世界のシステムを書き換える最強能力「管理者権限」を手に入れたので、日常をハッキングして無双します!   作:Laggliches

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二日ぶりの更新です!もし読んでくれてる人がいたらお待たせしました!
第二話は九条蓮の怠惰な日常とプラスしてヒロインの登場……!?稚拙ながら頑張って書いていますので、是非読んでみてください。
余談ですが、高校生活が始まって本当に勉強量が多いです!…でも進学校とかと比べると天と地の差だと思うので、連立不等式に苦しみながら今日も小説を書いています……。
あと、化学基礎に出てきた「リービッヒ冷却器」という言葉カッコよくないですか?共感してくれる人いるかな…。



第二話 それを観察するもの

「……んん~〜っ!もう朝か……」

 

昨日の激しい戦闘からは考えられないほど平穏な朝が蓮を包む。しかし全てが普通ではなかった。彼の目には幾何学的な模様があった。

 

「もう後五分……いや四分三十秒眠ることができるな」

 

そう言って再び蓮は布団を被ったーーその時だった。

 

【ーーおはようございます、九条蓮さん】

 

突如、脳内に響く、無機質な声でびっくりして飛び起きた蓮。

その声の主は自販機や機械魔法を手に入れた時から聴こえている「案内人」か何かだった。

「せっかく再充電するところだったのに」

と蓮は不満げに告げたが、案内人には到底聞こえなかった。

 

【体温、三十五度五分……体温の低下傾向を感知自動修正をします】

 

案内人は蓮の体温を測り健康チェックをした。

(僕ってこんな体温、低かったっけ?あと、自動修正って何?)

 

「え、自動修正って……うわっ!?」

 

そう疑問に思った瞬間、自分の身体が一気にあったかくなる感じがあった。蓮の身体の内側から、まるで見えないカイロを貼られたような熱がじわりと広がるのを感じ、血管の一本一本にナノマシンがエネルギーを送り込んでいるかのような、不思議な感覚。

冷え切っていた手足が、瞬く間に理想的な体温へと引き上げられていく。

 

(…なるほど、体温を上げるための「自動修正」っていうことか)

 

背伸びをしながら蓮は考えた。

それと同時に今日もまだ学校だったことに気づく。いつもの蓮だったらここから焦って学校の準備をするが、結局間に合わないまま朝食を抜いて登校をする、そんな予定だが今はもう違う。

 

「せっかく、便利な魔法を手に入れたんだ…使わないとね…」

 

蓮は布団から一歩も出ることなく、重たい左手をスッと宙に掲げた。

 

「ターゲット、制服。座標定義……固定。引き寄せ」

 

空間がわずかに波打ち、ハンガーに掛かっていた学ランが、まるで見えない糸に引かれるように蓮の元へ滑り込んできた。続いて、右手から微細な光の粒子を放出する。

 

「全自動着替えシステム、起動……あとは頼んだ」

 

布団の中で機械アームがガシャガシャと蠢き、蓮は指先一つ動かさ

ぬまま、寝癖だらけの状態で制服の着用を完了させた。

キッチンからは、案内人がハッキングして操作したトースターが、パンの焼ける香ばしい匂いを漂わせてくる。

 

【トースター等、キッチン家電の権限を一時的に掌握しました】

 

「お、おう。報告ご苦労さん。あ、ジャムは多めで頼むよ…案内人」

 

【了解しました。糖分摂取量、脳の演算負荷を考慮し15%増量します】

 

リビングへ移動した達は、トーストを口に咥えながら空間を「固定」してスマホを宙に浮かせた。両手を使わずにニュースをチェックする。

 

「ふふ……これこそ、科学と魔術が到達した究極の怠惰。この力を知ったら、全人類がニートを目指すに違いないな」

 

僕は満足げに笑みを浮かべてジャムがたっぷりと塗られたパンを頼張った。

 

トーストを飲み込み、最低限の身支度を整えた蓮は、玄関を出たところで待ち構えていた庄司と合流した。

 

「……お前、なんか今日、顔色良くねーか?昨日の今日で、もっとこう、クマとか作って絶望してるかと思ったんだけどよ」

庄司がジロジロと蓮の顔を覗き込む。

 

