機動戦士ガンダム~一年戦争なき世界線で~   作:ミノフスキーのしっぽ

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 今回の前置き

 本作では、宇宙世紀0079年に一年戦争が発生しないため、地球連邦軍がジャブローに連邦軍本部を築いていなかったり、大艦巨砲主義の大艦隊が存在しなかったりします。

 その代わりに、たった一基のコロニーしか存在しなかったサイド7が、総人口20億以上の一大勢力となっていたり、ザビ皇国として地球連邦から独立していたりします。

 また、キャスバル・レム・ダイクンは15歳で一人、サイド3から放浪の旅に出発。立ち寄ったサイド2で地方ワッパ・スピーダーのレースに出場。

 そこで好成績を叩き出し、改造ワッパ…ワッパは宇宙世紀で使用されているホバーバイク…を製造するカワシロ重工をスポンサーに得て、0077、0078年度には、ワッパ・スピーダー地球圏大会にて、連続総合優勝の栄誉に輝いています。

 仮面のワッパ・スピーダーKING 赤い彗星チバラキ・ダッペヨ(カワシロ重工がスポンサーについて以後は、シャアという偽名は封印)として。

 一方、ただの学生だけどただの学生ではないアムロは、黄色いクマ型パワードスーツを装着して登校する、着ぐるみ番長ヨロシ・クゥマなんだよ。
 
 その他、謎のプチモビ、ガン・ボーイを乗り回して、人々を守る正義のヒーローをやったり、ジンキ・ジャセイという女の子の駆るガン・ガールと、日夜、最強をかけ争っていたりします。

 そのように、本作の世界線は一年戦争がないだけでなく、人々の有様もかなり変化しているのです。

 ガン・ボーイ:ガンダム放送以前の初期案での名前

 ガン・ガール:パチモンのプラモデルガンガルが元ネタ
 


貴族主義者たちの饗宴

 長い航海の末にランデブーを果たした二隻の艦艇が、より接近すべく互いの相対速度を合せていく。

 

 まるで、お互いの存在を知り尊敬し合っていたにも関わらず、長らく相まみえること叶わずにいた、冒険家や考古学者たちであるかのように。

 

 そうして、十分に接近したジュピトリスとマザーシャドウは、お互いの格納庫を開放し、積み荷の積み替え作業を開始した。

 

 ジュピトリス側からは、ミノフスキー・イヨネスコ炉機動のための、稀少なヘリウム満載タンクを渡す一方、マザーシャドウ側は、地球圏で組み立てられた最新機器に、生活必需品、新薬などを渡す。

 

 程なくして、マザーシャドウ側から一隻のランチが発進し、ジュピトリスの小型艇発着場へと向かった。遥々、木星圏から地球圏へと帰ってきた冒険家の許へと、宇宙貴族主義者たち一同が来訪するのだ。

 

 「よお! まだ生きていやがったか! よく来やがったな爺! その生命力、素直に感心するぜ!」

 

 「ふぉっほっほっほ! 相も変わらず口が悪いの! なあに、まだまだ若いくそガキ共には負けんよ。エル・シドよ!」

 

 「そうかい! 他の皆様方もよく来やがった! 歓迎するぜ!」

 

 マザーシャドウ側からのランチに仲良く乗船し、ジュピトリスへと乗り移った宇宙貴族主義者たち。艦内発着場へと降り立った彼等客人たちを、発着場へと続くエアロックの前で、今か今かと待ち構えている人物がいた。

 

 エル・シド・カラス。惑星間航行艦ジュピトリスの若きリーダーだ。

 

 彼は恭しい態度を取って頭を垂れると、今度はうって変わって粗野な口上を述べ、客人たちを出迎えた。口は悪いが心底歓迎していると解る態度で。

 

 そのように、エル・シド・カラスは、じつに上機嫌であった。

 

 当然だろう。

 

 先頃、前々から宇宙貴族側へと打診していた支援のほぼすべてを、今回受け入れるという回答を貰ったのだ。 

 

 「エル・シド・カラスよ、久しいな」

 

 「応! ニコか! 待ってたぜ! この時をよぅ!」

 

