ブラック・ブレット 贖罪の仮面   作:ジェイソン13

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詩乃「フルパワーで除夜の鐘を()いたら粉砕しちゃった」

壮助「除夜の鐘を以てしてもお前の煩悩は祓えないのか……」


次世代機械化兵士 ジェリーフィッシュ

 Tina

 [台北エリアの仕事はどうですか?]

 

 ゆづき

 [ようやく終わりが見えて来た感じ。

 月末にはそっちに帰れそう。]

 

 [そっちはどう?]

 

 Tina

 [こっちも今は落ち着いています。

 スカーフェイスとの戦いが嘘のようです。

 敵の動きが見えないのが不安ですが……]

 

 [玉樹さんの様子はどうですか?]

 

 ゆづき

 [相変わらず……]

 

 [仕事はちゃんとやってくれるから助かるけど……]

 

 Tina

 [そうですか……]

 

 ゆづき

 [ダッシュで終わらせて戻るから

 それまで任せたわよ]

 

 [ \(`・ω・´)/ガンバレッ ]

 

 

 

 マーケットから少し離れた空き地でティナはスマートフォンの画面を眺めていた。今回の件で増援を頼めないか片桐弓月に連絡を取っていたが、彼女達は事件の直前から聖天子の指示で台北(タイペイ)エリアに行っていた。優秀な民警を海外のエリアに出張させる聖天子の危機意識の薄さにため息を吐くが、無期限の出向に赴いている自分(38位)がそれを詰る権利はないと自嘲する。

 スマホをポケットに戻す。ふと向けた視線の先には“マーケット”こと大戦前のスタジアムが見える。スタジアムの周辺には武装したアキンドのメンバーがうろついているが、談笑したり、ボードゲームに興じたり、雑誌を読んでいたりと、彼女達も自分とそう変わらない女の子に見える。

 

 日向姉妹を守るために同行したティナは一緒にマーケットの中に入るつもりだった。しかし、「綺麗な女を連れて来ると向こうのボスの機嫌が悪くなる」という理由で車の見張り兼待機要員としてここに残ることになった。エールに綺麗と評されたことは素直に嬉しかったが、姉妹と一緒に行動出来ないのは歯痒かった。どこかスタジアム内部を見られる高い建物でも無いかと見廻すが見当たらず、結局、エールと義搭ペア、小星ペアがしっかりと彼女達を守ってくれるのを願うしかなかった。

 暇を持て余し、同行していたサヤカは偶然見つけた蟻の行列を眺め、トオルは鼻歌を歌いながらスマホで音楽を聴いている。漏れている音からしてロックだろう。

 

 

 

 

『ドコだ! ? いつドこniいル! ? ティナ・suプらウト! !』

 

 

 

 辺り一帯に響き渡るスピーカー越しの音声。何事かと思い、ティナは立ち上がる。スタジアムに目を向けると、“今までそこに無かった”空飛ぶモノリスが浮遊していた。

 声に驚いたサヤカとトオルも宙に浮くモノリスを凝視する。

 

『お友達にエイリアンはいらっしゃいますか? 』とサヤカはタブレット画面を見せる。

 

「いないに決まってるじゃないですか! ! 」

 

『…………ダレだ? ティナっte誰だ? Naze、僕ハ――――アれ? 僕ha誰ヲ追ッていRUんだ? そモsoも僕は僕ナのか? 俺じゃなKAった? 私? 儂? 某? 拙者? 』

 

 モノリスから発せられる支離滅裂な言葉、自分に執着する様子からイクステトラで戦った死龍の尾を思い出す。今はスピーカーを通して加工された男性の声が聞こえるが、発音やアクセントが飛鳥の声帯を使って話していた時と似通っていた。

 

 ――あれが機械化()()? ちょっとした爆撃機じゃないですか。

 

「トオルさん! ! バイクの鍵貸してください! ! 」

 

 トオルはエールから鍵を預かっている身として一瞬躊躇うが、渋い顔をして放り渡す。

 

「私があれを引き付けます。2人は車で迎えに行って下さい」

 

「ボスの2号機、壊さないでくださいよ」

 

「保障はしかねます」

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 商いの場として賑わっていたマーケットは地獄と化した。騒がしい売り口上や露天商と客の口喧嘩は悲鳴に代わり、人々は一目散にマーケットの外に出ようとゲートへと群がっていく。

 ジェリーフィッシュの下部にぶら下がった砲台から2発目の超高熱レーザーが放たれる。バラック小屋を構成するトタンが一瞬で蒸発し、一緒に相当数の人間も焼却された。鉄とコンクリートが沸騰した水のように泡立つ。スタジアム内部には血と肉の焼ける匂いが充満し、燃焼して霧散した脂肪で空気が粘り気を帯びる。

