世界のシステムを書き換える最強能力「管理者権限」を手に入れたので、日常をハッキングして無双します!   作:Laggliches

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前回のあらすじぃぃ!!!

リリスの精神干渉に侵食され、日常の記憶を奪われかける蓮。
そこへ庄司が急遽、乱入し『無下限呪術』と『呪言』でリリスに大ダメージを与える!
しかし、呪力切れの隙を突かれ彼女の反撃が炸裂!そのまま気絶してしまう……。そして、親友を傷つけられた蓮の静かな怒りが爆発するーー!



第十三話 後半 認識されない脅威 不可能の断絶 

「庄司ッ……!」

 

重力過負荷(グラビティーバースト)の猛烈な衝撃が、庄司の巨体をコンクリートの壁へと叩きつける。

蓮の叫びも虚しく、庄司は白目を剥き、完全に意識を失ってその場に崩れ落ちた。ピチピチと、彼の右腕から残った呪力の火花が虚しく爆ぜる。

 

「……あ、……ぁ……まだ……っ」

 

リリスが、ギチギチと首の関節を鳴らしながら蓮を振り返る。庄司の『蒼』によって左半身の翼を根元から引きちぎられ、残った方翼も庄司のパワーで使い物にはならない状態だ。

そして『呪言』によって彼女の左腕も無惨に爆破されていた。失血死は時間の問題で、背中から回路が剥き出しになって火花を散らしている。

口元からはオイルではなく、赤黒い、人間と同じ生々しい『血』が滴っていた。

 

ボロボロになり、壊れかけの駆動音に混じるうめき声を響かせながらも、彼女はただ機械的に蓮へと歩みを進める。

 

その瞳に宿る、圧倒的な『空虚』。

 

かつて組織に縛られ、ただの『道具』として扱われていた頃の春輝と同じ、逃れられない絶望の色。

 

システムの命令に従うだけの哀しき人形。

 

そして、その人形の冷酷な一撃によって、自分のすぐ目の前で傷つけられた大切な親友。蓮の中で、限界まで張り詰めていた何かが、音を立てて激しく弾け飛んだ。

 

 

「僕の日常を、ゴミみたいに扱うなよ……」

 

 

その言葉は、静かだが、すべての空気を凍らせるほどに重かった。

蓮の瞳から、完全に光が消え失せる。代わりに、彼の網膜を、そして世界の境界線を侵食するように、禍々しい『漆黒のノイズ』が奔流となって溢れ出した。

感情の演算回路が、怒りによって強制的にハッキングされていく。

 

「……案内人、システム全制約解除……座標、固定」

 

蓮が左手を上げた瞬間、教室中の酸素が消失したかのような、圧倒的な真空状態が生まれた。

左腕に刻まれた漆黒の紋様が、血を吸うように赤黒く発光する。

 

 

『世界を断つ斬撃』

 

 

それは通常、呪術廻戦『両面宿儺』がもつ生得術式の大技。人外魔境新宿決戦の最中にて新たに習得した「解」の拡張術式であった。

「解」の効果対象を『空間そのもの』にまで拡張し

 

『空間ごと対象を切断する究極の斬撃』

 

空間そのものを切断するため防御はいかなる手段をもってしても不可能であり。あの五条悟の無下限呪術の不可侵すら関係なく切断することが可能であった。

 

しかし宿健ほどの技量をもってしても使用には『閻魔天印の掌印』が必要だった。

そのため縛りを課した現在は「閻魔天印の掌印」「呪詞の詠唱」「手掌による術式の指向性の設定」という全ての条件を同時に満たさなければ使用は出来なくなっている。

 

……しかし、蓮の場合は違った。

 

【ーーロック解除……出力最大……。九条蓮、そのまま対象の「存在確率」を縦に両断してください。一撃で、彼女のコアまで消滅させます】

 

脳内に響く案内人の声には、慈悲の欠片もない。ただ、最も効率的な『殺害』を促す機械のロジックだった。

 

「……っ、何をーー」

「……あぁぁぁあぁ!!」

 

蓮の左手が、リリスの喉元に向かって鋭く振り下ろされる。

その軌道は、リリスという存在そのものを『なかったこと』にする死の線。

 

リリスの無機質な瞳に、人として初めての『死』の恐怖が宿る。

 

究極の斬撃が彼女の目の前まで迫り、そのまま空間ごと彼女を両断するーーはずだった。

 

ーーだが、その刃が触れる直前。

蓮は、無理やりその軌道を右へ「ねじ曲げた」。

 

「……殺して、たまるか……ッ!」

 

劈くような凄まじい衝撃音。

リリスを直接斬るはずだった『世界を断つ斬撃』は、彼女の真横を通り抜け、背後の空間ごと校舎の壁、そして遥か先の雲までを一直線に両断した。

衝撃波だけでリリスの身体が吹き飛ぶ。

 

彼女の左半身がノイズと共に崩壊していくが、それは『即死』のダメージではなかった。

 

蓮がこの土壇場で、出力を『切断』から『剥離』へと書き換えたのだ。リリスの体から失血死してもおかしくないほどの鮮血と、真っ黒なノイズが噴き出す。

彼女は致命的なダメージを負い、崩れ落ちた。空間の境界線そのものを切断された傷口は、通常の再生魔法や治療では決して塞がらない。

 

「……はぁ、はぁ、はぁ……ッ!」

 

