世界のシステムを書き換える最強能力「管理者権限」を手に入れたので、日常をハッキングして無双します!   作:Laggliches

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寒いだの疲れただのほざいていた蓮たちはついに『絶対零度廃坑』に到着しました。おどろおどろしい雰囲気に覚悟を改め、ついに内部へ侵入していきます!
蓮たちは無事にメインサーバーをぶっ壊すことができるのか……!まるでゲームのような迷宮を楽しんでください!


第十九話 前半 廃坑の爆散とインフラのクラッシュ

「……へえ、この先にサブ拠点があるみたいだな」

 

蓮はいつになく真剣な、完全な戦闘モードの目つきに切り替わっていた。

 

廃坑の先を見る彼の瞳は、バイナリコードの羅列が滝のような速度で激しくスクロールしている。

空港でジンギスカンをたらふく食べ、体温を引き上げておいて本当に正解だった……そうでなければ、この空間に転送された瞬間、彼は文字通り「凍結」して、まともな思考すら奪われていただろう。

 

「……庄司くん、僕、なんだか体が軽いです」

 

春輝が左腕の駆動部を小刻みに動かしながら、前を見据える。その目は、かつての恐怖に怯える少年のものではなく、戦士としての集中力に満ちていた。

 

「おう、マザーの結界が論理的なら、俺たちのやることは一つだ。徹底的にぶっ叩く……行くぞ!!」

 

庄司が両の拳を激しく打ち合わせると、周囲の雪を一瞬で蒸発させるような、爆発的な熱気が彼の肉体から湧き上がった。

 

《……我の術式を忘れるな、桐乃……》

 

庄司の脳裏に、かつて戦ったあの「最悪の呪い」の冷徹な声が直接響く。

「……忘れてるわけねぇだろ。さっさと行くぞ」

 

ツンデレな呪いの主をその身に宿した最強のフィジカルギフテッドを先頭に、一同は完全に凍りついた『絶対零度廃坑』の入り口へと、ゆっくりと歩みを進めた。

一歩、その暗黒の坑道の中に足を踏み入れた。

 

ーーキィィィン…………

 

鼓膜を突き刺すような駆動音が響き、現代の科学や魔法では説明のつかない、絶対的な拒絶の寒さが彼らの肌を刺した。

「……寒っ」

 

蓮の『機械魔法』の論理演算さえも、伝播速度を物理的にラグさせようとするかのような、マザーの防衛技術。

蓮は周囲に幾何学的なオーラを薄く展開し、暗黒の奥底を見据えてぽつりと言った。

 

「寒いのは本当に嫌いなんだ……さっさと終わらせて、旅館の布団に潜らせろ」

 

ーーゴゴゴゴゴ……!!

 

廃坑の闇の奥から、地鳴りのような重低音が響き渡る。それと同時に、暗闇の中から無数の赤いセンサーライトが点灯し、侵入者である彼らを一斉にロックオンした。

 

「侵入者確認!迎撃プロトコル、フェーズ1を実行!」

 

奥の防備を固めていた防寒服姿の『アーカイヴ』の人たちが、一斉に近未来的なデザインの光線銃を構え、トリガーを引き絞った。

 

シュバババババッ!!

暗闇を切り裂いて放たれたのは、熱線を収束させた眩いレーザー弾幕。だが、その光線が蓮たちに到達する寸前、一ノ瀬結衣の瞳が、神の瞳特有の鮮やかな赤色に染まる。

 

「九条くん! 弾道予測コードを全同期!敵の光線、波長は720ナノメートル、右から3、左から5、軌道をすべて視通したわ!」

「了解。………『ミラー・リフレクト』を展開」

 

蓮が指先を軽く振ると、結衣の『観察眼』が捉えたデータ通りに、空間に透明なシールドが1ミリの狂いもなく形成された。

直撃コースだったはずの光線銃のレーザーが、鏡に跳ね返されるように角度を急激に変え、周囲の岩肌へと激しく着弾して爆散する。

 

「な、なんだと!?光線を曲げただと!?」

「……っ、ひるむな!セキュリティ・システム起動!空間圧力を最大にしろ!」

 

組織の作業員が叫ぶと同時に、廃坑の天井に設置された防衛デバイスが青く発光した。

瞬間、蓮たちの周囲の「重力」と「空気の圧力」が数十倍に跳ね上がり、床の鉄板がメキメキと音を立てて歪み始める。セキュリティによる、物理法則の強制書き換えだ。

 

「くっ、体が重……っ!」

 

蓮ら膝を折りそうになるが、その前に、凄まじい風切り音が空間を割った。

 

「ハッ! 圧力がなんだってんだよ!一スロット消費……『百斂』!!」

 