 地面は蜘蛛型のドローンが駆け回っていた。頭部と脚部に搭載したブレードで手当たり次第に人間を八つ裂きにし、血肉に塗れ、ボディに引っ掛かった誰かの臓物を引き摺りながら次の獲物を求める。

 

「チクショウ! ! せっかく商売が上手く行ったのに! ! 」

 

 アタッシュケースを抱えた男が叫びながら走る。明らかに運動不足な体型と余計な荷物のせいで逃げ遅れたのだろう。その鈍足で今までドローンの餌食になっていないのは幸運としか言いようがなかった。

 しかし、その幸運もそこまでだった。男が酒瓶を踏んで転んだ。その瞬間、数体のドローンが彼を捕捉し、接近する。

 

「来るな! ! 誰か! ! 誰か、助てくれ! ! 」

 

 身を転がし振り向くと走行するドローンが飛び上がっていた。真上で頭部と脚部からブレードを展開、落下の勢いで串刺しにしようと迫る。

 しかし、ドローンのブレードはグラウンドの枯れた芝生に突き刺さった。男が何者かに引っ張られたからだ。見上げると常弘がワイシャツの襟を掴んでいた。ホルスターからシグザウエルP250を抜き、ブレードを地面から抜こうとするドローンを銃撃。1発で機能を停止させた。バラニウム製と思われる装甲は以外にも薄いようだ。

 他のドローンは常弘に興味を示さず、男が落としたアタッシュケースを執拗に斬りつけていた。理由は分からないが興味が逸れた隙を狙って朱理がお揃いのシグザウエルP226で残りのドローンを銃撃、機能を停止させる。

 ドローンに攻撃された拍子にロックが外れたのだろう。アタッシュケースが開いて中の1万円札がバラック小屋から上がる黒煙と共に宙へ舞う。

 

「金が、俺の金があああああ! ! 」

 

「諦めてください! ! 生きていれば、また稼げます! ! 」

 

「そういう問題じゃ――ひぃぃぃぃぃ! ! また来たああああああ! ! 」

 

 男が指さす方に目を向けると10倍近いドローンがこちらに向かっていた。面を覆い尽くす勢いで群れをなし、前身する姿は押し寄せる洪水のようだ。男は立ち上がり、出口に向かって全力で走る。アタッシュケースを手放して身軽になったのか、その速さは先程の比ではない。「何故、最初からその走りを発揮しなかったんだ」と常弘と朱理は文句を言いたかった。

 

「ヒーローごっこもその辺にしておけ! ! 優等生! ! 」

 

 バラック小屋の屋根から壮助が飛び出した。後ろ腰から6本のバラニウム合金繊維の腕が生えたその姿はドローン達と同じく虫を彷彿させる。斥力フィールドによって形状を制御された腕は、その1本1本が露店からくすねたアサルトライフルを握っていた。

 

 ――全部潰せ! !

 

 壮助の指示が神経系と外科手術で接続された賢者の盾に流れる。それが斥力フィールドの形状を制御し、想像通りの変形、ワイヤーの動きを再現する。指となっていた繊維がトリガーを引き、一人で一個分隊並みの火力を掃射。5.56×45mmNATO弾の雨がドローンを貫き、ガラクタに変えていく。

 しかし、ドローンの進軍は止まらない。分隊火力の一斉掃射の中、一部は頭部のカメラで銃口を捉え、その角度から弾道を予測し回避していた。

 

 ブルドーザーに押し出されたかのように近くのバラック小屋が崩れ、壮助達に迫るドローンの群れが下敷きになる。瓦礫を踏み越えて詩乃が現れ、潰し損ねたドローンを自分の足で踏みつぶす。

 

「ありがとう。義塔、森高さん。助かったよ」

 

「「礼をするなら金をくれ」」

 

 壮助と詩乃は寸分違わないタイミングで常弘に手を出し、金を催促する。

 

「大企業勤めなんだから持ってるだろ? 」

 

「満漢全席おごってください」

 

「全く……君達は……」

 

 常弘は苦笑いしながらP250から空の弾倉を抜き、ホルスターに差していた予備弾倉をリロードする。

 

「義塔。ドローンはどれくらい残ってる? 」

 

「今倒した分で群れは最後だと思う。1~2体でコソコソしている連中までは見れてねえけど、もう十分だろう」

 

「あとは本体ね……」

 

 朱理が指さす先にジェリーフィッシュがいた。狂った発音でティナと蓮太郎の名前を叫びながら滞空している。下部に外付けされたレーザー砲はマリーを消した1発目、マーケットを薙ぎ払った2発目以降、ずっと蒸気を上げている。おそらく一定の冷却インターバルが必要なのだろう。3発目が放たれる様子は無い。

 

「小星。那沢。お前らはエールと合流しろ。ついでに作戦とか考えておいてくれ」

 

「本体は? 」

 

「俺達で何とかする」

 

