機動戦士ガンダム~一年戦争なき世界線で~   作:ミノフスキーのしっぽ

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 今回の前置き

 ガチで宇宙世紀の物語を最初の段階からリブートするつもりなので、宇宙世紀0065年から始めています。

 え?  

 ラプラス事変?

 なんか将来的にユニコーン2があるらしいので、下手に関わらないようにしています。知らんけど。

 ジークアクスのキャラは別の立場で出すかもしれません。地上編が終わって、宇宙編が始まったら、幼いマチュや若い頃のマチュのお母さんとか。




ジオン共和国の独立と宇宙貴族主義者たちの反応

 独立に伴い地球連邦政府側より突き付けられた代償説明の後、ダイクン元首相は堂々と降壇。議会場より退場していった。

 

 議事堂を離れると、議員用通路の左右には、数多くの政治家、官僚たちが整列し、深々と頭を下げ、去り行くダイクンの歩みを見送った。

 

 警備担当の軍関係者たちも同様だ。最敬礼の姿勢を取り、元首相の身が眼前を通り過ぎていくことを見送る。

 

 その誰もが感動で打ち震えていた。

 

 経緯はどうあれ、ジオン・ズム・ダイクン元首相と彼の腹心の部下たちは、地球連邦政府との折衝でサイド3独立を勝ち取り、新たな時代の扉を開け放ってくれたのだから。

 

 この後は、ダイクン元首相たちには頼らず、それぞれに自分達の力で未来を掴み取り、より豊かなものとしていかなければならない。

 

 その前に、私たちは一時代を築いた偉大な政治家の引退に立ち会うことができたのだ。

 

 

 ジオン・ズム・ダイクン以外の何物が、これほどの大義を成せたというのか。

 

 他の何者が、無血のままスペースノイド間の対立を軟着陸させられようか。

 

 大義を成し遂げて後の、一切権力に執着せぬ態度、引き際も見事だ。

 

 

 この光景に出会えた栄誉を一生の宝としなければならない。

 

 その宝を胸に秘め、明日の原動力として、如何なる困難にも果敢に立ち向かっていかなければならない。

 

 政治家、官僚、軍人たち各々は、そう胸の奥で誓いを立て、それぞれの未来に立ち向かっていくことを未来の自分への約定とし、我が身を奮い立たせた。

 

 長い戦いだった。

 

 妻トアはじめ、生まれてきてこれまで大した相手もしてやれなかった息子にも迷惑を掛けた。その時間を取り戻すことも、親子らしい関係性を取り戻すためにも、多大な時間を必要にすることだろうな。

 

 一方、そのように未来の心配事を噛み締めつつ、歩みを止めぬダイクン。

 

 後ろを振り向くことなく、降壇時と同等の速度で歩み続ける元首相。そんな役目を果たした大政治家の到着を、国会議事堂前で、今か今かと待ち続けた者たちの姿があった。

 

 

 「お父さん!」

 

 「あなた………御苦労様でした」

 

 

 息子のキャスバル・レム・ダイクン、最愛の妻のトア。そしてベビーカーに乗せられた、幼いアルテイシア・ソム・ダイクンである。

 

 

 「やあ…一仕事終えてきたよ。今まで苦労ばかりかけてきてすまなかったな・・・おっと!」

 

 

 駆け寄って、そのまま飛び掛かるように抱き着いてきたキャスバルを受け止めると、元首相はその腰を持ち高く抱き上げてやる。

 

 そのようにした後、ダイクンはトアと万感の想いで数秒間見つめ合った。

 

 (我妻よ、苦労を掛けた)

 

 (あなた、お疲れ様です。すべてのスペースノイドたちを救うという使命を、よくぞ果たされましたね)

 

 僅かな間での妻とそのようにアイコンタクトを終えると、ダイクンは息子を床に降ろして、優しく頭を撫でてやった。続いて、妻と愛娘の傍に近寄り、すこやかな寝息を立てていたアルテイシアの貌を覗き込んだ。

 

 今やサイド3の元首の立場を辞して、ただの父親となったダイクンは、愛娘の顔をよく見詰めるために、額を覆う前髪をそっと掃うのだった。

 

 サイド3の政治家たち、官僚たち、軍人たち、各サイドの政財界の者たち、一般の民衆相手と忙しく過ごしていたダイクンは、この日、やっと重責から逃れ、リラックスできる立場となって妻と子供たちに相対することができた。

 

 そんな家族にとって、僅かばかりの静謐だが豊かな時間が過ぎ去っていく。この家族にやっと訪れた幸せな時間だった。

 

 そんな幸せな時間を、始めて父親に優しく抱き抱えられ、御満悦になったキャスバルが打ち砕いた。

 

 「お父さん! お父さんは夢みたいなことばかりいってる変なおじさんじゃなくて! 立派な政治家だったんだね!」

 

 (うぁぴょっ!?)