「失礼な。案内人(仮称)による最適体温管理と、ナノマシンによる細胞活性化の賜物だよ。ぶっちゃけ、人生で一番目覚めがいい」

「案内人…?ああ、あの頭の中に響くっていう、可愛げのないお姉様のことか」

「いや……お姉様かは分からないけど……」

 

二人は並んで通学路を歩き出す。昨日の激戦の舞台となった商店街を通るが、そこには「レガシー」の残骸はおろか、蓮が召喚した浮遊砲台の破片一つ落ちていなかった。

「そういやさ、蓮。昨日のお前が浮かせてた……あの、ファンネルみたいなやつ。百八機だっけ?あれはどこ行ったんだよ。家の中に隠してんのか?」

庄司が周囲を警戒するようにキョロキョロと見回す。

 

「ああ、あれなら一定時間経つと消滅するんだよね。というか、実体を持たせたまま維持するのは演算リソースの無駄、言わば非効率だからね。僕のイメージが途切れるか、設定した持続時間を過ぎれば自動的に粒子分解されて大気中に還元される。エコロジーだろ?」

 

「エコロジーの問題じゃねぇよ。あんなもんが学校の駐輪場にでも浮いてたら、今頃自衛隊が来てるっつーの」

「安心しろよ、庄司。僕は平和主義者なんだ。目立つのも、面倒ごとも、計算外のトラブルも大嫌いだ。今日からは、ただの『ちょっと数学が得意で、おちゃらけたイケメン学生』として静かに暮らすつもりだよ」

「自分でイケメンとか言うな……まあ、お前が大人しくしてるなら、俺も昨日のことは夢だったってことにしといてやるよ」

 

だが、蓮の「平和な日常」への誓いは、学校に着いてから一時間も経たないうちに、自らの「怠惰」によって脆くも崩れ去ることになる。

 

 

 

二時間目、国語の授業

 

黒板には夏目漱石の「こころ」の一節が書かれている。

蓮にとって、人の感情を読み解くような文学の時間は、数式のように明確な答えが出ない「最も苦手な演算」の一つだった。

 

(あー……眠い。………案内人、起きてるか?)

 

【ーー常にバックグラウンドで待機しています。九条蓮さん、現在、居眠りは推奨されておりません】

 

(寝るんじゃない。このノートの板書、自動でやっておいてくれないか?あと、先生の視線が僕に向く確率を常に計算して、当てられそうになったら振動で教えてくれ)

 

【了解しました。ペンにナノマシンを注入中完了。簡易的な自律駆動(オート・ライティング)モードを開始】

 

蓮が机に突っ伏したまま、右手で持ったペンがまるで生き物のようにスラスラとノートの上を走り始めた。

本人は目を閉じているが、ペン先はーミリの狂いもなく、黒板の文字を完璧に模写していく。

さらに、左手は机の下でこっそりと空間を固定し、スマホを空中に浮かせていた。指を動かさずとも、脳内の演算だけで画面をスクロールさせ、新作アイスのレビュー記事をチェックする。

 

「ふふ…これぞ機械魔法の真骨頂……。誰にもバレずに、効率的にサボる。完璧だ……」

 

だが、その「完璧」は、教室の対角線上の席から彼を凝視する、一人の少女の視線によって破られていた。

クラスの委員長であり、常に冷静沈着、隙のない才女として知られる一ノ瀬結衣(いちのせゆい)。

彼女は、蓮の手元で勝手に動くべンと、不自然に宙に浮くスマホ、そして蓮の周囲にだけ漂う「デジタル的なノイズ」を瞳で捉えていた。

 

その瞳からは蓮と同じような幾何学的な模様が浮かんでいた。

 

 

 

放課後

 

「じゃあな蓮、俺は先行くわ。変な重機出すなよ!」

「大丈夫だって、僕をなんだと思ってるんだよ」

「……ズボラでだらしない天才」

「……天才は認めるんだ…」

 

庄司が去った後、蓮がカバンを肩にかけようとした瞬間だった。

 

「九条くん。少し、お話があるんだけど」

 