庄司が凶悪な笑みを浮かべ、強引に一歩を踏み出す。彼の周囲に現れた擬似・鮮血が、重力エネルギーごと彼の手のひらに吸い込まれる。

生得術式『遍在の器』が強制的に自らの肉体へと吸収・再現していく。庄司の右拳に、圧縮された超高圧の血が赤黒い球となって収束した。

 

「………『穿血』!!!」

 

ドンッ!!と目では追いつかないほど瞬足の一閃が作業員に向かって襲いかかった。瞼が閉じるよりも速い穿血は重力を振り切り、光線銃を、防寒具を軌道にある全てを貫いていった。腹を貫かれた一人は、今起こったことが理解できないままポカンとしていた。

 

「『超新星』……!!」

 

庄司は手のひらをギュッと握ると、穿血により散らばった血が突然爆発するように飛び散った。脹相が長い時間をかけて編み出した赤血繰術のオリジナル技。それを再現して見せたのだ。

 

「……僕も、庄司くんに追いつけるよう、打撃の瞬間の一ノ瀬さんの視線並みの鋭さをイメージします!」

「……ちょっと、春輝。それどういう意味かしら!?」

 

結衣がツッコミを入れる暇さえ与えず、庄司と春輝の「非論理兄弟コンビ」が、マザーのセキュリティを真っ向から踏み潰すために爆走した。

 

「おらぁぁあ!!」

間髪入れずに攻撃を続ける庄司の、筋肉による右ストレートが、空間の圧力を強引に突き破り、セキュリティを管理していた大型の制御配電盤へと炸裂した。

ーードンッ!!という衝撃音と共に、火花を散らして配電盤が文字通り粉砕される。

 

「嘘だろ、セキュリティの重力障壁を、ただの拳で殴り壊しただと……っ!?」

 

組織の人間たちが愕然とする中、今度は春輝が左腕を突き出した。

 

「『白銀閃雷(プラチナ・フラッシュ)』!!」

 

ーーバチバチバチィッ!

 

廃坑全体を照らすほどの銀色の電磁光が爆発。春輝から放たれた超高速のレールガン(修復弾応用・低出力モード)が、正確無比に組織の持っていた光線銃の銃口へと吸い込まれ、次々と武器だけを内部からショートさせて爆発させていく。

 

「ひ、ひえええっ! 退避、退避ィッ!」

「バケモノめ、おい、早く起きろ……っ!」

 

武器を壊され、通信も絶たれた組織の作業員たちが、蜘蛛の子を散らすように坑道の奥へと逃げ出していく。

それを見送った庄司は、拳についた煤をふっと息で吹き飛ばし、不敵に笑った。

 

「ハッ、まだまだスロットは残ってる……口ほどにもねえな。さて蓮、ここからが本番だろ?」

「……うん。マザーのサブ拠点っていうからには、入り口の防衛線だけなわけがないよ。案内人、この廃坑の全体マップのレンダリングは終わった?」

 

蓮が頭を掻きながら脳内に問いかけると、間髪入れずに冷徹なナビゲーションが響いた。

 

【ーー報告。廃坑内部はマザーの『次元リソース最適化』により、迷宮化しています。現在地からメインサーバーがある最下層の『コア・セクター』までは、少なくとも3つの採掘エリアを経由する必要があります。不合理極まりないですが、ゲーム感覚で楽しんでみてはどうでしょう、マスター】

 

「ゲーム感覚、ねぇ……。効率的にサボるために、まずは目の前の障害を片付けようか」

 

蓮の言葉を皮切りに、一行はさらに深く、広大な『絶対零度廃坑』の闇へと足を踏み入れた。

進むごとに、廃坑はその全貌を現していく。天井は遥か高く、見上げるほどの巨大な空洞がいくつも繋がっていた。

 

「……リリス、この鉱石は何の鉱石か分かるか?」

「ええ、了解です。………でました。この鉱石は別次元から引っ張り出された、通称「マカライト鉱石」です。……しかし、どの次元から来たのかは不明です。」

「うん……絶対にモンハンだな………せめてユニオン鉱石とかドラグライトとかじゃないのか?」

「……?」

 

他にも、壁面には、他次元から削り出されたという、怪しく七色に発光する『次元鉱石』の結晶がびっしりと埋め込まれている。

その無機質な輝きが、どこか近未来のSFダンジョンのような不気味さを醸し出していた。

 

ゴォォォォン……!