 

 知っていたよ。

 

 以前の息子からは、常に冷たい視線を送られていたことも。

 

 だが、実際に言葉にされると胸に突き刺さる。

 

 夢みたいなことばかり言っている変なおじさん………正し過ぎて言い返せん。

 

 息子に常に冷たい瞳で見られていたことは薄々解っていたが、実際に言葉にされると被るダメージは絶大だった。

 

 斯くの如くキャスバルの本音を不意打ちで喰らい、ダイクンはその場に崩れ落ちそうになった。

 

 痛恨の一撃を受けたのだ。そうもなろう。

 

 荒い呼吸をしつつ、そうして絞り出した言葉は弱々しいものだった。

 

 「ははは………手厳しいな、キャスバル。お父さん、そんなに変なおじさんだったか?」

 

 「うん!」

 

 はうっ!

 

 勘弁してくれ…マイ・サン。

 

 一度…一度傷付いてしまった精神の傷口は、もう…もう二度と…そう簡単なことでは………そうそう簡単なことでは塞がらんのだぞ。

 

 満身創痍の態のダイクン。

 

 家族に相対し虚勢を張るが、内心余裕はなく、心臓は早鐘の如く鼓動していた。バクバクである。

 

 そんな父親の有様に気付かず、息子キャスバルは言葉を重ねた。

 

 「えっとね、アルテイシアが生まれて間もない頃、お母様がお父さんの演説をテレビジョンで視聴をしていて、あなた…また夢みたいなことを言ってって、呟いて泣いていたの。だから、僕はお父さんを、お母様を悲しませる悪い奴なんだなって…そう思っていたんだ」

 

 幼子にとって母親の存在は非常に大きく、代わりのない尊いものだ。それを傷付ける相手となれば、父親であろうとも、反感を抱くのは無理からぬことだ。

 

 周囲がどれほど父は偉大だと語ろうと、真実とは受け取らない。

 

 冗談抜きに、本当に偉大な政治家であったとしても。

 

 益々強大な敵と映ってしまう。

 

 なお、その頃のトアは、第二子を出産したことで精神的にも肉体的にも疲弊していた。そのため、内心の社会への不満を、幼い我が子がいたにもかかわらず、口に出してしまったのだ。

 

 無論、その意味は以下の通り。

 

 どうして世の中は夫ダイクンにこれ程まで負担をかけるの?

 

 どうして夫のダイクンたちのみが、地球圏を救うために革命主義者たちを大人しくさせるために人身御供にならなければならないの?

 

 あんな………革命主義者たちだけに耳障りの良い、愚かしい夢みたいな演説までさせて!

 

 そういうことであった。

 

 トアにとっては、別にダイクン個人に不満はない。

 

 ただし、幼いキャスバルでは、そこまで母親の真意を読み取れる訳もなく、母をダイクンが苦しめているようにかか見えなかったということだ。

 

 それはともかくとして、ダイクンは政治家としては偉大な存在であっても、ただの父親のしては並以下だった。

 

 正直、へっぽこだ。

 

 お父さん、そろそろ限界だから、もう勘弁して。

 

 泣きそう。

 

 それにな、キャスバル、トアは様呼びなのに、なんで私だけお父さん呼びなん?

 

 実際、キャスバルは、妻トアは様付きのお母様で呼びであり、自分に対してだけお父さん呼びだった。どうしても、その点が気になる。

 

 お父さんもお父様って呼んでよ!

 

 ダイクン心の叫び。

 

 その僅かな差が、ダイクンの精神をさらに苛めていた。子供は時に残酷だ。

 

 「でも、今日のお父様のサイド3独立発表の演説で、僕もお父様の本当の考えを理解したよ。お父様は、サイド3だけではなく、他のサイドのみんなを助けるヒーローだったんだね!」

 

 !?

 

 キャッ!

 

 キャスバルゥゥゥッ!!!