背後からかけられた声に、蓮の肩がビクッと跳ねる。

振り返ると、そこには可愛らしく腕を組んだ一ノ瀬結衣が立っていた。しかし、彼女の瞳はいつも以上に鋭く、まるで蓮の内側まで透かして見ているかのようだった。

 

「あ、一ノ瀬さん。どうしたの?忘れ物、それとも僕への愛の告白かな?」

いつものおちゃらけた調子で返すが、一ノ瀬は眉一つ動かさない。

 

「二時間目の現代国語。あなたのペン、あなたの意思とは無関係に動いていたわね。それから、机の下に浮かんでいたスマートフォン……あれ、物理法則に反しているわ」

 

蓮の笑顔が、カチリと固まる

(案内人……。一ノ瀬さんの視線、計算に入れてたか?)

 

【申し訳ありません。一ノ瀬結衣さんの視線は『物理的な観測』を超えた精度を持っていたため、検知に支障が発生していました】

 

「そして九条くんの頭から聴こえる声はなんなの?」

「なんのことかな?言っている意味がさっぱりわからないよ.....スマホも、ほら、最新の超薄型ケースが磁石で……」

「嘘は無意味よ。私の目には、世界が「視え」すぎているの」

 

一ノ瀬は一歩、蓮に歩み寄った。

 

「私にも、数日前から異変が起きていた。……『観察眼(オブザーバー)』人の体温、心拍数、空気の流れ、そして……あなたの周りにある、あの幾何学的な「バグ』のような光。それらがすべて、情報の奔流として視えてしまう……正直、狂いそうだった」

 

彼女の瞳が、わずかに震えている。蓮はその眼差しに、昨日自分が感じたパニックと同じ色を見た。

 

「九条くん。あなたは私と同じ……『覚醒者』でしょう?そして、その力を使いこなしている」

 

蓮は観念したように溜息をつき、頭を掻いた。

 

「参ったな。隠し通すつもりだったんだけど。一ノ瀬さんも、そっち側の人だったわけだ」

「……そっち側の人間、ね。そういうことになるかもね」

 

一ノ瀬さんは自分にしか聞こえないような小さな声で言った。

もう彼女に能力がバレてしまった以上、何をされるかわからない。この場で始末されるか、新たな「レガシー」を呼ばれるか、はたまた別の……。

少しだけ脳の演算負荷が大きくなる。ーー非効率だ。いっそのこと諦めて言ったほうがいい。

 

「……そうだよ。僕も能力持ちだ」「そう……だ、だから」

 

「僕を殺したいんだろ?さっさと殺せよ」

 

僕は両手を上げ、彼女に敵意がないことを知らせる。

(俺の非日常もここまでか…)何か辞世の一句を述べようとした瞬間。

「へ!?」と気の抜けた声が聴こえた。

一ノ瀬さんは不意を突かれたように目を大きく開いていた。

 

「......なんでそんな反応をするんだい?僕を殺したいんじゃないのか?」

「ぜ、全然違うよ!むしろ助けてほしいんだけど……!」

 

気づけば、一ノ瀬さんは僕の服の袖を掴んでいたーー近え。

目と最の先に彼女がいる。女性の花のような独特の香りが僕の脳を軽く狂わせていった。しかしすぐ、冷静になった。

 

「お願い、九条くん。この力の使い方を教えて。……いえ、それだけじゃなくて、あなたのその「機械」の力、私の「観察眼』と組み合わせれば。さらに効率を上げられるはずよ。私はあなたの演算を補佐し、弱点を指摘し、最適な座標を提示できる……あなたの仲間にして」

 

一ノ瀬の真っ直ぐな言葉に、蓮は少しだけ面食らった。

 

「仲間……?僕はただ、怠惰に生きたいだけなんだけど」

「その怠惰を守るために、私が力になるわ。…ダメかしら?」

そう焦ったように言って、一ノ瀬は少しだけ顔を赤らめながら、蓮の目を覗き込んだ。

その瞳には、観察眼としての冷静さと、未知のカへの不安が同居していた。

 

 

 

 

 

「というわけで、なし崩し的に、一ノ瀬さんが仲間に加わりましたー。パチパチパチ」

 