 

遠くから、巨大な機械が駆動する重低音が響いてくる。

「九条くん、止まって!」

 

結衣が鋭い声を上げ、全員を制止した。彼女の『観察眼』が、目の前の空間に張り巡らされた無数の「不可視の赤外線レーザー」を捉えていた。

 

「……このエリア、ただの通路じゃないわ。自動防衛タレットと、床の圧力センサーが連動してる。私たち部外者が一歩でも踏み外したら、一斉に蜂の巣よ」

「なるほど、ステージ1のギミックってことか……リリスさん、あれ、いける?」

 

春輝が尋ねると、リリスは無表情のままコクンと頷いた。

 

「問題ありません。春輝、私の手を握ってください。同期を開始します」

「えっ!? あ、うん……!」

 

突然手を握られ、耳まで真っ赤にする春輝を他所に、リリスの瞳に膨大なデータが走る。二人の精神リンクを偽装アクセスに利用し、リリスは壁の配線に直接魔力を流し込んだ。

 

「[セキュリティー書き換え:システム・フリーズ]……マスター、タレットの視覚センサーを5分間だけ『盲目』にしました。今なら歩き放題です」

「ナイス、リリスと春輝。じゃあ、通りすがりに全部ぶっ壊そうか」

 

蓮が指先をパチンと鳴らすと、その辺の岩や機械が宙を舞いながら合成されて20機ほどの浮遊砲台(H.D.S)がスウッと前方へ進み出た。

無効化されて沈黙している天井の防衛タレットに向け、容赦のないレーザーが収束される。

 

ーーズガガガガガッ!!

狙い撃たれたタレットたちが、次々と火花を散らして床へと落下し、スクラップへと変わっていく。

「よし、通路の安全確保。次はあっちのデカい機械だな!」

 

庄司が指差したのは、採掘された次元鉱石をすり潰すための、家一軒ほどもある巨大な粉砕機だった。

バリバリと火花を散らしながら、マザーのための資源を今も生産し続けている。

 

「おい春輝!あそこのメインシャフトに、お前のレールガンを最大出力で叩き込め!タイミングは俺が作る!」

「はい、庄司くん!」

 

庄司が床に転がっていた鉄骨を強引に引き抜くと、それを槍のように構えて跳躍した。

筋肉の爆発的な力だけで粉砕機の防護カバーを叩き割り、剥き出しになった巨大な歯車の中に鉄骨を力任せに突き立てる!

ガガガガガガギギギギッッ!!

 

凄まじい金属摩擦音と共に、粉砕機の動きが急停止し、過負荷による黒煙が吹き上がった。

 

「やれ、春輝!」

「いけぇぇぇ、最大威力!!」

 

春輝の左腕から放たれた、最大チャージの電磁レールガンが、完全に静止したメインシャフトを正面から撃ち抜いた。

 

ーードゴォォォン!!

 

凄まじい爆発音と共に、巨大な粉砕機が内部から木っ端微塵に弾け飛び、マザーの生産ラインがまた一つ、完全に沈黙する。

 

「ふふん、これでこのエリアの資源調達率は大幅にダウンね」

結衣が髪を整えてながら、満足そうに微笑む。

 

「……はあ、みんな元気だね。僕は歩くだけでエネルギーの無駄遣いだよ」

 

蓮はため息をつきながら、壊れた機械の残骸を踏み越えていく。広大な廃坑のルートを探索し、防衛ギミックを解除し、マザーの資金源である採掘インフラを徹底的に破壊していく一同。

 

その様子は、さながら高難易度のダンジョンを、圧倒的なチート能力で蹂躙していくゲーマーたちのようだった。

 

「マスター、次の大型エリアを検知。あそこには……マザーの『自動運搬列車』のプラットホームがあるようです」

 

リリスの報告に、蓮の口元がわずかに吊り上がった。

 

「運搬列車か。……よし、あれを奪って最下層まで直行しよう。歩くのはもう限界だからね」

「おっしゃぁぁ!!いくでぇぇぇ!!」

 

泥臭い破壊劇は、さらにスケールを増して廃坑の深部へと加速していくーー。




蓮:「……にしても、別次元の鉱石を集めるなら『廃坑』で働く意味とは?」
庄司:「…………確かに」
結衣:「それは、そうよね……どうして?」
リ:「いえ、これにはしっかりとした理由があります。」
蓮:「……教えてくれ」

リ:「確かに、わざわざ廃坑内で別次元の鉱石を引っ張り出すのは非効率と思うかもしれません。しかし、ここは『アーカイヴ』の基地……当然、実験などは秘密裏に行いたいところです。となると『秘匿性』と『広さ』の二つを満たした拠点……ここを選んだわけです。さらに、次元鉱石に関してはマザーは次元を管理しているので、それによりこの廃坑もエネルギーに満たされて構成された鉱石ですね」

春輝:「…………(°▽°)」
蓮:「………まあ、なんとなく分かった」
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