 

 お前はっ! お前はこの父親としてはへっぽこな私を! お父様と呼んでくれるのかぁぁぁっ!!!!

 

 正直、嬉しくて叫び出しそう!

 

 先程の、慌てふためく内心を必死で取り繕っていた態度から一転、ダイクンは喜色満面となり、息子を再び抱き上げ、語りかける。

 

 「すまなかった。お前も誤解させてしまっていたか。だが、もう安心していいぞ。私は今や無職のただの中年男性。幸い、お前にトア、アルテイシアを不自由させないだけの蓄えはある。これからは、四人一緒に、これまでできなかったことをゆっくりやっていこう」

 

 「はい! お父様! 大好き!」

 

 今まで、裕福な暮らし…ただし、非常に窮屈…こそさせてもらっていたが、父との精神的な繋がりを持つ機会はほぼなかったキャスバルだ。ダイクンのここでしてくれた約束は、本当に嬉しいものだった。

 

 「では、わが家へと帰ろうか、トア、キャスバル、アルテイシア」

 

 「はい」

 

 「うん!」

 

 すぅ…すぅ…

 

 ダイクンは、アルテイシアの乗るベビーカーを押す妻トアの腰に一方の手を添え、キャスバルとはもう一方の手を繋いだ。そうして四人一緒に、同じ方向へと歩み出す。

 

 その眼前で待つ黒塗りの高級車、その開かれたサイドドア脇には、執事のジンバ・ラル。その息子で、この門出の日の警備担当となっていたランバ・ラルが控えていた。

 

 高級車は、首相用の専用車に比べれば、かなり質素な代物であった。

 

 首相辞任後に専用車は使用できぬ。特別扱いは享受せぬ。

 

 ダイクンは、その辺りの線引きはできる質で、そういった生真面目さ持ち合わせていた。そのため、首相辞任後の警備隊と車両の手配は、ダイクンの執事であるジンバ・ラル翁とその縁の者たちに任せていた。

 

 国家の要人警護を担当する各々は、次の首相とその家族たちを第一の警備対象にするべきだと。

 

 「よくぞやり遂げてくださいました、旦那さま」

 

 警備担当者の服装をしたジンバ翁が主ダイクンへと、よくぞ宿願を果たしたと語り掛けた。だが、ここで長話をしている暇はない。

 

 マスコミ関係者やそれ以外の者共が、ダイクン一家の所在を掴み押しかけてくるその前に、この場を離れなければならない。

 

 「ああ、二人にも苦労を掛けた」

 

 「何も仰いますな。さあ、お早く!」

 

 「頼む」

 

 「首相官邸から退去なさる皆様の、借りのお住まいまでの通路はすでに通行止めにしてあります。ご安心を!」

 

 「流石だ。さあ、トア、キャスバル、二人の配慮に応えよう」

 

 「はい、あなた」

 

 「ジンバ爺! ランバ・ラルさん! ありがとう!」

 

 「ほっほっほ。ではまたのぅ、坊ちゃま。御父上にうんと甘えなされ」

 

 「はい!」

 

 「お二人とも…ありがとう」

 

 「あぅあ~」

 

 これまで眠っていたアルテイシアも目を覚まし、まるで何もかも知っているかのように、ジンバとランバに小さな手を振る。

 

 強面なランバ・ラルも、その可愛らしさに対しては普段の強面な態度を崩さぬにはいられなかった。柔和な微笑みを浮かべ、思わず手を振り返す。

 

 しかし、すぐにハッとして姿勢を正し、周囲の警戒に戻る。

 

 可愛らしい幼女への優しさと、任務の間で思い悩んでしまうラルさんだった。

 

 「それではダイクン閣下、みなさま。発車致します」

 

 「頼む」

 

 ダイクン一家の乗車を確認した、ランバ・ラル配下で本日の運転主であるタチが、その出発を告げ黒塗りの高級車は走り出した。

 

 いまだ車内から小さな手を振るアルテイシアに向けて手を振り返すジンバ翁。ランバといえば、ダイクンを通路端で見送った軍関係者たち同様、最敬礼で一家の出発を見送る。

 

 

 その頃。

 

 

 国会では、サイド3ジオン共和国の新首相として、デギン・ソド・ザビが就任していた。例外的に選挙なしの抜擢だった。ダイクン元首相退任に基づき旧内閣も総辞職。同様に選挙を経ず新内閣が発足していた。