夕暮れのファミリーレストラン。

ドリンクバーのメロンソーダを吸いながら、蓮がやる気なさげに拍手をする。向かいには、腹を空かせた庄司と、背筋をピンと伸ばしてメニューを開く一ノ瀬が座っていた。

 

「…いや、おかしいだろ!なんで一ノ瀬さんがここにいるんだよ!?クラスの一軍だぞ!?蓮みたいなゴミカス不真面目野郎と一緒にいちゃいけない人だろ!」

「色々失礼だな庄司。僕は今や、人類の進化の最先端を行く機械魔法使いなんーー」

「うるせえ!昨日の今日で!なんで仲間が増えてんだよ!少年漫画か!」

 

一ノ瀬は冷静にノートを取り出し、卓上に置いた。

 

「庄司くん、落ち着いて。私も当事者であり、被害者なの。でも、九条くんの力はあまりにも巨大で、かつガサツだわ……私の能力で彼の出力を最適化しないと、そのうち学校ごと消滅させかねない」

「そ、それは確かに……昨日のコーラ水害と民家消滅を見てるとな」

 

庄司がガックリと肩を落とす。蓮はポテトを口に放り込みながら、ふんぞり返った。

 

「さて、一ノ瀬さんも加わったことだし、今後の人類を脅かす謎の兵器『レガシー』への対策会議を始めようか。……僕としては、案内人に任せて全自動で解決してほしいんだけど」

「ダメよ、九条くん。情報の集約が必要だわ。敵の正体、出現場所の法則性、そして私たちの能力のシナジー。これらを徹底的に解析し、次の戦闘では被害を最小限に抑える必要があるわ」

 

一ノ瀬が真剣な表情でペンを走らせる。空気は一気にシリアスになり、蓮も少しだけ居住まいを正した。

 

「敵は「レガシー」と呼称される自律兵器。それを作っている組織が必ずどこかにある。僕らはそれをーー」

 

蓮が格好良く言いかけた、その時だった。

 

「……なぁ、ところでさ」

 

庄司が、神妙な顔で口を開いた。一ノ瀬も蓮も、彼の言葉を待つ。

二人とも庄司が何か重要な意見を話すだろうと思ったのだ。

 

 

「……一ノ瀬さんってさ、その「観察眼」で、俺の今日のパンツの色とかも分かっちゃったりするわけ?」

 

 

静寂が流れた。一ノ瀬のペンが止まり、蓮は飲んでいたメロンソーダを危うく吹き出しそうになった。

 

「…………庄司くん、死にたいの?」

 

一ノ瀬が、氷のような視線を庄司に向ける。

「いや!違うんだ!ほら、なんていうかさ!能力の限界を知っておくのは大事だろ!?ほら、透視ができるのかとか、そういう……実用性的な…!」

「実用性って言葉をそんな下劣なことに使うなよ庄司!」

 

蓮が机を叩いて笑い出した。

 

「九条くんも笑いすぎよ!本当にこのチーム大丈夫なの……?」

呆れ果てる一ノ瀬だったが、その口元はわずかに緩んでいた。

 

一人で能力に悩み、世界が壊れていくような恐怖を感じていた昨日に比べれば、このデコボコな三人の時間は、驚くほど温かかった。

 

「ま、いいじゃん。一ノ瀬さん、このポテト食べてよ。冷めると演算効率下がるからさ」

「冷めてもポテトはポテトよ。でも、いただくわ」

 

夕暮れのファミレスに、三人の笑い声が響く。

世界を記述するコード、空間を操る能力、そしてすべてを見通す瞳。

とてつもない運命の歯車が回り始めたというのに、彼らの中心にあるのは、どこまでも「日常」の延長線上にある、騒がしくも心地よい時間だった。

 

しかし、そんな日常を襲う『影』が迫っていることを、三人はまだ知らなかった。




最後まで読んでくれてありがとうございます!ヒロイン……にしてはちょっと真面目すぎかな、大丈夫か?って読んでて思いました。まあ、でも能力に合う性格はこんな感じなのかな、って馬鹿でかい理想像を抱えて投稿したまでです。
最後にタグのところに呪術要素ありと書いていますが、本格的に出てくるのは次か、七話くらいからかなと考えているので呪術要素を求めている人はすみませんでした。
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