世界のシステムを書き換える最強能力「管理者権限」を手に入れたので、日常をハッキングして無双します!   作:Laggliches

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どうも、こんにちは「Lagglitches」です!今回は十話の後半ですね、ありがとうございます!
前回は鳥型レガシーとの戦闘の途中で終わりましたね。最後に春輝くんがママチャリに乗りながら登場!?チームが揃って戦闘が始まります!
一体、どんなお泊まり会になってしまうのか……。


第十話 後半 一泊二日のドタバタ劇!

「春輝……!? お前、なんでここにいるんだよ!?」

 

驚愕して目を丸くする庄司の前で、灰原春輝はパチパチと左腕の手甲から白銀の電火を散らしながら、きょとんとした顔で首を傾げた。

 

「えっ……? だって、みんながいなくてどうしても寂しくなっちゃって。庄司さんのお母さんが『夜の山は危ないから大人しくしてなさい!』って唐揚げを持たせて引き止めてくれたんですけど……それを振り切って、ママチャリでここまで爆走してきました」

「ママチャリで山道を爆走!? お前、どんな脚力してんだよ!」

「庄司さんの『唐揚げの気合いエネルギー』を太ももに集中させたら、時速60キロくらい出ました!」

「お前、俺のデタラメな理論を完璧に実用化すんじゃねぇよ!」

 

敵のレーザーを間一髪で弾き飛ばした天才少年の、あまりにもピュアで脳筋な合流理由に、蓮は「はは……類は友を呼ぶって、こういうことか…」

と額を押さえて乾いた笑いを漏らした。

しかし、鳥型レガシーたちは、彼らの感動の再会(?)を待ってはくれない。

駆動音を甲高く響かせ、完全に包囲陣形を整えた3機が、一斉に銃口をこちらへと向けた。

 

「春輝くん、よく来てくれたわ! でも、お喋りはここまでよ、来るわ!」

一ノ瀬結衣の鋭い声が響く。

 

「よし、それじゃあママチャリのガソリン(唐揚げ)が残ってるうちに、さっさと片付けちまおうぜ! 2スロ消費ーー!」

庄司が両手の親指を交差させ、影で鳥の形を作る。先ほど精神世界で呪いの主から仕様を叩き込まれた、全く新しい再現術式。

 

「『十種影法術』……『鵺』ッ!!」

 

庄司が叫んだ瞬間、彼の放ったドス黒い呪力が巨大な怪鳥の影へと変態し、激しい雷鳴を轟かせながら天空へと舞い上がった。

 

《ギガガガッ!?》

レガシーの1機が、上空から襲いかかった『鵺』の鋭い爪と電撃に捕らえられ、装甲を激しく焼き焦がしながら地面へと叩きつけられて大爆発を起こす。

見事な1機撃墜だ。

 

「すごい……! 庄司さん、本当に術式を……!」

春輝が目を輝かせる。

だが、間髪入れずに左側のもう1機が、蓮を狙って超高電圧のレーザーをチャージし始めた。

 

「九条くん、動かないで! 私が処理するわ!」

「え?」

 

一ノ瀬が一歩前に踏み出し、その美しい『観察眼』の瞳を限界まで見開いた。彼女の瞳の奥で、デジタル幾何学のコードが神々しいまでの輝きを放つ。

 

「……私の瞳は世界を見通す。だったら、私の視界にあるすべての情報を、あいつのシステムに直接同期させてあげる!」

 

彼女が新しく編み出した応用技。

それは、世界の情報が『視えすぎてしまう』という自身の呪いを、逆に対象へ送り込む精神攻撃だった。

数式、熱量、空気の流れ、膨大なデジタルノイズの奔流が、一ノ瀬の視線を介してレガシーの演算回路へ強制的に埋め込まれていく。

 

《エラー……制御不能。情報量、許容量を超過……シャット、ダ、ダウン……》

 

処理しきれない情報の濁流を脳内に叩き込まれたレガシーは、一歩も動けないまま内部の基盤をバチバチとショートさせ、そのまま沈黙して火花を散らした。

 

「一ノ瀬さんも大金星ですね!よし、最後の一機は僕がーー」

 

春輝が左腕を突き出し、限界まで電磁エネルギーを収束させる。

「いっけぇぇえ! 『白銀閃雷(プラチナ・フラッシュ)』!!」

 

閃光弾の十倍の威力を誇る、白銀のレーザーが一閃。

しかし、最後の一機は流石に戦闘特化型というべきか、驚異的な機動性でその直撃をヒラリと躱してみせた。

レーザーは空を切り、そのまま背後にいた蓮の方向へと猛スピードで飛んでいく。

 

「危ない、蓮さん!避けてぇぇ!!」

 

春輝が悲鳴のような声を上げるが、蓮は避けるどころか、突っ伏したまま不敵な笑みを浮かべた。

 

「……避けるなんて非効率だよ。案内人、適応だ!」

 

ガシィィン!!!

