 

 

 声を掛けられ、壮助の意識がはっと現実に引き戻される。開けた視界には殺風景な休憩室と自販機。そして、一人の少女の姿だった。

 花のようなシュシュで髪を束ねたルーズサイドテール。髪が重力に逆らうかのようにふんわりしており、彼女の表情や雰囲気もそれに象徴されるかのようにふんわりとしていた。今は紺色のブレザーと深緑のリボンが特徴の高校の制服に身を包んでいるが、私服はきっと森ガール的なゆるふわ系なのだろうと容易に想像がついてしまう。そんな少女だった。

 

「ええっと、義搭壮助くんだよね?私のこと覚えてる?」

 

 無論、壮助は彼女のことを覚えていた。忘れるわけがない。もし彼女のことを忘れられるほど彼女に付随する記憶が軽いものならば、壮助はこの6年間をもっと気楽に生きられただろう。里見蓮太郎を追うこともなかっただろう。それだけ、彼女の存在は壮助の心に深く刻み込まれていた。ある少女と一緒に――。

 

「覚えてるぜ。相沢舞(あいざわ まい)だろ」

 

 勾田小学校で藍原延珠の親友だった少女――相沢舞。それが彼女の素性だった。

 

「まさかこんな所で会うとは思わなかったよ」

 

 気安く声をかける彼女のことを壮助は不思議に思った。延珠の事件以降、暴力に明け暮れ不登校気味だった壮助と模範的な学生である舞に接点などなかった。中学生の頃なんて尚更の話であり、こうして言葉を交わすのも7年ぶりだ。

 壮助は何て返事をすればいいのか分からなかった。

 

「義搭くんって、今民警やってるんだよね?」

「あ、ああ。そうだが……」

 

 壮助が民警をやっていることは彼を知る者の間では有名な話だった。札付きのワルが民警になって銃器保有のライセンスを得たのだから、彼の周囲の人間は戦々恐々とし、いつか彼が無差別乱射事件とかテロとか起こすのではないかと思っていた。彼から民警のライセンスを奪うよう東京エリアに嘆願書を送ったり、何か事件をでっち上げて刑務所に送り込もうと画策したり、別の民警を雇って彼を“殺処分”しようという動きまであった。今となっては全てが杞憂であるが。

 

「けっこう、危険な仕事なんだよね」

「ああ。ちょっと前の仕事でもガストレアに喰われて死にそうになった」

 

 舞は1000円札を入れると、自販機のボタンを押した。ガシャンと音を立てて缶ジュースが受け取り口に落ちる。

 

「見たよ。翼の生えた蛇みたいなガストレアを戦ったんだよね」

「お前、見てたのか!?」

「ううん。直接じゃなくてニュースとか動画サイトで」

 

 また缶ジュースが受け取り口に落ちた。

 

「それに、あの非常階段が壊れたマンション、私の家だから」

「その……ごめん」

「何で義搭くんが謝るの?壊したのはガストレアなのに」

 

 また缶ジュースが受け取り口に落ちた。

 

「義搭くん丸くなったよね。中学の時は声をかけただけで殴りかかってきそうな感じだったのに。勾田中の狂犬って呼ばれてたし」

 

 また缶ジュースが受け取り口に落ちた。

 

「話しかけられる度に人を殴ってたら拳がもたねえよ」

 

 また缶ジュースが受け取り口に落ちた。

 

「ってか、声をかけただけで殴りかかりそうな奴によく平然と声をかけられるな」

「ん~。正直、あんまり義搭くんのこと恐いって思ってないからかな」

 

 また缶ジュースが受け取り口に落ちた。

 

 

 

「……お前、ジュース買い過ぎじゃね?」

 

 

 ふと舞の方に目をやると、彼女の両手いっぱいに缶ジュースが抱えられていた。その全てが500mlのビッグサイズ。女の子一人で持てないことはないが、少し大変そうな量だった。

 

「あはは。これ全部友達の分。罰ゲームだってさ」

「一人に缶ジュース6本も買いに行かせるとかとんだ外道だな。その友達」

 

 壮助は武器を詰めたバッグを肩にかけると、舞の腕の中からジュースを引き抜こうとする。しかし、彼女は身体を逸らして壮助の手を拒否する。

 

