世界は腐っているので私がぶっ潰す 作:NTR絶対ぶっ殺すマン
まだ三話ほどしか投稿しておりませんが、大幅に加筆&ストーリーを多少変えているのでこの小説を見ている方でも飽きずに見て貰えると思います。
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ttps://kakuyomu.jp/works/822139837282577107
小説リンクはこちらです!(リンクをそのまま入れて良いのか分からなかったので、頭文字のhを抜いています)
ハーメルンでもそうですが、面白いと思ったらカクヨムの方にも☆などの評価をして頂ければ嬉しいです。
作者が泣いて喜びます。
「こりゃひでぇな」
ここでエルは魔法をかなりの回数行使したらしい。
もう随分と時間が経っていると言うのに土にはまだ魔力が籠っている。
「相当だぜ、地面にまで魔法の痕跡がこんなに残るってよ」
この量────
「エル、絶対に無理してる……」
エルにはこんな魔力量はない。
きっと自分に鞭打ってでも魔法を使っていたんだ。
「じゃあかなりまじぃんじゃねぇの、大した魔力持ってないのにこんな荒っぽい魔法の使い方なんかしてたら、相当身体にガタが来るぜ」
地面には荒々しく残る魔法の跡と、僅かに漂う血の匂い。
「っ……何考えてるんだ私」
考えたくもない結末がふと、脳裏をよぎってしまう。
「まーでもこの鮮明さからして近くにいるな、見つかるのも時間の問題だろ」
何故だか私は、今途轍もない胸騒ぎを感じている。
それが杞憂なのか、第六感の警告なのかは分からない。
「さっさとねーちゃんの……」
────いや、本当は分かっている。
「あっ……おい!」
徐《おもむろ》に私は走り出す。
物凄く嫌な、べっとりとしたものが心に張り付いている。
それが杞憂だと、一刻も早く思ってかき消してしまいたいくらいに。
『魔法による救難信号を発し方……うーんなにこれ分からん!』
『まあ難しい魔法だからね、私も出来ないし』
魔力、エルが落とした魔力の残滓を辿って────
「このっ、この建物の中に……」
血の匂いが一段とまた強くなる。
『じゃあここでエルに質問、こんなに難しい魔法なのに戦場では頻繫に使われています!それはなぜでしょう?』
『うにゃ……また始まった……』
『ほら、いいから答える!ここテストに出るよ!』
そんなわけ、ない。
そんなわけ。
「中にはちょっと腕を擦りむいて血を流しているエルがいて……それで……」
「あ、エミリ来たんだぁ」
とか、そんな天然で緊張感がないようなことを言ってくれるに決まってる。
『残念、正解はね……』
足が、動かない。
動いて建物の扉を開けてしまったら、杞憂が的中してしまいそうで。
油みたいに心へべっとりとこびりついた”魔法”は、まだ残っている。
『この魔法は簡略化が可能なの、ほら、こうやって』
『え、うわっ、なにこれ!?』
『信号を出す対象は一人だけになっちゃうけど、こうやって自分自身の心を伝えることが出来る』
「ったく急に走り出して……ここに友達がいるからって焦りすぎだろ」
『この魔法はね、自分自身の本当の思いを他人に伝えることが出来るんだ。それも発動さえすれば直ぐに』
『わぁ……』
『そんなまじまじ見て……興味でも沸いた?』
『うんうん!それにちょっとびっくりしちゃったよ、エミリってクールなのに心ではこんな可愛いこと考えてるんだなぁって!』
『ちょ────』
「おーい何突っ立ってるんだよ、開けないなら俺が開けちまうぞ?」
リルが扉に手をかける。
「だめっ……」
止めようとしたけど、硬直してしまった身体がそれを許してくれない。
『言っとくけど、私の本心がまんまそれって訳じゃないんだからね!!』
『またまた~』
『っ……本当だって!この魔法は発動者の心を相手に伝えるんだけど、全てそのまま伝えられる訳じゃない。楽しい心でいるなら何か楽しい感じが、悲しい心なら何か悲しくなるような、そんなどこかボケた感情しか伝わらないの!』
『じゃあ、エミリは何かを見て可愛いって感じたってことだ!!』
『……う』
『あ、なんかまた気持ちが強くなった!』
私が感じた気持ちは、どす黒く今にも死にそうだと、そう言って来るような感情。
今まで見ようとして来なかったけど、もう疑いのない事実として、目の前に表れている。
そこにはあの時とは比べ物にならない程、傷つけられたエルがいた。
「噓……だ」
でも、もうそう言って逃げることは出来ない。
「お、おい、もしかして、ねーちゃんの友達って……」
「あっやば。もしかして見つかっちまったか?」
私はこんな時になってようやく気付いた。
絶望の次に来る感情は、どうしようもなく溢れる怒りなんだって。
「やばいって!どうしよう!」
「……いや、大丈夫よく見ろ。教官じゃねぇコイツ。伸せば口止めくらい出来るぜ」
敵は二人。
「よ、よしわかった、おいおま────」
「
「え……」
「はっ?なんでお前急に腕無くなって……ん、なにこの魔力────」
「
「あっ熱っあつい!!」
「それ、死ぬまで消えないから。苦しんで死ぬよ、お前」
これで二人は大したこと出来ない。
苦しんで苦しんで苦しませ尽くした後、殺してやるから。
「く、くそっ!ふざけんなよお前っ!軍規違反だぞ、こんなっ、こんなことしやがって……」
「は?知らないよそんな事。軍の人間じゃないし」
許さない。
エルを弄びやがって。絶対楽に死なせない。
……そんな中リルが何やら走って建物の奥に行く。
「おい……大丈夫か────っ、ねーちゃん!まだ息してるぞ!今ならまだ助けられるかもしれない!!」
「はっ────水……みずを……」
へーっ、人間って直で炙るとこんな匂いするんだ。
思っていたより香ばしい。
「……ははっ、まるで人間の丸焼き」
「おい!なにやってんだよ!」
「もっと火力強くして焦げさせてあげるよ、
「ちょっと待て馬鹿!!」
リルに胴体を捕まれ、発動しそうだった魔法の詠唱が乱され中断してしまう。
「邪魔しないでよ!!」
「……っこの────!」
リルは、掴みかかったまま体重をかけて私を倒し、馬乗りになるような形で袖を掴み引き上げる。
「一旦物事の順番考えろ!!まだねーちゃんの友達は助かるかもしんねぇのに、お前の無鉄砲さで見殺しにしちまってもいいのかよ!!」
「でもっ……」
「何しにここまで来たんだよ!こんな奴殺す為なんかじゃないだろ!!」
「────っ」
息も出来ないようなその気迫に私はのけぞってしまう。
「まあ、これはお前の問題だし別にソイツに気使うなら使っても俺はいいけどさ」
そう言って袖を離し、倒れ込んだ私をよそにエルの方へと向かっていく。
「自分が正しいって思うのならお前はそこで楽しんでていいぜ、俺は大した魔法は使えないけどどうにか助けれるよう頑張るから」
突き放すその言葉。
その言葉は、私の心を、これでもかと言うくらい深々と抉る。
「……はは」
ああ、そうだったんだ。今更になってようやく理解した。
「馬鹿だな、私は」
こんな私みたいな人間が沢山いるから、戦争は無くならないんだ。
怒りでやるべき事も忘れ、目の前の友人を助けず、ただ復讐だけを思う。
心の底から軽蔑していた人間は、実は私自身だった。