 

 国民たちの大多数が夢想だにしなかった、地球連邦政府による独立承認…前代未聞、空前絶後の非常事態であったからだ。

 

 一刻も早く、諸々の事態に対応する体制を整えなければならなかったからだ。

 

 壇上には、新内閣の末席に就任したデギンの第一子サスロ・ザビが陣取り、これからの共和国の在り方を力強く語っていた。

 

 「もはや一刻の猶予もないのだ! 我々は独立こそ果たしたが、その対価として多くのことをやり遂げなければならない! 凍結されていた多数の民衆たちの、宇宙引っ越し公社への支払い再会には、国家を挙げて対応しなければならない!」

 

 「また、地球連邦から買い取るコロニー群! そのこれまでのリース料等々! これらはすでに複数のサイドから融資の打診があり、一時的には何とかできよう! だが! 以後はサイド7に出稼ぎに出て、国を挙げて稼がなければならない!」

 

 「その発展のために多数の人材を送り込まなければならず、その人材育成も急務だ! 金はいくらあっても足らん! 火星、木星、アステロイドベルトのトロア圏にも独自船団を送り出し! そこで得た大量の資源を地球連邦政府に売り付けねば!」

 

 「遠からずサイド3ジオン共和国は破産するのだ!」

 

 「我々はそれらの困難に対し、不退転の決意で当たらなければならない!」

 

 「忘れるな! 我々はこの闘争に敢然と立ち向かい、勝利する以外に生きる術がない!」

 

 「だが! 私は君たちがこの闘争に必ず勝利すると確信する!」

 

 「我々は! 我々こそが真に優良たるスペースノイドになりうる存在である! 私は信じる!」

 

 「それら様々な困難を果たしてのみ、我々は本当の意味で地球連邦の住民たちと対等な立場、パートナーとなれるのだ!」

 

 「それこそが真の独立であると! 各々が我が身へしっかりと言い聞かせ、諸君なら艱難辛苦へと立ち向え!」

 

 「もう一度言う! 私は! 諸君らが! 諸君らこそが! その成功の末にダイクン公が提唱したニュータイプ論を超えて! 未来を築いていく者となりうると信ずる!」

 

 「私は! それら困難に敢然と立ち向かう諸君が! 必ず勝利できると信じて疑わぬものである! 立てよジオン国民! ジーク! ジオン!」

 

 その演説を聞き、サイド3の各バンチ、各コロニー、小型の畜産用コロニー、農業用コロニー、他が歓声に包まれた。

 

 サイド3民衆の多くは、これからの試練の大きさに戦慄しつつも、この吉報に歓喜していた。

 

 

 時に宇宙世紀0065年。

 

 

 地球連邦政府は、このままではサイド3のジオン・ズム・ダイクン首相及び、他多数の地球圏の未来に欠かせない人物が、重責に耐えかねるだけでなく、民衆の過度の要求に圧し潰されると判断。

 

 当初の計画よりかなり早い時点で、サイド3ジオン共和国の独立を承認した。

 

 サイド3に集まった、はた迷惑な元革命家たちの真人間化は、独立後に数多くの試練を経験させることで達成する………そんな変更がなされたということだ。

 

 実際に独立を勝ち取らせてしまえば、革命主義者たちによる革命ごっこは強制終了となる。以前のふわふわした夢想家ではいられない。

 

 それぞれが現実に立ち向かうリアリストとなるしか道はない。

 

 地球連邦政府は、無血の中に、夢想家たちがその道を選ぶよう、他の進路を塞ぎ、閉ざしたのだ。

 

 そうできない者たちといえばは、地球連邦政府と独立したジオン共和国政府、両政府に対し敵対する立場になってしまい、今度こそ血の粛清の対象として駆除されることだろう。

 

 これまで過度に優しかった地球連邦政府も、サイド3で革命ごっこを主導し、夢想家たちの命脈を保ってやっていたダイクンたちも。すでにできる限りの譲歩はしていたのだ。

 

 もう、いい加減に大人になれと。

 

 

 実は、その一連の動きの背後には、ある強大な権力を持つ存在の意向が存在した。

 

 地球連邦という巨大統合国家発足に対し、過去、多大に貢献を果たした旧世紀の元老の生き残りたちと、彼等の代理人ともいえる、さる人物からの介入があったのだ。

 