「遠慮すんなよ」

「ご、ごめん。でも大丈夫だから」

 

 舞はそのまま壮助に背を向けて、友達の元へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 舞の友達たちはゲームセンターの中にあカードゲームコーナーでくつろいでいた。二人は舞と同じ制服に身を包んだ女子高生だった。

 カードゲームのロゴが大きく描かれたテーブルを3人で囲み、飲食禁止、喫煙禁止、カードゲーム以外の利用禁止の表示を無視し、喫煙以外の禁止事項を同時にこなしていた。周囲は我関せずに徹し、注意しようとする店員は睨みつけて追い返す。

 

「ごめ~ん。遅くなった~」

 

 舞は作り笑顔を浮かべて2人の元へ駆け寄る。手に抱えていたジュースを3本ずつテーブルの上に置いていく。2人とも礼など一言も告げず、ただ黙々とスマホを弄ったり雑誌を読んだり、それぞれの趣味に興じていた。

 誰がどう見てもそれは友達という関係で呼べる人間のやり取りではなかった。片方が一方的な奉仕を強要される関係――パシリとご主人様――だった。

 椅子を用意されず、立ちっぱなしだった舞が拳を握った。恐れを抱きながらも彼女達から視線を逸らさず、恐れを抱く故に全身を震わせ、そして口から声を絞り出した。

 

「あ、あの……お金は……?」

「はぁ?何で私達が出さなきゃいけないわけ?」

「っていうか、アンタ、私達の恩を忘れたわけじゃないでしょうね。誰のおかげで学校にいられるのかしら?アンタが赤目なんかと関わっているのを私達が黙っていてあげてるからじゃない?それに比べたらジュース代ぐらい安い安い♪」

 

 2人の女子高生が舞を睨みつける。舞は絶対に自分たちに抵抗できないという絶対的優位性、私達は舞に良いことをしているんだから、これくらいの奉仕を受けて当然という自信が彼女たちをつけ上がらせる。

 

「そんなところで突っ立ってると目障りなのよ。さっさと私たちの遊ぶ金でもATMから下ろしてきなさい」

「その……お金も、もう無いです」

 

 舞は小動物のように震えて答えた。恐怖のあまり彼女達から目を逸らし、顔を伏せ、目尻に涙を浮かべる。凄みなどない。威圧感もない。これで2人がお金を諦めてくれるとは思えない。でも、これが相沢舞の人としての矜持が為せるせめてもの抵抗だった。

 

「はぁ……」

 

 女子高生の片方が大きくため息をついた。それは呆れた、諦めのため息ではない。彼女はすぐに不敵な笑みを浮かべた。

 

「だったら良いバイトを紹介してあげる。仕事は簡単。一晩金持ちのおっさんの相手をするだけ。兄貴の友達にツテがあるからやりなさい。アンタ処女だから5万ぐらいは稼げるよね」

「いーちゃん高すぎ。舞っちの処女なんて1000円っしょ」

「何言ってんの。こいつに稼いでもらわないとマーキュリーデュオのアウター買えないじゃない。あんたも欲しいんでしょ?」

「私が欲しいのはケイトスペードの財布なんだけど」

 

 2人はゲラゲラと下品に笑い、舞は己の純潔がこんな形で失われる現実に涙を流す。

 NOと言いたい。言わなきゃいけない。だけど、もしここで言ってしまえば、自分の高校生活は終わる。入学させてくれた親に心配させたくない。その葛藤が舞の中で渦巻いていた。しかし、突然肩に置かれた誰かの手がその葛藤を吹き飛ばした。

 

「……ったく。助けて欲しかったなら堂々とそう言いやがれ」

 

 舞と二人の女子高生の前に現れたのは壮助だった。彼は狂犬のような眼光で2人を睨みつける。声をかけただけで殴りかかりそうな暴力の化身、元“勾田中の狂犬”の名に相応しい威圧感があった。

 

「飲め。俺の驕りだ」

 

 彼は両手の500mlコーラの口を2人に向けると、同時に人差し指でプルタブを開けた。事前に缶を振っていたのか、一気にコーラの炭酸が噴き出して2人の顔にかかる。

 