 「我々、上弦同盟は、君が望む支援に最大限応える。今後、木星圏へと送り出すコロニー型船団の費用はこちらがすべて受け持とう。すでに、火星圏、トロア圏用を含めた、旧式密閉型コロニー100基の買い取りは、サイド3側との契約を完了している」

 

 「そうこないとなぁ! 借りは借りられるときに戴かんとな! 頼むぜ! カガチの大将!」

 

 タラップを降りつつ、最初にエル・シドと会話したハルカ・ムツキ・ゲンゲツに代わり、ニコ・カガチが宇宙貴族主義者同盟からの伝言を伝えた。それらを、エル・シドが嬉しそうに聞きた。

 

 ウッキウッキだ♪

 

 「もちろん、支援に見合う将来的な利権は頂くが、な」

 

 「そらそうよ! まず木星圏を発展させにゃあ利権も何もありゃしねえ! 俺たちゃ物乞いじゃねぇんだ! その辺のことは期待していてくれ!」

 

 「信頼させて貰うぞ」

 

 「応!」

 

 そのように、終始、エル・シドは上機嫌だった。知古の間柄のカガチとならば、そうもなろう。

 

 そのように上機嫌のエル・シドであったが、ゲンゲツやカガチと共にやって来た初見の少女…白衣姿…を認め、声をかけた。

 

 「そういえば、そこのお嬢ちゃんと顔を合わせるのは初めてだったな! ガチの天才だって聞いている! それでだ! 噂のアウラアニ…? なんだったかねぇ?」

 

 「アウラアニムスよ。初めましてエル・シド・カラス。私はシルキー・マウア・フェラリオ。マウアと呼んで。それはもう、マザーシャドウの格納庫から、ジュピトリスへと積み替えは始めているはずよ。ねえ、海賊船長さん?」

 

 「ああ。私の部下は優秀だ。程なく他の品々同様、そちらへの受け渡し作業は完了しよう」

 

 「はっはあっ! 順調すぎて怖いくらいだぜ! それはともかく、紳士淑女のみなさんよ、心ばかりだが酒宴の準備をさせて貰った。武骨な我が城ジュピトリスにも、客人を迎える施設くらいはあるんだぜ」

 

 アウラアニムス…ミノフスキー粒子濃度の高い環境下において、人類をニュータイプへと覚醒させる魔法めいた薬品。

 

 人体のオーラ力を飛躍的に高めることで、福次効果として人体の自然治癒能力や、脳内のスウェッセム粒子を活性化。さらに、人類が元々持っている凄まじいまでの適応能力をも強化するという代物だ。

 

 オーラ力を強化された人体は、ミノフスキー粒子環境下において、より最適な生命体になろうと脳内ニューロン網を発達させていく。そうして、新たなニューロンネットワークを形成。

 

 そのネットワークニューロンが、ミノフスキー粒子環境下において、スウェッセム粒子の送信、受信能力を高めるハブとして機能し、強力な脳波通信を可能にする。

 

 まるで神の御業か、悪魔が操る人理外の魔法である。

 

 それとも、妖精の悪戯なのか?

 

 シルキー・マウア・フェラリオという少女は、エル・シドの言葉通り真に天才的な薬学博士であった。それ故、彼女は貴族主義者たちとは一線を画す一研究者という立場にありながら、この場に居ることを許されていた。

 

 無論、我々はこんな切り札を手元に置いているぞ…という、宇宙貴族主義者たちによるエル・シドへのアピールといった一面もあったが。

 

 (うめえ! 木星付近の宙域は高重力だ! 高質量な様々な物はもとより、電磁波、光派、ミノフスキー粒子といった微細なものまでその影響を受ける!)

 

 (あらゆる艦艇の内部構造物もだ。もし通信機器が高重力による歪みで破損、使用不可になっても、ニュータイプによるテレパスが可能なら、それらの問題も容易に解決可能!)

