世界のシステムを書き換える最強能力「管理者権限」を手に入れたので、日常をハッキングして無双します!   作:Laggliches

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*不快に感じる表現があるかもしれません。苦手な方は閲覧をお控えくださいね。




組織内のカセットテープ

(ザザッ……ピー……という激しい磁気雑音)

 

「……聞こえてる? ……ええ、大丈夫そうよ」

「ったく、上はそんなにあいつが気になるんかよ」

「こらこら、目上の人には見られていなくても、礼儀正しくしなさい」

 

(カツン、カツン、と大理石の冷たい床をコツコツと歩く靴音が数分間続く。無機質で重苦しい空気感が、音声越しにも伝わってくる)

 

「被験番号『M-101』、個体名『リリス』……良い名前をつけられやがってよ」

「いくら実験体でも、上のお気に入りだ。……丁重に扱えよ」

「…….分かってますよ、悪口言って減給なんて勘弁っすよ……」

 

「そういえば『M-100』はどうなったんだ?そいつの記録担当が辞めたとか何とか言ってたし」

「『M-100』は奪われて戦闘機能を失ったよ、あいつだよあいつ、『九条蓮』ってやつにさ」

 

「『九条蓮』ねぇ……。ただの中学生のくせに散々私たちの邪魔をしてくるから、正直言ってめんどくさいわ。今だって『レガシー・タイプゼロ』が撃破されたっていう報告書とか費用とかで山積みよ。処理に何時間かかると思っているのよ」

 

「大丈夫、次はそうはいかないさ」

 

(カチッ、と無機質なスイッチを押す音。続いてウィィィンと重厚な隔離ドアがスライドして開く音が響く)

 

「『M-101』……時間だ、起きろ」

 

「あ……っ……ひ……いや……来ないで、お願い……っ!」

 

(被験体が恐怖に狂い、激しく暴れているのか、ガリッ、ガリガリリッ!!と、自身の爪が剥がれ落ちるほどの力で硬い床を必死に掻きむしる、音がスピーカーを震わせる。過呼吸で引き攣った少女の悲鳴が響く)

 

「チッ……邪魔な感情がよ。やっぱり『精神接続』の時に記憶媒体も一緒に一文字残さず削除しておけばよかったよ」

「別にいいんじゃない? どのみち今日で全て削ぎ落とされる予定なんだから。はいはい、お喋りは終わり。拘束具を最大出力でロックしなさい」

 

(ガシャアァン!!!と、肉体を骨ごと締め上げるような、凶悪な金属製拘束具の駆動音がリリスの悲鳴をかき消す)

 

「いやっ、助けて……お母さん……っ!!」

 

「何度も何度も、何が母親だ。お前の母親はとっくに死んでるじゃねぇかよ。めんどくせぇくらいに泣き喚きやがって……。あいつは親として子を守ろうとして無意味な抵抗をしたんだよ。大人は人型レガシーの部品にもならない。まあ、せいぜい『上』の腹を満たすための生体エネルギーとして、生きたまま全ての血液と魔力を吸い尽くされて死んだ……ってところかな?はは!お前は良かったじゃねぇか。『上』から気に入られたし、最新鋭の技術がこれからその五体に投射されるんだ。死体になった母親よりマシだろ?」

 

「あ……い、いやっ、いやあああああああああああ!!!」

 

(バリバリバリバリッ!!!と、肉を焦がす苛烈な電撃音が響き渡る)

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あああッ――!!!(喉が裂けるような悲痛な絶叫)」

「それじゃまだ足りない。早く『精神浸食』の強制起動プラグを脳幹に差し込め!拒絶バグを吐き出させながら、記憶回路を直接ハッキングしろ!早く!!」

 

(ドシュゥゥッ!!!という不気味な肉体貫入音。直後、リリスの脳内に直接悪意あるプログラムが流し込まれる。ピチピチと焼き切れる音と共に、リリスの声帯が物理的に破壊されかけたような、文字にならない掠れた絶叫が響き渡る)

 

「ガ、ア、あ、ガァ、あ、あああああああッッッ!!!!(白目を剥き、全身の筋肉が硬直して激しく痙攣する音)」

 

「おい! 出力を上げすぎるなよ! これ以上被験体の脳セクターに支障が出ると、自律AIとしての改造ができなくなるんだぞ!」

 

「……っ!すまねぇ……つい、泣き顔が不快でムキになって言ってしまった」

「私が脳の全回路を強制シャットダウンさせて気絶させといて良かったわね。……これ以上エラーログを出したら、次は貴方の脳を切り刻むわよ。さあ、冷めないうちに次の実験室へ運ぶわよ」

 

「そろそろ君も休みを取ったらどうだ? 疲れが溜まっていては効率が落ちるだろう」

 

「………そうっすね、そうしようかな」

 

(カチャンと錠前が外れる音がしてドサッと被験体が担架車に置かれる音、そして数分カラカラと運ばれる音が嫌に響いている)

 

「………やっぱりこの被験体、スッゲェ美人だよな。指の爪が全部剥がれて血みどろになってんのに、顔立ちが整ってるから逆に不気味っていうかさ……」

「上もなかなかの趣味してるんだわ、ははは」

 

「『M-100』もなかなか癖に刺さる見た目だったよ。」

「え、先輩は『M-100』の姿、見たんすか?」

 

「もちろん。仕事歴が長い分、上の研究員からの信頼も厚くなるからな。……あいつも最後は九条蓮に脳の戦闘機能を根こそぎ毟り取られて、ただの抜け殻にされたけどな。頼めば、当時の損害アーカイブの画像くらい見せてくれるかもな」

 

「オレも頑張らないとっすね」

 

 

「お前ら、私語は慎めよ。」

 

 

「っ! 小、小林主任でしたか……!ご無沙汰してます。どうしてここに……!?」

 

「お前らがしっかりやっているのか見てこいって頼まれたからな。『M-101』……歴代の人型レガシーを軽く超越する素晴らしい素材だ。……こっちも慎重なものでね。丁寧に扱えよぉ〜?」

 

「も、もちろんですよ………はは」

 

 

「… まあ、良い。どのみち次の最終改造で、この子の『人間の部分』は完全に終わる(着信音が鳴る)……おっと、すまん上からだ。……あ、もしもし、はいはい、小林です。ええ、今『M-101』を第4実験室へ移送しているところです。……ええ、はいはい……はい?分かりました……。脳のデータは、組織の基幹OSに適合する最低限の領域以外、すべて今のうちに強制削除しとけ。母親への未練だとか、人間らしい記憶なんか必要ないからな。心を完全にすり潰して、ただの『殺戮兵器』に書き換えるからさ。……はい、伝えました。え?今から……了解です。(ピッと電話を切る)すまん、急用だ……じゃ」

 

 

 

 

「よし、着いたぞ。ここから先は機密情報だからそれ、切れ」

「はいはい……」

 

『音声はここで途切れている』

 




うわぁ……怖………。
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