 彼等の意向により、革命ごっこをしていた夢想家たちは、過去も、現在も、生かされ、そして未来も生かされることとなった。

 

 現大統領以下、内閣、各議員、官僚たちも、その鶴の一声を無視できず、大人しく従った。

 

 実際、サイド3独立により、地球連邦政府、各サイド共に大きなメリットを受けることは確かだ。

 

 サイド7大開発の決定で長期の経済的豊かさは保証され、100年三世代で宇宙移民費用を返済するはずだった多くの民衆たちは、宇宙世紀0100年を待たず、0080初頭には、そのすべての返済を果たすだろう。

 

 これまで、あえて地球圏の人口を100億強の体制…残材が不足して少ない方が、個々人への報酬は大きい…とし、それ以上の人口増加を抑制。

 

 スペースノイドたちへの高額報酬を約束し、自力で借金返済をさせてきた一連の政策も大きく変更されることとなる。

 

 多大な借金を背負う者の選挙権などナンセンス。地球連邦政府主導の宇宙開拓政策に大人しく従うがよい。嫌なら早く借金を返せ。

 

 権利というものは、社会に貢献し、それを果たす者たちのためにあるのだ。選挙権もそうであると知れ。国家に甘えるな。

 

 そういった理由で、多大な借金返済終了まで、一時的に制限してきたスペースノイドたちの選挙権…そういった政策も変更される。

 

 これらの政策を大きく変え、長期の好景気を約束した政治的手腕と実績は、この後、本格的に実施される地球圏総選挙での、現在の議席にあった政治家たちのとっての大きな武器となる。

 

 また、自力で宇宙移民費用を早期に返済したスペースノイドたちは、地球圏の選挙権は政府の勝手で与えられたり、奪われたりする権利ではなく、自力で勝ち取った権利という想いを強くする。

 

 これは、今後、地球圏外に進出していく開拓者たちにとっての基本的な考え、誇りとなり、その人類の生存圏を、地球圏の外へ外へと拡げていく原動力となろう。

 

 そういった後世への遺産は、未来の地球圏のみならず、その外側に構築された地球起源の国家群とその住民たちへの、時代を越えた支援となるのだ。

 

 これらの大きな世の中の変化を受け、地球圏は新たな潮流に晒され、多くの者たちはその運命を大きく変化させた。

 

 この世界線の歴史は、一年戦争が勃発する世界線とは、大幅にその流れを変えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、この事態以前に、この世界線は大幅に変化しているんですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球圏の外殻部のさる宙域で、その会談は密かに開始されようとしていた。

 

 サイド3独立の一報を受け、急遽、その対応を話し合うべく宇宙貴族主義者たち総出で開催されることとなった秘密会談だ。

 

 無論、本来の彼等の目的、これより火星圏、木星圏、アステロイドベルトへと、どれ程の数の移民と、密閉型コロニーを利用した改良型コロニー移民船団を送り込む?

 

 それらを決定する重要な秘密会談でもあった。

 

 地球圏の外側、深淵の彼方より接近する木星ヘリウム採取輸送船団所属の大型船ジュピトリス。サイド3独立に合わせて地球圏に帰還したかのような、タイミングの良い大型船舶の帰還であった。

 

 まあそこは本当に偶然っだったのだが。

 

 その船団を率いる者の名は、エル・シド・カラスという。

 

 そんな大型船の接近を待ち受けている艦は、多くの宇宙貴族主義者と、天才的な頭脳を有する稀少な高位スキルの持主を乗せた、マザーシャドウという名の宇宙駆逐戦艦だった。

 

 宇宙貴族主義者たち旗下で活動するノーブルズシャドウという私設武装組織に連なる、新進気鋭の民間軍事会社シャー・ノワール。

 

 そんな、ネコちゃんな名前の民間軍事会社所属の宇宙駆逐戦艦であった。

 

 にゃーん。

 

 船長の名は、宇宙海賊キャプテンファーザーことペール・ロナ。

 

 ロナ・コンツェルンという宇宙のジャンク品…どれもこれも、ルナ2など資源衛星から採掘された貴重な鉱石製の代物…を取引する企業も経営している多彩な人物であった。

 

 二隻は発光信号で通信しつつ、次第にその距離を狭めていく。

 

 サイド3独立に触れ、こうして主だった宇宙貴族主義者たちが一堂に会することが可能となったということは、彼らにしてみれば、実に僥倖なことだった。

 