「ちょっと!何するの!」

 

 2人が制服の袖で顔を拭った時、目の前には司馬XM08AGの銃口が眼前に迫っていた。銃を見るのは初めてではない。民警が跋扈して当たり前の現代社会において、銃の存在はガストレア大戦以前よりも遥かに近いものとなった。しかし、いくら近いものとなったとはいえ、銃口を向けられた普通の女子高生が脅えないわけがなかった。

 壮助は更に銃口を近づけ、一人の口の中に無理やりねじ込んだ。そして、見せつけるように安全装置を外し、トリガーに指をかける。本気で撃つと、本気で殺すと意思表示している。

 2人は脅えて震え、涙を浮かべる。完全に目の前の死の恐怖(壮助)に屈服していた。支配欲が掻き立てられたのか、壮助は悪辣な笑みを浮かべる。これではどっちが悪役か分からない。

 

「今日のところは見逃してやる。今まで、こいつから巻き上げた金のことも忘れてやる。だが、次こいつに関わってみろ。5.56ミリバラニウム弾でハチの巣にしてやる」

 

 2人は黙りながら首を縦に振った。

 壮助は彼女の口から銃口を引き抜くと、それを鞄の中に戻した。

 

「失せろ」

 

 2人は自分の鞄を握ると、一目散に逃げて行った。

 壮助は逃げる2人の背中を見て、佇んでいた。舞からは背中しか見えなかったが、どこか哀愁のようなものが彼から感じられた。

 

「よ、義搭くん?」

 

 心配になって舞が声をかけた。

「逃げるぞ」と壮助は滝のように冷や汗を流しながら言った。

 

「え?」

 

 壮助はそそくさとテーブルの上の缶ジュースを集めて抱え、もう一方の手で舞の手を掴んで走り出した。店員や客の目、監視カメラの視線を瞬時に把握し、なるべく目立たないように店内を疾走して裏口から飛び出す。

 舞は何がなんだか分からず、とにかく転倒しないように必死に足を動かす。見えるのは自分の手を握る壮助の手と彼の背中、そして、段々と目立たない場所へと連れていかれた。

 壁際に身を隠し、誰か追って来ないことを確認すると、安堵したのか壮助は地面に腰を下ろした。

 

「うわあ……やっちまったあああああ……」

 

 か細い声で後悔の念が口から言葉として溢れ出る。

 

「え?何が?」

「民警は対ガストレア戦闘以外で武器を使っちゃいけないんだよ。基本的にな。もしあの2人がサツに通報したらライセンス剥奪、めでたく俺は恐喝罪で犯罪者の仲間入りだ」

「それを分かっていて、助けてくれたんだ」

「これ見よがしに涙を流されて、あんなものを見せつけられたら放っておけないだろ」

 

 そう言って壮助はまた後悔して「やっちまった」と頭を抱えて呟く。

 

「普通の人は放っておくと思うよ。助けるにしても安全圏から手の届く範囲で――。だけど、義搭くんなら安全圏から身を乗り出してでも助けてくれると思った」

 

 彼女はきっと今までも何度か誰かに助けを求めたのだろう。しかし、それが叶うことはなかった。赤目(呪われた子供たち)という忌むべき存在の味方をした彼女だから尚更の話である。

 

「俺がそんな良い人間に見えるか?話しかけただけで殴りかかるって噂の狂犬だぞ?」

「見えるよ。だって6年前、延珠ちゃんのために怒ってくれたから。だから確信したの。義搭くんなら深い理由が無くても助けてくれるって」

 

 壮助は深くため息をついて、足と足の間から地面を見つめる。

 

「……お前って、意外と打算的だったんだな。まんまと乗せられたよ」

 

 壮助と舞のスマホに着信が入る。寸分違わず同時に違う着信音が鳴り響き、二人の身体はビクッと動いた。

 

「何?」

 

 2人はそれぞれのスマホを取り出し、画面を確認した。2人には同じ着信が入っていた。

【緊急速報】と書かれた通信会社からのメッセージだ。災害やエリア全土を巻き込むような大事故・事件が発生した際の緊急避難命令――それに使われるシステムが利用され、一つのニュースが届いていた。

 画面を指でなぞり、そのメッセージの詳細を見る。画面に映ったのは再生ボタンと早回し、早戻しボタンだ。どこかの動画共有サイトに繋がったのだろう。

 

(……動画?)