 常弘と朱理は素直に頷いた。バスやトラックを持ち上げて投げるパワー特化型の詩乃、機械化兵士の壮助が自分達よりも遥かに強く、巨大兵器の相手に適任だと認めざるを得なかった。

 

 

 

 

『■■■様? ■■■様あああアアアアアアあaaaaあAAAアあ! ! ! ! 』

 

 

 

 

 突如、ジェリーフィッシュが何者かの名を叫ぶ。ローターの回転数が上がり、風圧でトタンやドローンの残骸を吹き飛ばす。

 自分が飛ばされないよう、飛んでくる瓦礫に潰されないよう壮助は斥力フィールドを展開して詩乃と小星ペアを守る。

 

「クソッ。今度は何なんだよ! ! 」

 

 ジェリーフィッシュは前傾姿勢になると一気に加速した。その巨体に似合わない速度とソニックムーブで真下のスラムを地面ごと抉り取り、()()()()()()()()()()へと飛んでいった。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 エールは両肩に日向姉妹を抱えてスタジアムを駆けていた。日々のトレーニングで鍛えた脚力に赤目の力を増強させる。お陰で2人を抱えたままバラックの屋根に飛び乗り、誰よりも速く最短ルートでスタジアムの外へ向かう。

 

「ミキ! ! レーザー砲の向きどうだ! ? 」

 

「大丈夫! ! こっち向いてない! ! 」

 

 後ろ向きに抱えた姉妹から背後の状況を確認する。途中まで義搭ペアと小星ペアが付いて来ていたが、ドローン軍団を足止めする為に彼らは留まった。

 

「エールさん! ! 来てます! ! 」

 

「来てるって何が――――」

 

 エールが振り向いた瞬間、ジェリーフィッシュがこちらに迫って来た。同時に風圧で捲れ上がる地面と共に持ち上げられ、鉄とコンクリートと土の津波に巻き込まれた。

 何度も回転する景色の中でエールの身体は地面に叩きつけられる。鈴音と美樹は傷つけまいと自分をクッションにして、背中から落ちた。一瞬、意識が飛んだがすぐに取り戻す。

 

 ――足止め出来てねぇじゃん……民警ども。

 

 そうぼやきながらエールは顔を上げる。自分にしがみつき、胸元に顔をうずめる鈴音の頭が見えた。服越しに息も伝わる。

 

「スズネ。大丈夫か? 」

 

「は、はい……」

 

 しかし、安心も束の間だった。右腕で抱いていたはずの美樹がいなかった。代わりにトタンの破片が突き刺さり、血が流れていた。驚きのあまり瞳孔が開く。最悪の事態が脳裏に浮かぶ。

 エールは立ち上がり、周囲を見渡す。十数メートル離れた道に美樹が転がっていた。吹き飛ばされた時、彼女を手放してしまったのだろう。瓦礫のないところに落ちたのが不幸中の幸いだ。

 

「痛った~」

 

 美樹はたんこぶが出来た頭を労りながら立ち上がる。少し眩暈もするが呪われた子供の治癒力ですぐに意識がハッキリする。

 

「ミキ! ! 大丈夫か! ? 」

 

「大丈夫。ちょっと打っただけだから」

 

 自分は大丈夫だとアピールするように美樹は手を振る。

 

 真夏の晴天に照らされた美樹を影が被った。見上げると青い空真っ黒な四角形が浮かんでいた。それは徐々に高度を下げて視野の中で大きくなっていく。

 美樹の真上に来たジェリーフィッシュはローターの回転数を落としてホバリング、格納していた脚部を展開して接地させる。タカアシガニのような姿になったそれは屈むと、眼球を想起させるメインカメラを美樹に近付けた。

 キュイ、キュイとカメラの部品が回転し、焦点を美樹に合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『オ迎え二上がリまsiタ。■■■様』

 

「え? 」




皆さん。明けましたおめでとうございます。
今年もブラック・ブレット贖罪の仮面を宜しくお願いします。

前回のアンケート結果

(5) ちゃんと動作するか分からない銃
(3) なんかよく分からない肉のケバブ
(5) 頭がハッピーになるおクスリ
(11) 内地で盗んだクソダサTシャツ
(4) 調教し過ぎた結果、動かなくなった奴隷

本編ではカットしましたが、マーケットで買い物するシーンがあったら、クソダサTシャツが気になって露店の前から動かない鈴音と無理やり引っ張る美樹という場面を書くつもりでした。


次回「外周区流の戦い方」

ジェリーフィッシュ「機械化兵士格付けチェック!!ティナ・スpuラうトはどれだあああああ!?」

  • 鈴音+金髪ウィッグ+ガンプラ(不正解)
  • エール+金髪ウィッグ+ライフル(不正解)
  • ティナ・スプラウト(正解)
  • 髪を下ろしてカラコンつけた弓月(不正解)
  • 壮助+金髪ウィッグ+ピザ(絶対アカン)
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