 

 脳内でそう計算し、ほくそ笑むエル・シドだった。

 

 それはさておき。

 

 「酒宴か。それはありがたい。おそらく長い話し合いになる。ここでの立ち話では、御老人方は辛かろうよ」

 

 「あら、酷い言いようだこと。私はまだ60を越えて間もないのよ?」

 

 「怖ぇえよババア。お前さん、まだ20代前半に見えるぞ」

 

 「当然よ。アンチエイジングには気を使っているの」

 

 「そうかい。俺りゃあ、怪物ジジイに続き、とんだ魔女を我が家に招き入れちまったようだな」

 

 「誉め言葉と受け取っておくわ」

 

 「そう思ってくれて構わんぜ。ついてきな!」

 

 エル・シドは、ニコ・カガチや天才少女シルキー・マウア・フェラリオとの話を終えると、自信家の海賊船長ペール・ロナ、同様に口の悪さには定評のあるアノクニ・リュウ・ルフト、美魔女リリ・カエス・オーエスといった面々との会話を、次々に交わしていった。

 彼、彼女等との対話を一時中断すると、エル・シドは二人の護衛を左右後方に引き連れ、ジュピトリスの最奥にある酒宴の準備が整った貴賓室へと客人たちを案内していく。

 

 長い話となろうことは、エル・シド自身も自覚していたのだから。

 

 いまだ会話に加わらず、無言でいた客人たちとも、今後、同席してディープな内容を話し合わねばなるまいと。

 

 

 

 所変わって、ジュピトリスの貴賓室。

 

 

 

 その心ばかりの酒宴は、木星の衛星の一つ、エウロパに設置された農耕畜産工場で育て、同様に加工された品々を主な歓迎の品としていた。

 

 宇宙開拓の最前線で生み出された品々の現状を、隠すことなく詳らかにするという趣向だった。

 

 「失礼します、お客様」

 

 待ち構えていたギャルソンが、それぞれのテーブルへと着席した客人たちの許に置かれたグラスへと、エウロパ産ワインを注いだ。

 

 さて、あんたの味覚はどうだい?

 

 グラスにワインが注がれていく様子を見詰めるエル・シドは、まるで貴族主義者たちの味覚を試しているかのような…そんな態度だった。

 

 「白か。頂こう………ほう………」

 

 そんな主催の態度に臆さず、最初にワインへと口を付けた人物は、海賊船長ペール・ロナだった。

 

 「どうだい?」

 

 「…地球上の品とも、各サイドで蒸留された物とも一線を画すな。粗野で荒々しいが、若さで溢れている。一方、どこか懐かしさを覚える…一体、どのような方法で育て、どんな品種を使った?」

 

 「エウロパ産の鉱物を砕いた砂に、地球極東アジア産の腐葉土を混ぜた土壌に植えたものさ。肥料は極力与えず栄養を貪欲に吸い上げるように促し、定期的に残りの腐葉土を追加。水捌けに気を付けて、太陽からの自然光を外部から取り込めるようにした…そんな特殊ルームで育てた。品種はコーシュー(甲州)を使った」

 

 「なるほど。悪くないはずだ。コーシューは地球上でも各サイドでも廃れ始めていた品種だ。あえて稀少となっていた品種を、エウロパ内部で育成したか」

 

 「その通り! 距離の問題で木星産の品は稀少にならざるを得ん。ならば、地球圏でも稀少な品を育成して売り出さにゃ、商売にはならんって訳だ!」

 

 「商売上手だな。木星圏産という稀少性と、コーシューの稀少性を合せたダブルブランド。悪くない手法だ。高評価に値する」

 

 「そう言って貰えると、エウロパ農園の連中も喜ぶぜ! 伝えとくぜ!」

 

 「ああ」

 

 そのような感想を得たエウロパ産ワインに限らず、用意された品々すべては、地球上産、各サイド産の品々に比べれば、まだまだ未完成で未熟な代物であったが、それぞれ多大な費用をかけ、地球圏外で育てられた品々だった。

 各々、限られた環境下での、生産者たちによる工夫も見られる。

 

 人類の生存圏を率先して拡るべきとの思想で纏まる宇宙貴族主義者たちにしてみれば、何物よりも勝る持て成しである。

 

 辺境への文化の輸出の成功と、現地に合わせた進歩。

 

 その先にある地球圏への逆輸入と、需要の創出。

 

 人類の未来をより明るいものとするためには、どれも必要な要素だ。

 

