世界のシステムを書き換える最強能力「管理者権限」を手に入れたので、日常をハッキングして無双します!   作:Laggliches

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みなさんこんにちは「Lagglitches」です。今回は九話ですね!ありがとうございます。
さて今回のほとんどは呪術廻戦要素、満載の内容となっております。前回に引き続き、庄司が呪力に目覚めた原因は…そして本当に術式はあるのか……楽しみですね!


第九話 捲土重来『峻烈』

「いたぞ! レガシー、お前を倒すっ!」

 

真昼の空には雲一つかかっていなく、太陽の直射日光が、眩しいほどに庄司の大きな背中を包み込んでいた。

ミシミシとアスファルトが焼ける音が聞こえる中、蝉たちが夏の終わりに最後の一鳴きを絞り出すかのように、大合唱を響かせている。

辺りを見渡しても避難が完了しているのか人ひとりおらず、この広大な空間には庄司ただ一人。

 

ーーまさに、男が命を懸けるに絶好の戦い日和だった。

 

そして彼の目の前には、周囲の自然をあざ笑うかのような、鉛色の鋼鉄で覆われた強固な装甲。すべてを焼き尽くさんと不気味に蠢く巨大な砲台。

 

その戦闘特化型レガシーは、中心にあるおぞましい赤いコアを脈動させるように発光させ、目の前の不遜な標的ーー庄司を圧殺しようと駆動音を上げていた。

 

しかし、今日の庄司には、戦うこと以外にある『絶対の目標』が課せられていた。それは、事前に蓮から言い渡された作戦、という名の無茶振りだ。

 

『おい庄司。次の戦闘、一人でやってみろ。……目標は、お前自身の「術式」を見つけることだ』

 

蓮に言われたその目標は、客観的に見れば言わずもがな『無茶振り』以外の何物でもなかった。

 

ただ、呪力を手に入れただけの庄司にとって、生得術式を持っている可能性は天文学的に低い。

そもそも彼の脳の構造が『術師の脳』になっているのかという初歩的な問題すらある。

蓮としても、半分はからかいのつもりで口にした言葉だった。

 

だが、可能性は決してゼロというわけではない。

 

庄司は、あの極限状態で『黒閃』を決めている。

呪力を感知し、扱えるようになったこと自体が奇跡に近いが、黒閃を経験しているとなれば話は完全に変わってくる。

原作の漫画においても『黒閃を経験した術者と、そうでない術者には、呪力との距離に天と地の差がある』と明言されているのだ。

 

アスリートでいう「ゾーン」に入ったようなもの。

 

具体的に脳の回路がどう変化したのかは定かではないが、少なからず、庄司の身体に『何かしらの決定的な違い』が生まれているのは確実だった。

 

ギチチチ……とレガシーが今にも高出力の砲弾を放とうと、庄司の胸元に狙いを定めた。

庄司もまた、どっしりと腰を落として拳を構える。その右手から、あの戦いで覚醒した青い呪力が陽炎のように湧き上がり、激しく燃え盛った。

 

「……よし。蓮の奴にドヤ顔してやるためにも、とりあえず、慎重に戦おう」不敵に笑う庄司。直後ーー。

 

ーーズカァァァァン!!

 

レガシーが放った一撃は、大気を引き裂くような轟音と共に地面の土を軽く抉り、凄まじい衝撃波を伴って庄司へと襲いかかった。

だが庄司は、その超高速の質量攻撃をまるで朝のウォーミングアップかのように、軽快なサイドジャンプ一発でひらりと回避してみせる。

 

しかし、相手は戦闘の化身だ。

 

レガシーは現代の鈍重な戦車とは全く異なり、驚異的な機動性を兼ね備えていた。

庄司がまだ空中にあり、地面に着地するまでのわずか数秒という刹那の間に、すでに未来位置の再照準と、次弾の再装填を完了させていたのだ。

現代の人類では逆立ちしても届かない超技術の銃口が、再び無防備な彼へと向けられる。着地と同時に、庄司はレガシーに向かって片手を突き出し、喉が裂けんばかりの声を張り上げた。

 

 

「う ご く な !!」

 

 

『呪言』

それは言わば究極の「言霊」であり、口にした単語の命令がそのまま強制的に現実化する恐るべき術式だ。

相手に「捻れろ」と言えば文字通り肉体が捻じ切れる。しかし、もちろん「死ね」などの強力な言葉を使えば、相応の反動が術者本人にも返ってくる諸刃の剣。

 