と、夜の山に金属音が響く。なんと蓮は、右腕から生やした無機質なアームで、春輝が放って躱されたはずの「レーザーの塊」を空間ごと直接ガシッと素手で掴み取ったのだ。

 

「ーーお返しだ。僕のアイスの時間を邪魔した罪は重いよ」

 

蓮が掴んだレーザーをそのまま最後の一機に向けて力任せにぶん投げると、エネルギーの塊は空間の歪みに乗って加速し、回避運動を取る暇もなくレガシーのコアへ直撃した。

 

ーーズドォォォオオン!!!

 

凄まじい爆風が巻き起こるが、蓮の空間歪曲のおかげで、その音も光も外の宿泊施設へ漏れることはない。

3機のレガシーは、塵一つ残さず完全に消滅した。

 

「ふぅ……よし、計算通り……では無いか。これで明日の自由時間のアイスは守られたな」

 

蓮が何事もなかったかのようにジャージの砂を払う。

「本当にみんな、中学生とは思えないデタラメな強さね……」

 

一ノ瀬が呆れ半分、感心半分でため息を吐いた。

 

「へへ、みんなで勝てて良かったです!」

嬉しそうに微笑む春輝の頭を、庄司が「よくやった、ブラザー!」と乱暴に撫で回す。

 

 

 

夜の山での激闘を終え、隠蔽魔術を使いながら無事にそれぞれの部屋へと帰還した4人。

「早く、この中に入れ!見つかったらヤバいんだぞ!」

「お、押さないでください……。」

 

しかし、春輝をクローゼットに隠す直前ーー、

 

「おい庄司ー! トランプのメンツ足りねぇから混ぜろよ!」

 

廊下からクラスの男子数人が突然ドアを開けて灘れ込んできた。

「うおっ!? 待て待て、突撃すんな!」

 

庄司が慌てて春輝を背中で隠そうとするが、時すでに遅し。男子たちはベッドの上にちょこんと座る、見慣れない美少年の姿に釘付けになった。

 

「え……? 誰、この可愛い子。庄司の妹……にしては似てねぇな」

「あ、あの、僕は……灰原春輝っていいます……」

 

春輝が顔を赤くしてペコリと頭を下げると、男子部屋のボルテージは一瞬で最高潮に達した。

「おいおいマジかよ! めっちゃ可愛いじゃん!」

「おやつ食う? ラムネあるぞ!」

 

と、男子たちが一斉に春輝の周りに群がり、質問攻めが始まる。

 

「あの、僕は男の子で……」

 

困惑する春輝に、男子たちは「そんなの関係ねぇ! 可愛いからヨシ!」と大盛り上がり。

横で蓮が「……ほら、早くクローゼットに格納しなよ」と呆れ顔で呟く。

 

「お前ら春輝を甘やかすな! ほら、先生が来るから早くトランプするぞ!」

庄司は強引に男子たちを引き剥がす、最高に賑やかな時間が流れていた。

 

一方その頃、女子部屋。

消灯された薄暗い部屋の中で、布団を丸く並べた女子たちの「恋バナ」が静かに幕を開けていた。

 

「ねえねえ結衣、ぶっちゃけさ、九条くんのことどう思ってるの?」

 

クラスの女子グループの中心人物が、ニヤニヤしながら一ノ瀬結衣に顔を近づけた。

「え……?九、九条くん……?どうって、ただのズボラで怠惰なクラスメイトよ。何でそんなこと聞くの?」

 

一ノ瀬は枕をギュッと抱きしめながら、必死に声を平然と保とうとする。しかし、彼女の『観察眼』は、自分の心拍数が通常の1.4倍に跳ね上がり、顔の表面温度が急上昇している(つまり、真っ赤になっている)事実を冷徹にカウントしていた。

 

「だってさー、今日のカレー作りの時も、結衣がエプロン外した瞬間に九条くん、じっと見てたじゃん!」

「そうそう、普段ずっと寝てるのに、結衣の時だけ目開いてるよねー!」

 

女子たちの鋭い観察眼(恋バナ仕様)の前に、流石の『神の瞳』を持つ一ノ瀬さんも完全に防戦一方だった。

「ち、違うわよ。あの人はただ、人参の切り方が精密すぎて引いていただけよ……!」

 

顔から火が出るほど赤くなり、枕をポカポカと叩きながら必死に言い訳する一ノ瀬さん。

 

しかし、脳内では案内人の通信ログが繋がったままで、男子部屋の蓮がそのやり取りを全部聞いてしまっていた。

 

(一ノ瀬さん、頼むから僕の名前を連呼しないでくれ……あと、案内人は早く解除してくれ……!)