 そのような、エル・シドを中心とした会話の間、終始無言であった者達。テゥエンジクゥ・トクベイ、ユミミ・ナカンダリー含め、他の宇宙貴族主義者たちも、新たに饗された品々に舌鼓を打つ。

 

 エウロパ産ワインを飲み終えると、受精卵の状態で木星圏へと持ち込まれ、人工子宮によって幼体まで育成。その後、乳牛と逞しく育てられた個体から絞ったミルク。それを加工して作られたチーズなど、稀少な品々を次々に試食、試飲していく。

 

 エル・シドたち木星開拓者たちが折角用意した趣向だ。

 

 この機会を活かし、各々は、多用な品々を己の視覚、嗅覚、味覚を通じて確認していく。

 

 地球上にしろ、各サイドにしろ、木星圏にしろ、人類にとって食は重要なファクターである。追加で融資するに値する品がここで見つかるなら、それに越したことはない。

 

 そんな、木星圏産の品々を試しつつ、談笑する趣向も落ち着き始めた頃。

 

 エル・シドが、そろそろ次の話題に移ろうかと、宇宙貴族主義者たちを促す。 

 

 「さて、お客人たち、心ばかりの品々は楽しんで頂けたかな? ではそろそろ本題に入りたいのだが、よろしいか?」

 

 「うむ、そうしてくれて結構じゃ。皆もよかろう?」

 

 この場に集まった宇宙貴族主義者の最年長、ゲンゲツの言葉に一同が無言で肯く。

 

 「だがその前に………貴重な情報を逸早く齎してくれた、我等が盟友ナカンダリー議員閣下に、木星圏に生きる者として敬意と謝意を示させていただく」

 

 そう述べるとエル・シドは、改めて貴賓室の壁際に置かれた椅子に腰掛けていた女性に向け、己が頭を垂れた。

 

 「あなた方と我々の進む道に、今後も栄光があらんことを」

 

 敬意を示し、恭しく首を垂れたエル・シドに対し、彼女は腰を浮かして立ち上がると、ワイングラスを掲げて、そう言葉少なに応じた。

 

 地球圏の宗教団体コスモシントウに所属する巫女にして、地球連邦議会上院議員ユミミ・ナカンダリー。

 

 そう。

 

 彼女こそ、110億にも及ぶ地球圏に居住する人類。そのトップに立つ者たちの一人であり、エル・シド含む、彼等、宇宙貴族主義者たちへと、サイド3独立という地球圏最重要情報を逸早く齎した人物であった。

 

 その貴重な情報あってこそ宇宙貴族主義者たちは、エル・シドたち冒険家の巣窟ジュピトリスへと、こうして集まれた訳である。

 

 なお、これらの情報を宇宙貴族主義者たちに齎す行為は、地球連邦政府側、サイド3側双方からの許可を取ってのものであり、貴重な情報を得る立場を利用して個人的利益を得る、インサイダー取引には当たらない。

 

 地球圏内外の各勢力との、外交に当たる行為である。

 

 ユミミ・ナカンダリー議員は、事が済む前に貴重な情報を各勢力と送り届け、共有することで、後の世での無駄な争いごとを避け、平和的な関係を構築する一助としたのだ。

 

 地球連邦政府は、諸君ら宇宙貴族主義者たちを敵視する立場にない。むしろ、人類の生存圏を拡げるという目的を支援したい。

 

 そんな地球連邦政府からのメッセージを、歪めることなく伝えた次第である。

 

 ナカンダリー議員に対し、長時間に及び頭を垂れ続けたエル・シド。彼に続けとばかりに、会場にいる宇宙貴族主義者たち各々は、議員に対し謝意を示す拍手を送った。

 

 私たちウチュウキゾクシュギシャは地球連邦政府の代理人である貴女に謝意を示します。コンゴトモヨロシク…と。

 

  

 

 次回:上院議員の憂鬱と後悔に続く 

 

  

 

 

 

 

 

 

 




 次回は陰陽説の初歩の話。

 スパロボAでキョウスケ・ナンブが言っていたこと。

 要約すると以下の通り。

 地球生命の多くは、男性と女性に別れ、ちがう属性にそれぞれが変化したことで多様性を得た。違う環境下、違う立場の男女が互いを尊重し、共に子を育むことで、違う可能性を持つ子を得た。そうすることで、地球上の東西南北、それぞれの土地で種族的繁栄を果たし、多様性を得た。