庄司は言葉の一つ一つに呪力を込めるイメージで、一文字ずつ強調して叫んだ。……しかし、目の前の鋼鉄の怪物は、何事もなかったかのように駆動を続けている。

 

「……ちぇっ、呪言(これ)じゃねえか」

 

庄司はチッと舌打ちをして呟いた。彼の考えは超単純、かつ脳筋そのものだった。

 

ーー『自分が知っている術式を、片っ端から全部試す』

 

という、あまりにも原始的な方法。術式の発動には必ず「呪力」が必要となる。電気を家電に流して初めて機能するように、呪力を術式という「回路」に流すことでようやく固有の現象が発動するのだ。

 

庄司はまだ呪力の正しい流し方なんて何一つ知らなかったが、やってみないことには何も始まらない。

 

「じゃあ次はこれだ! ――鵺(ぬえ)っ!!」

 

今度は両手の親指を交差させ、影絵の鳥のような形を組んで叫ぶ。

 

ーー影を媒介とする『十種影法術』

影から十種類の強力な式神を召喚し、攻撃、防御、偵察とあらゆる局面に柔軟に対応できる至高の術式。

 

あの呪いの王『宿儺』さえも深く興味を惹きつけるほどの代物だ。

だが、庄司の足元の影は、真昼の太陽に濃く落とされているだけで、ピクリとも動かない。

 

「チッ、これも違うのかよ! クソが!」

 

徐々にキレ気味になっていく庄司。

いくら「試行錯誤」と言っても、目の前の敵は容赦のない殺人兵器だ。庄司がそんなアニメの真似事をして頭を悩ませている間も、レガシーは一瞬の慈悲すら与えはしない。

チャキィン、と冷徹な駆動音と共に、鉛色の特大弾丸が、今度は完全に庄司の裏をかく軌道で放たれた。

 

「ーーしまっ……!」

 

検証に意識を割かれ、完全に行動が後手に回った。

一瞬の隙を突かれた庄司の視界に、迫り来る死線が映る。次の瞬間、肉体をすり潰すような鈍い衝撃と共に、彼の右腕が鉛の弾丸によって無惨に貫通された。

 

「っ……があぁぁぁっ……痛ぇえええ!!」

 

肉を裂かれ、骨を削る耐えがたい激痛。頭が真っ白になり、庄司の強靭な体勢が大きく崩れる。レガシーはその致命的な千載一遇の好機を見逃さない。

 

トドメを刺すべく、巨大な砲台がギチギチと音を立てて、地面に膝をつく庄司の「頭部」へと正確に狙いを定めた。

コアが勝利を確信したように真っ赤に激しく発光する。

 

ーーズカァァァァン!!

 

鼓膜を破る発射音が響き渡り、視界が爆炎で赤く染まる。激痛の中で、庄司は本能的に悟った。あぁ、クソ、もう終わりか――。

その、絶望の瞬間だった。

 

庄司の右腕が何かに引かれるように強烈に引っ張られたのだ。頭部へと迫る銃弾は頰を掠め、間一髪のところでレガシーの銃弾を避けたのだ。

 

「グハッ!」

 

さっき戦った位置から大幅に離れた庄司は、右腕の引力で木に打ちつけられていた。

今、彼のいる位置はレガシーの射程範囲外で、右腕が導いてくれたのだ。右腕に血を流しながらも立ち上がって戦おうとする彼を止めるかのように右腕全体から青い炎とは違う「ドス黒い」呪力が溢れ出ていた。

 

「お、おい。なんだーー」

庄司が戸惑う暇もなくプツンと意識を失い、地面に倒れた。

 

 

 

「……つ、……ッ、何なんだよ、一体」

 

クラクラと激しく揺れる頭を必死に押さえ、庄司はのろのろと立ち上がった。

しかし、そこで彼の目に飛び込んできたのは、さっきまでいた真昼の瑞々しい森の中ではなかった。

 

「お、おいおい……どこだ、ここ」

 

思わず呆然とした声が漏れる。

そこは、光を拒絶したかのような真っ黒な空と、牙のように聳え立つ岩群が支配する世界。地面の至る所からは、赤や青といった、まさに地獄の業火を思わせる禍々しい炎がゆらゆらと立ち上っている。

ただそこに佇んでいるだけで、庄司ほどの男でさえ立つのがやっとのほど、圧倒的で濃密な呪力量が空間を支配していた。

 

ここは――彼自身の内面にある、精神世界(領域)だった。

 

