世界のシステムを書き換える最強能力「管理者権限」を手に入れたので、日常をハッキングして無双します!   作:Laggliches

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はい、どうも「Lagglitches」です!
今回は追加コンテンツになります。時系列的には八話のすぐ後ですね……庄司が呪いに目覚めたあと、一体何をするのでしょうか?


追加コンテンツ其のニ

「なあ蓮、凄いだろ! 俺、本当に覚醒したんだぜ!」

 

死闘を繰り広げた『レガシー・タイプゼロ』の残骸をあとにした帰り道。

蓮の顔の前に、これ見よがしに拳を突き出して自慢する庄司には、さっきまでの極限の集中力や、命を懸けていた戦士の緊迫感なんてものは微塵も残っていなかった。

 

そこにいるのは、ただただ全能感にハシャぐ、いつものやんちゃな中学生そのものだった。

その身に満ち満ちた未知のエネルギー――「呪力」が、彼の身体能力を爆発的に底上げしているのだろう。

 

溢れ出る力を抑えきれないといった様子で、庄司は意味もなく夜の住宅街の塀へと大ジャンプし、音もなく着地してみせる。

それだけでは飽き足らず、近くにあったコンクリート製の電柱を「おらぁ!」と軽くぶん殴った。

 

ゴキィン!

 

と夜の静寂に鈍い音が響き、電柱の根元に目に見えるほどの大きなひび割れが走る。

 

「……おい、器物破損で捕まりたいのか? 馬鹿」

 

蓮は深くため息をつくと、溜め息混じりに指を弾いた。

自身の『ホログラフ防衛システムズ(H'D'S)』の応用技を起動。周囲に散らばったコンクリートの破片や細かな砂を空間に固定し、磁石のように集結させることで、一瞬にして電柱のヒビを元の状態へと文字通り『修復』していく。

 

「庄司くん……近所の皆さんに迷惑ですよ」

「春輝くんの言うとおり、いい加減にしなさい。大迷惑だわ」

 

左腕に、まだメカメカしい異形を放つレールガンを接続したままの春輝と、あきれ果てた表情の結衣が、同時に注意をする。

ちなみに春輝は、いまだにこの新しいレールガンの解除方法が分からず、不格好に左腕を浮かせたまま歩いている。

 

ふと、彼女は彼を『観察眼』で見つめた。

彼女の瞳の奥から赤く幾何学的なオーラが走る。しかし、庄司に視線を移した瞬間、彼女は「っ……」と顔を顰めて目を細めた。

 

結衣の視界に映る庄司は、まるでバグを起こしたかのように激しいモザイクがかかっており、それでいて立ち上る炎のような青々としたモノが彼を包み込んでいた。

 

〔警告:解析対象のデータ構造が不連続です。エラーコード 0x0F……〕

 

脳内に無数のエラーログが明滅し、無理に凝視しようとすると目頭に刺すような激痛が走る。

 

「今は見ないほうが賢明ね……」

そう彼女は呟き、能力をオフにして目元を押さえた。

 

「だってよぉ! 俺の憧れに一歩近づけたんだぜ!? これで俺も『虎杖悠二』になれるんだぜ!」

「一回落ち着けよ、庄司」

 

蓮がどこからともなく取り出した『呪術廻戦』の単行本をパラパラとめくりながら、呆れた声で水を差す。

 

「虎杖悠二は、いくら力が有り余ってても、無関係な人に迷惑をかけるような性格じゃないはずだぞ?」

「うっ……。た、確かに……あいつは良い奴だもんな」

 

憧れのヒーローの解釈違いを指摘され、庄司はぐうの音も出ないといった様子で腑に落ちた顔をする。そして気まずそうに塀から飛び降りると、頭を掻きながらみんなと肩を並べて歩き出す。

 

蓮の見事な論破によるファインプレーに、春輝と結衣は同時に「ナイス」とばかりにグッドサインを向けた。

蓮は手元の漫画と、隣を歩く庄司を何度も見比べていた。

 

「ん、どうした? 蓮……俺の顔に何かついてるか?」

 

庄司が不思議そうに首を傾げる。

蓮は、自身の案内人を介して、結衣が見たものと同じ『青いオーラ』を視覚データとして捉えていた。

それは既存のレガシーとも魔法とも異なる、あまりにも異質なエネルギーの指向性を持っていた。

 

「なあ、庄司」

「……あ? どうしたよ、蓮」

 

「もしさ。お前の身体を巡っているその青い炎が、本当に漫画の中の『呪力』と同じようなものだとしたら……。お前自身の『術式』って、一体なんだと思う?」

 

「………術式、か」

 

庄司は歩みを止め、自分の右腕を神妙な目で見つめた。トレーニングで鍛え上げられた筋肉質の彼の右腕。

その袖を少し捲くった先には、まるで鋭利な刃物で深く抉られたかのような、痛々しい過去の傷跡が刻まれていた。

かつてこの傷について尋ねた時、庄司は「あぁ? これ? 昔、包丁を間違えて足の上に落としそうになってさ、手で受け止めようとしたら切れちゃったんだよ!」

と大笑いしながら答えていた。だが、それが本当の理由かどうかは、庄司のみぞ知る絶対の秘密だった。

 

「俺の術式って言われてもなぁ……。正直、これっぽっちも分かんねーよ」「……もし本当にあったら、ちょっと怖いですよ」

 

春輝が想像しただけでゾッとしたように顔を青ざめさせる。

 

 

術式――もとい『生得術式』とは、術者が生まれながらに脳に刻まれている、いわば残酷なまでの「才能」そのものだ。

虎杖悠二のように宿儺から無理やり術式が染みついたり、吉野順平のように脳の構造を他者によって強制的に作り変えられて術式を開花させる「後天性」の事例は、呪術の世界においても極めて稀で異例とされている。基本的には、生まれた時点でその人間の限界も能力も決まっているのだ。

 

 

今の段階では、庄司が生まれながらの術式を持っているのか、それともこの世界における別の何かが原因で覚醒したのかは、定かではない。

 

ただーー電柱に刻まれた深いヒビと、彼の右腕の不自然な傷跡が、不穏な未来を予感させるには十分だった。

 

……おそらく、彼の中に眠る本当の「力」が暴かれるのは、次の、すぐそこまで迫る戦いにおいてだろう。




最後まで読んでくださりありがとうございました!
そして次の九話は庄司くん、一人の戦いになりそうですね。果たして庄司かんの術式はあるのか……そもそも、どうやって術式があることを見つけるのか……楽しみですね!
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