 力は強大だが性別がなく、多様性を否定するアインストには、人類を上回る生物としての基本的ポテンシャルが足りない。

 だからこそアインストは、見下して滅ぼそうとした人類に敗北したのだ。古代からの生命の観察者の立場を維持していれば、滅び去ることもなかったろうに。



 次回の主役であるユミミ・ナカンダリー議員。

 次回以降に登場するミナノ・ユメ・オーカザキ博士も…フラナガン博士と共にイザナギ・オブジェクト/イザナミ・オブジェクトを製造する…も、作中同様のことを語る。

 地球連邦政府は、人類を存続させる宇宙開拓政策のためとはいえ、旧世紀の国家群を実質上崩壊させてしまい、そのために人類の多様性を失わせてしまった。

 地球圏に住むスペースノイドたちの多くは、物理的には豊かではあったが、ほぼ画一的なコロニー内での生活を余儀なくされ、そのことが、後の革命主義者たちの決起を促すこととなってしまった。

 だからこそ、地球連邦の元左派議員であったジオン・ズム・ダイクンたちは、そんな革命主義者たちを、地球圏存続のため、僻地であるサイド3へと押し込めなければならなくなった。

 今回サイド3を独立させる目的は、革命ごっこをやっていたお馬鹿ちゃんたちに、自分達の力で国家を運営させるという試練を与え、一スペースノイドとして自覚を与え、更生させるためだけではない。

 地球圏に、人類が一度は失ってしまった真の多様性を取り戻させるための措置だ。

 地球連邦も一つの巨大国家にまとまっているだけでは先が…未来がない。

 陰と陽、光と影、男と女。あるいは、地球と月。

 地球圏に同格のもう一つの国家が誕生し、寄り添って共に生き、互いを認めて存在し続ける選択をしてこそ、宇宙へと飛躍した人類の命脈は保たれる。

 それなくば、待つのは戦乱の時代、宇宙戦国時代だ。

 まあ、下世話な言い方をしてしまえば、童貞拗らせた処女注爺や、推し活拗らせて婚期を逃した婆、彼、彼女等みたいに独り身のままでは、すでにある未来の選択肢とは別の、地球圏に明るい未来を齎す選択肢を探し出せる子供は生み出せないってこと。

 一人じゃ子供は作れません。

 そこに未来はないでしょ。

 虎穴に入らずんば虎子を得ずっつうか、穴に入れなければ子供は得られんのよ。


 ミナノ・ユメ・オーカザキ博士はかく語りき。

 人の精神を刻み付けたサイコ・オブジェクトやサイコ・フレームには、人の温かみが絶望的に不足している。

 憎悪、嫉妬、哀しみといった感情を刻み付けられ、支配されたそれらの物質が暴走を始めれば、地球圏はかつてないほどの悲劇に見舞われる。

 だからこそ、人の憎悪、嫉妬、哀しみを解きほぐし浄化する、暖かいオーラの力が必要なのではありませんか…と。



 そこで、男性であるフラナガン博士と女性であるオーカザキ博士が男女和合の末、共同研究で完成させるのが、サイコフレームと、オーラコンバーター双方の力を安定、和合させ、増幅させていくイザナギ/イザナミ・オブジェクトです。

 その誕生の結果、地球圏に住む人々も影響を受け、彼らのニュータイプ能力も別方向に進化を開始していく。

 まあ、あれだ。

 ユニコーンの作家さんがどこぞのインタビューに答えて、サイコフレームはイデオンのイデオナイトと同様の物だって言ったらしい。

 ええ…それって世界をリセットする厄物じゃないですか…ヤダー!

 そんな設定を公式にしてしまえば、その設定に作品全体が引っ張られて、結局、イデオンと同じ結末に向ってしまうのじゃないか?

 何かヤダ。

 よし、私は別の道を模索しよう。

 そうして考え付いた代物が、イザナギ/イザナミ・オブジェクトな訳だ、これがな。 

  
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