蓮は痛みに震える左腕を、右手で必死に押さえ込んだ。彼の左手からは、まだ「もっと壊せ」と言わんばかりの漆黒の波動が激しく漏れ出している。

 

【ーー理解不能、蓮さん……。なぜ出力を逸らしたのですか? 確実に消去できたはずです。……再試行を、彼女の再構築が始まる前に、トドメを刺してください】

 

案内人の冷静な要求。

それは蓮を、ただの「効率的な管理者」へと引きずり込もうとする絶対的な引力だった。

 

「……黙れよ、案内人」

 

低く唸るような声で蓮は言う。

その顔は口から、鼻から血が淀みなく出ていた。世界を断つ斬撃を放ったことによる凄絶な反動だ。

しかし蓮は、その血を拭うことすらしず、よろめきながらリリスへと這い寄った。

 

「……効率なんて、知るか……。こいつは、僕を殺そうとしたけど、泣きそうな顔をしたんだ……。泣ける奴は、まだバグじゃない……人間だ」

 

【ーー理解不能です……その慈悲は、あなたの生存確率を30%まで低下させます】

 

「30%も残ってるなら、十分だ……書き換えてやるよ……!『敵を倒すプログラム』なんて、もういらない。……僕が欲しいのは『こいつも一緒にアイスを食える日常』だーー!」

 

蓮は震える右手を、リリスの切断面へと伸ばした。

機械魔法でも、空間魔法でもない。その両方を融合させ、さらに「他者の存在」を再定義する新しい術式。右手で『再構築』、左手で『因果の固定』

 

「……案内人、僕の全魔力をリソースに回せ……。心臓が止まっても構わない!」

 

【…………了解しました】

 

蓮の体から、青と黒の幾何学的なオーラが爆発的に溢れ出す。それは死にゆくリリスを包み込み、彼女の消えゆくデータを、蓮の意志という『核』で強引に繋ぎ止めていく。

 

「ーー新スキル解放。『事象修復(リライト)』」

 

分断された世界が、逆再生のように繋がっていく。爆ぜた左腕が再生し、リリスの傷口がノイズと共に塞がり、彼女の冷え切っていた肌に、蓮の熱い魔力が流れ込む。

 

それは敵を「倒す力」ではなく、壊れた世界を『直す力』

 

「……ようこそ、バグだらけの日常へ……リリス」

 

その瞬間、蓮の視界に流れていた赤い警告文字が、すべて青い『SUCCESS(成功)』へと塗り替えられた。

案内人は沈黙の後、どこか呆れたような、それでいて満足げな声を響かせた。

 

【ーープランCの破棄、および新規プラン「居候の管理」を策定します。……お疲れ様でした、不合理なマスター】

 

数秒後。凄まじい光が収まった時、そこには意識を失いながらも、穏やかな寝息を立てるリリスの姿があった。

彼女の背中にあった無機質な『機械の翼』は消え、代わりに小さな、柔らかな羽が舞い落ちていた。

 

ーー瞬間、蓮の脳内がオーバーヒートを起こし、血反吐を吐いてそのまま力尽きた。

 

 

 

「……きて、九条くん……九条くん!!」

一ノ瀬の声で目が覚めた時、そこには泣きながら顔を埋める一ノ瀬と、心配そうに覗き込む春輝の顔があった。

 

「……その血……大丈夫なんですか!?蓮さん」

 

「血」と聞いて自分の頬をなぞる。すると手のひらに血がべっとりと付いていた。

「……しょうじ、……あいつは」

 

脳が回らない。

あの世界斬の反動がまだ脳に強い影響を与えている。蓮は呆然とした表情で彼の名前を述べ、重たい頭を無理矢理動かして周囲を見渡す。コンクリートの壁が崩れて隣の教室が見えていた。

 

隣の教室を覗き込むと、そこに庄司が気絶していた。

彼の片手からは、なぜかは分からないが、あの戦いの残滓を証明するかのように『刀』が固く握られたままであった。

 

「そうだ、リリス……彼女は」

 

心配する二人を余所に、蓮はすぐ側で眠っている少女の小さな手をそっと握った。

「……案内人。リリスの……リリスの今の状態はどうなっている……」

 

【ーー正常です。むしろ蓮さん、今はあなた自身の状態の方が酷いです】

 

「そうか……。それなら、良かった」

 

【……九条蓮。私の身勝手な判断が招いた結果です。……OSの再起動を要請します……】

 

「……黙れ、それ以上弱音を吐くな。……案内人は悪くない。ただ、今は休憩をしたい……」

 

それだけを言うと、蓮の体の力が完全に抜け、彼は再び深い眠りへと落ちていった。

すっかり暗くなった教室。かつて自分を殺そうとした刺客すらも、強引に『日常』へと引きずり込む。

 

九条蓮の、管理者としての道はーー今、破壊から創造へと、大きく舵を切ったのだった。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
庄司の最強パロディ大無双から、蓮の『世界を断つ斬撃』、そして新スキル『事象修復(リライト)』によるタイトル回収と、二人の個性が生きる怒涛の回でした!
「刺客すらも強引に日常へ引きずり込む」という、大団円を迎えられて、思わずホッとしました。

おっと?
何やら怪しいものが落ちていました。これは………カセットテープ?一体なんの音声についてのテープなのでしょうか……幸いデッキはあるので、再生してみましょうか!

………ポチッ!
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