 

蓮が耳まで赤くして布団に潜り込んでいることなど、女子たちは知る由もなかった。

 

翌朝

 

鳥のさえずりが心地よく響く山道は、昨日激闘が繰り広げられたことなど嘘のように静けさと平穏に満ちていた。

見上げるほどにブナやミズナラの巨木が幾重にも重なり、その隙間から差し込む木漏れ日が、地面の苔を鮮やかに照らし出していた。

一歩踏み出すたびに、湿った土と葉っぱの匂いが鼻腔をくすぐり、肺の奥まで冷涼な空気が満たされていく。

 

「おい、遅れるなよお前ら! この大自然のマイナスイオンとパワーを、全身の筋肉に直接感じさせるんだ!」

 

先頭を歩く桐乃庄司は、いつも通りの眩しいジャージ姿で周囲の男子たちを引き連れ、すっかりクラスの頼れるリーダーとして馴染んでいた。彼が一歩踏みしめるたびに、鍛え上げられた大腿筋が力強く動いている。

 

その少し後ろを、完璧な委員長モードに戻った一ノ瀬結衣が、クラスの女子たちと楽しげに喋りながら歩いていた。

涼しげな白いブラウスの裾を山の微風に揺らしながら、彼女の『観察眼』は、周囲の景色をただ楽しむだけでなく、木々の合間を流れる風のベクトルや、野生生物の微弱な熱量を無意識にコード化して捉えている。

 

(……でも、この騒がしい声を聞いている時だけは、その膨大な情報が不思議と心地よく感じるのよね)

 

一ノ瀬はそう思いながら、チラリと後ろを振り返った。

蓮の姿が視界に入るたび、昨夜の女子部屋での恋バナを思い出してしまい、ほんのりと頬を桜色に染めて慌てて視線を前へと戻す。

あるいは、蓮の『機械魔法』によって、一般生徒たちの空間認識を巧みにバグらせることで、ちゃっかりハイキングの列の真ん中に紛れ込んでいる春輝もいた。

 

「わぁ……見てください、蓮さん!あの葉っぱの裏に、すごく綺麗な青い虫がいます!本当にみんなと一緒にお散歩できるなんて、夢みたいです……!」

木漏れ日を浴びて、壊れた回路ではない「本物の生命」の美しさに目を輝かせる仲間。

その純粋な横顔に、庄司も蓮も、心の中で「連れてきて本当に良かったな」と優しい笑みを浮かべていた。

でも、当の蓮はというと、列の最後尾をのんびりと歩いていた。

 

「……はぁ、そもそも、山登りなんて非効率の極みだよ。案内人、僕の周囲の重力定数をあと5%軽減して、ついでに靴の裏の摩擦係数を最適化して。一歩の労力を半分にしたい」

 

【了解ーー九条蓮専用の省エネ歩行アシストを起動します】

 

脳内の案内人の無機質な声に守られながら、蓮は相変わらずズボラに能力を無駄遣いしていた。

けれど、目の前を行く庄司の大きな背中、一ノ瀬の揺れる黒髪、そして春輝の弾むような足取りを見つめる蓮の瞳には、どんな最高級のアイスを食べる時よりも、穏やかで温かい光が宿っていた。

 

 

 

全ての行事を終え、夕暮れの街へとひた走る帰りのバスの車内。

行きのあの狂乱が嘘のように、歩き疲れた生徒たちは心地よい疲労感の中で眠りについていた。窓際の席で、九条蓮はすっかり意識を失い、静かに寝息を立てていた。

 

昨日からの空間ハッキングの連続と、案内人との脳内演算で、彼の脳は完全にオーバーヒート気味の急速充電モードに入っていた。

 

そんな蓮のすぐ隣の席。

そこには、クラスメイトの大人しい少女、佐藤朱音が座っていた。彼女は普段、クラスの一軍である一ノ瀬結衣のように目立つこともなければ、庄司のように大騒ぎすることもない、ただの物静かな「モブ」の一人だ。

朱音は、自分の肩にコテン、と重るように落ちてきた蓮の黒髪を見つめ、そっと息を詰めた。

カーテンの隙間から差し込むオレンジ色の夕陽が、蓮の寝顔を優しく照らしている。

普段はいつもだるそうに寝ていて、何を考えているか分からない年相応の尖った男の子。

けれど、時折見せるその冷徹で、どこか全てを見透かしたような横顔に、朱音は随分前から胸の奥を焦がされていた。

 

(……お疲れ様、九条くん)

 

朱音は、蓮を起こさないように細心の注意を払いながら、自身の肩の位置をほんの少しだけ優しく調整した。

 

彼がもっと心地よく眠れるように。

 

窓の外では、夕焼けに染まる景色が高速で後ろへと流れ去っていく。

世界を揺るがす強大な力を持ちながら、ただ日常の平穏とアイスのために戦う少年。そんな彼の過酷な秘密を知る由もない少女の、どこまでも純粋で、愛おしそうな視線に包まれながらーー。

九条蓮の、非日常に彩られた騒がしい林間学校の幕は、静かに下りるのだった。




最後まで読んでくださりありがとうございました!
たった二日なのに情報量が多すぎでしたね!やっぱり、お泊まり会といえば恋バナなんでしょうか……、そして最後に蓮くんを狙う子『佐藤朱音』ちゃんの登場!次回にこの子はどうなるのか…次回もお楽しみにお願いします!
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