世界は腐っているので私がぶっ潰す 作:NTR絶対ぶっ殺すマン
「ごちそーさん!飯うまかったぜ!」
……くそ、コイツにご飯作るの手伝わせるじゃなかった。
「わ、私の当面のたべもの……」
晩ご飯の手伝いをしたことを良いことに、コイツ私の約三日分の食材食べ尽くしやがった。
「いやー俺もこんなに食べちゃって悪いとは思ってるよ、でも数日何も食べてなかったし……許してくれな」
すまん、と申し訳なさそうに手を合わせて謝るその姿を見ても、この虚しさは当分消えそうにない。
これは……一週間のうち何回かの食事はもやし定食になること確定だろう。
「はぁー、明日のご飯どうしようかな……」
そう文句を垂れながらもササッと皿洗い用の日用魔法具に魔力を込め、食い散らかされた皿やコップを片付け始める。
「うわ……ずげ。出力凄いなねーちゃん」
「そんな褒める程のものじゃないよ、学院には普通に私より出力高い人とかうじゃうじゃいるし」
自分で言うのもなんだけど学院での実力は上の下くらい。
まあ、私も人並みには努力してるつもりなので、そこそこの出力でも軽い日常生活程度の魔法ならもう
「学院か……ねーちゃんやっぱあそこの生徒だったのかよ。どうりであんなに魔法が上手い訳だぜ。人混みの中から財布盗んだ奴だけを正確に魔法で持ち上げるなんて、魔法を少し齧ったくらいじゃできねぇもん」
「……なに、機嫌取り?」
「いやいや、純粋に凄いと思っただけだぜ?今まで魔導士っぽい奴には何度か遭ってきたけど、捕まえられたのは初めてだったからよ」
そして、続けざまに彼女はこう言う。
「でもねーちゃんも変わってるよな、学院の生徒なのに人間以外の人種にもちゃんと平等に接しくくれるってさ。あそこって俺たち他種族をぶっ殺す訓練してる場所なんだろ?そんな所にいんのに俺を助けてくれるなんて、結構ねーちゃんも変わってるなって」
「……決して変わってなんかない、学院にも私みたいな人はいたし」
「ふーん、学院にも色んな人間がいるんだなぁ」
ま、実際そんな感じの考えを持ってるのは私とエルくらいだけど。
「ねーちゃんみたいな人間が今の政治を務めてくれたら、絶対戦争なんて無くなるのに」
「はは、まさか。私みたいな中途半端な奴じゃ誰もついて来ないよ」
私じゃ駄目なんだ。
私じゃ国のみんなの心を掴むような魅力はないし、かと言って軍を統率するようなカリスマ力なんてない。
私じゃ……私じゃなくて……本当に人を惹き込んで皆の心を動かしてくれる人は────
「って、何そんな見てるの」
「あー、いや、なるほどなって……」
……何だろう?なんかリルがよそよそしく私を見つめて来る。
私の頬になんかついてたりするのだろうか。
「ねーちゃんも複雑なんだな」
「……は?どういう事?」
本当に何を言っているんだ?
私、なんか話聞き忘れたっけ。
「そんなに……エル?の事好きなら、早く告白すれば良いのに」
「────────えっ」
なぜか急に突然、リルが爆弾発言。
「えっちょっ、なんで────」
「ねーちゃん会った時からよ、めちゃくちゃめそめそしてて不思議だったんだぜ?その理由が知りたくてよ、申し訳ないけど、今さっき魔法を使ってねーちゃんの心をちょっと見させてもらった」
え……心を見た…………心!?!?!?!?
「もしかして、読心魔法……」
いや、でも心を読む魔法は習得難易度が高くて人間では使える人が本当に一握りなんだけど……まさか魔族だったら事情が違うの!?
じゃ、じゃあ、今まで考えてたこととか全部……
「ねーちゃんも難儀だな、そんなにその人間のことが好きなら早く攫《さら》いでもすりゃ良いのに」
「いやっ、だって、もうエルは────」
「軍に行ったって?この国を出てないならそんなこと関係ないだろ、それに攫わないとしても思いくらいは伝えれるんじゃねーか」
「っ……でも…………!」
私とエルの関係はもう終わったんだ。
もう会えないはずなんだ。もう、エルと私は……
「会いたいんだろ?自分に正直になれよねーちゃん。そんな風に自分をどれだけ偽って強がったって、心までは変えられない」
「いやっ……」
否定したい。もうぐちゃぐちゃに、こんな気持ち噓だって言ってやりたい。
でも……だけど……私の心の奥底は、
「その今思ってる気持ちは、きっとねーちゃんの本心だと思うぜ?」
どうしようもなく、エルと一緒に居たいって気持ちがあるんだ。
「助けてくれたお礼になるかどうかは分かんないけどよ、俺は戦場に出る前の兵士が訓練する場所を知ってる。きっと、ねーちゃんが好きな人もそこにいる。だから……もしねーちゃんが望むならよ────
そんなの、そんなこといわれたら、さ。
「……行きたいよ。私は、エルとまた会いたい」
もう、失いたくない。
私はどうしようもなく、エルが好きだから。
また会えるのなら、たとえ連れ戻せなかったとしても、エルに私の思いくらいは伝えたい。
大好きって。