世界のシステムを書き換える最強能力「管理者権限」を手に入れたので、日常をハッキングして無双します!   作:Laggliches

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はい、「Lagglitches」です!今回は七話の後半です、楽しみに待ってた人はお待たせしました!
前半で現れた「バッククラッシャァァ!!」と叫ぶ謎の高校生……とそれを見ている春輝くん。そしてその後、不気味なキューブによって高校生は変身……この高校生は一体何なんだ!?
と、まあ色々ありましたが、引き続きお楽しみください!


第七話:後半 灰原春輝と別次元の迷い者

「ふん……ただの機械が、俺の前でイキってんじゃねぇよ」

 

謎のキューブを心臓へと取り込んでから、彼の雰囲気は完全に豹変していました。

先ほどまでのどこか親しみやすさのあった高校生の面影は消え失せ、冷酷で好戦的な、どこか組織に支配されてた僕の雰囲気のような……狂気がそこにありました。

 

呆然と困惑する僕の視線を一瞥することもなく、彼は背後の鉄翼を羽ばたかせながら、変形したリュックの隙間へと無造作に手を突っ込みました。

そして取り出したのは、掌に収まるペットボトルサイズの、四角い半透明のカプセルでした。

 

ーードガガガガガッ!

 

巨大ロボット『レガシー』も黙って見ていたわけではなかったです。

自動迎撃システムが作動し、狂ったように高出力のレーザーを乱射し続けています。

 

……しかし、どういうわけか、その光条は一発として彼に届きません。

 

軌道が物理法則を無視して歪んでいるのか、あるいは彼が世界の因果そのものを狂わせているのかーー精密機械であるはずのレガシーの照準が、あり得ない挙動でわざと外されているかのように、彼の周囲を虚しく通り抜けていくのです。

不敵な歪んだ笑みを浮かべたまま、彼は手にしたカプセルを、眼下のレガシーめがけて容赦なくぶん投げました。

そして、天を裂くような声で叫んだのです。

 

「摂理、不可抗力、空の引導、零の特異点――『ブラックホール』!!」

 

瞬間、僕の目の前の空間に『無』が出現しました。

それは現実の物理法則では到底説明のつかない、人間の思考の枠組みを遥か彼方に超越した……見たことないけど、宇宙を感じました。

 

光すら逃げ出せないその暗黒の球体は、すべてを虚無に帰す「絶対の零」であり、同時にすべてを飲み込む「無限の大」そのものでした。

 

ガガギギギッ……!

 

レガシーは、激しい金属摩擦の悲鳴をあげる暇さえ、瞬きをする猶予すら与えられず、質量ごとカプセルが作り出した重力の底へと吸い込まれていきました。

あまりの光景に、僕の思考すらもその渦に巻き込まれ、恐怖を感じる余裕すら奪われてしまいます。

 

「ふふん……」敵が消滅した空間を見下ろし、彼は満足げに鼻で笑うと、今度はパチンと傲然に指を鳴らしました。

 

「拡散、破裂、旭光の揺曳、銀河の霧散――『スーパーノヴァ』!!」

 

レガシーが放っていたレーザーの残光も含め、すべてのエネルギーがカプセルに限界まで凝縮された、その時!

 

ドンッ!!!

 

直視すれば一瞬で両目を失明するほどの、閃光弾の何十倍、何百倍もの凄まじい純白の光が自然公園一帯を爆発的に包み込みました。

光の津波の直後、一拍遅れてやってきたのは、大気を文字通りに破裂させる超弩級の衝撃波でした。

 

「グハッ!?」

 

凄まじい爆風に煽られ、僕の身体は木の葉のように数メートル先へと吹き飛ばされました。

どこか既視感(デジャヴ)を覚えるような衝撃と共に、生い茂る大木の幹へと背中から激しく叩きつけられます。

「……っ、あっ、うぅ……ゲホッ、ゲホッ……ゴホッ!」

 

衝撃で肺の空気をすべて搾り取られ、肋骨の奥が焼けるように痛いです。反射的に呼吸がうまくできなくなって、喉の奥からくる苦しさに、口元から涎を垂らしながら激しく咳き込んじゃあました。涙でボヤけた視界の向こうから、背中の鉄翼を静かに収束させた彼が、ゆっくりと舞い降りてきます。

 