 次回、宇宙貴族主義者たちの饗宴に続く。

 




 長くなったってしまったので、今回は取り敢えずここまでにします。

 サイド3独立に対し、他のサイド(の宇宙貴族主義者たち)から融資の打診があったことは描写しましたので、タイトル回収はひとまずOKのはず。

 次回は、ジュピトリスのエル・シド・カラス。シャー・ノワールのペール・ロナといった宇宙貴族主義者以外に、下記の人物が登場します。

 ニコ・カガチ

 アノクニ・リュウ・ルフト

 シルキー・マウア・フェラリオ

 テゥエンジクゥー・トクベイ

 ユミミ・ナカンダカリー

 ハルカ・ムツキ・ゲンゲツ

 リリ・カエス・オーエス

 今後の予定としては、次で宇宙貴族主義者たちの話をしてと、次に脳内スウェッセム粒子を活性化、オールドタイプをニュータイプ化させる薬品アウラアニムスの存在を明かし、最後に作中の最重要アイテムである、フラナガン機関がサイコマテリアルを改良して生み出した、サイコ力をオーラ力で制御するイザナギ/イザナミ・オブジェクトと、それが地球圏全体に与えた状況の説明する。

 プロローグはここまで。

 その次は、そこまでプロローグを読んでくれた読者たちへの本当のあらすじを明かす。

 続いて本編開始。

 最初の舞台はサイド7ではなく、地球のアジアブロック、ニホン、シンシュー地方にある学園都市。

 アムロや、カイ、ハヤト、フラウたち(宇宙の好景気によって宇宙移民費用をすべて両親が返済したため、地球上に一時的に居住が許された)が共に生活している。

 彼等は各々が平和に日々を過ごしていたが、その平和は突然奪われる。

 人類の人口9割以上が宇宙移民し、地球上がスカスカであったこと隙を付き、宇宙から不法に地球へと逆移民する者たちがいた。

 似非エレズム主義者たちの一団だ。

 元々、我々人類は地球と一つ。別々に住むことは不自然。聖地地球と合一の存在となることこそが我等が真理。我々は地球上で好きに生きる。

 そんな、他人に勝手なルールを強要しては、その自由を剥奪しようとするくせに、自分たちだけは、そのルール外に置いて身勝手を押し通そうとする。

 愚かな革命主義者的的クソムーブ。

 人口が少ないが故に、地球各地は彼等の襲撃に耐えられず荒廃していく。

 ニホン海バリアに守られ、安全だと思われていたニホンも、ついにその脅威にさらされてしまう。

 餓狼の如く地上を荒らし走り回る者たち…ガロウ・ランと呼ばれることになった彼等の奇襲によって、多くの学友たちが犠牲となり、学園都市は半壊。

 学園都市の一般市民たちを人質に取られ、地球連邦軍外郭部隊ホーリーソルジャーズ(聖戦士旅団)のバトルジャパン基地も、多大な被害を被った。

 これ以上の被害を防止すべく、辛うじてガロウ・ランらの追撃を躱し、生き残ったアムロたちは、ペガサス級強襲陸用艦クロコマへと逃げこむ。

 彼等は、クロコマの聖戦士団モノクローム隊生き残りたちと共に、ガロウ・ランと戦うことを余儀なくされる。

 その最中、アムロは、クロコマに搭載されていたモビルスーツ、RX78‐2に搭乗、最前線で戦うことに。

 アムロと、共に戦うことを余儀なくされる戦友たちは、次第に新たな力に覚醒していく。

 本編はそんな流れになります。 

 アムロ:アメノハヅチオ ニチリーンノツバサ

 キャスバル:アメノカガセオ アマツカーゼィノツバサ

 カイ:アメノホノカリ シラヌイノツバサ

 ハヤト:アメノミクマリ ミナモウツシノツバサ


 数多くの戦友たちを失う戦いの末、彼等は闇落ちし、死天マガツスサノオ:オオノワケノツバサに覚醒してしまう。地球圏のみならず、太陽系全体を滅亡へと追いやる恐怖の力だ。

 まあ、アメノハバキリ…ツバサを切り落とすツルギの力に覚醒したアルテイシア姫が、あと一人、運命を逆転させるアメノサカハネノツバサに覚醒した女の子と共に解決しちゃうんですけど。


 

 
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