庄司は怪訝に眉をひそめながらも、とりあえず前へと歩き出した。地面に一歩、足を踏み入れるたびに、ベチャベチャと底なしの沼に足を踏み入れているかのような、酷く気持ちの悪い感触が靴の底から伝わってくる。

 

奥へ進めば進むほど、周囲の炎はより激しく、より熱く燃え上がり、まるで招かれざる客である彼を拒絶し、威嚇しているかのようだった。

 

しかし、庄司にはこの光景に、確かな心当たりがあった。

 

十分ほど歩を進めても景色に変化はなかったが、突如、彼の目の前に青と黒の光が混ざり合い、怪しく揺らめく「何か」が姿を現した。

人魂のようでありながら、それとは比較にならない不気味な存在感を放つエネルギーの塊。

それは確かに、そこに存在していた。

 

《……貴様、鉛玉如きにその身を貫かれるなど、断じて許せぬ》

 

地響きのように重く、脳の芯を直接震わせるほどの悍ましい声。この領域の主からの言葉だった。

普通の人間なら聴いただけで失神しかねないほどのプレッシャーだったが、庄司は怯えるどころか、むしろ旧知の友にでも会ったかのように、心底めんどくさそうな顔をしてその主を睨みつけた。

 

「やっぱりお前か……。俺の呪力の原因は」

《貴様の右腕は我の領域……。地へ伏し、腹を割って我が呪いに詫びるがいい》

「嫌だね、あの時、たかが触っただけで俺を呪うなんてさ……短気にも程があるでしょ」

《……相変わらず不遜な男め。貴様は呪いの真の恐ろしさを、何も理解していな――》

 

「はいはい、そういう悪役の決め台詞は結構。そんなことよりさ、ちょっと助けてくれよ……呪力を持てたのは良いんだけどさ、肝心の術式については何も分かってないんだよ。……お前、呪力とか持ってるくらいだし、どうせ『呪術廻戦』と同じ風に持ってるんだろ? 術式」

 

《コケにするのも大概にしろ! たとえ持っていたとしても、貴様のような器に教える義理などない。このまま、現実の世界で何も抵抗できずに撃たれて死んでしまえばいいのだ》

 

「うわぁ……。そんなこと言って、本当は持ってないんだろ〜?持ってないのに、自分の数百年の尊厳を守るために虚勢張ってるだけの、中身の薄っぺらい呪いだったんだな。へぇ……がっかりだわ、こんな弱っちい奴と今まで一緒にいたなんてさ、俺の筋肉も呆れてるよ。所詮はただのナルシスーー」

《いい加減にしろ!! 我が持っていないわけがないだろうがッ!!》

 

刹那、精神世界に激しい稲妻が轟き、周囲の岩群がガラガラと音を立てて崩れ落ちた。明らかに怒り狂っているが、同時に庄司の単純な煽りにまんまと引っかかり、どうしようもなく取り乱してもいる。

 

《貴様に魅せてやろう……! 数百年の時を経て練り上げられた、我が呪いの賜物を!》

 

青黒く揺らめく光の塊が、プライドを誇示するようにそう吠えた瞬間、その輝きが目を眩むほどに強くなった。

光の奔流が収まったかと思った次の瞬間、そのエネルギーは濁流となって庄司の右腕へと一気に吸い込まれていく。

すべての呪力が右腕に収束したとき、現実世界で砲弾を受けて抉れていたはずの凄惨な傷口が、細胞を再生させるようにみるみるうちに修復されていった。

 

(……こいつ、見た目に反してやっぱりチョロいんだよな)

そんな呪いの様子を見て、庄司は心の中で「はぁ……」と密かにため息を吐いた。

 

《我が術式は――ッ!!》

 

その名が紡がれようとした瞬間、ズキリ、と頭を鈍器で強打されたかのような激しい痛みが庄司を襲った。凄まじい情報の逆流に意識が猛烈に朦朧とする。

 

これ以上の抵抗は不可能だった。

 

庄司はベチャリと不快な音を立てて地面に倒れ込み、そのまま再び意識を失っていく。視界が完全にブラックアウトするその直前、彼の脳裏に、世界の終わりを告げるかのように響き渡った最後の声。

それはーー。

 

《ーー遍在の器!!!》




最後まで読んでくださりありがとうございました!まさかの庄司の右腕に精神世界があったとは……!そして明かされた『遍在の器』とは一体何の術式なのか……!
次回が楽しみですね!
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