「……すまない。見ず知らずの可憐な少女を巻き込んで傷つけてしまったな」

「うっ、あぁ……ちがっ、ゲホッ、ゲホゲホッ……僕は、男……っ」

 

まともに声が出ない僕の枕元に、彼は先ほど回収したカプセルをそっと置き、静かに新たな呪文を唱え始めました。

 

「再生、抱擁、星の夢、深淵の安らぎ……っ、う」

 

途中で、彼の端正な顔が苦痛に歪みました。

 

やはり、彼にとって、この規模の力を連続で行使するのは肉体に多大な負荷がかかるようです。

しかし、彼は奥歯を噛み締め、声をさらに荒げて詠唱を紡ぎ直しました。

 

「…………再誕、休息、星屑の囁き、天の川の架け橋ーー『オーロラ・ヴェール』!!!」

 

激しい咆哮とともに、カプセルが今度は大自然の生命力を具現化したかのような、柔らかく温かい翡翠色の光を放ちました。

宇宙の神秘が目に見える光の帯となって春輝の身体を優しく包み込むと、内部の痛みが嘘のように引き、木に打った傷口がみるみるうちに塞がっていきます。

すべてを包み込む翡翠の光は、まるでお母さんの温もりを感じて、なぜか涙が止まらなかったです。

 

肺の痛みも、全身の強張るような緊張も、温かな光の中に溶けて消えていく。

 

(ああ……すごく、あたたかいや……)

 

視界がゆっくりと、深い、深い夜の底のような闇に塗り潰されていく。

激しい戦闘の音も、自分の呼吸の音すらも遠ざかり、春輝の意識のスイッチは完全に遮断された。開いていた瞼が自重に耐えかねるようにして閉じられ、彼は泥のような深い眠りへと、その身を完全に委ねたのだった。

 

 

 

ーーこうして、一人の少年の意識が完全に途絶えた瞬間、戦場に残されたのは「異分子」だけとなった。

静まり返った公園に、春輝の規則正しい、安らかな寝息だけが小さく響く。

 

その寝顔を見下ろし、高校生の独り言が微かに漏れた。

 

「……どうやらここは、本当に別次元のようだな。俺の持つ力は、この世界のシステムでいう『覚醒者』の枠組みとして処理されているらしい……」

 

高校生は翡翠色のカプセルを手に取ると、プラスチックを折るように、それを真ん中から二つへと叩き割った。

すると不思議なことに、割れた断面から光の粒子が溢れ出し、自己再生を遂げるようにして、全く同じカプセルが二つへと増殖した。

 

「ははは、眠れる少女よ。……いや、少年だったか。これは俺からの土産物だ。俺のような異分子は、これ以上君の紡ぐ『物語』に深く触れてはいけないな。それじゃあ、帰らせてもらうよ」

 

彼は春輝のズボンのポケットに、増殖させたカプセルの一つを無理やり突っ込むと、小さな身体をそっと抱き上げた。

そして、近くの木陰にあるベンチへと優しく横たわらせる。

最後に、彼が自身の世界へと帰還するための、最後の詠唱を紡いだ。

 

「……残像、軌跡、忘却星、片道切符――『さよならの向こう側』」

 

足元から湧き上がった淡く白い光の粒子が、彼の身体を境界線から消し去るように包み込んでいく。

 

完全に姿が消えるその直前、彼は春輝の寝顔を一瞬だけ、愛おしそうに見つめた。

 

そこには、先ほどまでの冷酷で好戦的な戦闘狂の性格は微塵もなく、ただ年相応の、どこまでも優しいお兄さんの笑顔が宿っていた。

 

「さようなら。……縁があれば、また会おう」

 

光が完全に霧散したとき、五月の自然公園には、いつもの穏やかな小鳥のさえずりと、静かな風の音だけが戻っていた。春輝のポケットの中で、未知の温もりを宿したカプセルだけが、静かにその出番を待っている。




最後まで読んでくださりありがとうございます!
いやー、この高校生……強すぎませんか!?まあ、特に何かするわけでもなくそのまま帰っていきましたが……春輝はいいお土産を貰いましたね!
さあ、次は八話で四人の戦いがより見えてくるでしょう!楽しみにしててくださいね。
余談ですが、この七話は「追加コンテンツ其のニ」にする予定だったんです……が、内容量が書いてるうちに多くなってしまい、結局一つの話として完成したわけです。
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