 

「義搭くん。こっちの方が早いよ」

 

 ロードを待っている間に舞のスマホは動画をすぐに再生できる状態になっていた。2人で顔を近づけ、小さなスマホ画面に目を向ける。

 

「じゃあ、再生するね」

「ああ」

 

 再生が始まった画面。その小さな枠に一人の男が映った。ひび割れたコンクリート壁を背面に置き、黒い仮面に黒いスーツを纏った青年の姿があった。

 

(里見……蓮太郎!)

(まさか、延珠ちゃんのお兄さん?)

 

 つい数日前から2回顔を合わせた壮助はもちろんそれが里見蓮太郎であることが分かった。

 舞の延珠との記憶がフラッシュバックし、その中で延珠の送り迎えをしていた男の顔を思い出した。

 

「お前たちは正義の正しさを疑ったことがあるか?」

 

 問いかけるような一文で蓮太郎の演説は始まった。

 

「俺たちはかつて、正義を信じ、それを胸に抱いて戦ってきた。報われないことなどたくさんあった。信じた正義に裏切られたこともあった。それでもいつかは、やがていつかは、正義の名の下に誰も苦しまない世界になるのだと、人間の良心と正義を信じて戦ってきた。そのために愛する人たちを失った。だが、そこに結果は無かった。俺達は正義の味方であり続けても、正義は俺達を役に立つ消耗品程度にしか思っていなかった。そして、俺は気付いた。正義とは、人を操るために人の悪意と欲望が生み出した思想の麻薬なのだということ。俺はそれに踊らされた思想の奴隷だったということに。だから、俺は復讐することに決めた。俺を操り、俺から全てを奪ったこの世界の正義に!」

 

 画面・スピーカー越しからひしひしと蓮太郎の叫びが、思いが、憎悪が伝わってくる。背筋が凍りついてしまうほど、彼の目は冷たかった。

 

「人を利用するために正義を語る者よ、己の悪虐を正当化するために正義を語る者よ、正義という名の麻薬に浸った偽善者たちよ。俺の名は里見蓮太郎。かつて、この東京エリアで民警として活動していた男。そして、この東京エリアを滅ぼす者だ」

 

 突如、轟音が鳴り響いた。近くで建物が崩れ、土煙が周囲にまき散らされる。

 壮助は自分の身体を盾にして飛び散る破片や土煙から舞を守る。そいて、薄く開いた目で崩れた建物の方を見た。

 崩壊が終わった途端、周囲の土煙が一気に吹き飛ばされた。風圧で周囲の窓ガラスは割れ、壮助も踏ん張っていないと吹き飛ばされそうなほどの勢いだ。

 鳥類特有の甲高い声を上げ“それ”は姿を現した。

 立派な鶏冠を持った雄鶏にドラゴンのような太い尾と硬い鱗を合わせたような姿。全長は10メートルといったところか。鶏と呼ぶには猛禽類のように目が鋭く、鋭いくちばしをもつが、開くと内部には獰猛な牙が何列にも並んでいる。雄鶏とドラゴンを合体させた姿はイングランドの伝説に登場する怪物コカトリスを思わせる。

 

「ガス……トレア?こんな東京エリアのど真ん中で……?」

 

 舞は目の前の現実がいささか信じられなかった。目の前に、しかもモノリスの内側に人類を滅亡寸前に追い詰めた怪物が現れたのだから。ニュースや動画サイトで何度も見ていても実際に見るのとは違う。恐怖で足が竦み、助けてと嘆願するように壮助の服を強く掴んだ。

 

(これがお前の言う正義への復讐ってわけか。里見蓮太郎)

 




ふとアニメを見返していたのですが、アニメ版と漫画版の舞ちゃんのデザイン全然違うなぁと思いました。
ちなみに書いている時は、幼少のころの彼女のデザインは漫画でイメージしています。

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